石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
『パンツァードラグーン ツヴァイ:リメイク』の体験版が登場。原作のセガサターン版から何が進化したのか?
2026年8月20日 09:05
セガサターンの作品の中でも指折りの名作として知られる3Dアクションシューティング『パンツァードラグーン ツヴァイ』のリメイク版の開発が進んでいる。発売日は未定のままだが、Steamで体験版の配信が始まった。
『パンツァードラグーン ツヴァイ』は1996年に発売された作品。セガサターンではシリーズ3作品が発売されており、1作目の『パンツァードラグーン』を正統進化させて完成度を高めた。3作目の『AZEL -Panzer Dragoon RPG-』がRPGにジャンル変更したこともあり、2作目である『パンツァードラグーン ツヴァイ』がシューティングの名作としてより印象深い作品になった。
360度を見渡せる名作3Dシューティング
Steamで本作の体験版が配信されるのは、2月に続いて2度目。遊べるのはステージ2のみというのは変わらないが、体験版のプレイヤーからのフィードバックを受けて、各所に調整を加えたものとなっている。今回も引き続きフィードバックを求めているそうだ。
ゲームではドラゴンに乗ったライダーを操作して、前後左右あらゆる方向から現れる敵と戦う。レーダーで敵の位置を把握し、視点を前後左右にスイッチして敵を狙い撃っていく。移動は自由にできるわけではなく、決まったルートを進む。遊園地のライドアトラクションのイメージだ。
武器は前方に飛ぶ通常のショットに加え、ボタンを押した状態で敵をロックオンし、離すとホーミングレーザーを射出する。複数の敵をロックオンし、レーザーで一斉射撃するのが本作の醍醐味の1つだ。
さらに通常ショットを敵に当てることでゲージが貯まり、一定以上まで貯まると、画面内の敵にレーザーを自動で撃ち続けるバーサクを使用できる。敵の数が多い時に使用すると、無数のレーザーが画面中を飛び、とても爽快感がある。
操作は基本的にはこれだけ。シンプルな操作系ながら、3D空間を飛び回りながら戦う楽しさがしっかり味わえる。特に視点変更で360度どこにでも攻撃できるのが、難しい点でもあるが、うまくやれた時の万能感とでも言うべき気持ちよさがとても強い。
ゲーム内容は原作に沿っており、新たな要素を加えて別のゲームに進化させたようなものでは(今のところは)ない。それでも今遊んで、本作の面白さがきちんと味わえるのだから、30年前からよくできた作品であることは間違いない。
リメイクで何が変わった?
リメイク版のグラフィックスは、良く言えば当時の雰囲気を残しているが、悪く言えば30年分の表現力向上は感じられない。特にオブジェクトから感じられるローポリ感は現代のゲームにしてはかなりチープだ。ただ本作のターゲットは30年前に原作をプレイした方々のはずなので、ビジュアルを激変させず昔の面影を残したいのだろう。
それでも3Dモデルは段違いに精細になっている上、高解像度やハイリフレッシュレートにも対応している。筆者は4K/160Hzの環境でプレイしたところ、セガサターンの時のようなギザギザした描写は一切なく、極めて滑らかな映像でプレイできた。
特に高いフレームレートでは、スピーディなシーンが隙なく描かれるおかげで、爽快感と操作のフィーリングが格段に良い。もうこれだけで原作を遊んだプレイヤーに体験してもらう価値があると言いたい。
もう1つ面白いのが、マウス操作に対応している点。W/A/S/Dキーで移動、Q/Eキーで左右視点変更、マウスで照準、左クリックでショット、右クリックでバーサクという割り当てだ。元がセガサターンなのでゲームパッドでプレイしたくなるが、PCゲーマーならマウス操作もかなりスムーズに楽しめる。
ゲームシステムから考えると、照準を素早く動かせるマウスの方がより有利に戦える。FPSを遊ぶのにゲームパッドよりマウスの方がいい、というのと同じだ。より直感的なプレイが可能になり、没入感も高まりそうだ。
なおゲームパッドでの操作も、左スティックで移動、右スティックで照準と、分離して動かせるようになっている。セガサターンの標準コントローラーにはアナログスティックがなかったので、この操作が可能になったのは現代的なリメイクの1つと言える。
あとは音楽がアレンジ版とオリジナル版で選択できる。アレンジ版の方が重厚なサウンドになってはいるが、原作ファンはオリジナル版を選ぶ方が懐かしさも増すし、テイストの違う楽曲として楽しんでもらえると思う。
求められているのはリメイクなのか移植なのか
体験版をひととおりプレイして感じたのは、本作はリメイクと名乗りつつ、いかに原作の手触りを残すかに苦心している作品だということ。リメイクと言うと、古い名作を現代風に作り直すことで、当時を知らない方にも楽しんでもらおうという気持ちが存在するのが一般的だ。
ただ本作は、当時のプレイヤーも、もしかしたら開発者も、原作への愛着が格別に強いのではないかと思う。原作の面白さを損なわないで、現代のスペックに合わせて最適な形に作り直す、というのが相当難しそうに思う。
面白いことに、SNSなどでファンの反応を見ていると、いかに原作の操作感に近いかを評価軸にする方がとても多いように見受けられる。中には敵の出現位置やタイミングが原作と違うと言う方までいる。リメイクなのだから意図して変更することは全く問題ないと思うのだが、ターゲットであるユーザーがそれを求めていないとなると大変悩ましい。
ユーザーが求めているのは原作であり、移植なのだとしたら、リメイク版はいったいどこに向かえばいいのだろう。過去の名作をアレンジするのには、いろいろな難しさがあるのだなと感じさせられる。個人的には、原作のゲームシステムの完成度は極めて高く、それだけで大変面白い作品なので、見た目は別作品というくらい現代アレンジして新たなファンを獲得して欲しいとも思うのだが。
(C)SEGA

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜で連載『石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』』(AKIBA PC Hotline!に移動)、『使ってわかるCopilot+ PC』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題をコラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。









