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歴代のMSI"TOMAHAWK"マザーが勢揃い!10年の軌跡を振り返る「トマホーカー友の会2024」レポート

清水貴裕氏(左)とMSI本社のプロダクトマネージャー Bobby Yuan氏(右)

 MSIは、マザーボード「TOMAHAWK」シリーズの10周年を祝う趣旨のイベント「トマホーカー友の会2024」を12月1日に開催した。会場はLIFORK AKIHABARA II(千代田区外神田3-13-2 秋葉原TMOビル 1F)。

 同イベントでは、歴代のTOMAHAWKシリーズマザーボードが一斉展示されたほか、インフルエンサーやMSI本社のプロダクトマネージャーを招いてのトークセッションなどが行われた。

最新マザーボードから歴代のマザーボードまで多数のモデルを展示
トークセッションにも多くの人が集まった

TOMAHAWKの歴史を振り返る

 TOMAHAWKシリーズはMSIのゲーミングマザーボードで、現行品は同社の「MAG」に属するラインの製品として販売されている。ミドルレンジの製品として2015年に最初のモデルZ170A TOMAHAWKが登場したのち、定番化して数多くの製品が発売された。

 現在では、AMD向けにX870チップセット搭載モデル、Intel向けにZ890搭載モデルが最新版として販売されている。

 この日、会場には可能な限りの歴代TOMAHAWKシリーズが集められ一挙展示。実物を前に製品の歴史を俯瞰できる貴重な機会となっていた。

Z170A TOMAHAWK
X99A TOMAHAWK
H270 TOMAHAWK ARCTIC DETONATOR EDITION
B350 TOMAHAWK
B350 TOMAHAWK ARCTIC
Z270 TOMAHAWK ARCTIC
X299 TOMAHAWK ARCTIC
X299 TOMAHAWK
Z370 TOMAHAWK
MAG Z390 TOMAHAWK
B450 TOMAHAWK(MAX)
MAG Z490 TOMAHAWK
MAG B550 TOMAHAWK
MAG Z590 TOMAHAWK WIFI
MAG B560 TOMAHAWK WIFI
MAG X570S TOMAHAWK MAX WIFI
MAG Z690 TOMAHAWK WIFI/DDR5
MAG B660 TOMAHAWK WIFI/WIFI DDR4
MAG H670 TOMAHAWK WIFI DDR4
MAG B550 TOMAHAWK MAX WIFI
MAG B660 TOMAHAWK EVA e-PROJECT
MAG Z790 TOMAHAWK WIFI/WIFI DDR4
MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4/DDR5
MAG X670E TOMAHAWK WIFI
MAG B650 TOMAHAWK WIFI
MAG Z790 TOMAHAWK MAX WIFI
MAG X870 TOMAHAWK WIFI
MAG Z890 TOMAHAWK WIFI

MSI元社員も駆けつけたステージイベント

 ステージイベントでは、ツールレス/省ステップ組み立て設計「EZ DIY」について解説する「MSI EZ DIY設計解説」、実際にパーツの組み換えを体験する参加型企画「EZ DIYチャレンジ」、TOMAHAWKシリーズの歴史を振り返る「TOMAHAWKerトークショー」、MSIマザーボードカルトクイズ大会の様相を呈した「クイズ大会」を実施した。

 登壇者はMSIスペシャルアドバイザーでシミラボ代表の清水貴裕氏、MCに伊石真由氏、インフルエンサー枠として自作PC系YouTuberのGradeon氏、すけこむ氏、美咲みさ氏。この日は弊誌でもインタビューなどで度々登場している元MSI社員(現在は無関係)の新宅洪一氏もスペシャルゲストとして登壇した。新宅氏はMSI在籍時にMAG H670 TOMAHAWK WIFI DDR4の製品企画に関わるなど、TOMAHAWKマザーボードと縁が深い人物だ。

左から清水貴裕氏、新宅洪一氏、美咲みさ氏、Gradeon氏、すけこむ氏
会場のLIFORK II

 MSI EZ DIY設計解説では、MSIの豊田実幸氏が関連する各機能を説明。EZ DIYはPC組立プロセスの簡素化を念頭に設計したMSI独自機構の総称。大きく「ONE-FINGER」「ONE-HAND」「ONE-STEP」「ONE-GLANCE」「ONE-CLICK」の5つに分類できる。

 ONE-FINGERは、ツールレスM.2設計を改良/発展させたパーツ装着機構。面倒なネジ留めなどを極力廃して、その名の通り"指一本"でパーツの着脱が行なえる点が売り。M.2 SSDやビデオカードなどが簡単に着脱できる「EZ M.2 Installation」や「EZ PCIe Installation」のほか、Dual BIOSスイッチやClear CMOSボタンなどを含む「EZ System Command」を紹介した。

豊田実幸氏
MSIのEZ DIYを構成する5要素
M.2スロットやPCIeスロットへの着脱を簡素化する「ONE-FINGER」
スロットへの装着と固定にネジを使わない「M.2 Installation」
「EZ PCIe Release」ではボタン押しでロック解除ができるほか、アイコンで視覚的にロック状態を確認できる
PCIeスロットの大型化も施している
システム関連の操作を含む「EZ System Command」

 ONE-HANDは、マザーボード取付の簡素化と不意の破損から保護する仕組み。I/Oシールドのプリインストールや配線との干渉について注意を促す表示などを用意している。

マザーボード取付の簡素化と保護を重視した「ONE-HAND」
はじめからI/Oシールドを取り付けた状態にしている
組立時のコンポーネント保護に配慮した「EZ Mounting」

 ONE-STEPは、コネクタの統合やプラグの接続性を改善することによって組立手順を合理化する試み。液冷クーラーや冷却ファンに関連するコネクタを統合するほか、Wi-Fiアンテナ接続時のネジ締めを廃止する。またTOMAHAWKとは直接関係ないが、上位モデルのGODLIKEではARGBファンをはじめ複数のファンヘッダを統合する「EZ(Control)Hub」にも言及した。

主にケーブルやプラグの接続性を改善する「ONE-STEP」
ARGB冷却パーツのヘッダを1つのコネクタに統合
JAF_2ヘッダーをUSB 2.0や3pin/4pinに変換できる
フロントパネルコネクタもスマートに
アンテナもネジ留めする必要がなくなった
GODLIKE専用だがセンサーやフロントパネルコネクタなどをひとつのハブにまとめられる「EZ Hub」
Wi-FiアンテナはMAGシリーズに属するTOMAHAWKではシングルスタンドが使用可能

 ONE-GLANCEは、システムのモニタリングやトラブル発生時のデバッグ情報表示などにかかわる機能。ここではマザーボード上のLEDでエラーコードを表示する「EZ Debug」や、マニュアルがなくてもコネクタや端子の種類がわかるプリント表示など施策を紹介した。またGODLIKE専用だが、ボード上LEDの「Dynamic Dashboard III」ではCPU温度やハードウェア情報などを表示できるほか、カスタムイメージの表示なども行なえるようになっている。

モニタリングやデバッグ情報へアクセスしやすくする「ONE-GLANCE」
各種情報をマザーボード上でリッチに表示できる「Dynamic Dashboard III」。こちらもGODLIKE専用
エラーコードも表示できる
コネクタや端子にはそれが何かわかるように表示をつけている

 ONE-CLICKは、システムの最適化やOCの設定を簡単に行なえる機能。UEFIの「Click BIOS 5」上で設定できる「Game Boost」や「Creation Boost」、メモリOC機能の「EXPO/A-XMP」、メモリのOC耐性を表示する「Memory Force」などを挙げている。ここではMSIが用意しているプリセットの使用によってマザーボードが故障したとしても、メーカー保証の対象になることが説明された。

UEFI上でシステムの性能調整が簡単に行なえる「ONE-CLICK」
表示モードやプロファイルの切り替えが可能
各種最適化機能を装備。パフォーマンスプリセットも用意した
MSIのプリセットによるOCで故障した場合は保証が効く(そうでない場合は効かない)

 続いてのEZ DIYチャレンジでは、登壇者がEZ DIY対応機種の「MPG Z890 EDGE TI WIFI」上に搭載したM.2とビデオカードを交換する速さを競った。EZ DIY対応機種ではPCIeスロットのロックをボタン式にしているほか、M.2スロットもSSDの切り欠きにピンを引っ掛ける簡易なロックの上からヒートシンクを被せる方式となっているため、どちらも着脱が容易な点が特徴。そのためかいずれの登壇者もおおむね50~1分前後のタイムで交換を完了していた。

EZ DIY対応の「MPG Z890 EDGE TI WIFI」上でM.2 SSDとビデオカードを交換する速さを競った
一番多く見られたミスはビデオカード固定用のネジをどこかに落とすことだった
清水氏と新宅氏のガチンコスピード勝負も
コーナーの後半では来場者からも参加者を募って、EZ DIYを体験していた

デザインと強力な電源回路がTOMAHAWKらしさ

 TOMAHAWKトークショーにはMSI台湾本社からプロダクトマネージャーのBobby Yuan氏を招いて、TOMAHAWKシリーズの歴史を振り返った。

 今回Bobby氏は本イベントのために来日し、TOMAHAWKユーザーの集う場を目にして「初心に帰った心持ちがした」と謝意を示している。シリーズの中でもお気に入りの製品を問われると、最新世代の「MAG X870 TOMAHAWK WIFI」だと回答。10年の積み重ねの結果作り上げた最新作ということで思い入れがあるという。

 TOMAHAWKというブランドに通底する要素としては「デザイン」と「電源回路」を挙げた。デザインについては、初代からトマホークミサイルのイメージを掲げたミリタリー色の強いデザインにこだわりがあると話した。

 また電源回路に関しては、ゲーミング向けモデルでありながらARGBなどの部品は控えめにしつつ、ミドルレンジらしからぬスペックの電源回路を搭載することが譲れないポイントであり「TOMAHAWKらしさ」としている。

今回のイベントへ出演するために来日したMSI台湾本社のBobby Yuan氏(写真右)
清水氏と新宅氏、Bobby氏の会話を軸に進行した
この機会に会場のユーザーからも質問を募っていた

 一方、清水氏は2017年にeSportsチームのDETONATORとコラボした「H270 TOMAHAWK ARCTIC DETONATOR EDITION」を挙げている。当時珍しかったホワイトカラー(極地迷彩風)パーツの斬新さを改めて評価した。

 またPCIeスロットの補強や電源回路を覆うヒートシンクの搭載に先鞭をつけたのもMSIであったとして、地味ながら新しい試みを積み重ねてきたことにも言及。清水氏は「もちろんうまくいかなかった試みもあるのだけれども、それはそれとしてまた新しいことをTOMAHAWKで試している」と語った。

 新宅氏が「昔のTOMAHAWKって、今よりも野心的でしたね。だってパッケージにミサイルの絵が描いてあるんですよ」と、かつてのデザインについて述べると、清水氏からも「MSIってなんでも赤くしていた時代がありましたね。今思えばTOMAHAWKって色物枠だったのかもしれない」と同意の声が挙がった。

 新宅氏は、定番シリーズとなった今のTOMAHAWKの位置付けについて「そういう時代からしたら、現行世代のTOMAHAWKは保守的というか、とりあえずこれを買っておけば一通りのことはできる、そつのない位置付けになっていますね」と語っていた。

 本イベント最後のコーナーとなる「クイズ大会」は、TOMAHAWKシリーズにまつわるクイズを10問出題。最初の1問こそ3つある選択肢のうち2つが正解というサービス問題だったが、出題が進むにつれマニアックな問題が増えて場を沸かせた。10問中7問正解で本イベント限定のノベルティセットが進呈された。

第1問だけは冗談のような難易度だったが……(右はトマホークステーキの肉)
設問が進むにつれてマニアックな難易度に
会場からもどよめきが聞こえる問題も
よく見ると基板上に機種名が見えるのでそれがヒントになることも
これはこれで盛り上がった
インフルエンサー陣もかなり苦戦していた

 当日、TOMAHAWKシリーズのマザーボードの本体写真、もしくは搭載PC写真を提示した人には、「トマホーカー友の会2024」限定オリジナルTシャツのプレゼントも行われた。Tシャツは日本の企画として製作されたもので、MSI本社のスタッフにも好評とのことだ。