パワレポ連動企画

さらなる低価格化が進行するSSD

【PCパーツサマーセレクション500(18)】

DOS/V POWER REPORT 2016年8月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年8月号」の総力特集「今買いたいモノ、目一杯集めました!PCパーツサマーセレクション500」を掲載する。

 第18回目ではSSDのトレンドを解説する。TLC NANDフラッシュ採用モデルの登場による低価格化と、大容量化が進んでいるSSD。NVMe対応など高速なモデルはまだ高価なものの、SATA接続製品についてはかなり購入しやすくなったと言えるだろう。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年8月号は全国書店、ネット通販にて6月29日(水)に発売。特別企画は、ついに身近にやってきた仮想現実「何が楽しいの? 何が必要なの? 新世代VRが自宅にやってきた!!」、小型コンピュータを有効活用「マイクラウドストレージを極小ボードで作る! Raspberry PiでownCloud」、ネットで借りてポストに返す便利なサービス「夏休み前に改めて使い勝手を検証 オンラインDVDレンタルサービス」の三本を掲載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は豪華二本立て。無料なのは7月29日まで!「Windows 10無償アップグレード駆け込みブック」と、最新ワードに対応した「最新パソコン 略語辞典2016」だ。


-PCパーツサマーセレクション500-
SSD編 ~1TBクラスがトレンド~


1TBクラスが一気に身近に SSD編

 SSDは、最近の円高傾向による影響からか、年初と比較して一段と低価格化が進んでいる。これによって憧れの的だった1TBモデルも身近な存在になった。

 また、TLC NAND採用製品が各社から続々と登場。低価格なエントリークラスの多くがこのタイプへと移行している。

TLC NAND搭載製品が一般化 4月以降さらなる低価格化が進行

 最新SSDの一番のトレンドは、TLC NAND搭載モデルの大幅増加だ。昨年までは、一部のメーカーのみがラインナップしていたTLC NAND搭載モデルだが、現在では、SSDを販売するほぼすべてのメーカーがエントリークラスに用意している。

 記録容量も2.5インチ、M.2など、SSDの形状を問わず、1TBクラスのモデルがラインナップに加えられることが一般的となり、2TBクラスが存在する場合もある。

 SSDは、4月以降低価格化に弾みが付いた。現在では、250G Bモデルが9,000円前後、500GBモデルが1万5,000円前後で購入できる。1T Bモデルも3万円前後で購入でき、かなり身近な存在になってきている。

 ハイエンドクラスのNVMe対応製品を販売中のメーカーは3社のみと少ないが、製品を発表済みのメーカーは複数ある。店頭では、夏以降に大幅に増加する見込みだ。

SSDは「1TBクラス」がトレンドに

Micron Technology
Crucial BX200 CT960BX 200SSD1

 4月以降、急激に低価格化が進んだSSDは、Serial ATA接続のエントリークラス製品の1TBモデルのGB単価が、500GBクラスの製品と同等近くまで下がった。これによって、1TBモデルを購入するユーザーも増加している。

 一方、NVMe対応製品は、Serial ATA接続の製品より大幅に性能が高いが価格も高い。しかし、今後、参入メーカーが増加することで価格が下落するはずだ。

SSDのGB単価
CrystalDiskMark 5.1.2

【検証環境】

CPU:Intel Core i5-6600K(3.5GHz)
マザーボード:MSI Z170A GAMING M5(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
システムSSD:CFD販売 S6TNHG6Q CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
電源:玄人志向 KRPW-P630W/85+(630W、80PLUS Bronze)
OS:Windows 10 Enterprise 64bit版

ポイントは価格と速度

 現在のSSDは、Serial ATA接続の製品とM.2 NVMe SSD、拡張カード型のNVMe SSDの3種類に大別できる。

 コストパフォーマンス重視で購入するときは、Serial ATA接続の製品がオススメだ。Serial ATA接続の製品は、NVMe SSDと比較して基本性能は劣るが、体感速度には大きな差はない。しかも、GB単価ならNVMe SSDの約3分の1ほど。

 絶対性能を重視するならNVMe SSDだ。手軽に利用したいならM.2 NVMe SSD。安定性も求めるなら冷却性能が高い拡張カード型NVMe SSDがよいだろう。

コスパ重視なら
Serial ATA SSD
手軽さと速度なら
M.2 NVMe SSD
速度と安定性なら
拡張カード型NVMe SSD

コントローラやTBWをチェックせよ

Intel
SSD 750

 現在のSSDは、耐久性や信頼性の高さの違いで差別化を行なっている。耐久性は総書き込み量(TBW)で知ることができ、エントリークラスの製品はハイエンドクラス製品よりも総書き込み量が少なく設定されている。

 また、コントローラの違いで差別化を行なっている場合もある。たとえば、ハイエンドクラスは高価で高性能なコントローラを採用し、エントリークラスは安価なコントローラを採用するという具合だ。

データセンター向けコントローラ
Intel 750に搭載されているコントローラは、同社のデータセンター向けの製品と同じもの。信頼性重視で設計されている
MLC NANDを採用
Intel 750は、ゲーマーなどのハイエンドユーザー向けに設計されているので、TLC NANDよりも耐久性が高く、記録速度が速いMLC NANDを採用している。搭載されているのは16nmプロセスで製造された最新世代だ
【SSD選びのポイント】
ポイント利点
TBWSSDの総書き込み量を示すTBW(Tera Bytes Written)は、数値が大きいほどより多くのデータを書き込め、耐久性が高くなり、購入時の指標となる。
保証期間SSDは、信頼性を重視したハイエンドクラスの製品ほど保証期間が長くなる傾向がある。保証期間の長さは、製品の信頼性に対するメーカーの自信の現われでもある。
コントローラSSDでは、ハイエンドクラスに高価で高機能なコントローラを採用し、エントリークラスには安価なコントローラを採用することで差別化を図っている場合がある。
メモリ種別NANDメモリは、MLCとTLCに大別される。MLCは、書き換え回数がTLCチップより多く、記録速度も速いが高価。TLC は安価だが、書き換え回数や速度でMLC に劣る。
バッファの有無バッファは、SSD内部の管理テーブルのキャッシュに利用され、必須パーツではない。このため、バッファを省くことでコストダウンを図る場合がある。

トラブルはユーティリティで解決

多彩な機能を搭載
Samsung製SSD向けの専用ユーティリティ「Magician」。現在もっとも多機能なユーティリティの一つで、メインメモリをキャッシュに利用するRAPIDモードと呼ばれる機能なども搭載する

 多くのSSDメーカーは、自社製品向けの専用ユーティリティを用意している。

 寿命診断やSSDの状態の監視、ファームウェアの更新などの機能がある。NVMe SSDでたまに起こるマザーボードとの相性問題もファームアップデートで解消できる場合があるので、積極的に利用したい。

各社の専用ユーティリティ機能

[Text by 北川達也]


DOS/V POWER REPORT 2016年8月号は6月29日(水)発売】

★第1特集「今買いたいモノ、目一杯集めました! 『PCパーツサマーセレクション500』」
★特別企画「何が楽しいの? 何が必要なの? 『新世代VRが自宅にやってきた!!』」「マイクラウドストレージを極小ボードで作る! 『Raspberry PiでownCloud』」「夏休み前に改めて使い勝手を検証 『オンラインDVDレンタルサービス』」
★連載「最新自作計画 ~アンダー5万で作る格安マシン 2016年夏版~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録1「Windows 10無償アップグレード駆け込みブック」、特別付録2「最新パソコン略語辞典 2016」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2016-06-22-1130.php