借りてみたらこうだった!
6コアもしっかり冷える、Corsairの次世代水冷クーラー「H150i PRO RGB」をi7-8700Kでテスト
360mmラジエーター採用の高冷却モデル
2018年1月15日 00:01
今回は、2018年2月の発売が予定されているCorsairのオールインワン水冷ユニット「HYDRO PRO シリーズ」より、「Hydro Series H150i PRO(CW-9060031-WW)」と「Hydro Series H115i PRO(CW-9060032-WW)」をお借りした。
HYDRO PROシリーズの特徴の確認と、上位モデルであるHydro Series H150i PROのパフォーマンステストを通して、Corsairの次世代水冷ユニットの実力を探ってみよう。
RGBイルミネーション機能とセミファンレス動作を追加した次世代水冷ユニット
Corsairの次世代水冷ユニットであるHYDRO PRO シリーズでは、360mmラジエーターを採用した「Hydro Series H150i PRO」と、280mmラジエーター採用の「Hydro Series H115i PRO」、2製品の発売が予定されている。それぞれの主なスペックは以下の通り。
HYDRO PRO シリーズ共通の特徴として、RGB LEDイルミネーション機能と、ファンレス動作を実現する「Zero RPM mode」の追加が挙げられる。
HYDRO PRO シリーズ製品は水冷ヘッド部分にRGB LEDを内蔵しており、ユーティリティソフトのCorsair LINKを利用することで、LEDの発光色や発光パターンのカスタマイズに対応している。LEDの動作は水温やCPU温度に連動して変化させることも可能なので、単なるイルミネーションとしての利用だけでなく、警告灯としての活用も可能だ。
HYDRO PRO シリーズで追加された「Zero RPM mode」は、水温やCPU温度に連動して冷却ファンを停止するセミファンレス機能だ。Corsair LINKからファンの動作モードを「Zero rpm」に設定することで利用でき、標準設定では水温が45℃に達するまではファンを停止する仕様となっている。動作基準となる温度については水温の他、CPUコア温度などを設定することができる。
今回のテスト点では、ファンの停止が可能なのは「Zero rpm」モードのみとなっており、マニュアル設定の「Custom」や、回転数設定モード「Fixed rpm」、ファン制御設定モード「Fixed %」などではファンを止めることはできなかった。発売までにより詳細な設定が可能となることを期待したいところだ。
HYDRO PRO シリーズでは静粛性が重視されており、冷却ファンには磁気浮上ベアリングを備える「ML シリーズ」を採用している。軸音の少ない磁気浮上ベアリングの採用と、標準の冷却ファンがカバーする回転数域を低~中速とすることで、ファンの動作ノイズが目立ちにくくなっている。
また、水冷ヘッドに内蔵されているポンプにも「Quiet」「Balanced」「Performance」の3モードが用意されており、水冷クーラーで避けては通れないポンプ動作音の低減が可能だ。
ファン回転数とポンプスピードをチェック
前述の通り、Hydro Series H150i PROではCorsair LINKを利用することで、ファン回転数とポンプの動作モードを任意でカスタマイズできる。性能の検証に入る前に、まずはどの程度の範囲でカスタマイズできるのかをチェックしてみた。
ファンの回転数を温度に連動して調整可能な「Custom」モードでは、ファンの制御設定を25%~100%の範囲で調整できる。ファン制御設定と回転数の関係をまとめたものが以下のグラフだ。
Customモードで設定できるファンの回転数域は360~1,620rpmで、400~1,600rpmというファンのスペック値とほぼ一致する。磁気浮上ベアリングを採用しているためかどの回転数でも軸音は気にならない。風切り音は1,000rpm以下では非常に小さく、70%設定(1,120rpm)まではかなり大人しい。80%設定以上では風切り音が大きくなっていくため、動作音を抑えるならファン回転数は70%までに抑えたい。
ポンプは動作モードを切り替えるとスピードが変化する仕様となっており、各モードのポンプスピードは、Quietモードが1,140rpm、Balancedモードは2,160rpm、Performanceモードは2,910rpmとなっている。
ポンプの動作音はPerformanceモードでもそれほど大きなものではないが、ジーという高音のノイズであるため、人によってはファンの風切り音より気になることもあるだろう。Balancedモードでもジーというノイズは聞こえるがPerformanceモードより低音であるため耳当たりは優しい。Quietモードではジーというノイズ音はほとんどなくなり、きわめて静粛性の高い動作となる。
冷却性能をCore i7-8700Kでチェック
それではいよいよH150i PRO RGBの冷却性能をチェックする。今回はCoffee Lake-Sの最上位モデルである6コア12スレッドCPU「Core i7-8700K」を用意した。
【検証環境】
CPU: Intel Core i7-8700K
メモリ: DDR4-2666 8GB×2
ビデオカード: GeForce GTX 1050
ストレージ: Intel SSD 600p 256GB
電源: 玄人志向 KRPW-TI700W/94+(700W、80PLUS TITANIUM)
OS: Windows 10 Pro 64bit版
室温 27℃
今回のテストでは、室温27℃の環境下でPrime 95のSmall FFTsを20分実行。ストレステスト実行中のCPUコア温度のピーク値を測定する。
テストの実行にあたり、H150i PRO RGBの設定は標準の「Balanced」に設定、比較対象としてIntel純正クーラーの「TS15A」を用意した。また、CPUのCore i7-8700Kについては、Turbo Boostをオフにした3.7GHz動作と、Turbo Boostを有効にした4.3GHz動作、以上2通りの動作設定でテストを実行した。
Core i7-8700Kのベースクロックである3.7GHz動作では、Intel純正クーラーTS15Aの72℃に対し、H150i PRO RGBは10℃低い62℃を記録している。この際、TS15Aの冷却ファンはフルスピードの約3,700rpmで動作しているため強烈なノイズを発しているが、H150i PRO RGBのファン回転数は1,000rpm弱であり、動作音の差は温度差以上に大きなものとなっている。
Turbo Boostを有効にすると、Core i7-8700Kは消費電力と温度に制限されない限り全コア利用時は4.3GHzで動作することになるが、TS15Aでは冷却が足りずに温度上限の100℃に達してクロックダウンが発生してしまった。一方、Hydro Series H150i PROはピーク温度を85℃に抑えており、安定して4.3GHzでの動作が可能だった。この際もファンの回転数は約1,100rpm程度と低く、動作音はたいへん小さなものだった。
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