パワレポ連動企画
RTX40はいよいよミドルレンジへ、GeForce RTX 4070/4060 Ti/4060でDLSS3が身近になるか
DOS/V POWER REPORT 2023年夏号の記事を丸ごと掲載!
2023年11月21日 11:30
付加価値を押し出した新ミドルレンジ勢
2023年5月から6月にかけ、NVIDIAはAdaLovelace世代のGeForce RTX 40シリーズを拡充、さらに低価格帯へと展開した。それが「GeForce RTX 4070」、「同RTX 4060 Ti」、「同RTX 4060」の3モデルだ。それぞれNVIDIA発表の価格は99,800円から、69,800円から( ビデオメモリ8G B版)、52,800円から。RTX 4060 Tiは16GB版(88,800円から)もアナウンスされているが、こちらは7月発売予定だ。ターゲットユーザーはRTX 4070がWQHDゲーマー、RTX 4060 Ti以下がフルHDゲーマーとなる。
これら新GeForce最大のメリットは、DLSS 3の構成要素である「DLSS Frame Generation(DLSS FG)」に対応したGeForceが、より安価な価格帯に降りてきたことにある。素のGPUパワーに制限のあるこのクラスのGPUでも、DLSS FGのようなフレーム生成技術を使うことで未使用時比約2倍のフレームレートが獲得できる。RTX 40シリーズ登場前は80~90番台のハイエンドGeForceでないと快適に楽しめなかった重量級ゲーム(サイバーパンク2077など)が、DLSS FGを使うことで60番台のGeForceでも実用的なフレームレートで楽しめるようになるのは大きい。
そのほか設計上の特徴として、RTX 4070はメモリバス192bit、4060 Ti/4060は128bitと足回りが下のモデルほど細くなっている点だ。この点はAda Lovelace世代共通の巨大な2次キャッシュである程度緩和しているものの、ビデオメモリの少ないRTX 4060 Ti(8GB)やRTX 4060でビデオメモリ使用量の多いゲーム(BIOHAZARD RE:4など)では、ビデオメモリの多い12GB版のRTX3060に負けることもあるなど、スペックを絞った弊害もある。
新GeForceの問題はRTX 30シリーズに比して全体に割高なところにある。新GeForceの価格はかつてのRTX 3080~3060と同じような価格に物価高を反映した、若干高めの水準で展開しているのに加え、RTX 4090~4070 Tiのような“旧世代の上位を倒す下剋上感”が乏しいため、より割高感が出てしまう。ただDLSS FG以外にも、AV1のハードウェアエンコード対応や最近流行のジェネレーティブAIとの親和性など、GeForceの付加価値が価格に反映されている側面もある。軽いゲームのみ、あるいは付加価値に魅力を感じなければ、値が下がったRTX 30シリーズを買うのも手だ。
仕様を絞って費用対効果を重視「AMD Radeon RX 7600」
RTX 4060 Ti(8GB)とほぼ同時に発売となったのがRDNA 3世代初の低価格モデル「Radeon RX 7600」。基本的スペックはRDNA2世代のRX 6650 XTをRDNA 3でリブートしたようなもので、CU(Compute Unit)数やメモリバス幅などの要素はほぼ共通。そのためRX 6600 XTなどと比較しても実ゲームにおける性能の伸びは小幅にとどまる。RTX 4060のDLSS FGのような切り札的機能がない半面(本稿執筆時点でFSR 3は未解禁)、4万円台前半の製品も多く出ており、導入コストの軽さと費用対効果を重視するユーザーには魅力的な製品に仕上がっている。
[TEXT:加藤勝明]
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