パワレポ連動企画

【マザーボード100選 2016(23) スモールフォームファクター部門 その1

~この部門の注目点とレコメンド発表~

DOS/V POWER REPORT 2016年1月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年1月号」の総力特集「価格帯別・最強マザーをここに決定 マザーボード100選 2016」を掲載する。

 第23回目からは、スモールフォームファクター部門のリコメンド受賞製品を紹介する。Mini-ITXマザーは近年多く登場しており、最近では機能的にmicroATXより優れたものも発売されている。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年1月号は全国書店、ネット通販にて11月28日(土)に発売。人気と実用性を兼ね備えたお薦めマザーボードを決定する総力特集をはじめ、ASUSのプロ向け資料を限定公開!読み方も解説したダウンロード特典「ASUSTeKレビュアーズガイド マザーボード&ビデオカード編 英語版」、ネット配信の嵐が日本上陸!サービス内容や使いやすさも比較した「ネット配信端末が地上波を駆逐する? Fire TV vs. 第4世代Apple TV」、いつの間にやら豊富なラインナップ「こんなにあるって知ってました!? Amazonベーシック特選品」、スマホ使いなら持っていると便利、マジお勧め「容量・サイズ・機能で選べる 最新モバイルバッテリ28選」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は「ドカンと大レビュー!マザーボード&ベアボーン超図鑑 2016」。……えっ、この厚みで付録なんですか!?


-マザーボード100選 2016-
価格帯別・最強マザーをここに決定


スモールフォームファクター部門

 現在は、この分野においてもLGA1151対応のIntel 100シリーズを搭載したマザーボードが主流だ。

 また、ゲーミングモデルが増えている。SoCを搭載するマザーボードも世代交代が進んだ。

ゲーミングモデルが増加 レイアウトの改良が進む

 スモールフォームファクターでも、ゲーミングモデルが増えている。昨年はASUSTeKの「MAXIMUS Ⅶ IMPACT」のみだったが、今回はIntel 100シリーズのチップセットを搭載する10モデルのうち、実に5モデルがゲーミングモデルだ。いずれも高性能なサウンド回路やLANコントローラ、大きめのヒートシンクを装備しており、通常モデルに対して上位に位置付けられている。

 ただしMini-ITXはレイアウトに余裕がないため、冷却性能を左右するファンコネクタの搭載数が少ない。3基以上のコネクタを搭載するのはASRockの「Fatal1ty Z170 Gaming-ITX/ac」と、ASUSTeKの「MAXIMUS Ⅷ IMPACT」、「Z170I PRO GAMING」のみ。本気でゲームPCを作りたいなら、考慮すべきポイントの一つと言える。

 レイアウトと言えば、今年は全メーカーがCPUソケットを中央に配置しており、大型CPUクーラーを組み込んでもビデオカードとの干渉が起きにくくなった。また重要なコネクタ類はボードの周辺に配置し、組み込みやすくしているモデルが増えており、初心者にはうれしい状況である。

 CPU搭載マザーでは、Braswell世代の最新PentiumやCeleronを搭載するモデルが増えており、性能やインターフェースの実装数が底上げされた印象がある。

この部門はココに注目!

ポイント.1 ゲーミングモデルを選ぶなら装備に注目

 ゲーミングモデルに共通するのは、サウンドやLANに対するコダワリだ。またどのモデルでも32Gbpsの広帯域M.2スロットやU.2ポート、USB 3.1ポートを搭載しており、高性能モデルであることを強くアピールしている。性能重視の小型PCを作りたいなら、こうしたゲーミングモデルを選びたい。

 CPUのオーバークロックまで見据えるのであれば、電源部にも力を入れている「MAXIMUS Ⅷ IMPACT」や「Z170I PRO GAMING」などがオススメだ。

サウンドやLANを強化
広帯域のM.2スロットを装備
MAXIMUS Ⅷ IMPACTでは、サウンドチップや電源部を別基板にするなど、Mini-ITXのサイズにとらわれない自由な発想で機能を強化
ゲーミングブランドを掲げるモデルでは、32Gbpsの広帯域をサポートするM.2スロットを装備していることがほとんどだ
ファンコネクタの実装数は?
大型ヒートシンクも特徴の一つ
大型で多数のケースファンを装備するMini-ITX対応PCケースと組み合わせるなら、搭載するファンコネクタの数が多いほうが使いやすい
ゲーミングモデルのヒートシンクは比較的大きめで、冷却性能に優れる。とはいえCPUクーラーに干渉しそうなほど大きいものはない

ポイント.2 レイアウトは大きく進化

 多くの製品でCPUソケットが中央寄りに配置されるようになったことは本文でも述べたとおりだが、メイン電源コネクタやSerial ATA 3.0ポートをマザーボードの外周部に備えるモデルも一段と増えており、組み込み作業の難易度が低下していることも見逃せない。

 またバックプレートタイプの大型CPUクーラーを使いたいなら、CPUソケット裏の状況も確認しておきたい。コンデンサやチップがCPUソケット周辺に密集している状態だと、バックプレートに干渉する可能性があるからだ。

コネクタの位置に注目
CPUソケット裏の様子は?
ケーブルを接続するためのコネクタが外周部にあると、CPUクーラーの下に手を伸ばしたり、延長ケーブルを使ったりしなくてもよくなるので、組み込みの難易度が低下する
基板の面積が狭いMini-ITXでは、裏面にも多数のチップや抵抗を組み込む。CPUソケットの周辺にそうした部品が多い場合、バックプレートタイプのCPUクーラーが使いにくい

【オレはこんな基準で評価した!】

・石川ひさよし
 Mini-ITXは、その小ささの中で何ができるのかが重要。チャレンジングな姿勢は高く評価できる。ファン用端子が3個以上だったり、PWM対応だったり、ケースファンの位置に配慮が見られたりしていれば、組みやすいと評価した。

・鈴木雅暢
 Mini-ITXフォームファクターは拡張性に制限があるだけに、ミドルレンジ以下でも基本機能はあまり妥協できない。とくに無線LANとM.2スロット、USB関連機能を重視した。ハイエンドではさらに電源部を中心とした品質面も重視して選んだ。

・竹内亮介
 今年は高性能モデルが多く、一見するだけでは違いを見付けるのが難しい。レイアウトやコネクタの配置状況、ポート数やその構成など、細かい部分にも注目した。また実売価格が全体的に上がっていることを考慮し、性能と価格のバランスのよさも重視している。

Mini-ITXの認知度の高まりを反映し、高性能モデルが票を集める

 票を獲得した10モデルのうち、5モデルがIntel Z170を搭載する上位モデルだ。LGA2011-v3に対応するIntel X99搭載モデルも高い評価を得ている。いずれもUSB 3.1や広帯域のM.2スロットなど、先進の装備を満載する高機能モデルであり、小型PCでも機能性を重視する傾向が強いことが分かる。Mini-ITXでの自作も認知度が高まり、「本気で選んだ1枚で小型のメインPCを作りたい」というニーズの高まりを反映しているのだろう。

 チップセットの更新がなく、新製品の投入が滞っているAMD製CPU向けモデルは数も少なく、得票も低調だ。ただ一部のユーザーの支持は非常に高い。こうした熱烈な支持者に応える、優れた製品の登場に期待したい。

スモールフォームファクター部門 レコメンド受賞製品

ASUSTeK Computer
Z170I PRO GAMING

-文句の付けようがない機能性と優れたレイアウトが融合

LGA1151 / Intel Z170 / Mini-ITX
I/Oパネル
評価

 スモールフォームファクター部門のLGA1151対応マザーボードは10モデルだが、そのうち7モデルがIntel Z170搭載と、各社ともに上位モデルでしのぎを削っている状況。その中でもバランスのよい高級モデルとして存在感を示しているのが、この「Z170I PRO GAMING」である。

 帯域が32GbpsのM.2スロット、USB 3.1への対応など、装備面ではミドルクラスのATX対応マザーボードに勝るとも劣らない。ノイズ混入を防ぐ仕組を備え、高品質なサウンドを楽しめる「SupremeFX」や、アプリごとにネットワーク通信の優先度を設定できる「GameFirst Ⅳ」も、PCゲーマーにとっては見逃せない機能だ。

 小型のMini-ITX対応マザーボードを使う自作では、組み込み作業の難易度が高くなりがちだが、Z170I PRO GAMINGではCPUソケットを中心部に近い場所に設置。さらにメイン電源コネクタやEPS12V電源コネクタ、Serial ATAポートなどを周辺部に配置することで、大型のCPUクーラーを組み込んでもケーブル接続はラクに行なえるようにしている。

 このように優れた機能性と組み込みやすさ、使いやすさを高いレベルで融合し、なおかつ「買いやすい価格設定」が、多くのライターやユーザーからの支持を集める結果につながったのだろう。

Specification
●対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium●メモリスロット:PC4-27200 DDR4 SDRAM×2(最大32GB)●ディスプレイ:DisplayPort×1、HDMI×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×1、PCI-E Mini Card(ハーフ)×1(無線LAN/Bluetoothカード搭載済み)●主なインターフェース:M.2(PCI-E 3.0 x4接続またはSATA 3.0接続)×1、SATA Express×1、SATA 3.0×2、USB 3.1(Type-A)×2、USB 3.0×6、USB 2.0×4● LAN:1000BASE-T×1、無線LAN(IEEE802.11a/ac/b/g/n)●そのほか:Bluetooth v4.1●実売価格:26,000円前後
PCI-E= PCI Express、SATA= Serial ATA、USBのポート数はピンヘッダ含む、USBポートのコネクタ形状を明記していないものはType-A、SATA Express 1ポートはSATA 3.0 2ポートとしても使用可能

ファンコネクタを3基装備
ケースファン用のコネクタを3基装備しており、そのすべてをファンコントロールユーティリティ「Fan Xpert 2+」で制御できる
サウンドチップをシールドで保護
サウンドチップを金属製のカバーで覆い、デジタル回路とアナログ回路の基板を分離してノイズの混入を防ぐ「SupremeFX」を搭載

【ライターコメント】

・石川ひさよし
【組みやすさに配慮したレイアウト】
 Mini-ITXでは、基板上を大きく覆う大型のトップフローのCPUクーラーを使うことも多いが、この製品はファン用コネクタがすべて外周寄りで、CPUクーラーの装着後でも着脱しやすい。PWM対応であること、背面ファンと前面ファン用として使う場合の位置が絶妙であることもポイントが高い。

・鈴木雅暢
【ハイエンドMini-ITXの決定版】
 組み込み時にジャマになりがちなドーターカードを使わず、170×170mmの基板内のみで勝負し、ATXゲーミングマザー並みの高品質電源回路とトレンド機能を盛り込んだ。演出先行ではない真の小型ゲーミングマザーを求める方はもちろん、ハイエンド志向のユーザー全般のニーズにピタリとハマる。


ASRock
X99E-ITX/ac

-8コアの最強Core i7で小型PCが作れる!

LGA2011-v3 / Intel X99 / Mini-ITX
I/Oパネル

 X99を搭載するMini-ITX対応マザーボードは、現状ではこのモデルのみだ。32Gbpsの帯域に対応するM.2スロット、USB 3.1対応ポート、無線LAN機能など、はやりの機能も網羅しており、メモリアクセスがデュアルチャンネルに制限されることを除けば、隙のない1枚である。

 CPUクーラーの取り付けが特殊だが、対応品が付属する。

Specification
●対応CPU:Core i7、Xeon●メモリスロット:PC4-25600 DDR4 SDRAM×2(最大32GB)●ディスプレイ:-●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×1、PCI-E Mini Card(ハーフ)×1(無線LAN/Bluetoothカード搭載済み)●主なインターフェース:M.2(PCI-E 3.0 x4接続またはSATA 3.0接続)×1、SATA Express×1、SATA 3.0×4、eSATA(SATA 3.0)×1、USB 3.1(Type-A)×2、USB 3.0×6、USB 2.0×4● LAN:1000BASE-T×2、無線LAN(IEEE802.11a/ac/b/g/n)●そのほか:Bluetooth v4.0、Narrow ILM対応CPUクーラー●実売価格:38,000円前後
PCI-E= PCI Express、SATA= Serial ATA、USBのポート数はピンヘッダ含む、USBポートのコネクタ形状を明記していないものはType-A、SATA Express 1ポートはSATA 3.0 2ポートとしても使用可能

【ライターコメント】

・石川ひさよし
 このサイズにLGA2011-v3ソケットを搭載したチャレンジ精神を賞賛したい。CPUクーラーやメモリなど制約も多いが、小型PCに高いパフォーマンスを求めるユーザーに最適。

・鈴木雅暢
 Mini-ITXながら8コアCPUが使える貴重な製品。高速無線LAN、高速M .2スロットに加えて、USB 3.1も標準装備するのだからおそれいる。


GIGA-BYTE TECHNOLOGY
GA-Z170N-WIFI(rev.1.0)

-バランスに優れる低価格なZ170マザー

LGA1151 / Intel Z170 / Mini-ITX
I/Oパネル

 広帯域のM.2スロットや高速無線LAN、高品質なサウンド機能など充実した装備を誇るにもかかわらず、他社のZ170搭載マザーに比べるとかなり安い。

 バックパネルのType-C形状のUSBポートがUSB 3.0までの対応であることは残念だが、価格も含めて総合的に考えれば許容できる範囲内だろう。

Specification
●対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium ●メモリスロット:PC4-25600 DDR4 SDRAM×2(最大32GB)●ディスプレイ:HDMI×2、DVI-D×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×1、M.2(Socket 1)×1(無線LAN/Bluetoothカード搭載済み)●主なインターフェース:M.2(PCI-E 3.0 x4接続またはSATA 3.0接続)×1、SATA Express×2、SATA 3.0×2、USB 3.0×6、USB 3.0(Type-C)×1、USB 2.0×2● LAN:1000BASE-T×2、無線LAN(IEEE802.11a/ac/b/g/n)●そのほか:Bluetooth v4.2●実売価格:19,000円前後
PCI-E= PCI Express、SATA= Serial ATA、USBのポート数はピンヘッダ含む、USBポートのコネクタ形状を明記していないものはType-A、SATA Express 1ポートはSATA 3.0 2ポートとしても使用可能

【ライターコメント】

・石川ひさよし
 第一のポイントは6ポート使えるSerial ATA。サーバーPCを作りたいユーザーに向く。もう一つは、ほかの製品との価格差だ。Z170で2万円を切る価格は魅力的。

・鈴木雅暢
 Z170搭載マザーとしてはリーズナブルで、Type-Cポートや高速無線LAN、高速M.2スロットも搭載する。コストダウンを図りながらもツボを押さえた仕様は見事だ。


【問い合わせ先】

ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/http://www.asus.com/jp/
ASRock:03-3768-1321(マスタードシード)/http://www.asrock.com/
GIGA-BYTE TECHNOLOGY:03-3350-5418(旭エレクトロニクス)/http://www.gigabyte.jp/


[Text by 竹内亮介]


DOS/V POWER REPORT 2016年1月号は2015年11月28日(土)発売】

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(AKIBA PC Hotline!編集部)