パワレポ連動企画

ATX/SFXコンパクト電源対決その1 ~玄人志向編~

【PCパーツ無差別級対決(29)】

DOS/V POWER REPORT 2016年6月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年6月号」の総力特集「価格も新旧も関係なしの大激突! PCパーツ無差別級対決」を掲載する。

 第29回目ではATX電源とSFX電源を比較する。ATXより一回り小型のSFX電源は、スペースの限られる小型PCケースに最適だ。変換プレートを使えば、ATX電源の設置位置にも固定できる。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年6月号は全国書店、ネット通販にて4月28日(木)に発売。総力特集のほか、ARMプロセッサを搭載した電子基板をノートPCへ!「自分で作るRaspberry Piノート pi-top入門講座」、PCに足りない機能をガチャンと追加「空いているスロットを有効活用 春の内蔵拡張カードコレクション」」、使いやすさは健康にも影響する「PCまわりの使いにくさ、もう放置しない! 今すぐ欲しい環境改善グッズ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録小冊子は新旧のインターフェース規格を解説した「インターフェース図鑑+インターフェース拡張パーツカタログ」。懐かしいものから現在主流の規格、マザーボードには搭載されているのにデバイスが登場しないものまで一挙掲載だ。


-PCパーツ無差別級対決-
ATX/SFXコンパクト電源対決 part1 玄人志向 KRPW-N600W/85+~電源編 その3~


第6部
電源編

 どれも似たように思うかもしれない。高いものほどよいと思うかもしれない。

 しかし、電源にはメーカーの工夫が満載。自作派なら、その違いが気になるはずだ。

Part2 ATX/SFXコンパクト電源対決

この対決の見どころ 超小型ケースを舞台に個性派が揃う

■小型ATX代表 玄人志向 KRPW-N600W/85+

■SFX拡張代表 ディラック TESLA CUBE Series V1.0 DIR-TCSXG-550 V1.0

■SFX代表 SilverStone SFX Series SST-SX550

 一般的なATXケースを使っている分には電源のサイズはあまり気にならないが、Mini-ITXやキューブタイプのPCケースでは、電源がCPUクーラーやビデオカード、ドライブ類と干渉して使えないというシチュエーションにしばしば遭遇する。そうしたPCケースでも使えるように、自作PC用の電源には奥行きを短く抑えたものや、SFXというATXよりも一回り小型の規格に準拠した製品が存在する。

 今回は、奥行き12.5cmのショートタイプのATX電源、SFX電源としては最大級の出力550Wの製品、さらにSFX規格を独自に拡張、奥行きを増やす代わりに使い勝手をよくした製品がエントリー。小型という制約は発熱の面でも安定性の面でも不利に働くが、さまざまな工夫で困難に立ち向かう製品たちの対決をお楽しみいただこう。

ATX/SFXコンパクト電源対決 その1
ターゲットは静音ミニタワー 奥行き12.5cmはクセになる

玄人志向
KRPW-N600W/85+

実売価格:7,000円前後

奥行き12.5cm

Specification
●規格:ATX● 定格出力:600W●ファン:12cm角×1(底面)●80PLUS 認証:Bronze●ケーブル:直付け●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V ×1、Serial ATA ×6、ペリフェラル×3、PCI Express 6+2ピン×1、PCI Express 6ピン×1、FDD×1(ペリフェラル→FDD変換ケーブル付属)●保証期間:3年

システム全体の消費電力:アイドル時43.0W/高負荷時263W
動作音:アイドル時34.5dB/高負荷時35.5dB

サイズ感と使い勝手がポイント 負荷が低めの省電力PCに最適

 80PLUS Bronze認証で低価格帯に属する製品であるが、奥行きを12.5cmに収めたコンパクトさも特徴。ケーブルは直付けだが、ATX24ピン以外はフラットケーブル。余ったケーブルをたたむようにまとめられるため、メッシュのスリーブケーブルよりも扱いやすい。また、ケーブル長は小型PCを想定したやや短めのものだが、EPS12V用の延長ケーブルが付属するため、電源を底面に配置するミドルタワーケースにも対応できる。

 電圧計測ではPCI Expressの降下の幅が大きく、検証に用いたようなGTX 970クラスよりも負荷が小さいミドルレンジクラスまでが適しているだろう。パフォーマンスが求められる環境ではなく、コンパクトさを活かして、デスク上に置けるサイズ感の小型で省電力のPC用として活用したい。 (石川ひさよし)

EPS12V延長ケーブルが付属
12cm角ファンを搭載できるギリギリのサイズ
ATX24ピンのみ直付け。ケーブル長は1番目のコネクタまで40~45cmと短めだが、EPS12Vは付属の延長ケーブルにより20cm延長できる
ファンの口径に対して筐体側のスペースはギリギリ。窮屈な筐体内を考慮して、導風板を設けて内部の奥までエアフローが届くよう設計されている
台湾メーカー製だが電解コンデンサは耐熱105℃品
コンデンサはすべて台湾メーカー製とし、コストを抑えつつも、電解コンデンサは耐熱105℃品。2次側にごく少数だが固体コンデンサも使用
ATX24ピンとEPS12Vはまずまず安定しているが、PCI Expressに関しては負荷時に0.4V超、別途計測したFire Strike実行時には0.6V超の降下が見られた。ATX規格の下限には達していないものの、出力のわりに瞬間的な変動幅が大きい

【編集部の判定】

 省電力性、電圧安定性とも水準以下だが、そこにさえ目をつぶれば、奥行きのある電源では干渉してしまうような小型ケースでは大活躍。ケース内でさばきやすいフラットケーブル仕様なのも便利だ。600Wにしては価格も安い。

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)
マザーボード:ASUSTeK H97-PRO(Intel H97)
メモリ:Team Group TED316G1600C11DC-AS(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Intel Solid-State Drive 330 SSDSC2CT240A3K5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit版
室温:19℃
暗騒音:33.9dB
アイドル時:ベンチマーク終了10分後の値
高負荷時:3DMarkを実行中の最大値
動作音測定距離:ファンから約15cm
電圧計測方法:三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

【問い合わせ先】

玄人志向:―/http://www.kuroutoshikou.com/


[Text by 編集部 遠山健太郎、石川ひさよし]


DOS/V POWER REPORT 2016年6月号は4月28日(木)発売】

★総力特集「価格も新旧も関係なしの大激突! PCパーツ無差別級対決」
★特別企画「自分で作るRaspberry Piノート pi-top入門講座」「空いているスロットを有効活用 春の内蔵拡張カードコレクション」「PCまわりの使いにくさ、もう放置しない! 今すぐ欲しい環境改善グッズ」
★連載「最新自作計画 ~最新AMD CPUで作るお手頃メインPC~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「インターフェース図鑑+インターフェース拡張パーツカタログ」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

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(AKIBA PC Hotline!編集部)