パワレポ連動企画

定番から新モデルまで、最新CPUの力関係が一目瞭然!CPU定点観測所「第4回」

DOS/V POWER REPORT 2022年春号の記事を丸ごと掲載!

 前回(2022年冬号および補完特別版)から計測環境をWindows 11に一新した本連載だが、今号では新たに2コア4スレッドの「Pentium Gold G7400」を追加した。ほかのCPUは前号からのデータを引き継いでいる。

IntelのエントリーCPU、さらに充実

Alder LakeのPentiumは性能が爆上がり!?
Intel Pentium G7400
実売価格:9,500円前後
Pコアのみで2コア4スレッドと少ないが、実売1万円でDDR5やPCI Express 4.0/5.0環境が手に入る。Ryzenの下位モデルは3月時点で枯渇しているため、この価格帯でこのスペックはお値打ち。安価なB660マザーと組み合わせて使いたい。

 まず「CINEBENCH R23」だが上位陣に新CPUがないので序列に動きはない。コア数破格のThreadripperを除くと、上位陣は第12世代Core(Alder Lake)の上位モデルが中心、中位に第4世代Ryzen(Zen 3)とEコアのない第12世代Coreが展開している。

 コア数の少ないCore i3-12100やPentium Gold G7400はスコアこそ低いものの、Haswell世代のハイエンドCore i7-4770K(約7年前)を超越あるいは比肩する性能を手にしている点に注目したい。

【検証環境】<LGA1700> マザーボード:ASUSTeK ROG MAXIMUS Z690 HERO(Intel Z690)、ASUSTeK TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4(Intel Z690)、<LGA1200>マザーボード:ASRock Z590 PG Velocita(Intel Z590)、<Socket sTRX4>マザーボード:ASUSTeK ROG Zenith Ⅱ Extreme(AMD TRX40)、<Socket AM4>マザーボード:GIGA-BYTE B550 VISION D(rev. 1.0)(AMD B550)、<共通>メモリ:G.Skill Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX(PC4-25600 DDR4 SDRAM 16GB×2 ※各CPUの定格で動作、LGA1700を除く)×2、メモリ:Kingston FURY Beast KF552C40BBK2-32(PC5-41600 DDR5 SDRAM 16GB×2 ※各CPUの定格で動作)、ビデオカード:NVIDIA GeForce RTX 3080 Founders Edition、システムSSD:Corsair CSSD-F1000GBMP600[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB]、データSSD:Silicon Power SP002TBP34A80M28[M.2(PCI Express 3.0 x4)、2TB]、電源:SuperFlower LEADEX TITANIUM 1000W(1,000W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 11 Pro、アイドル時:OS起動10分後の安定値、OCCT時:「OCCT Pro v.8.2.1」の“OCCT”テスト(Extreme)を10分動かしたときの安定値、電力計:ラトックシステム RS-WFWATTCH1、Intel系マザーボードのパワーリミットはすべて無制限に設定

旧世代CPUと同等以上の性能を見せる新Pentium

 続いては総合ベンチマーク「PCMark 10」だ。このベンチはアプリ起動やFirefoxによるブラウジングなど比較的CPU負荷軽めなのでコア数が同じならクロックやシングルスレッド性能が重視される。ここではThreadripperが一転最下位クラスの性能に転落した一方で、EコアとPコアの使い分けが可能な第12世代Coreの上位モデルがトップを独占。売れ筋のCore i5-12400(H0ステッピング)はRyzen 5 5600Xよりやや下、第11世代Coreより上というポジションとなった。

 これは第4世代Ryzenに対してはクリエイティブ系テスト(とくに写真編集)で一歩およばない部分があること、さらに第11世代Coreに対してはGolden Cove世代のPコアの処理効率が良好であることが関係している。

 右グラフはPhotoshopやLightroom Classicを実際に動かす「UL Procyon」だが、ここでもほぼ同じ傾向が観測できる。上位は第12世代Coreの上位モデルは変わらず、Ryzen 5 5600XがCore i5-12400より優位となった。Pentium G7400は旧世代CPU、とくにコア数の圧倒的に多いRyzen 7 2700Xと同等以上である点に注目したい。

GPUパワーを活かすにはCPU性能が必須

人気大爆発の4コアCPU
Intel Core i3-12100
実売価格:17,000円前後
AMDが2022年4月にRyzen 4000シリーズを発売するまでは、Core i3-12100がアンダー2万円CPUのベストチョイス。4コア8スレッドとコア数は少ないが、オフィス系アプリや簡単な図版作成くらいなら問題ない。

 「3DMark」ではFire StrikeおよびTime Spyのスコアを比較するが、上のグラフはTime Spy順に並べ換えている。Fire Strikeは第12世代CoreのDDR4/DDR5の差が一貫しない(誤差やブレの範囲でもある)が、Time Spyにはそれがない。DDR4がDDR5よりも高スコアを出しているなど、前ページのUL Procyonとは傾向が大きく異なる。

 注目は「レインボーシックス シージ」のフレームレート。CPUパワーがどれだけハイパワーGPU(RTX 3080)を活かせるかという観点で見る。上位陣にRyzenが多い点もほかのテストにない傾向だが、Pentium Gold G7400のフレームレートはとくに低い。RTX 3080の性能を活かしたくても、少ないコア数ではCPUがボトルネックになるのだ。

消費電力ではRyzenが優秀、総合的には……

6コアCPUの新基準に
Intel Core i5-12400
実売価格:26,000円前後
2万円台半ばで買えるCPUとしてはきわめて優秀。C0ステッピングとH0ステッピングの2種類があるが、3次キャッシュのレイテンシはH0のほうが優秀。ただし体感できるような性能差はまだ確認できていない。

 左グラフはシステム全体の消費電力だが、高負荷時の消費電力は「OCCT Pro」のCPUテスト(Extreme、負荷一定)を10分回し、安定値で比較した。本連載におけるIntel系マザーはすべてパワーリミットを制限しない状態でテストしている関係で、第12世代Coreの上位モデルの消費電力は高く、とくにDDR5環境でそれが顕著となる。

 右グラフはCINEBENCH R23のマルチスレッドスコアをOCCT時の消費電力で割り、1Wあたりのスコアでワットパフォーマンスを計算した。DDR4環境ならば第12世代Coreの上位モデルは第4世代Ryzenを大きく上回ることができるが、コア数を絞ったモデルはスコアが稼げず、Ryzenに勝てないという傾向が観測できた。


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