ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
名作一網打尽:「信長の野望」シリーズ ~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~
2021年11月16日 00:05
連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会、出版社:総合科学出版)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。
今回取り上げるページは、“名作一網打尽:「信長の野望」シリーズ”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。
名作一網打尽:「信長の野望」シリーズ
現在まで続く人気作「信長の野望」シリーズ、その原点といえる80年代タイトルを紐解く!
光栄マイコンシステムから光栄になり、コーエーそしてコーエーテクモゲームスとなった現代まで続く同社タイトルの1つに「信長の野望」シリーズがある。歴史シミュレーションというジャンルを確立させた、まさに国内コンピュータゲーム史に残るシリーズだ。
ユニークなのは、どの作品にもサブタイトルが付くだけで、ナンバリングがされないこと。その記念すべき1本目となる『信長の野望』は、83年の3月にシブサワ・コウ氏のゲームデザイン作品として発売された。1981年12月に、地元にあるソフトハウスということで光栄マイコンシステムに入社したシブサワ・コウ氏のデビュー作は『投資ゲーム』。その彼が、ソフト開発の分業制を取り入れて最初に作り出したのが『信長の野望』だ。それまでのシミュレーションゲームは将棋や囲碁といった戦術レベルのものがほとんどだったが、本作は戦略と戦術の両方を駆使するゲームとして登場しているのが画期的な点といえる。
プレイヤーは尾張の織田信長または、2人プレイであればもう1人は甲斐の武田信玄として、内政で国を豊かにしつつ軍備を整え、周辺勢力を合戦で討ち滅ぼして領土を広げていく。これを繰り返し、全17カ国を統一すればゲームエンドだ。当時数多く普及していたPC-8001用だけでなく、オフィスにあるようなPC-9801やFM-16β、B16、IBM-JX、はたまたS1やSMC-777といった幅広い機種に移植されたことも相まって、大ヒット作へと上り詰めていった。
シリーズ2作目『信長の野望・全国版』では、舞台が遂に全国へと拡大。登場する大名すべてをプレイヤーキャラクターとして選択可能になり、最大8人までの同時プレイも可能になった。前作と同じ、尾張を中心とした17カ国を制覇する17カ国モードにくわえ、本作独自の50カ国モードを搭載。北は蝦夷から南は薩摩大隅までがカバーされたため、プレイヤーが地元地域の武将でプレイするという楽しみも増えた。
本作からプレイ中に菅野よう子さん作曲のBGMが奏でられるようになり、86年らしい作品に進化したといえる。この当時のパソコンでは、しゃべることは非常に珍しかったが、ハードウェアとしてADPCMを標準搭載していたX68000版ではふんだんに使用されていた。
そして80年代最後のシリーズ作品として、88年に『信長の野望・戦国群雄伝』が発売となる。これまでは当主としての武将しか登場しなかったが、今作から配下武将が新たにくわわり、約400人の実在武将が大名の下に配置されるようになった。これにより大名が死亡しても後継者に引き継げるプレイシステムが可能となり、ゲームスタート時点で高齢な大名を選んでも、厳しいスケジュールで全国制覇を目指さなくても楽しめるように進化している。
戦闘の野戦には朝昼夜の概念がくわわり、内政のコマンドやBGMも増加した。史実に沿ったゲームプレイを送ると出現する歴史イベントも数多く盛り込まれているのだ。反面、地形から東北と九州の両地方が削除されているが残念なところ。なお、今作も菅野よう子さん作曲のBGMがプレイ中に流れるのは、ファンにとっても嬉しい点だろう。
こうして80年代に3タイトルが世に送り出された「信長の野望」シリーズは、2014年現在14作目となる『信長の野望・創造』まで作品を重ね、プラットフォームもパソコンだけでなくコンシューマゲーム機などにまで幅を広げ、さらなる飛翔を遂げている。
ちなみに、一時期は「信長の野望」シリーズ、「三国志」シリーズと並んで“光栄歴史三部作”の1シリーズとして宣伝・発売されていた「青き狼と白き牝鹿」シリーズは、4作で姿を消してしまった。スケールの大きさは随一だっただけに、今後新作が登場する可能性がなきにしもあらずだが……