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Ryzen 9000シリーズに豪華な電源設計は必要?TDP 105W設定の製品保証は?裏話も飛び出した「ASRock AMD X870E/X870マザーボード発売記念イベント」レポート
2024年10月9日 10:05
ASRockは東京・秋葉原にて5日(土)、「ASRock AMD X870E/X870マザーボード発売記念イベント」を開催。会場のLIFORK 秋葉原IIには、雨天ながら多くのASRock/AMDファンが集まった。
Ryzen 9000シリーズの性能を引き出す設計がウリ。ASRockのX870E/X870マザーボード
イベントセッションではASRockエクストリームプロダクトマーケティング 原口有司氏と、日本AMD 佐藤美明氏が登壇。
AMDの最新チップセット「AMD X870E/X870(以下X870シリーズ)」を搭載したASRockマザーボードについての解説では、X870EとX870の違いはチップセットがデュアルチップかシングルチップかの構成の違いにあり、PCIeレーンやUSB/SATAポート数が増えているのがポイントと説明した。
ASRockのX870シリーズ搭載マザーボードは、安定性に優れた電源設計が特徴。搭載する「20Kブラックコンデンサ」は、1,000μfの静電容量と、105℃環境で2万時間の耐久性を謳う。原口氏によれば、65℃環境換算では228年という超長寿命とのこと。
AMD佐藤氏は「Zen5は非常に素性の良いアーキテクチャ」で、Ryzen 9000シリーズは「連続した高負荷のワークロードにおいて最強のCPU」とアピール。内蔵センサーで温度変化や電圧の変動を監視し、動作クロックも変動するというデザインのため、CPUの消費電力からすれば過剰にも思えるASRockマザーボードの電源設計が、Ryzen 9000シリーズの持つポテンシャルを引き出せる理由になっているとした。
Ryzen 9000シリーズに関連して、AMDでは9月末にコア間レイテンシーの削減や「Ryzen 7 9700X/Ryzen 5 9600X」のTDP制限を105Wに引き上げられる設定の追加などが盛り込まれた「AGESA PI 1.2.0.2」を公開。同AGESAを組み込んだUEFIが、マザーボードメーカー各社より順次公開されている。とくにRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xにおいては、TDP上限の制限緩和によって電源周りをさらに活用できるようになっている点も注目したい。
なお発売当初のRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600XはTDP 65Wとなっているが、AMD佐藤氏によれば「(新AGESAアップデート後の)TDP 105W設定も製品保証の対象」とのこと。米AMDのブログでも、105W設定も保証対象となることが明記されており、安心して使用できる。
一部マザーボードではASRock独自のUSBポート設計「Lightningゲーミングポート」も搭載。昨今のゲーミングデバイス業界ではポーリングレートを高めた製品がトレンドとなりつつあり、8,000Hz設定が可能な製品も多数登場している。原口氏によると、そういった背景から同ポートの有用性がさらに高まっているという。
同ポートは、専用ポートに他ポートと異なるUSBコントローラー/バスを用意することで、ジッターやレイテンシーを軽減するというもの。実際にプロゲーミングチームで「Lightningゲーミングポートがないと動作が安定しない」と、同ポートの搭載を理由に所属選手用のPCでASRockマザーボードを採用している事例もあるという。
今アツいのはRyzenだけじゃない!AFMF2の正式公開、画像生成AIも気軽に試せるようになったRadeon
AMD佐藤氏による後半セッションでは、Radeon GPU向けのフレーム生成技術「Fluid Motion Frames 2(AFMF2)」の正式提供開始について言及。
既存のAFMFからレイテンシーが低減され、よりネイティブ動作に近い操作感になっているとアピールし、原口氏も「マウスを振ればスムーズさが明らかに違う」、「遅延も分からない」と絶賛。佐藤氏は「ミドルクラスGPUでの効果は劇的」、「ハイエンドモデルが売れなくなってしまうかも」と苦笑する様子も見られた。
また流行りの画像生成AIについても、AMDが開発協力するTensor StackのGUIフロントエンド「AMUSE」が公開されており、話題の生成モデル「FLUX.1」などをRadeonで気軽に実行できるようになったという。
競合製品と比べ、生成AIの実行環境を構築するには知識が必要だったが、AMUSEなどの提供でかなり導入のハードルが下がっているとのことだ。
『FF16』のAFMF2デモなど実機展示も
イベント会場では、X870E/X870搭載の最新ASRockマザーボード展示のほか、『ファイナルファンタジーXVI』PC版のAFMF2実働デモも設置され、来場者の注目を集めていた。