ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

名作一網打尽:「イース」シリーズ ~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“名作一網打尽:「イース」シリーズ”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


名作一網打尽:「イース」シリーズ


日本ファルコムが手に入れた新たな柱、日本のRPG界を大きく変えた大ヒットシリーズ!

 「イース(Ys)」シリーズ以前のゲームといえば、“難しいほどよい”という風潮だった。しかし『イース』の誕生とともにその流れは大きく変わり、“謎を少なくストーリーを楽しむ”方向へと日本のRPG界は大きく転換していった。

 (書籍出版時の2016年)現在までにシリーズ7作品と、数多くのリメイク作品が登場しているが、ここでは80年代にパソコン向けとして発売されたタイトルに注視してみよう。

アクションRPGで、敵に体当たりをしてダメージを与え倒す。キャラを半分ずらした状態で体当たりするとダメージを受けない、半キャラずらしでのアタックが基本。ストーリー、難易度、そしてBGMと、さまざまな面で話題になった傑作。

 シリーズ最初の作品となる『イース』が初めて登場したのは1987年。発売数カ月前に出ていた広告を見ると、主人公アドルの面影はどこにもなく、謎の騎士が魔法のような攻撃で敵を倒しているイラストだったため、正直ワクワクしなかったことを覚えている。

 ゲーム自体はシンプルで、主人公のアドルを操作して敵に体当たりさせ倒していき、随所でイベントをクリアして物語を進めていくというもの。街の人の話を聞き、クエストを少しずつクリアしていくことで、より大きなストーリーが展開していくという、当時としては珍しい構成になっていた。

 後半からはほぼアクションゲームのようになっているが、それでも絶妙に調整されたバランスで、ほとんどの人がクリアできる難易度になっている。

 特筆すべきは、何といっても美しいBGMだろう。オープニング、村や町、草原、神殿、ダームの塔、そしてエンディング……。それまでのゲームにはなかった、あまりにもレベルの違う完成度だったために、本編と同じぐらい楽曲が話題になったのはいうまでもない。『MUSIC from Ys』というBGMを収録したCDも発売され、パソコンゲームミュージックとしてはヒットを飛ばした。ここで一躍有名になったのが、作曲家の古代祐三氏だ。

 その1年後、“THE FINAL CHAPTER”と銘打った続編『イースII』が発売になる。“優しさから感動へ”というキャッチコピーは、当時プレイした人ならば誰もが覚えているのではないだろうか。

 前作のエンディングから続くストーリーを採用しているもののデータの引き継ぎはなく、いきなり2作目からでも遊べるようになっていた。また、新たに魔法の概念が取り入れられたが、システムは1作目から大きく変わることなく作られている。

『イース』の続編として登場。今作では体当たりにくわえ、魔法で攻撃することができるようになった。オープニングデモのアニメーションに度肝を抜かれ、リリアの振り返るシーンで心を奪われたプレイヤーは数多い。

 前作では、レベルアップが前半で終わってしまったことを受けて、『イースII』では細かくレベルが上がるように設定された。これにより、成長している満足感が得られるようになったのが一番の改良点だろう。

 さまざまな謎が明かされるストーリーと、今作でも耳を飽きさせないBGMが大好評で、これにより日本ファルコムは「ドラゴンスレイヤー」シリーズにくわえ新たな柱を得るのだった。

 3作目は、『Ys III ワンダラーズ・フロム・イース』というタイトルで登場する。前作までは舞台がイースという国だったが、今回は別の国へと移動している。そのため、当初は「イースからの放浪者」という意味の「ワンダラーズ・フロム・イース」だけになるはずだったが、制作時に“タイトルに目立つようにイースを入れろ”という要望があったとのことで、このようなタイトルになったようだ。

 システムも前作から大きく変わり、サイドビューのアクションRPGとなっている。アーケードゲームにあった、『ドラゴンバスター』のような戦闘システムというとわかりやすいかもしれない。

サイドビューのアクションで、敵を倒すには、スペースキーを押して剣を振り攻撃するというシステムへと変更。随所にアクションテクニックを必要とするため、前作までと比べると難易度は上昇している。当時のハードとしては、かなりよくできていた。

 本作でも主人公はアドルだが、体当たりではなく剣を振って攻撃するため、難易度は前作までと比べて若干上昇した。BGMは前2作ほどは話題にはならず、また当時のPC-8800シリーズでのアクションゲームということもあり、完成度に関してはさまざまなことがユーザからいわれたようだ。とはいえ、ハードの性能から考えてみれば非常に頑張っており、よくできたゲームだったのは間違いない。

 この後、「イース」シリーズ作品は、4作目はスーパーファミコンとPCエンジンから、5作目はスーパーファミコンで発売され、その当時はパソコンに移植すら行われなかった。それを寂しく思ったというユーザーの声を、当時はよく聞いたものだ。

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