プロダクトレビュー・ショーケース
組み立てやすいモデルが大充実!AMD B850/840マザーボードカタログ
上位チップセット搭載機よりも価格重視の製品が揃う text by 芹澤 正芳
2025年2月25日 10:00
2025年1月7日よりAMDの最新チップセット「B850」と「B840」を搭載するマザーボードが各社より登場している。AMDのミドルレンジ向け「B650」の後継となるチップセットだが、マザーボード各社は多くのモデルで組み立てやすさを向上させる仕組みを導入。ネットワーク周りもWi-Fi 7や5G/2.5Gの有線LANを採用するものが多く、より現代的に進化している。
本稿では、ASRock、ASUS、GIGABYTE、MSIのマザーボード主要4社のAMD B850/840チップセット搭載マザーボードを一挙紹介する。
上位のX870EやX870チップセット搭載モデルに比べると価格は抑えめで、ミドルレンジ向け製品が中心。人気の8コアCPU「Ryzen 7 9700X」や6コアCPU「Ryzen 5 9600X」などとの組み合わせるのに向いている。新旧AMDチップセットの違いは以下の通りだ。
X870E | X870 | B850 | B840 | X670E | X670 | B650E | B650 | |
CPUソケット | AM5 | AM5 | AM5 | AM5 | AM5 | AM5 | AM5 | AM5 |
CPU OC | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
メモリ | DDR5 | DDR5 | DDR5 | DDR5 | DDR5 | DDR5 | DDR5 | DDR5 |
メモリ OC | ○ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
CPU PCI-E 5.0 レーン数 | 24 | 24 | 4 | × | 24 | 8 | 24 | option |
CPU PCI-E 4.0 レーン数 | × | × | 20 | 24 | × | 16 | × | 20 |
接続バス | 4.0 x4 | 4.0 x4 | 4.0 x4 | 3.0 x4 | 4.0 x4 | 4.0 x4 | 4.0 x4 | 4.0 x4 |
チップセット PCI-E レーン数 | 12(PCI-E 4.0) | 8(PCI-E 4.0) | 8(PCI-E 4.0) | 10(PCI-E 3.0) | 12(PCI-E 4.0) | 12(PCI-E 4.0) | 8(PCI-E 4.0) | 8(PCI-E 4.0) |
SATA | 8 | 4 | 4 | 4 | 8 | 8 | 4 | 4 |
USB 4 | ○ | ○ | option | option | option | option | option | option |
B850に注目すると、B650ではオプション扱いだったM.2向けのPCI Express Gen 5対応が正式対応になったのが大きな違い。仕様とは異なり、B850マザーボードはビデオカード用もGen 5対応というパターンがほとんどだ。X870E/X870との違いは、USB 4への対応がオプション扱いになっている点。USB 4が不要なら、B850から選ぶほうがコスパはよくなる。B840は安価だがGen 5対応がなくなり、チップセット側はGen 3までと帯域の制限は大きい。
ミドルレンジの人気モデルが揃うASRock
ASRockのB850マザーボードは、Steel Legend、Live Mixer、Pro RSと定番のミドルレンジモデルを揃えた。Steel LegendとPro RSはmicroATXモデルも用意し、さらにMini-ITXのB850I Lightning WiFiもラインナップと目的やサイズに合わせて選びやすくなっている。
すべてのモデルで一体型のバックパネルカバーを採用、Wi-Fiも備えており、スペック、機能が充実しているのが全体としての特徴と言える。
14+2+1フェーズの大規模な電源回路、8層PCB基板、製品寿命が約20,000時間のコンデンサなど耐久性を重視するSteel Legendらしい堅牢な設計だ。M.2ヒートシンクやビデオカードを取り外しやすい構造など使いやすさも◎。
microATXサイズだが、12+2+1フェーズの電源回路に約20,000時間寿命のコンデンサなどSteel Legendならではの耐久性重視の設計が光る。3基のM.2スロットにPCI-E 4.0 x4の拡張スロットもあり、拡張性が十分に確保されているのもポイントだ。
カラフル路線からシックなデザインへと生まれ変わったスリーマー向けのLiveMixerシリーズ。複数のデバイス接続を想定し、23基ものUSBを備えているのが特徴だ。14+2+1フェーズの電源回路に8層PCB基板など安定性も重視されている。
14+2+1フェーズの電源回路に大型ヒートシンクを搭載、8層PCB基板と上位モデル並の堅牢な設計だ。21基のUSBに拡張スロット、4基のM.2スロットなど、幅広い用途に対応できる拡張性も備える。非常に手堅い作りのスタンダードモデルだ。
3基のM.2スロット、4.0 x4の拡張スロット、合計17基のUSBとmicroATXサイズとしては十分な拡張性を確保し、2.4Gの有線LANにWi-Fi 6Eの無線LANとネットワーク機能も必要十分。こちらも手堅い作りだ。電源回路は8+2+1フェーズ。
Mini-ITXサイズながら10+1+1フェーズの堅牢な電源回路を持つゲーミングマザー。USBマウスやキーボードの通信を安定させるLIGHTNING GAMING PORTS、ゲーミング特化型のNahimic Audioなどゲーム向けの機能が充実している。
サイズもスペックも充実の7モデルASUS
ASUSのB850/B840マザーは、ゲーミング性能追求のROG STRIX、高耐久のTUF GAMING、スタンダードのPRIME、とアッパーミドル~エントリー層で展開。ホワイトカラーやmicroATX、Mini-ITXもありと、カラーリングやサイズの選択肢が幅広く、予算や目的に合わせたマザーボードを見つけやすい。
すべてのモデルでWi-Fiを備えており、バックパネルカバーも一体型のタイプを採用している。さらにROG STRIXとTUF GAMINGでは、パーツの着脱を簡単にするQ-Designを積極的に取り入れているのも特徴だ。
16+2+2フェーズで80A SPSの強力な電源回路を備え、M.2スロットは4基もあり、すべてにヒートシンクを搭載とハイエンド構成にも対応しやすい充実の装備。パーツの取り付けを簡単にするQ-Designも随所に取り入れられている。
B850-F GAMINGのホワイトカラー版だ。M.2スロットすべてのヒートシンク搭載など構成には似ているが、電源回路は14+2+2フェーズの80A SPSという違いがある。拡張スロットまで白というこだわりがポイントだ。
10(70A)+2(70A)+1(80A)フェーズという大規模な電源回路を備えるMini-ITXマザー。2基のM.2スロットはどちらもGen 5対応と小型かつハイスペックのゲーミングPCを目指す人にピッタリだ。Q-Designも数多く採用している。
軍用グレードのコンポーネントを採用する高い耐久性で人気のTUFシリーズ。B850でも同様で14(80A)+2(80A)+1(80A)フェーズの堅牢な電源回路に8層基板と安定重視の設計だ。4本の拡張スロット、3基のM.2スロットと拡張性も高い。
TUF GAMING B850-PLUS WIFIのmicroATX版。コンパクトになりながらも、14(80A)+2(80A)+1(80A)フェーズの大規模な電源回路、3基のM.2スロットはそのままという構成には驚かされる。M.2にはすべてヒートシンク搭載なのもよいところ。
メインストリームのPRIMEシリーズからB840モデルが登場。8+2+1フェーズの電源回路、5本の拡張スロット、3基のM.2スロットと十分なスペックと拡張性が確保されている。ただ、M.2のヒートシンクは1基だけとコスト重視の面もある。
microATXサイズに3基のM.2スロット、3本の拡張スロットを確保、8+2+1フェーズと一般的な用途なら十分な電源回路、2.5Gの有線LAN、Wi-Fi 6Eの無線LANと必要な機能を一通り揃えた手堅い作りが特徴だ。