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もはや出力は電気ストーブ!ゲーミング電源はここまで来た!MSI「MEG Ai1300P PCIE5」【Power Supply Unit診断室】
DOS/V POWER REPORT 2023年冬号の記事を丸ごと掲載!
2023年7月26日 09:09
Micro-Star International(以下MSI)と言えば、マザーボードやビデオカードメーカーとして名高いが、近年はこれらを支える電源も展開している。今回紹介する電源はATX 3.0に対応したモデル。
PCI Express 5.0世代の補助電源端子として策定された12VHPWR(12Vハイパワー)コネクタにネイティブで対応している。ネイティブなので当然変換ケーブルは不要ですっきりまとまる。
12VHPWRだが、従来のPCI Express 8ピンコネクタは一つのコネクタで150Wまで供給できていたが、ご存じのとおりハイエンドビデオカードではこれを二つ、三つ必要としていた。12VHPWRはこうした状況を改善するため、一つのコネクタで600Wまでの供給が可能になる。
製品名 | 出力 | 奥行き | 80PLUS認証 | 実売価格 |
---|---|---|---|---|
MEG Ai1300P PCIE5 | 1,300W | 16cm | Platinum | 72,000円前後 |
変換アダプタ不要!!ネイティブ12VHPWコネクタで600Wを供給
この電源の恩恵を主に受けるのは、450W以上でかつ12VHPWRコネクタを搭載したビデオカードを搭載するPCだ。事実上、NVIDIA GeForce RTX 4090/4080専用と言える。これまでPCI Express 8ピンコネクタを二つ、三つ使っていたところを12VHPWR一つで電力供給できるようになって配線がラクに、見た目もよくなる。
また、本製品は1,300Wという大出力のわりに奥行き16cmと非常にコンパクト。600~ 800Wクラス並みのサイズなので、電源周辺のパーツやベイなどを圧迫するようなこともない。ケーブルは12VHPWR用の2本が通常のスリーブ、ほかは個別スリーブ仕様で、引き回しがラクな上にケース内の金属部分に触れてもビニール皮膜を傷付けることがない。ケーブルコームも付属するので、魅せるPCにも一役買うだろう。
消費電力では、Platinum認証で1,300Wの本機がGold認証で1,000Wの製品と比較して認証グレードの違いを見せ付けた。また、準ファンレス機能も備えており、検証では高負荷時でもファンレス運転になった。ただし、ゲームなどを始めれば負荷に応じてファンで排熱する。内部の集積度が高いので、後述する専用アプリでファンを積極的に使うよう調整したほうがより安心感を高められるだろう。
CPU | AMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド) |
マザーボード | MSI MPG X570 GAMING PRO CARBON WIF(I AMD X570) |
メモリ | Kingston HyperX Savage DDR4 HX430C15SBK2/16(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2) |
ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 3090 Founders Edition |
SSD | Solid State Storage Technology Plextor M8Se(G)シリーズ PX-512M8SeG[M.2(PCI Express 3.0 x4)、240GB] |
OS | Windows 11 Pro |
室温 | 20℃ |
暗騒音 | 34.8dB |
アイドル時 | ベンチマーク終了10分後の値 |
高負荷時 | 3DMarkを実行中の最大値 |
動作音測定距離 | ファンから約15cm |
電力計 | Electronic Educational Devices Watts Up? PRO |
ハイエンドのビデオカードに全振りした設計だが、ブレーカーには要注意
ATX 3.0/PCIe5.0に対応した革新的電源。しかも1,300Wの大出力を奥行き16cmというコンパクト筐体で実現している。ただし、この野心的なスペックゆえに部品が高密度になってしまい、コンデンサと熱源の距離が近くなっているのが気がかりだ。メーカー保証10年ということで、コンデンサの寿命は担保されているはずだが、デフォルトではファンレス運転。付属のケーブルでマザーボードと接続し、専用のアプリからファンを積極的に使うように設定すればさらに安心だ。
ハイエンドのビデオカードに全振りした設計になっており12V出力は計108A。PCI Expressの安定性もきわめてよい。ただしなぜかATXだけ0.5Vと大きな降下幅だった。リプルノイズも少し気になるが、革新的な電源はいつもノイズ対策が後回しになってしまうところがあり、これはいたしかたないところかもしれない。
最後に一言添えるなら、壁コンセントに本機をつなげた際はディスプレイや家電などほかの機器は別系統に接続するのが吉。一般家庭のコンセントは1,500Wまでで、本製品の最大出力1,300Wまで使うと残り200W程度。ディスプレイ4枚の電源を同じコンセントから取るとフルパワー時にブレーカーが落ちる可能性が高いので要注意だ。
電圧計測方法 | 三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測 |
リプル計測方法 | Pico Technology PicoScope2204を使用しアイドル時に計測、そのほかは上記と同じ |
診断票:消費電力450/600W時代のビデオカードに向けたハイエンド電源
12VHPWR、そして従来のPCI Express 6+2ピンも十分な系統数があるのでエンスージアスト向けビデオカードに最適だ。本製品の高いPCI Expressの電圧の安定性も、ビデオカードの性能を引き出すという点で魅力だろう。価格は確かにネックだが、30万円のビデオカードを買おうという方ならこれも必要な装備と考えられるのでは。
[TEXT:藤山哲人]
[検証協力:長畑利博(アイティースリー)]
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