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発売当初から大幅進化していたIntel Arc GPU、動画処理から生成AIまでカバー
~「Intel×ASRock Arc Graphicsイベント」レポート
2023年10月2日 00:00
9月30日(土)、ASRockおよびテックウインド株式会社主催のトークイベント「Intel x ASRock 見て・聞いて・体験 インテル Arc グラフィックス EXPO」が開催された。
会場はLIFORK AKIHABARA IIで、同イベントの模様を本稿でお伝えしよう。
発売当初から大幅に性能向上しているArc GPU
前半のトークセッションでは、インテル太田氏/ASRock原口氏が登壇。
太田氏は、「Arc AシリーズGPUは、Intelとして20数年ぶりに発売したdGPU(ディスクリートGPU)ということもあり、社内でも準備を重ねて発売に臨んでいた」が、「いざ発売すると予想外のことも数多く、発売当初は(実ゲームでの性能が奮わかなかったなど)中々叩かれた」と赤裸々に語った。
しかし「ドライバのアップデートを重ね、発売当初と現在では性能が大きく改善されている」とアピール。とくに競合製品に比べ、DirectX 11やDirectX 9など古いAPIのゲームで性能が落ち込んでいたが、最新ドライバでは初期ドライバからフレームレートが数十%単位で向上しているという。
動作の重い最新ゲームでも、AIアップスケーラー「XeSS」により負荷を軽減しフレームレートを向上させることができるとした。
同氏は競合製品に対するArc Aシリーズのアドバンテージとして、動画のエンコード/デコード性能の高さを挙げ、とくに「現在主流のH.264(AVC)コーデックと比べて同等画質を半分の容量で実現できる」というAV1コーデックのハードウェアエンコードに対応しているとアピール。
またAV1では高圧縮を実現できるだけでなく、Arcシリーズではエンコーダー性能を最適化することで、H.264よりもAV1エンコードの方が高速に処理できるとした。
AV1以外にも、VP9やH.265(HEVC)コーデックへのハードウェアエンコード/デコード対応など、競合製品と比べて幅広い動画処理対応も特徴とのこと。
原口氏は、グローバルで発表された「Arc A310」搭載のロープロファイル対応のビデオカード「A310 LP 4G」を紹介。
補助電源不要で動作するローエンド製品ながら、ハードウェアエンコード/デコード機能に関して「他社製品と異なり上位モデルと同等機能を備える」と述べ、発売済みの「A380 LP 6G(実売19,980円)」よりも安価となる見込みで、動画処理のためのアクセラレーターとしても手を出しやすい価格と仕様になっているという。
またHDMI 2.0bとDisplayPort 2.0を搭載し、「8K映像の出力にも対応している」とのこと。
太田氏はArc GPUの利点として、CPU内蔵のiGPUと協調した低負荷な動画処理(Intel Stream Assist)などもアピール。
GPU活用のトレンドとなってきた生成AIについても、「XMX(Xe Matrix Extensions)エンジン」の搭載で高速な行列演算処理が可能で、「Stable Diffusion」などの環境で高速な画像生成を実現しているとした。
Arc Aシリーズでフレーム生成技術「FSR3」も動いた!会場が盛り上がったAI大喜利
後半セッションではテクニカルライター KTUこと加藤勝明氏が登壇。
太田氏が言及したように「発売からしばらくの評価は芳しくなかった」と指摘しつつ、「2023年に入って性能が向上し不具合も解消されている」と語った。
またイベント当日の朝に突如公開されたAMDのフレーム生成技術「FSR3」についても、急遽検証した結果を公開。Arc Aシリーズでも動作し、大幅なフレームレート向上を確認できたという。
AV1エンコード性能も高速なほか、画像生成系AIへの対応もOpenVINOによりGeForce環境(CUDA)に次いで使いやすい環境になっているという。
イベントの最後は、「50年後のインテルCPU」と「未来のASRockマザーボード」を出力するというStable Diffusionを使った来場者によるAI画像大喜利が開催。
評価には登壇した3名と飛び入り参加したM氏ことモリケン氏も参加し、盛り上がりを見せた。