ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

名作一網打尽:「夢幻戦士ヴァリス」シリーズ ~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“名作一網打尽:「夢幻戦士ヴァリス」シリーズ”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


- - 名作一網打尽:「夢幻戦士ヴァリス」シリーズ


主人公は“セーラー服女子高生”&“変身美少女”!? 斬新過ぎる演出で大ヒットした「ヴァリス」シリーズ


 日本テレネットの名作『夢幻戦士ヴァリス』は、セーラー服姿の女子高生が主人公(プレイキャラ)で、かつビキニアーマー姿へと変身するという、当時としては斬新すぎる演出法が受け、大ヒットしたアクションゲームだ。

 パソコンでのシリーズ作品は、1986年に1作目が、1989年に2作目が発売。どちらもサイドビュー型の横スクロール方式を採用しており、開発担当は1作目をウルフチームが、2作目をレーザーソフトが務めている。

日本テレネットが『アメリカントラック』『ファイナルゾーン』『アルバトロス』に続くタイトルとして世に送り出したのが、『夢幻戦士ヴァリス』だった。当時のパソコンでは敵弾などが見づらく、慣れるまではプレイが大変

 シリーズ1作目の『夢幻戦士ヴァリス』では、ごく普通の女子高生だったということで“ヴァリスの戦士”に選ばれた主人公・麻生優子を操作して、夢幻界の支配を目論むログレスを倒すために戦う。

 ゲーム途中に挿入されるビジュアルシーンや重いストーリーが話題となっただけでなく、その美しいBGMも特徴。特に、エンディングで流れる曲「MISSBLUEに微笑みを」が、今も耳に残っている人も多いはず。タイトル画面でF5キーを押すと入れるミュージックモードでいつでも聴けるので、ゲームそっちのけで曲に酔いしれることもできた。

 この曲を手がけたのは、サウンドコンポーザの小川史生氏。日本テレネットのほかのゲームも手掛けていたが、残念ながら2008年にこの世を去っている。

 ハードの性能もあり、ゲーム自体の難易度は比較的高め。広大なマップを彷徨いながら、画面右下にある矢印の指す方向だけを頼りにボスを探さなければならない。また、優子が被弾すると後方に飛ばされるため、上へ上へと進まなければならないステージでは、途中で被弾し最下段まで落とされることもあった。

 全般的にストレスの溜まるゲームだったが、当時はそれほどイライラせずにエンディングを見たことを思うと、今よりも我慢強かったのかもしれない? ちなみに、MSX版ではキャラクターが単色なので静止画の見栄えはよくないが、スプライトを利用しているため一番遊びやすかった。

先にPC-8801mkIISRシリーズ版がリリースされたが、のちに発売されたX68000版ではビジュアルをリファイン、フルボイス化、BGMのアレンジなど豪華な内容となった。なお2006年には、『ヴァリスX』という美少女もののアドベンチャーゲームが発売されたが……

 89年発売の『夢幻戦士ヴァリスII』でPC-8801mkIISRシリーズ版の目玉といえば、サウンドボードIIを搭載したハードであれば、オープニングがフルボイスで再生されるところだろう。当時、声優の島本須美さんの声を聞くためだけにサウンドボードIIを買ったという人の話も聞いたことがある。声の力恐るべし、といったところだ。

 基本的なゲームシステムは1作目とほぼ同じだが、新たに着せ替えシステムが導入された。この仕様により、優子の見た目を変えることができるのはもちろん、ステータスもパワーアップするので、単なるオマケではないところも面白い。

 難易度は1作目よりも少し遊びやすくなっている。とはいえ、ある程度強力な飛び道具を使えるようになるまでは、思ったようにうまく進めないのは相変わらずだった。
 これ以降のシリーズはコンソール機で展開していくことになるが、それもこの2作品のネームバリューがあったからこそだろう。

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