パワレポ連動企画
トレンド機能を網羅した2022年型スタンダードPCを作ってみよう!
2022年8月16日 00:00
トレンド機能を網羅した2022年型スタンダードPC
せっかく自作するなら、どんな用途も高いレベルでこなせて、長く利用できるPCにしたい、と考える人も多いだろう。
このプランでもっとも重視したのは、最新技術へのキャッチアップだ。どんなPCでもそうだが、長く利用していく場合はスペックの陳腐化は避けられない。そのため、現時点での最新技術やトレンドはなるべく積極的に取り入れておきたい。CPUなら、異なる種類のコアをまとめたIntelの第12世代Coreシリーズはマストだし、SSDは高速なPCI Express4.0対応モデル、PCケースも冷却性能に優れたモデルを選ぶべきだ。
ただ、最新の高性能モデルばかりを選ぶと、いくら予算があっても足りなくなってしまう。そこで各パーツはコストパフォーマンスに優れる「ミドルレンジ」から選ぶことにした。高騰した状況が長く続くビデオカードだけは突出して高くなってしまったが、全体としてはなかなかよいバランスだろう。
日常的な軽作業はもちろん、最新のPCゲームをプレイしたり、テレワークのオンライン会議なども快適にこなせる使い勝手のよいPCに仕上がったと思う。(竹内亮介)
Point1 CPUCPUはミドルレンジのEコア搭載モデル
第12世代Coreシリーズでは、「Performanceコア」(Pコア)と「Efficientコア」(Eコア)
という2種類のコアを一つにまとめたユニークな構造を採用する。長く利用するPCを作るなら、やはりこうした最新技術を取り入れたCPUを使ってみたくなる。
ただ、すべてのモデルでPコアとEコアを内蔵するわけではない。ミドルレンジのCore i5シリーズでは、「Core i5-12600K/KF」のみがEコアを搭載しているため、基本的にはこの二つから選ぶことになる。
内蔵GPUを搭載しないCore i5-12600KFは、Core i5-12600Kと比べて2,000円前後実売価格が安いため、価格優先ならこちらを選んでもよいだろう。しかしビデオカードが高騰している今、万が一ビデオカードが壊れたときでもPCが利用できるメリットを考えると、今回はCore i5-12600Kをベストチョイスとした。
もうちょっと予算を出せるなら、「Core i7-12700K」という選択肢もある。またAMDにも「Ryzen 5 5600X」というミドルレンジのCPUがあるが、伝統的な6コア12スレッド対応モデルであり、性能面でCore i5-12600Kにおよばない。
【検証環境】<LGA1700> ASUSTeK TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4(Intel Z690)、<Socket AM4>マザーボード:GIGA-BYTE X570 AORUS MASTER(rev. 1.0)(AMD X570)、メモリ:G.Skill Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX(PC4-25600 DDR4 SDRAM 16GB×2 ※各CPUの定格で動作、LGA1700を除く)×2、<共通>ビデオカード:NVIDIA GeForce RTX 3080 Founders Edition、システムSSD:Corsair CSSD-F1000GBMP600[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB]、電源:Super Flower LEADEX TITANIUM 1000W(1,000W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 11 Pro
Point2 CPUクーラーCPUクーラーは24cmクラスの簡易水冷型
第12世代Coreシリーズは高い性能を誇るCPUではあるが、その分発熱も大きい。安心して利用したいなら、簡易水冷型CPUクーラーを組み合わせたい。
簡易水冷型CPUクーラーは、ラジエータのサイズが大きくファンの数が多いほど冷却性能は高くなる。ただCore i5なので、そこまで強力なモデルでなくても大丈夫だろう。
今回は24cmクラスのラジエータを備えるMSIの「MAG CORELIQUID 240R V2」を選んだ。
Point3 マザーボード耐久性に優れたH670搭載マザーボード
LGA1700対応マザーボードを選ぶ場合、まずはDDR5メモリとDDR4メモリのどちらに対応するモデルかを選ぶ必要がある。現状では性能に大きな違いが生じないことを考えると、安くて大容量モデルが購入しやすいDDR4対応モデルがオススメだ。
またCore i5-12600Kのオーバークロック(OC)性能を活かしたいなら、「Intel Z690」を搭載するモデルがベストだ。しかしDDR4対応モデルは製品数が少ない上、ちょっと高い。その意味では、OC機能には対応しないものの、チップセットの機能はIntel Z690に近い「Intel H670」搭載モデルがオススメだ。
今回選択したMSIの「MAG H670 TOMAHAWK WIFI DDR4」は、強力な電源回路で各パーツを安定してドライブできるマザーボードである。
Point4 SSDPCI Express 4.0対応の高速SSD
MAG H670 TOMAHAWK WIFI DDR4では3基のM.2スロットを搭載しており、いずれもPCI Express 4.0対応だ。SSDもPCI Express 4.0対応モデルを選ぶべきだろう。
またPCゲームをインストールしたり、テレワークで大容量ファイルを扱ったりすることが増えることを考えれば、容量は最低でも1TBは確保しておきたい。
こうした条件を満たすSSDとして、今回はMicronの「Crucial P5 Plus CT1000P5PSSD8JP」を選択した。長く利用することを考えれば、システムドライブの容量はなるべく大きなモデルのほうがよい。
Point5 ビデオカードバランスに優れるミドルレンジカード
ミドルレンジからビデオカードを選ぶな採用ら、GeForce RTX 3070 Ti、あるいはGeForce RTX 3060 TiをGPUとして搭載するカードになるだろう。どちらもレイトレーシングなど最新技術をサポートし、最新のPCゲームも問題なくプレイできる。
それぞれのGPUを搭載するビデオカードで行った3DMarkの性能検証では、当然GeForce RTX 3070 Tiカードのほうが優れていた。とはいえ、GeForce RTX 3070 Tiカードは低価格なモデルでも実売価格は12~13万円前後といったところで、さすがに今回のプランではほかのパーツと比べて価格のバランスが取れない。
これらを考えると、GeForce RTX 3060 Tiカードのほうが今回のプランにはマッチしている。今回は、GeForce RTX 3060 Tiカードの中でも比較的安いPalit Microsystemsの「GeForce RTX 3060 Ti Dual OC V1」を選択した。
Point6 PCケースエアフローに優れた冷却重視型ケース
高性能なパーツを組み込んで安定して動作させるためには、PCケースにも高い冷却性能が必要だ。大型のケースファンを多数搭載し、風通しのよい構造を採用するモデルを選びたい。今回選択したLian Liの「LANCOOL 205 MESH」は、メッシュ構造の前面に14cm角ファンを2基搭載しており、外気をたっぷり取り込んで各パーツを冷却できる。
実際、本誌2022年冬号の「PCパーツ100選 2022」で行なった検証でもその高い冷却性能を遺憾なく発揮し、ゴールドレコメンドを獲得した。また簡易水冷型CPUクーラーをラクに取り付けられる機能もあり、今回のプランにはぴったりだ。
余裕のある内部構造で簡易水冷型CPUクーラーの組み込みも容易
今回のPCケースであるLANCOOL 205 MESHは、ExtendedATX対応の大きめなモデルだ。メインのパーツを組み込むエリアにはほとんど構造物がなく、すっきりとした構造なので、各パーツの組み込みは非常にラクに行なえる。天板のファンマウンタは着脱可能であり、簡易水冷型CPUクーラーのラジエータを取り付けてから、PCケース内部に戻すという流れで作業できる。
ただ搭載するファンが多い上、LEDケーブルの接続も必要なので、整理しなければならないケーブルの数が多い。各種ピンヘッダとファンケーブル、2本のEPS12V電源ケーブル、ATX24ピン電源ケーブルとPCI Express補助電源ケーブルという3系統でケーブル類を分けてまとめることで、厚みが出ない状態でケーブルを整理できるのでオススメだ。
カテゴリー | メーカー名・製品名 | 実売価格 |
---|---|---|
CPU | Intel Core i5-12600K(10コア16スレッド) | 38,000円前後 |
マザーボード | MSI MAG H670 TOMAHAWK WIFI DDR4(Intel H670) | 28,000円前後 |
メモリ | ADATA AD4U3200716G22-D(PC4-25600 DDR4 SDRAM 16GB×2) | 15,000円前後 |
ビデオカード | Palit Microsystems GeForce RTX 3060 Ti Dual OC V1(NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti) | 80,000円前後 |
SSD | Micron Crucial P5 Plus CT1000P5PSSD8JP(1TB、PCI Express 4.0) | 19,000円前後 |
PCケース | Lian Li LANCOOL 205 MESH(ExtendedATX) | 11,000円前後 |
電源ユニット | Cooler Master GX Gold 750 Full Modular MPE-7501-AFAAG-J1(750W、80PLUS Gold) | 12,000円前後 |
CPUクーラー | MSI MAG CORELIQUID 240R V2(12cm角×2、簡易水冷) | 16,000円前後 |
メモリは容量と価格を重視してDDR4タイプの32GBモデルを選択した。DDR4メモリもまだまだ現役だ。
このクラスの構成なら、出力が750Wの電源ユニットでも十分余裕がある。80PLUS Gold認証を取得し、フルプラグインで組み込みやすい。
CPUやビデオカードの冷却は十分、どハデなLEDも魅力
まずは、さまざまな状況における各パーツの温度をチェックした。Core i5-12600Kはミドルレンジではあるが、第12世代Coreシリーズの発熱の大きさは「定評」がある。これをしっかり冷却し、安心して運用できるかどうかが気になるところだ。
ただ実際にグラフを見てもらえば分かるとおり、高負荷時でも69℃、PCゲームのプレイ時を想定した3DMark時の結果でも57℃と、かなり低い。冷却性能の高い簡易水冷型CPUクーラーを利用しているということも影響しているが、UEFI標準の設定で利用している分には冷却性能に不安はない。ビデオカードの温度も67℃と、やはり70℃を切っており安心感がある。PCゲームを長時間プレイしたり、負荷の高い作業を続けても熱暴走する心配はないだろう。
AMDのミドルレンジCPU、Ryzen 5 5600Xをベースとした自作PCと、PCMark 10や3DMarkの結果を比較してみたのが下のグラフだ。結果としては、Core i5-12600Kをベースとした今回のプランのほうが頭一つ上だった。CPU性能の影響が強いテスト項目では、大きく勝るものもある。
合計5基ものファンに組み込まれたアドレサブルLEDによる、どハデなイルミネーションも魅力。MSIの「Mystic Light」を利用して、自由なイルミネーションを楽しもう。
【Ryzen 5 5600X作例の検証環境】CPU:AMD Ryzen 5 5600X(6コア12スレッド)、マザーボード:ASUSTeK ROG STRIX B550-F GAMING(AMD B550)、メモリ:CFD販売 W4U3200CM-8G(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2)、:MSI GeForce RTX 3060 Ti VENTUS 2X 8G OCV1 LHR(NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti)、SSD:CFD販売 PG4VNZ CSSD-M2M1TPG4VNZ[M.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB]、電源ユニット:Corsair RM750x(750W、80PLUS Gold)、CPUクーラー:サイズ 虎徹 MarkⅡ(サイドフロー、12cm角)、<共通>室温:21.7℃、アイドル時:OS起動10分後の値、動画再生時: 解像度1,920×1,080ドットの動画ファイルを1時間再生したときの最大値、3DMark時:3DMarkのStressTest(Fire Strike)を実行したときの最大値、高負荷時:OCCT 10.1.5のPOWER SUPPLYテストを10分間実行したときの最大値、Fan Xpert 4の設定:Auto、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.45で、CPUはTemperaturesのPackage、GPUはTemperaturesのGPUの最大値
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