ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

コンテストグランプリを受賞した、シミュレーションRPGの先駆けとも言える「ボコスカウォーズ」

紙のパッケージですが、厚めのものを使用しているためしっかりしています。パッケージイラストを手がけたのは、現在もイラストレータとして活躍している伊東宣哉さんです

 1980年代前半は、各社がさまざまなソフトコンテストを行っていましたが、当時のアスキーも例外ではありませんでした。豪華審査メンバーを揃えて開催したアスキーソフトウェアコンテスト、その第一回目でグランプリを受賞した作品として発売されたのが、この「ボコスカウォーズ」です。

X1版が最初に発売され、後にさまざまな機種へと移植されました。これは、日立のS1へ移植されたタイミングで掲載された広告です
第一回アスキーソフトウェアコンテストは、このような豪華なメンバーにて審査が行われたそうです。現在、この方々が一堂に集まることは、まずないでしょう

 「中世騎士時代、バサム帝国の暴君オゴレスは世界征服を企て、その魔の手はスレン王国にも迫ってきた。スレン王国の王自らが剣をとり、10人の騎士と14人の兵卒とで決死隊を組み、途中人質を救出しつつ敵陣を突破し、アドロス城に討ち入り暴君を倒すのだ!」というストーリーの元に、プレイヤーはスレン軍を操作しオゴレス王を倒すべく行軍します。

ゲームは、オゴレス王まで約600mの地点からスタートします。全員で突撃するもよし、王様単騎で敵陣を突破するのも作戦の一つです

 本作の特徴は、個人ではなく“種類”でしか操作出来ないことと、戦いに勝利することでキャラクターたちが成長していくところでしょう。スペースキーを押すごとに、操作出来る種類がALL→King→Pawn(兵卒)→Knight(騎士)となり、テンキーで選んだ種類のメンバーを揃って動かすことになります。そのため、数が多い兵卒などは道中の障害物に引っかかったり、意図しない戦闘で負けて消滅してしまうことも多々ありました。イライラすることも多いですが、それが本作の醍醐味でもあり、いかにして多くの仲間を引き連れてオゴレスの元へとたどり着くかが腕の見せ所でしょう。王様単体での突撃、という攻略方法もありましたが。

敵と重なると、自動的に戦闘が始まります。画面の見えないところでも移動やバトルは行われているので、見えないところで戦いに勝利して重兵卒になっていたりすると、ちょっと嬉しくなります。

 敵との戦いは画面内外問わず、キャラクター同士が重なった場所で同時並行に行われ、勝てば生き残り負けると消滅します。勝利を収めたキャラクターはパワーが10アップし、王様なら最高で320まで成長します。ここまでたどり着ければ敵の兵卒には無敵を誇るようになりますが、勝敗にはキャラクターの強弱に加え若干のランダム要素が絡むため、パワーが大きい方が必ず勝わけではないのがユニークな点でしょう。種類ごとに敵との相性があるので、それを考えつつ進軍するのが楽しいゲームですが、操作さえしなければ時間は経過しないので、じっくり作戦を練りながらプレイ出来ます。それらを踏まえると、シミュレーションRPGの元祖といえる作品かもしれません。

 気軽に遊べる難易度とプレイ時間、軽快なBGM、当時としては斬新なルールなど、今プレイし直してみるとヒットすべき要素が数多く詰まっていて、グランプリを受賞したのもなるほどと頷けます。PlayStation4とXbox Oneに「ボコスカウォーズ2」が配信されているので、気になった人は是非こちらもプレイしてみてください。