パワレポ連動企画
【PCパーツ100選 2016(1)】CPU部門 その1
~この部門の注目点とレコメンド発表~
(2016/1/4 12:05)
明けましておめでとうございます。今年も「AKIBA PC Hotline!」ならびに「DOS/V POWER REPORT」をよろしくお願いいたします。
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナー、今年の最初は「2016年2月号」の総力特集「主要9ジャンル+α 執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!? PCパーツ100選 2016」を掲載する。
第1回目となる今回は、CPU部門の解説と、リコメンド受賞製品を紹介する。受賞した製品は現在の定番ともいえるものだが、それだけにどんな用途にも対応できるだろう。
本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年2月号は全国書店、ネット通販にて12月26日(土)に発売。様々な分野のオススメパーツを決定する総力特集をはじめ、ラジエータを置くスペースが必要だけど、かわりにCPUソケット周辺はすっきりする簡易水冷の新製品を紹介!「ニューカマー3製品を徹底比較 本当に使える水冷クーラーはこれだ!」、ゲームで差が付くかもしれない高機能モデルが豊富!「話題作が豊富な今こそ揃えたい 鉄板ゲーミングデバイス 26」、すぐ隣だから30cmあれば十分なあなたや、上の階とつなげるので30mは欲しいというあなたに捧げる「あなたのマイナーニーズを狙い撃ち☆「短い」ケーブル&「長い」ケーブル集めました」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の付録は豪華二本立て! あの素晴らしいパーツをもう一度「時代を作った名品が月替わりピンナップで!名パーツカレンダー 2016」と、これから自作を始める方には是非読んでいただきたい「パーツの役割や組み立て手順が分かる!保存版PC自作スタートブック2016」。
-PCパーツ100選 2016-
執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!?
勢力図がガラリ一変
CPU部門
2015年のCPU市場は大きく動いた。後半に開発コードネーム「Skylake」こと第6世代Coreプロセッサが登場し、ラインナップもほぼ出揃い、2014年はもちろん、2015年前半ともガラリと勢力図が変わっている。
この機会にきっちりと整理して把握しておこう。
出揃ったSkylakeが市場の中心的存在に
2015年の最大のトピックは、開発コードネーム「Skylake」こと第6世代Coreプロセッサの登場だ。性能や電力効率が向上しただけでなく、CPUソケットのLGA1151への変更、DDR4のサポート、チップセットのバス帯域の拡張など、変化がプラットフォーム全体におよんだだけに影響も大きかった。
第6世代Coreプロセッサはすでにローエンドまでほぼ出揃っており、リプレースの流れも本格化。2015年前半まで主力だった第4世代Coreプロセッサ(Haswell Refresh)や2015年6月に2モデルだけ登場した第5世代Coreプロセッサ(Broadwell)もまだ流通しているが、これらに対応するLGA1150マザーボードはすでに品薄だ。
Skylakeが市場の中心であることは間違いないのだが、CPUの価格上昇により、売れ筋に多少変化が見られる。必要な性能や機能を見きわめて判断することは従来よりも重要になってきている。
topic 1CPU価格が上昇、買うべき製品を見きわめよう
Intel CPUの価格が上昇し、モデル間の価格差も大きくなり、選択が難しくなっている。たとえば、高価でもCore i7-6700Kにするのか、OC機能がない6700にするのか、OC対応だがHT非対応のCore i5-6600Kにするのか。
また、現状のCore i7-6700Kの価格ならば、少し上乗せして6コアという優位があるLGA2011-v3のCore i7-5820Kへいくという選択もあるだろう。自分の求める性能や機能の見きわめが重要だ。
メーカー名 | 製品名 | コードネーム | 実売価格 |
Intel | Core i7-6700K | Skylake | 45,000円前後 |
Core i7-6700 | Skylake | 40,000円前後 | |
Core i7-5820K | Haswell-E | 51,000円前後 | |
Core i7-4790K | Devil's Canyon | 45,000円前後 | |
Core i7-5775C | Broadwell | 49,000円前後 | |
AMD | A10-7870K | Godavari | 19,000円前後 |
topic 2Skylakeのメリットを理解する
Skylake世代では動作クロックあたりの性能向上、電力効率改善が図られているが、CPUコアの性能はさほど向上していない。ただ、チップセットのバス帯域が拡張されたことは大きい。32Gbps対応の高速M.2スロットやUSB 3.1ポートを標準で装備するマザーボードが使える点も合わせれば、導入動機としては十分。
Core i3以下のローエンドならM.2もUSB 3.1も関係ないかもしれないが、このクラスは内蔵GPUを使ったシステムが主流。Skylakeの内蔵GPUコアは性能、電力効率とも向上しており、マザーの助けがなくとも魅力的だ。
メーカー名 | 製品名 | アイドル時 | 高負荷時 |
Intel | Core i7-6700K | 43.9W | 127.5W |
Core i5-6600K | 44.0W | 96.0W | |
Core i5-6600T | 42.2W | 83.0W | |
Pentium G4500T | 38.4W | 57.7W | |
Core i7-5690X Extreme Edition | 55.0W | 169.1W | |
Core i7-5775C | 40.4W | 101.8W | |
AMD | A10-7870K | 43.7W | 148.9W |
topic 3内蔵GPU性能にも注目
内蔵GPUシステムが前提ならば、内蔵GPU性能にも注目したい。SkylakeではHaswell世代と比べて3D描画性能、GPGPU機能とも着実に進化しているが、GPU重視の構造を採用しているBroadwellやAMDのAPUには大きくおよばない。ただ、Broadwellの2モデルは対応LGA1150マザーボードが品薄傾向にあり、新規導入はしにくい状況にある。
一方、Intel CPUの価格が上昇傾向にある中でも、AMDのAPUはほぼ据え置かれてきているため相対的にコストパフォーマンスが上昇している。最上位のA10-7870Kでも実売価格は2万円以下。GPU性能に限れば、3万6,000円前後で販売されているCore i5-5675Cとほぼ同等だ。
【検証環境】
マザーボード:ASUSTeK X99-A(Intel X99)、ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)、ASUSTeK Z97-A(Intel Z97)、ASUSTeK A88X-GAMER(AMD A88X)
メモリ:Micron Crucial CT4K4G4DFS8213(PC4-17000 DDR4 SDRAM 4GB×4 ※LGA1151環境では2枚のみ使用)、サンマックス・テクノロジーズ SMD-16G28CVLP-16K-Q(PC3-12800 DDR4 SDRAM 4GB×4 ※2枚のみ使用)、AMD Radeon R9 Gamer Series 8GB R938G2130UK(PC3-17000 DDR3 SDRAM 4GB×2)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Samsung SSD 840 PRO MZ-7PD256B/IT(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
電源:Sea Sonic Xseries XP2 SS-660XP2(660W、80PLUS Platinum)
CPUクーラー:サイズ 虎徹
OS:Windows 10 Pro 64bit版
アイドル時:CINEBENCH R15実行後放置し5分経過後の値、高負荷時:CINEBENCH R15(CPU)実行中の最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
CPU部門の投票結果
執筆者投票、Web投票ともにCore i7-6700Kが断然トップだ。筆者本人は割高感を嫌ったが、Web投票でも圧倒的支持を集めており、受賞に異論はない。
ほかは混戦だが、本誌投票では、内蔵GPU重視や省電力など個性のはっきりしたモデルが票を得ている傾向。Web投票ではA10-7870Kが3位に食い込んでいる点が目立つ。GPU性能の高さとコストパフォーマンスの高さが評価されたのだろう。Skylakeの下位は得票が少なく、全体としてはコストより性能重視か。
本誌投票で3位のCore i7-5820KはWeb投票では9位ではあるが、LGA2011-v3は3モデルに票が分散しており、合計すると2位相当になる。価格や位置付けを考えると大健闘と言え、Skylake一択ではない状況が見てとれる。
・芹澤正芳はこう見た!
Core i7-6700Kは世代の象徴として1位に推した。低価格・低消費電力のSkylakeが充実してきたのがうれしいところ。
・竹内亮介はこう見た!
Core i7は気軽に使える価格ではなくなった。少しスペックは劣るものの、Core i5は価格と性能に優れた製品。
CPU部門 レコメンド受賞製品
■Intel
Core i7-6700K
実売価格:45,000円前後
OCもできるLGA1151最高性能モデル
開発コードネーム「Skylake」こと第6世代Coreプロセッサの最高性能モデル。倍率設定の上限ロックが解除された倍率ロックフリー仕様でもある。
定格での性能、電力効率、OC耐性、いずれもLGA1150最上位のCore i7-4790Kを上回る実力を示しているだけに、2015年を代表するCPUとしてトップ評価を得たのも理解できる。ただ、価格面ではIntel CPUの中でも割高感が否めない。ヒートスプレッダに手を加えないと空冷や水冷では高度なOCができない課題が残されたままなのも不満が残る。
例年のゴールドレコメンド製品のように手放しでお勧めできる突出した存在ではないことは理解しておこう。
【編集長から】
高性能、低消費電力というSkylakeのメリットを象徴するモデルです。パフォーマンス志向でビデオカードは1枚か2枚という環境ならベストの選択肢でしょう。
ただ、よいものだけに価格もそれなりなので“とりあえず全部入りで”という従来型の選択は慎重に。
■Intel
Core i5-6600K
実売価格:31,000円前後
コスパが光るミドルレンジのOCモデル
ハイエンドのCore i7はどんな処理でも高速にこなせる万能CPUだが高価だ。最新世代はとくに高価で、ミドルレンジのCore i5の存在感は従来世代以上に大きい。なかでも多くの支持を集めたのがCore i5-6600Kだ。
第6世代Core i5の最高性能モデルで、倍率ロックフリー仕様なので倍率変更OCもできる。レンダリングやエンコードなどマルチスレッドに高度に最適化された処理ではCore i7にはおよばないものの、それ以外は大差ない。それでCore i7-6700Kより14,000円も安いのだからコストパフォーマンスは抜群と言える。
【選定のポイント】
●Core i7と比較して性能と価格のバランスが優秀
●倍率変更OCにも対応
【検証環境】
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)、ASUSTeK Z97-A(Intel Z97)
メモリ:Micron Crucial CT4K4G4DFS8213(PC4-17000 DDR4 SDRAM 4GB ×4 ※2枚のみ使用)、サンマックス・テクノジーズ SMD-16G28CVLP-16K-Q(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×4 ※2枚のみ使用)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Samsung SSD 840 PRO MZ-7PD256B/IT(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
電源:Sea Sonic Xseries XP2 SS-660XP2(660W、80PLUS Platinum)
CPUクーラー:サイズ 虎徹
OS:Windows 10 Pro 64bit版
【問い合わせ先】
Intel:0120-868686(インテル)/http://www.intel.co.jp/
[Text by 鈴木雅暢]
【DOS/V POWER REPORT 2016年2月号は2015年12月26日(土)発売】
★総力特集「主要9ジャンル+α 執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!? PCパーツ100選 2016」
★特別企画「ニューカマー3製品を徹底比較 本当に使える水冷クーラーはこれだ!」「話題作が豊富な今こそ揃えたい 鉄板ゲーミングデバイス 26」「あなたのマイナーニーズを狙い撃ち☆ 「短い」ケーブル&「長い」ケーブル集めました」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「時代を作った名品が月替わりピンナップで!名パーツカレンダー 2016」「パーツの役割や組み立て手順が分かる! 保存版PC 自作スタートブック 2016」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2015-12-22-0000.php
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