パワレポ連動企画
プレイに差が付く!?最新ゲーミング液晶の最新トレンド&使い方
DOS/V POWER REPORT 2022年夏号の記事を丸ごと掲載!
2022年10月26日 09:00
映像美や没入感を重視する製品が増加中!
「ゲーミング液晶」と言えば、なめらかな描画を実現する“高リフレッシュレート”が一番の特徴で、敵の位置や動きの把握が勝敗を分けるFPSやTPS向けという印象が強い。しかし最近では、色域の広い“量子ドット”を採用する製品が増え、より明るくより暗い表現が可能なHDRへの対応も当たり前になりつつあり、シングルプレイ中心の映像美に優れるオープンワールド系のゲームや映像コンテンツを楽しむのにも最適な製品が充実しつつある。4K/144Hz対応モデルも登場当初よりも価格は下がり、購入しやすくなった。
そこで、今回は4K/WQHDを中心としたワンランク上のゲーミング液晶にスポットライトを当てる。“ゲーム”に対する各社の考え方や姿勢が見え、思いのほかおもしろい検証結果となった。これを機会にゲームプレイ環境のアップグレードを検討してみては?
注目トピックをチェック!!
進化を続けるゲーミング液晶だが、ここでは押さえておきたいトレンド情報と知っておきたい設定項目を紹介する。
量子ドットって何?
まずは、注目のトピックから見ていこう。最近増えてきているのが「量子ドット」を採用する製品だ。これは光波長の変換効率が非常に高い半導体素子のことで、採用製品はハイエンドモデルが中心だ。青色LEDのバックライトを量子ドットシートに通過させることで、青色をそのほかの色に効率よく変換して従来の液晶よりも鮮やかで広い色域を実現できる。とにかくそれぞれの色がクッキリするのが一番の特徴と言えるだろう。
ゲーミング液晶・実践の基礎
高リフレッシュレート設定方法
高リフレッシュレートの液晶でも、ただPCと接続しただけでは通常の60Hz動作のままだ。Windowsのディスプレイ設定でリフレッシュレートの変更を忘れずに行なおう。せっかくの性能をムダにしてしまう。
利用しやすくなった「HDR」を使ってみよう
明るさの幅を拡張する技術「HDR(High Dynamic Range)」も注目ポイントの一つだ。より明るく、より暗く表現できるため、映像のメリハリが増す。ゲームだけではなく、動画配信サービスでもHDR対応コンテンツは増えており、ディスプレイのHDRへの対応も注目度が上がっている。
Windows 11でHDRが実用的に
Windows 10ではHDRを有効にすると全体的に白っぽくなり、HDRコンテンツを見るとき以外には使えない機能だったため、印象が悪い人もいるだろう。しかし、Windows11ではHDRを有効にしても若干明るさの変化はあるものの、色の変化はなく、そのままでも問題なく使えるようになった。
ただ、HDRを有効にすると暗部補正やアンチモーションブラーといったゲーミング液晶ならではの機能が使えなくなる製品が多い。プレイするゲームや視聴するコンテンツに合わせて切り換えるのがよいだろう。
DisplayHDRのグレードは何が違う?
また、最近認証取得製品が増えているのが「DisplayHDR」だ。これはPCディスプレイ用のHDR性能を示す規格。現在は8種類のグレードが存在しており、数字が大きくなるほど、より明るく、より暗い表現が可能だ。
規格 | 最小ピーク輝度(cd/m2) | 色域 | 調光機構 | 黒の最大輝度(cd/m2) | バックライト調整遅延 |
---|---|---|---|---|---|
DisplayHDR 400 | 400 | sRGB | スクリーンレベル | 0.4 | 8フレーム |
DisplayHDR 500 | 500 | WCG 広色域 | ゾーンレベル | 0.1 | 8フレーム |
DisplayHDR 600 | 600 | WCG 広色域 | ゾーンレベル | 0.1 | 8フレーム |
DisplayHDR 1000 | 1,000 | WCG 広色域 | ゾーンレベル | 0.05 | 8フレーム |
DisplayHDR 1400 | 1,400 | WCG 広色域 | ゾーンレベル | 0.02 | 8フレーム |
DisplayHDR True Black 400 | 400 | WCG 広色域 | ピクセルレベル | 0.0005 | 2フレーム |
DisplayHDR True Black 500 | 500 | WCG 広色域 | ピクセルレベル | 0.0005 | 2フレーム |
DisplayHDR True Black 600 | 600 | WCG 広色域 | ピクセルレベル | 0.0005 | 2フレーム |
数字が大きくなるほど輝度も高くなるが、ポイントは黒の最大輝度だ。液晶はバックライトがあるため完全な黒の表現が苦手だが、上位のグレードやTrue Blackでは黒の輝度が非常に低く、より暗い表現が可能とメリハリのある映像が楽しめる。
レビュー前に“色”の計測結果を理解する
次回からは、「量子ドット」、「4K/144Hz以上」、「ウルトラワイド」の3ジャンルに分けた合計9製品のレビューをお届けする。今回は、キャリブレータを使用してそれぞれ色域とガンマカーブを測定した。
色域測定結果の見方
色域は表現できる色の広さだ。色度図の黒線で色域を示している。PC用ディスプレイの標準的な色域のsRGBに対する広さに注目してほしい。とくに量子ドットの製品は従来型よりも緑や赤の色域が広い。
ガンマ補正カーブの見方
もう一つは色や明るさの強弱が分かるガンマ補正カーブだ。これはキャリブレータが色をどう補正したのか表わしたもの。レビューしたディスプレイはすべて初期設定の状態で測定している。そのため、正確な色を出せているかと言うよりは、ゲーミング液晶としてデフォルトの色をどう作っているのかの傾向を見るものととらえてほしい。製品によって暗部を持ち上げて見やすさを重視したり、逆に長時間プレイでも目が疲れにくいおとなしめの色にしたりとメーカーのゲームに対する姿勢が見えるのがおもしろいところだ。
カラーモード設定でこれだけ変わる!
ゲーミング液晶の多くは、ゲームジャンル別のカラーモードを用意している。レースゲームやRPG、FPSといった具合だ。FPSだけでも製品ごとに色作りは大きく異なり、赤を強めて暗部を見やすくしたり、コントラストを高めて立体感を出したり、長時間のプレイを意識してか逆にメリハリを弱くして目を疲れにくくしたりと、メーカーの考え方がよく見える部分だ。
CPU | Intel Core i9-12900K(16コア24スレッド) |
マザーボード | MSI MPG Z690 CARBON WIFI(Intel Z690) |
メモリ | Corsair DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5 CMT32GX5M2B5200C38(PC5-41600 DDR5 SDRAM 16GB×2※DDR5-4800で動作) |
ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX 3080 AMP Holo(NVIDIA GeForce RTX 3080) |
SSD | Western Digital WD_BLACK SN850 NVMe WDS200T1X0E[M.2(PCI Express 4.0 x4)、2TB] |
CPUクーラー | Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、32cmクラス) |
電源 | Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 11 Pro |
フォートナイト | ソロプレイのリプレイデータを再生した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
[TEXT:芹澤正芳]
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