パワレポ連動企画
実ゲーム検証でRyzen 9 7950X3Dが異次元の強さを見せる!【CPU定点観測所 第5回】
DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!
2023年10月4日 09:05
検証数大幅減の理由
本連載は現行+旧世代CPUの主なものを横並びで比較するという企画でスタートしたが、今回は検証数を大幅に減らさざるを得なかった。OS/UEFI/ドライバなどの変化によりデータの統合が困難になったためだ。
ただ機材と時間の都合からThreadripperや旧世代CPUは旧データを転用している点はご容赦いただきたい。
CINEBENCH R23での見どころは「Core i9-13900KS」と「Ryzen 9 7950X3D」の対比だが、TDPを抑えた7950X3Dは7950Xを下回る一方で、高クロック動作の13900KSは辛うじて13900Kを上回った。
もう一つの見どころはTDPを抑えた廉価版だが、10コアのCore i5-13400に対し、6コアのRyzen 5 7600が迫っている。
Ryzen 9 7950X3Dが異次元の強さを見せる
続いては実ゲームによる検証。ゲームの設定は解像度フルHD、最低画質で検証した。
まず「オーバーウォッチ 2」は2023年冬号のデータから全体にフレームレートが大幅に下落(これが再計測した理由)。Ryzen 5 7600XやRyzen 7 7700Xは順位を大きく下げた。その一方で3D V-Cacheを搭載したRyzen 9 7950X3Dは異次元の強さを発揮。コア数が同じ7950Xと比較すると大容量3次キャッシュとゲームの相性のよさが分かる。
一方「F1 22」は逆に2023年冬号からフレームレートを延ばすCPUも出現。こちらも7950X3Dが最速だが、Core i9-13900K/KSやCore i7-13700Kが安定した強さを発揮している。ただ内部設計の古いCore i5の下位モデルはフレームレートが伸び悩むようだ。
クリエイティブ系ではCore i9-13900KやRyzen 9 7950Xが安定の強さ
ここではクリエイティブ系処理を用いて検証する。
まず「Photoshop」および「LightroomClassic」を使い実際の写真編集フローで運用した際の処理時間やレスポンスを数値化する「UL Procyon」のスコア比較(左グラフ)だが、CINEBENCHで猛威を奮っていたThreadripper系が下位に転落。その一方でCore i9-13900KS/13900KやRyzen 9 7950Xがトップ3を独占。
しかし大容量の3次キャッシュを備えた7950X3Dは7950Xと同じ16コアだが、スコア的にはCore i7-13700Kより下となった。3D V-Cacheはゲーム以外の用途ではメリットを見いだすことが難しい(=費用対効果は悪い)ことを示している。
もう一つ動画エンコードは「HandBrake」を利用し、4K/60fps動画をフルHD/30fpsに変換しつつx264(CPU)でエンコードする時間を計測した。
ここではThreadripperが再び上位に食い込んでいるが、CINEBENCHほど並列度が高くないためCore i9-13900KやRyzen 9 7950Xとほとんど変わらない。また7950X3Dはコア数が同じ7950Xより順位が下だが、これはCINEBENCHでマルチスレッド性能に差が出ているのと同じ理由だ。
ワットパフォーマンスはRyzen 7000シリーズが強い
最後に検証するのはシステム全体の消費電力と、ワットパフォーマンス比較だ。まず消費電力グラフの“高負荷時”とは、前ページのHandBrakeエンコード中に観測された“安定値”を比較している。計測においてCPUのパワー制限まわりはUEFI設定のデフォルトのままとしているため、Intel系CPUはMTP無制限状態での運用となっている。
ワットパフォーマンス比較はHandBrakeテストで得られたエンコードのフレームレートと高負荷時消費電力を利用し、100Wあたりの処理効率を算出。Ryzen 9 7950X3Dはエンコード速度が今一つだったが消費電力が下がったことでワットパフォーマンスで最強に輝いた。またIntelはCore i7よりi5のほうが優秀など、興味深いデータも得られた。
<LGA1700>マザーボード | ASUSTeK ROG MAXIMUS Z790 HERO(Intel Z790、DDR5) |
<LGA1151>マザーボード | ASUSTeK Z170-A(Intel Z170) |
<Socket sWRX8>マザーボード | ASRock WRX80 Creator(AMD WRX80) |
<Socket AM5>マザーボード | ASUSTeK ROG STRIX X670E-F GAMING WIFI(AMD X670) |
<共通>メモリ | G.Skill Trident Z5 NEO F5-6000J3038F16GX2-TZ5N(PC5-48000 DDR5SDRAM 16GB×2 ※各CPUの定格で動作)、サンマックス SMD4-U64G46MF-32AAR(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×8 ※Ryzen ThreadripperPROの定格で動作)、メモリ:G.Skill Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX(PC4-25600 DDR4 SDRAM 16GB×2 ※Core i7-6700Kの定格で動作) |
ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 3080 Founders Edition |
システムSSD | Corsair CSSD-F1000GBMP600[M.2(PCI Express 4.0x4)、1TB] |
データSSD | Silicon Power SP002TBP34A80M28[M.2(PCI Express 3.0 x4)、2TB] |
電源 | Super Flower LEADEX TITANIUM 1000W(1,000W、80PLUS Platinum) |
OS | Windows 11 Pro(22H2) |
オーバーウォッチ 2 | マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
F1 22 | 内蔵ベンチマーク(モナコ&ウェット設定)再生中のフレームレートを「CapFrameX」で計測、※Intel系マザーボードのパワーリミットはすべて無制限に設定 |
HandBrake | 4K@60fps動画(約3分)をプリセットの“Super HQ 1080p30 Surround”でMP4/MKV形式に書き出すのに要した時間 |
アイドル時 | OS起動10分後の安定値 |
HandBrake時 | HandBrake実行中の安定値 |
電力計 | ラトックシステム RS-WFWATTCH1 |
[TEXT:加藤勝明]
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