パワレポ連動企画

最新アーキテクチャがいよいよミドルレンジに!【GPU Round-Robin Benchmark 特別編】

DOS/V POWER REPORT 2023年夏号の記事を丸ごと掲載!

最新アーキテクチャがいよいよミドルレンジに!

 今回はGeForce RTX 4070/RTX 4060 Ti(8GB)、Radeon RX 7600が検証リストに入った。既存の検証結果は2023年冬号からの継承であるため若干ズレはあるが、現行GPUの力関係は十分に把握できるだろう。

 2022年に登場したハイエンドGPUは旧世代の2ランク上のGPUを超える性能を発揮したが、今期の新GPUは性能の上がり幅がやや小ぶりな印象。RTX 4070は3080相当、RX 7600はRX 6650 XT相当といった塩梅。

 ただゲーム中の実消費電力は大きく進歩。とくにRTX 40シリーズは2次キャッシュを大きく取ることで消費電力を下げる設計が見事に奏功し、旧世代格下の消費電力で旧世代格上の性能を出すことに成功している。

高フレームレート命の対戦型FPS

負荷を軽くして遊ぶのが主流のゲームなので、スペックを絞ったRX 7600のようなGPU向け

 続いてはフレームレート命のeスポーツ系ゲームでの検証だ。前項でも解説したとおり、新規追加分以外は環境が若干古いため、少々誤差が出る可能性もある。新規のRTX4060 Ti(8GB)やRX 7600を比較すると、描画の軽い「レインボーシックス シージ」では最高画質でも平均259~298fps、やや重めの「オーバーウォッチ 2」だと133~172fpsで遊べる。絶対的性能ならRTX 4060 Tiが上だが、RX 7600に比べ2万円前後高い。DLSS FGに対応しないeスポーツ系ゲームでの費用対効果はRX 7600のほうが優秀だ。

描画負荷がやや上がる中量級ゲーム

 Radeon、とくにRDNA 3世代との相性がよい「Call of Duty:Modern Warfare Ⅱ」だが、RX 7600はRX 6650 XTをやや上回る程度に終わった。RDNA 3で高fpsを出しているRX 7900 XTX/7900 XTはCU数やメモリバス幅が旧世代比で破格に強い仕様である半面、RX 7600はRX 6650 XTのリメイク的な位置付けで終わっているためではないかと考えられる。

 「Forza Horizon 5」はほかのゲームに比べ上位GPUで伸びにくい(とくにRTX 4090やRX 7900 XTX)傾向が強いため、RTX 4060Ti(8GB)もRTX 3070相当とわりとよいポジションに収まった。4Kでも平均60fpsを超えている点を考えると、最新の60番台GeForceは以前に比べそうとうなパワーアップを果たしたと言えるだろう。

Call of Duty:Modern Warfare I:© 2022 Activision Publishing, Inc.

レイトレーシング対応ゲームでの実力

今号の新顔ビデオカード
2022年に登場した新アーキテクチャがやっとメインストリームに降りてきた。写真はRTX 4070を搭載したFounders Edition

 レイトレーシング系を使ったゲームでは、Radeon勢はRTX 40シリーズ(とくに4070Tiより上)におよばない。ここで検証に使っている2本のゲームはどちらもDLSS FGに対応しているため、これを利用すればフレームレート差はもっと拡がる。FSR 3がまだ未公開な状況では、レイトレーシングを使ったゲームではRadeonはまだ厳しいと言わざるを得ない。この検証はDLSSやFSRを使わずに検証しているが、ビデオメモリの少ないRTX4060 Ti(8GB)はフルHDやWQHDでも積極的にDLSS FGを使っていきたい。

【検証環境】
CPUIntel Core i9-13900K(24コア32スレッド)
マザーボードASUSTeK ROG MAXIMUS Z790 HERO(Intel Z790)
メモリG.Skill F5-6000J3038F16GX2-TZ5N(PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×2 ※DDR5-5600動作)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 4090 Founders Edition、NVIDIA GeForce RTX 4080 Founders Edition、ZOTAC ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC、NVIDIA GeForce RTX 4070 Founders Edition、NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition、NVIDIA GeForce RTX 3090 Founders Edition、NVIDIA GeForce RTX 3080 Founders Edition、NVIDIA GeForce RTX 3070 Founders Edition、ZOTAC ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC、GIGA-BYTE GeForce RTX 3050 GAMING OC 8G、ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 OC GDDR6、AMD Radeon RX 7900 XTX リファレンスカード、AMD Radeon RX 7900 XT リファレンスカード、AMD Radeon RX 7600 リファレンスカード、PowerColor Red Devil Radeon RX 6950 XT 16GB GDDR6、AMD Radeon RX 6800 XT リファレンスカード、ASRock Radeon RX6750 XT Challenger Pro 12GB OC、ASRock Radeon RX 6650 XT Challenger D 8GB OC、Sapphire SAPPHIRE PULSE RADEON RX 6500 XT GAMING OC 4GB GDDR6 HDMI/DP、玄人志向 RD-RX6400-E4GB/LP、Intel Arc A770 Limited Edition、ASRock Arc A380 Challenger ITX 6GB OC
システムSSDCorsair CSSD-F1000GB MP600[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB]
データSSDSilicon Power SP002TBP34A80M28[M.2(PCI Express3.0 x4)、2TB]
電源Super Flower LEADEX TITANIUM 1000W(1,000W、80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro
Total Board PowerNVIDIA「PCAT」を使用して計測したカード単体の消費電力
高負荷時サイバーパンク2077を同一地点で5分放置した際の平均値と最大値
アイドル時OS起動10分後の安定値
レインボーシックス シージAPIは“Vulkan”、画質“最高”+レンダースケール100%に設定、ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを「CapFrameX」で計測
オーバーウォッチ 2画質“エピック”、FSR “オフ”、フレームレート上限は600fpsに設定、マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを「CapFrameX」で計測、Call of Duty:Modern Warfare II:画質“極限”、アンチエイリアス“ウルトラ”、DLSSおよびFSRは“オフ”に設定、ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートをCapFrameXで計測
Forza Horizon 5画質“エクストリーム”、アンチエイリアス“ウルトラ”、DLSSおよびFSRは“オフ”に設定、ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートをCapFrameXで計測
F1 22画質“超高”、アンチエイリアス“TAA+FidelityFX”に設定、ゲーム内ベンチマーク機能(コース設定は“モナコ”& “ウエット”)再生中のフレームレートをCapFrameXで計測
サイバーパンク2077画質“レイトレーシング:ウルトラ”、DLSSおよびFSR2は“オフ”、群衆密度は最大に設定、ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートをCapFrameXで計測

[TEXT:加藤勝明]

最新号「DOS/V POWER REPORT 2023年秋号」は絶賛発売中!

 今回は、DOS/V POWER REPORT「2023年夏号」の記事をまるごと掲載しています。

 なお、最新号「DOS/V POWER REPORT 2023年秋号」は、特集記事「今、本当に欲しい自作PC」「リフレッシュレートから選ぶGPUの最適解」など内容盛り沢山!是非ご覧ください!