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歴代のMSI"TOMAHAWK"マザーが勢揃い!10年の軌跡を振り返る「トマホーカー友の会2024」レポート
2024年12月5日 07:05
MSIは、マザーボード「TOMAHAWK」シリーズの10周年を祝う趣旨のイベント「トマホーカー友の会2024」を12月1日に開催した。会場はLIFORK AKIHABARA II(千代田区外神田3-13-2 秋葉原TMOビル 1F)。
同イベントでは、歴代のTOMAHAWKシリーズマザーボードが一斉展示されたほか、インフルエンサーやMSI本社のプロダクトマネージャーを招いてのトークセッションなどが行われた。
TOMAHAWKの歴史を振り返る
TOMAHAWKシリーズはMSIのゲーミングマザーボードで、現行品は同社の「MAG」に属するラインの製品として販売されている。ミドルレンジの製品として2015年に最初のモデルZ170A TOMAHAWKが登場したのち、定番化して数多くの製品が発売された。
現在では、AMD向けにX870チップセット搭載モデル、Intel向けにZ890搭載モデルが最新版として販売されている。
この日、会場には可能な限りの歴代TOMAHAWKシリーズが集められ一挙展示。実物を前に製品の歴史を俯瞰できる貴重な機会となっていた。
MSI元社員も駆けつけたステージイベント
ステージイベントでは、ツールレス/省ステップ組み立て設計「EZ DIY」について解説する「MSI EZ DIY設計解説」、実際にパーツの組み換えを体験する参加型企画「EZ DIYチャレンジ」、TOMAHAWKシリーズの歴史を振り返る「TOMAHAWKerトークショー」、MSIマザーボードカルトクイズ大会の様相を呈した「クイズ大会」を実施した。
登壇者はMSIスペシャルアドバイザーでシミラボ代表の清水貴裕氏、MCに伊石真由氏、インフルエンサー枠として自作PC系YouTuberのGradeon氏、すけこむ氏、美咲みさ氏。この日は弊誌でもインタビューなどで度々登場している元MSI社員(現在は無関係)の新宅洪一氏もスペシャルゲストとして登壇した。新宅氏はMSI在籍時にMAG H670 TOMAHAWK WIFI DDR4の製品企画に関わるなど、TOMAHAWKマザーボードと縁が深い人物だ。
MSI EZ DIY設計解説では、MSIの豊田実幸氏が関連する各機能を説明。EZ DIYはPC組立プロセスの簡素化を念頭に設計したMSI独自機構の総称。大きく「ONE-FINGER」「ONE-HAND」「ONE-STEP」「ONE-GLANCE」「ONE-CLICK」の5つに分類できる。
ONE-FINGERは、ツールレスM.2設計を改良/発展させたパーツ装着機構。面倒なネジ留めなどを極力廃して、その名の通り"指一本"でパーツの着脱が行なえる点が売り。M.2 SSDやビデオカードなどが簡単に着脱できる「EZ M.2 Installation」や「EZ PCIe Installation」のほか、Dual BIOSスイッチやClear CMOSボタンなどを含む「EZ System Command」を紹介した。
ONE-HANDは、マザーボード取付の簡素化と不意の破損から保護する仕組み。I/Oシールドのプリインストールや配線との干渉について注意を促す表示などを用意している。
ONE-STEPは、コネクタの統合やプラグの接続性を改善することによって組立手順を合理化する試み。液冷クーラーや冷却ファンに関連するコネクタを統合するほか、Wi-Fiアンテナ接続時のネジ締めを廃止する。またTOMAHAWKとは直接関係ないが、上位モデルのGODLIKEではARGBファンをはじめ複数のファンヘッダを統合する「EZ(Control)Hub」にも言及した。
ONE-GLANCEは、システムのモニタリングやトラブル発生時のデバッグ情報表示などにかかわる機能。ここではマザーボード上のLEDでエラーコードを表示する「EZ Debug」や、マニュアルがなくてもコネクタや端子の種類がわかるプリント表示など施策を紹介した。またGODLIKE専用だが、ボード上LEDの「Dynamic Dashboard III」ではCPU温度やハードウェア情報などを表示できるほか、カスタムイメージの表示なども行なえるようになっている。
ONE-CLICKは、システムの最適化やOCの設定を簡単に行なえる機能。UEFIの「Click BIOS 5」上で設定できる「Game Boost」や「Creation Boost」、メモリOC機能の「EXPO/A-XMP」、メモリのOC耐性を表示する「Memory Force」などを挙げている。ここではMSIが用意しているプリセットの使用によってマザーボードが故障したとしても、メーカー保証の対象になることが説明された。
続いてのEZ DIYチャレンジでは、登壇者がEZ DIY対応機種の「MPG Z890 EDGE TI WIFI」上に搭載したM.2とビデオカードを交換する速さを競った。EZ DIY対応機種ではPCIeスロットのロックをボタン式にしているほか、M.2スロットもSSDの切り欠きにピンを引っ掛ける簡易なロックの上からヒートシンクを被せる方式となっているため、どちらも着脱が容易な点が特徴。そのためかいずれの登壇者もおおむね50~1分前後のタイムで交換を完了していた。
デザインと強力な電源回路がTOMAHAWKらしさ
TOMAHAWKトークショーにはMSI台湾本社からプロダクトマネージャーのBobby Yuan氏を招いて、TOMAHAWKシリーズの歴史を振り返った。
今回Bobby氏は本イベントのために来日し、TOMAHAWKユーザーの集う場を目にして「初心に帰った心持ちがした」と謝意を示している。シリーズの中でもお気に入りの製品を問われると、最新世代の「MAG X870 TOMAHAWK WIFI」だと回答。10年の積み重ねの結果作り上げた最新作ということで思い入れがあるという。
TOMAHAWKというブランドに通底する要素としては「デザイン」と「電源回路」を挙げた。デザインについては、初代からトマホークミサイルのイメージを掲げたミリタリー色の強いデザインにこだわりがあると話した。
また電源回路に関しては、ゲーミング向けモデルでありながらARGBなどの部品は控えめにしつつ、ミドルレンジらしからぬスペックの電源回路を搭載することが譲れないポイントであり「TOMAHAWKらしさ」としている。
一方、清水氏は2017年にeSportsチームのDETONATORとコラボした「H270 TOMAHAWK ARCTIC DETONATOR EDITION」を挙げている。当時珍しかったホワイトカラー(極地迷彩風)パーツの斬新さを改めて評価した。
またPCIeスロットの補強や電源回路を覆うヒートシンクの搭載に先鞭をつけたのもMSIであったとして、地味ながら新しい試みを積み重ねてきたことにも言及。清水氏は「もちろんうまくいかなかった試みもあるのだけれども、それはそれとしてまた新しいことをTOMAHAWKで試している」と語った。
新宅氏が「昔のTOMAHAWKって、今よりも野心的でしたね。だってパッケージにミサイルの絵が描いてあるんですよ」と、かつてのデザインについて述べると、清水氏からも「MSIってなんでも赤くしていた時代がありましたね。今思えばTOMAHAWKって色物枠だったのかもしれない」と同意の声が挙がった。
新宅氏は、定番シリーズとなった今のTOMAHAWKの位置付けについて「そういう時代からしたら、現行世代のTOMAHAWKは保守的というか、とりあえずこれを買っておけば一通りのことはできる、そつのない位置付けになっていますね」と語っていた。
本イベント最後のコーナーとなる「クイズ大会」は、TOMAHAWKシリーズにまつわるクイズを10問出題。最初の1問こそ3つある選択肢のうち2つが正解というサービス問題だったが、出題が進むにつれマニアックな問題が増えて場を沸かせた。10問中7問正解で本イベント限定のノベルティセットが進呈された。
当日、TOMAHAWKシリーズのマザーボードの本体写真、もしくは搭載PC写真を提示した人には、「トマホーカー友の会2024」限定オリジナルTシャツのプレゼントも行われた。Tシャツは日本の企画として製作されたもので、MSI本社のスタッフにも好評とのことだ。