パワレポ連動企画

Core i7-6700K全方位レビュー その2
~内蔵GPUと一新されたプラットフォーム~

【ド本命登場!Skylake K(3)】

DOS/V POWER REPORT 2015年10月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年10月号」の第一特集「システム一新でヌルサク環境をこの手に! ド本命登場!Skylake K」を掲載する。

 第3回目では、前回に続きCore i7-6700Kを使ってSkylakeの進化の具合を確認していく。今回は内蔵されたGPUと消費電力、対応チップセットであるZ170について検証する。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年10月号は全国書店、ネット通販にて8月29日(土)に発売。大本命の新CPUを解説した第一特集のほか、HDDを飲み込む勢いの最新デバイスを紹介する第二特集「NVMe対応モデルが超速い!500GBオーバーの大容量モデルが超安い! とにかく今、SSDが欲しい!!」、新世代メモリを採用した高性能ビデオカード「Radeon R9 Fury X&Furyの実力に迫る!」、興味はあるけど、どうすればいいのか分からないというあなたに実際の乗り換え手順をご紹介!「安くて!速くて!自由に選べる!初めての格安SIM」、光る!回る!!ただのファンでも製品ごとに結構違う「個性いろいろ、選ぶ楽しみ 特選ケースファンギャラリー22」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は「最新ビデオカードカタログ 2015」 AMD Radeon&NVIDIA GeForce搭載の現行製品が勢揃い!


-Core i7-6700K全方位レビュー その2 ~内蔵GPUと一新されたプラットフォーム~-


Skylake Kの実力やいかに!?
Core i7-6700K 全方位レビュー その2

 Skylakeでは、Haswell以来のCPUコアマイクロアーキテクチャ刷新が行なわれており、キャッシュまわりや、内蔵GPUコアも大きく改良されている。第4世代(Haswell)や第5世代(Broadwell)に比べてどのくらい進化したのか検証していこう。

3D性能、QSVとも高速化ソフト環境はまだ課題も

マイクロアーキテクチャ改良でAVX系処理性能が大幅に向上

QSVがH.265に対応
ハードウェアデコーダ/エンコーダが対応するコーデックが増え、HEVC(8bit)のデコード/エンコードが可能に。HEVC(10bit)とVP9はEUによる処理だ

 Skylakeでは、CPUコアだけでなく内蔵GPUコアも多岐にわたって改良されている。

 ジオメトリシェーダー部の強化やEU(実行エンジン)の構造改良が行なわれ、3D描画性能、GPGPUの性能向上が期待できるほか、ハードウェアエンコーダのQuick SyncVideo(QSV)がH.265 HEVCのエンコード/デコードに対応するなど強化されている。

高いスケーラビリティ
一つあたり8基のEUを内蔵する「サブスライス」3組とラスタライズユニットなどで構成した「スライス」を増やすことで性能を向上させることができる

 スケーラビリティの高さも特徴で、8基のEUを内蔵する「サブスライス」3組とラスタライズユニットなどで構成した「スライス」を増やすことで性能を向上させることができる。

 1スライスの「GT2」、2スライスの「GT3」に加えて、3スライスの「GT4」も用意される。Core i7-6700K、Core i5-6600Kに導入されているのはGT2で、GPUの名称は「HDGraphics 530」だ。

Skylake内蔵GPUの主な改良点

 さて、3D描画性能から見てみよう。3DMarkのCore i7-6700Kのスコアは、4790Kに比べてFire Strike、SkyDiverとも約30%向上。さすがに、1世代前でもEU48基とeDRAMを搭載する5775Cにはおよばない。FF14ベンチでも似たような傾向で、DirectX 9モードでは4790Kには37%差を付けた一方、5775Cには28%ほど見劣りしている。

 CINEBENCH R15のOpenGLテストも力関係は変わらないが、DirectX系のテストよりも差は顕著だ。PCMark 8はOpenCL性能を見る目的で実行したのだが、Core i7-5775Cではアクセラレートが有効になる項目が6700Kでは有効にならなかった。同様の症状は5775Cでもグラフィックスドライバが原因で見られたことがあり、本来のパフォーマンスではない可能性が高い。現状ではグラフィックスドライバか、あるいはマザーボードのUEFIに問題がある可能性もありそうだ。

 動画のエンコード性能も検証した。Handbrakeでは、3,840×1,714ドットのmovファイル(H.264)を1,920×858ドットのmp4ファイル(H.264)に変換する作業をQSV利用時とCPUのみとの両方で行ない、速度を測定した。Core i7-6700Kは、4790Kに比べるとQSV利用時で23%、CPUのみでも12%短い時間で終了した。また、5775Cとの比較では、QSV利用時はほぼ同じ時間だったが、CPUのみでは18%高速で、CPUコアの処理性能の高さも改めて感じる結果となった。

 H.265のハードウェアエンコード/デコードに関してもSkylake対応版MediaEspresso7を使ってテストした。4790Kでは8分以上かかったエンコードを3分足らずで終えることができたが、オリジナル映像にはない残像のようなものが発生するなどエンコード品質には問題が見られた。ソフトは開発中の段階であり、今回はPCMark 8でも期待どおりの結果にならなかったように、UEFIやドライバに問題がある可能性もあり、H.265については機会があれば改めて検証したい。なお、同じソースのH.264でダウンスケーリングするテストではそういった問題はなかった。

消費電力はどう変化したか

FIVRはなくとも電力効率は高い

 Skylakeでは、電力制御の目玉としてHaswellから導入されたFIVR(CPU内蔵レギュレータ)が廃止された。TDPも91Wと、最近としてはかなり高く設定されていることもあり、消費電力や発熱は大きいイメージがある。

 しかし、IDF2015で公開された資料によれば、AVX2非利用時のパワーゲーティングなど、電力制御に関する新しい取り組みが行なわれており、決して性能面だけにフォーカスしたCPUではないようだ。

 今回はそういった情報を踏まえた上でのテストはできていないが、ビデオカード利用環境と内蔵GPU環境の両方で一般的なシナリオでのシステム全体の消費電力を比較してみた。結果は、よい意味で意外と言えるものだった。ビデオカード環境、内蔵GPU環境、いずれも高負荷時の電力はCore i7-4790Kよりはっきり低い。とくにCPUに集中して大きな負荷がかかるCINEBENCHのCPUテスト時に差が大きい。さすがにCore i7-5775Cよりは高いが、動作クロックの違い、性能の違いを考慮すれば、電力効率はかなり高いと言える。

 TDPの高さは、AVX2の実行を考慮したこともあるだろう。前回のSandraの結果を見てもAVX2命令の実行効率は向上しており、それゆえに内部リソースの利用率が高くなり、発熱も大きくなることは想像される。

プラットフォームの革新

PCI-E 3.0は最大20レーン フレキシブルI/Oが超進化

チップセット側のPCI Expressも3.0対応
Z170側のPCI Expressが3.0に対応、CPUとチップセットを結ぶDMIもPCI Express 3.0x4相当に。フレキシブルI/OによりPCI ExpressレーンやUSB 3.0は柔軟に実装できる

 Z170チップセットが従来Z97と比べてもっとも大きく進化した点は、チップセット側のPCI Expressが3.0に対応したことだろう。

 CPU側のPCI Express 3.0を使わなくともPCI Express 3.0対応のSSDなどを本来のスピードで接続できるようになり、デュアルGPUとPCI Express 3.0 x4 SSDの組み合わせなどでもボトルネックになりにくくなった。

Z170チップセットの特徴
エッジフリーのPCI-E 3.0 x1スロット
前世代に多かったx4形状のUSB 3.1カードを挿せる。スロットの仕様がPCIE 2.0ならx2、PCIE 3.0ならx1と、カード上のコントローラ(ASM1142)が接続を切り換えるため帯域も不足しない
高速タイプのM.2スロット
PCI Express 3.0 x4対応の高速M.2スロットは、従来CPU側から配線しなければ実装できなかったが、Z170ではチップセット側のPCI Express 3.0で容易に実装可能になった

 もっとも、CPUとチップセット間の接続は高速になったとはいえPCI Express 3.0x4相当(DMI 3.0)なので、高速SSDのRAID構成などではここがネックになる場合があり、CPU側に40レーンのPCI Express 3.0を持つLGA2011-v3ほど自由ではない。

 また、フレキシブルI/Oの進化も興味深い。下の図のように、26のHSIOレーンにPCI Express 3.0、PCI Expressストレージ、USB 3.0、Serial ATAを柔軟に割り当てることができ、マザーボードを設計する際の自由度が増している。

設計の自由度が向上
Z97ではSerial ATAとUSBを1、2基増減できる程度でしかなかった。Z170では、合計26のHSIOレーンの範囲内で、PCI ExpressやUSB、Serial ATAなどを柔軟に割り当てることができる

【検証環境】

マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)、ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)
メモリ:センチュリーマイクロ Prototype(R.C.-B1)(PC4-17000 DDR4 SDRAM 8GB×2)、センチュリーマイクロ CAK8GX4-D3U1600(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×4 ※2枚のみ使用)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Samsung 840 PRO MZ-7PD256B/IT(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
電源:Sea Sonic Xseries XP2 SS-660XP2(660W、80PLUS Platinum)
CPU クーラー:サイズ 虎徹
OS:Windows 8.1 Pro Update 64bit版


[Text by 鈴木雅暢]


DOS/V POWER REPORT 2015年10月号は2015年8月29日(土)発売】

★第1特集「システム一新でヌルサク環境をこの手に! ド本命登場!Skylake K」
★第2特集「NVMe対応モデルが超速い!500GBオーバーの大容量モデルが超安い! とにかく今、SSDが欲しい!!」
★特別企画「新世代メモリ“HBM”採用で次のステージへ Radeon R9 Fury X&Furyの実力に迫る!」「安くて!速くて!自由に選べる!初めての格安SIM」「個性いろいろ、選ぶ楽しみ 特選ケースファンギャラリー22」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

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(AKIBA PC Hotline!編集部)