借りてみたらこうだった!
ハイエンドなのに小型・静音な水冷ゲーミングPC「CORSAIR ONE」をテスト
GeForce GTX 1080 Ti搭載PCとしてはかなりの静音、デザイン性も魅力 text by 坂本はじめ
2017年9月30日 00:01
今回は、CorsairのハイエンドゲーミングPC「CORSAIR ONE」のサンプルをテストする機会を得たので、国内販売に先駆けレビューをお届けする。
Corsairといえば、メモリをはじめ、冷却パーツやPCケース、電源、ゲーミングデバイスなども手掛けるメーカーだ。そうした冷却パーツや電源などのノウハウをもったメーカーが本気で作り上げるゲーミングPCとはどのようなものなのか、特徴となる部分を中心にチェックしていこう。
なお、今回レビューに使用したのはグローバルモデルで、実際に日本で展開されるモデルとは仕様が異なる場合がある点には注意して欲しい。
GeForce GTX 1080 Ti搭載でコンパクト、水冷仕様で静音性も強化
CORSAIR ONEは、容積12リットルのコンパクトな筐体を採用したハイエンドゲーミングPC。CPUとGPUの冷却に水冷ユニットを用いることで、コンパクトな筐体にハイエンドパーツの搭載を可能としている。
今回テストに使用しているのは、CORSAIR ONEシリーズの上位機種である「CORSAIR ONE PRO」のひとつで、GPUにGeForce GTX 1080 Tiを搭載した「CS-9000010」だ。このモデルは現在Corsair.com専売モデルとなっており、米国向けの価格は2,899.99ドル。なお、CORSAIR ONEシリーズは内蔵パーツの違いなどで複数モデルがラインナップされている。
航空機グレードのアルミニウム素材を用いたというCORSAIR ONEの筐体は、外装にも肉厚の金属パネルを採用することで、高い剛性と高級感のある見た目を実現した。フロントパネル側には両サイドにLEDイルミネーションを備えており、ユーティリティソフトのCorsair Linkから輝度と発光パターン、LEDのオン/オフを選択できる。
フロントパネルの上部に設けられた電源スイッチの下には、HDMI 2.0ポートとUSB 3.1ポートを装備している。これはVRヘッドセットの接続を想定したものであり、着脱が用意なフロントパネルにVRヘッドセット用のインターフェースを配置するのは、ゲーミングに一家言あるCorsairらしさが光る設計だ。
ケース背面上部のボタンを押し込むと、天蓋部のユニットのロックを外して取り外しが可能となる。天蓋には排気用に140mm径の大口径ファンが搭載されている。ケースの両側面にはCPUとGPUをそれぞれ冷却するオールインワン水冷ユニットのラジエーターが配置されており、両側面の吸気口から取り込んだ空気でラジエーターを冷却する仕様となっている。
ユニークな冷却レイアウトを採用したCORSAIR ONEだが、マザーボードはMini-ITXフォームファクターのものを採用し、電源ユニットは80PLUS GOLD認証を取得した500WのSFX電源を搭載するなど、使用されているパーツのほとんどが汎用品だ。小型化のために専用設計の基板を採用する製品も多い中、市販のPCパーツで代替可能な汎用品で構築されている点もCORSAIR ONEの特徴の一つだ。
ユーティリティ関連説明の節
ユーティリティソフトのCorsair Linkでは、フロントパネルLEDのイルミネーション機能の調節が可能な他、CPUやGPU、水冷ユニットの動作状況のモニタリングが行える。
LEDは単色のため色の変更などは行えないが、輝度と発光パターンはユーザーが好みの設定を選ぶことができる。また、イルミネーションはOFFにすることも可能だ。
Corsair Link以外にも「CORSAIR ONE 診断」という名称のソフトウェアがインストールされている。これは、Windowsの更新やセキュリティソフトが適切に実行されていることを確認できる他、ハードウェアが正常に動作しているか診断する機能も備えている。PCの利用中に何かしらの不具合が生じた時、診断機能でハードウェアの診断を実行すれば、不具合の原因を特定する助けになるだろう。
ゲームによっては最高画質/4Kが視野に入る性能、メインストレージも3.2GB/sと高速
さて、ハイエンドゲーミングPCたるCORSAIR ONE PROのパフォーマンスは如何ほどのものなのか、ベンチマークテストと実際のゲームで確認してみよう。
CPUのCore i7-7700Kは現在でも最速クラスの4コア8スレッドCPUであり、CINEBENCH R15ではシングルスレッドテストで194cd、マルチスレッドテストで972cdを記録。水冷ユニットの冷却により、十分にパフォーマンスを発揮できているようだ。
CORSAIR ONEのストレージは、システム用のNVMe対応の480GB SSDと、データ保管用の2TB HDDのデュアルドライブ仕様となっており、今回テストしたモデルでは、システム用SSDには「Samsung PM961 MZVLW512HMJP」、データ用HDDには「Seagate ST2000LM015」が搭載されていた。ゲームやアプリケーションはこちらにインストールし、HDDはゲーム録画の保存先といった感じで使い分けると良いだろう。
GPUのGeForce GTX 1080 Tiの実力は極めて優秀で、画面解像度をWQHD(2,560×1,440ドット)にしても、多くのゲームを最高の描画品質でプレイできるだけのパフォーマンスを持っている。4k(3,840×2,160ドット)に関してはゲームの描画負荷の大きさと描画品質の設定次第になってくるが、タイトルによっては十分にプレイできるレベルにある。
小型PCとしては静音性も優秀、アイドル時は極静音ハイエンドパーツしっかり冷やす高い冷却性能
最後に、動作時の消費電力と動作温度を見ておこう。
ハイエンド構成だけあって、ピーク時の消費電力は300W台中盤程度と、それなりに大きなものとなっているが、アイドル時の消費電力は46Wと低い数値に抑えられている。普段使い用のメインPCとして使用しても悪くない。
ピーク時にそれなりの電力を消費しているということは、当然CPUやGPUの発熱も大きくなる訳だが、ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク実行中のCPUとGPUの温度はいずれも60~70℃程度となっており、過昇温によるパフォーマンスの低下は発生していない。
小型筐体ではあるが、ハイエンドパーツをしっかり冷却できる性能を備えているといえるだろう。
CPUとGPUの発熱を見事に抑え込んだCORSAIR ONEの冷却機構だが、意外なことにその動作音は想像よりもかなり大人しいものだった。
CORSAIR ONEのように小型化したハイエンドゲーミングPCは、冷却のために強烈な動作音が発生するものが珍しくないが、水冷を採用したCORSAIR ONEの動作音は静音とは言えないまでも許容できるレベルにある。なお、ゲーム中のようにCPUとGPUに高負荷が掛かる状況でなければ、たいへん静かに動作する。
デザイン、性能ともに完成度の高いハイエンドゲーミングPCCorsairの技術とこだわりが凝縮された1台
小型化のために何かを犠牲にしていることの多いコンパクトゲーミングPCだが、PCパーツメーカーでありゲーミングデバイスメーカーでもあるCorsairが作り上げただけあって、CORSAIR ONEは、見た目も性能も申し分のないPCに仕上がっている。
コンパクトな筐体にハイエンドパーツを詰め込んだことで懸念される熱の問題も、Corsairが培ってきたオールインワン水冷ユニットを上手く使って対処している。今回テストした最上位モデルのCS-9000010で大丈夫なのだから、よりパーツの発熱が少なくなる下位モデルに冷却面の心配は無用だろう。
残念ながら、現時点で国内未発売のCORSAIR ONEシリーズだが、PCゲームを本格的にプレイしたいと望むユーザーにとって魅力的な製品となり得るだけに、国内での早期発売を期待したい。
[制作協力:Corsair]
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