パワレポ連動企画
最新自作計画 第73回 インフレにも負けない!アンダー10万円で作る新世代ベースマシン
DOS/V POWER REPORT 2022年夏号の記事を丸ごと掲載!
2022年10月25日 07:10
今回のコンセプト
最新Coreシリーズの低価格モデルを選択
第12世代Coreシリーズの中でもコストパフォーマンスに優れる「Corei5-12400」をベースに、価格重視のスタンダードPCを作ってみよう。
追加パーツで強化拡張性を重視
マザーボードは価格だけにこだわらず、メモリスロットの数、複数のPCI Express 4.0対応M.2スロットを搭載することなど、拡張性重視で選択した。
最近は落ち着きつつあるものの、ビデオカードの価格高騰はいまだ続いている。それ以外のパーツも徐々に相場が上昇しつつあるほか、そもそもビデオカードは新製品の登場も近い。今PCを作るのであれば、大きなコストをかけて高性能なPCを作るよりも、新製品が出たタイミングでさらなる強化にチャレンジできるミニマルな構成のほうがマッチしているだろう。
そこで今回は、高価なビデオカードを外して10万円以下のスタンダードなPCを作ってみた。CPUは先日発売された第12世代Coreシリーズの低価格モデルで、定評のある高性能コアと最新アーキテクチャを採用するGPUを内蔵する。さらに拡張性の高いマザーボードや高速なPCI Express 4.0対応SSDなどと組み合わせることで、使い勝手や拡張性にも妥協しない使いやすいPCになった。
ミドルレンジのパーツを中心にチョイス ビデオカードなしなら10万円内でも余裕
CPUは、第12世代Coreシリーズの「Corei5-12400」だ。高性能コア(Pコア)のみの構成で6コア12スレッドと、高効率コア(Eコア)を搭載しないのは残念ではある。しかし6コアCPUとしては比較的低価格なので、こうした作例では使いやすい。
マザーボードはチップセットにIntel B660を採用した「PRO B660-A DDR4」だ。予算を考えてDDR4モデルを選んだが、性能的なデメリットはほとんどないので安心してよい。4本のメモリスロットやPCI Express 4.0対応のM.2スロットを2基搭載するなど、機能を強化しながら長く使いたい人にはぴったりのマザーボードだ。
SSDは「WD_BLACK SN770 NVMe WDS100T3X0E」。PCI Express 4.0対応の1TBモデルの中ではかなり安い上、リード/ライト性能も十分に高く、買い得感の高いSSDだ。
コンパクトケースらしいサイズ感 内部は十分に広く作業はしやすい
前面近くにベイなどを装備しない、今時の構造だ。奥行きは45.6cm、高さも47.1cmと、どちらも50cmに満たない比較的コンパクトなミドルタワーケースながら内部は広く、組み込み作業は楽に行なえた。
天板とマザーボード上辺の隙間は、実測値で約5cm確保しており、マザーボードベース裏面からケーブルを引き出したり、各種ケーブルを着脱したりといった作業は楽に行なえる。マザーボードベース裏面のケーブル整理用スペースも広く取られており、ケーブル整理の難易度は低い。LEDファンを追加したり水冷タイプのCPUクーラーに換装したりしてケーブルが増えても、美しく整理するのは難しいことではない。
前面パネルが磁石で付いているだけなのもメンテナンス面では有利だ。前面パネル裏にある防塵フィルタにアクセスしやすく、ホコリがたまっても清掃しやすい。
CPU温度はかなり低く、拡張性も十分で使いやすい
第12世代Coreシリーズの上位モデルは発熱がかなり大きく、36cmクラスの簡易水冷型CPUクーラーが欲しくなることもある。
しかし今回の検証結果を見ても分かるとおりCore i5-12400のようなミドルレンジのCPUは、AK400のような低価格なサイドフローCPUクーラーでも十分冷える。CPUファンの回転数も、高負荷時で最大1,000rpm程度までしか上昇しなかったこともあり、全体的な動作音も低い。書類作成やWebブラウザでの情報収集、テレワークに関する軽作業などが主な用途であれば、こうした扱いやすいCPUのほうが向いている。
一方で、PCゲームへの適性もまったくないというわけではない。後述するファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマークを実行したところ、標準設定(デスクトップPC)のScoreは4,542で評価は「普通」。描画設定しだいだが、描画負荷の低いPCゲームならそれなりにプレイできる可能性は高い。
拡張を考えるなら、まずビデオカードだろう。PCケースは長さ38cmまでのビデオカードに対応しており、かなり高性能なモデルも組み込める。参考までにアッパーミドルクラスのGeForce RTX 3070 Ti搭載のビデオカードを追加してテストしてみたところ、最新の重量級ゲームも問題なくプレイできるようになった。また3DMark時の消費電力は最大で374.7Wと、今回の電源ユニットでもまったく問題ない。少なくともアッパーミドルクラスまでなら、予算に合わせて好きなビデオカードを選択できそうだ。
ビデオカードを組み込んで3DMarkをループ実行させたときのCPU温度は50℃で、GPU温度は71℃。ビデオカードを増設しても、熱によるトラブルの心配はない。
制作後記
検証結果を見れば分かるとおり、扱いやすさが際立つ結果となった。第12世代Coreシリーズでも、このクラスのCPUなら今までどおりの感覚で扱っても大丈夫ということだろう。またPCケースの中が広く、組み込み作業やケーブル整理がしやすいため、とくに初心者に向いている。拡張性や冷却性能も高く、長く利用できるPCに仕上がった。
ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition |
ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク | 解像度は1,920×1,080ドットでフルスクリーン表示 |
室温 | 24.1℃ |
アイドル時 | OS起動10分後の値 |
動画再生時 | 解像度1,920×1,080ドットの動画ファイルを1時間再生したときの最大値 |
3DMark時 | 3DMarkのStressTest(Time Spy)を実行したときの最大値 |
高負荷時 | OCCT 10.0.4 POWER SUPPLYテストを10分間実行したときの最大値 |
温度 | 使用したソフトはHWMonitor 1.46で、CPUはTemperaturesのPackage、GPUはTemperaturesのGPUの値 |
[TEXT:竹内亮介]
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