石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
『Diablo1』をいま買い、30年前の「肉屋」の声を聴く
2026年5月28日 09:05
ご挨拶
読者のみなさま、初めまして、こんにちは。フリージャーナリストの石田賀津男と申します。2022年から窓の杜にて連載しておりました「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」が、今週からAKIBA PC Hotline!に引っ越すことになりました。
本連載ではPCゲームに関する注目のトピックや、意外と知らない知識や情報を、ハード・ソフト問わずお届けしています。お酒を飲みながら遊ぶゲームって、妙に面白く感じますよね? そんな軽い感覚で楽しめるような読み物をお届けしてまいります。
初代『Diablo』の話をしよう
移籍後の第1回となる今回は、筆者の自己紹介を兼ねて、懐かしのオンラインゲーム『Diablo』の話をしていく。1996年12月31日に発売された本作は、今年で発売から30年目ということになる。
本作のPC版は英語版のみ。まだオンラインゲームがメジャーではなかったころで、発売からしばらくしてから、日本でも徐々に人気が出てきたという。PC Watchに当時の紹介記事があるが、発売から半年近く経った1997年5月のものだ。
当時の筆者は大学で電子計算機研究会に所属しており、先輩たちが学生寮のベランダからLANケーブルを這わせて複数の部屋をつなぎ、夜な夜なPCゲームを楽しんでいるところにお邪魔していた。そこで『Diablo』が話題になって、筆者も遊び始めたという記憶がある。
LANで遊ぶゲームはそれまでにもいくつか遊んでいたわけだが、インターネットに接続して、不特定多数のプレイヤーと接触するゲームは、本作が初めてだった。「Battle.net」というチャットロビーに接続し、他のプレイヤーと最大4人の同時プレイが可能だった。当時としては極めて画期的なシステムである。
「Battle.net」では日本語入力ができなかった。日本人もかなり多く、日本人専用チャンネルもいくつか開かれていたが、会話はローマ字で行われた。慣れると何とかなるもので、「dareka issyoni yarimasenka?」といった感じで会話していた。
ここで仲良くなった人と、ゲームもせずにチャットだけするのも結構楽しかった。会話の中で「(笑)」と書くところを「(warai)」と書き、それがだんだん省略されて「(w)」になったのが、今で言うところの「草」の原点である、と言われている。筆者も実際に使っていて、この文字の変遷を体験してきた。
ちなみに「Battle.net」は、今でも発売元のBlizzard Entertainmentのゲーム用ランチャーソフトやネットワークサービスの名称として残り続けている。
今でも普通に買えて遊べる
さてその初代『Diablo』だが、実は今でもちゃんとプレイできる。「Battle.net」に商品ページがあり、今も普通に購入できる。価格は1,340円。マイクロソフトのサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」の「Premium」以上のコースでも利用可能だ。
本作はリメイクではなく当時のままの内容で、あくまで現在の環境で動作するだけのものだ。しかも現在といっても、動作環境はWindows 7/8/10と書いてあるので、Windows 11での動作は自己責任ということになるのだろうか……? Windows 10で動くものなら、Windows 11でもおおむね動くとは思うが。
ゲームを起動してみると、フルスクリーンで昔懐かしいタイトルが表示された。スクリーンショットを撮影すると、画像サイズは640×480ドットだった。解像度を上げる設定は、標準では用意されていないので、これでプレイすることになる。
筆者は普段4Kの環境を使用していて、マウス速度は2,000dpiにしている。これだとマウスカーソルが速すぎて操作しづらいので、マウスの設定を800dpiに下げた。調整可能なゲーミングマウスを使っていてよかった。当時は何dpiだったかと考えると、まだボールマウスだったか、あるいは初代IntelliMouseの400dpiか。
マルチプレイでの「Battle.net」も使用可能だったので、ロビーに入ってみた。見た感じ誰もおらず、チャンネルの移動や検索の方法も忘れたが、ロビーサーバーとしては機能しているようだ。もしかしたら世界最古のゲームサーバーかもしれない(実体は変わっていると思うが)。
あの伝説のモンスターと再会しに行く
ゲームの方も当然ながら昔と変わらず。マウスクリックで移動や攻撃、キーボードでアイテムやステータス表示といった操作は、今に伝わるシリーズの伝統だ。
操作感は今となっては不自由さが目立つ。思ったところに移動できなかったり、攻撃するつもりが敵に近寄ったり、落ちたアイテムを1つ1つクリックしないと拾えなかったり。先々のシリーズが、いかに伝統を守りつつ進化したのかを実感できる。
やることはダンジョンに入り、敵を倒し、強力な装備品がドロップするまで進み続けるだけ。ハック&スラッシュの面白さがシンプルにできていて、敵を倒すたびに何か出るかもと期待させる感覚は、後の作品よりもむしろ本作が一番感じられるほどだ。
これを今からみんなでやったら楽しいだろうな……と一瞬思ったが、たぶん無理だ。もし一緒にやってくれる人が居ても、間違いなく味方に攻撃を当てて倒してしまうだろう。本作にはパーティへの攻撃をしない設定はあるのだが、ターゲットにならないだけで流れ弾には遠慮なく当たる。その仕様は現在も変わらない。
昔はうっかり味方を倒すこともよくあり、「ごめん当たった」と言って、死んだ場所にばら撒かれた装備を回収するとともに、プレイヤーに倒された証である「耳」を拾って、復活して戻ってきた味方に装備と一緒にプレゼントしたものである。今はこんな仕様では気楽に遊べない気がする。
ということで今回は1人でプレイし、レベルを上げつつ奥へ。2階への階段を下りて、少し強くなった敵を倒して進み、2階の敵を全て倒して安全を確保。そして拷問器具が並ぶ怪しい部屋の扉を開ける。
これが本作で最も緊張する「Butcher(肉屋)」の登場シーンである。初見で勝てたプレイヤーはほとんどおらず、誰もが一度は彼の肉切り包丁にさばかれたはずだ。本作を代表するモンスターと数十年ぶりに再会できて筆者も大満足である(後のシリーズでも登場しているが)。
PCのオンラインゲームとして、ハック&スラッシュという1つのジャンルを確立し、UIに至るまで後のゲームに多大な影響を及ぼした名作だ。今でも遊べる環境が用意されていることに感謝しつつ、遊んだことがないという方は今からでもぜひ試してみて欲しい。ただ、本作最高の恐怖スポットである「Butcher」のネタバレをしてしまったことだけはお許しいただきたい……。
(C)1996-2001 Blizzard Entertainment

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜で連載『石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』』(AKIBA PC Hotline!に移動)、『使ってわかるCopilot+ PC』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題をコラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。








