プロダクトレビュー・ショーケース

Nextorageの小型外付けSSDとiPhone 16 ProでProRes 4K/60fpsビデオ録画してみた

外部SSDとモバイルバッテリーが併用できるガジェットも試す text by 内田 泰仁

 7月に夏休みを取って南の島、サイパンに行ってきたのだが、この渡航のレポートを僚誌「トラベルWatch」に寄稿することになった(掲載された記事はこちら)。記事を書くからにはビジュアル素材も必要なので、旅行中にちょいちょい写真やちょっとした動画を撮影するわけだが、普段使っているスマートフォンがiPhone 16 Proなので、この機会にProResかつ4K/60fpsでの撮影も試してみることにした。

 ProResによる撮影方法や詳しい説明はここでは省略するが、iPhone 16 Proを使ったProRes 4K/60fpsビデオ録画には、書き込み速度220MB/s以上、消費電力が最大4.5Wの外付けストレージが必要だ。条件に見合うSSDとして、Nextorage「NX-P2SE Gシリーズ」の2TBモデル(NX-P2SE2TB/G)を用意できたので、これを使い、ほぼぶっつけ本番で試用してみた。

NX-P2SE Gシリーズの2TBモデル、NX-P2SE2TB/G

iPhone16 Proとすっきり組み合わせられるNextorage NX-P2SE Gシリーズ

 今回使用したNX-P2SE2TB/Gは、最大シーケンシャルライト 1,000MB/s、USBバスパワーで動くため、ProRes 4K/60fps撮影の条件的には問題ない(ProResの条件とは関係ないが、シーケンシャルリードは最大1,050MB/s)。約66×9×40mm、約19gというコンパクトサイズは、旅行に持って行くにも、iPhoneと組み合わせて使うにも文句なしだ。また、今回入手したパッケージに付属するケーブルも、ショートサイズで片側がL字コネクターになっており、スマートフォンやPCとスマートに組み合わせやすい。

インターフェースはUSB 10Gbps(USB 3.2 Gen 2)。今回のパッケージにはケーブル長約16.5cm、片側L字コネクターのUSB Type-Cケーブルが同梱。ちなみに、4TBモデルは若干仕様が異なり、インターフェースはUSB 20Gbps(USB 3.2 Gen 2x2)、シーケンシャルライト最大1,500MB/s、同リード最大1,600MB/sとなる
iPhone 16 Pro(保護ケース併用)とNX-P2SE2TB/Gを付属ケーブルで接続するとこんな感じになる。SSD自体が軽量なので、両方をまとめて片手で持ってもさほど苦はない
iPhone 16 ProにNX-P2SE2TB/Gを接続し、標準のカメラアプリの「ビデオ」に切り替えると、ProResによる録画が可能になる。今回は4K/60fpsで撮影してみた

 ProRes 4K/60fpsで録画できるようになったので、さっそく海岸沿いの散歩に出かけながらカメラを回してみた。南の島ではあったものの、ときおり小雨が降る冴えない天候で気温は30℃前後(湿度は高め)、録画時間は長くて5分程度だったため、iPhone 16 Pro本体、SSDともに温度が気になるほど上昇している様子も感じられなかった。Premiere Proで録画したファイルを確認してみたところ、データ的にも致命的な欠落はなかった。

海岸沿いにカメラを回しながら散歩。直前まで豪雨で撮影時は曇天、海の青さもイマイチと残念な天候ではあったが、同時期の東京よりも気温は低く過ごしやすかった。南の彼方、サイパンより暑い東京って……
テスト録画した動画ファイルの情報をPremiere Proで確認してみたが、コマ落ちは発生しなかった。60fpsなら悠々といったところだろう。120fpsに関しては今回テストしなかった

 ただ、電池の消耗の速さはそれなりに気になる。厳密にデータを取っていなかったのだが、GPSも使った地図の確認やWebでの調べものなどを挟みつつ、散歩しながら2~5分くらい録画を合計20分程度していたところでバッテリーは3割弱減っていた。この日は日中外出の予定だったので、ちょっとバッテリーは心もとない。

 今回のように、散歩しながらちょっと撮影するレベルならともかく、本格的にiPhoneで動画撮影を行おうということなら、電源の確保と高速SSDの両立は必須。そこで併用したいのが「NX-PDPA1 PDPアダプター」だ。これは、USB PDとDisplayPort 1.4映像出力に対応したUSBハブ的なデバイスで、スマートフォンで外付けSSDや外部ディスプレイを使いながら充電も同時にできるというコンパクトなアダプターだ。

NX-PDPA1 PDPアダプター。販売価格は6,980円(Amazon.co.jpと楽天市場のNextorageダイレクトショップにて)

 NX-PDPA1 PDPアダプターにはType-Cのオスコネクターが1基、メスコネクターが2基(1基はデータ用、もう1基は充電器用で100WのUSB PD入力対応)を装備。各USBの仕様はUSB 20Gbps、DisplayPort 1.4、USB Power Delivery 3.0。

PDPアダプターのUSBコネクター。Type-Cオスが1基、データ用(SSDおよびDisplayPort)のメスが1基、USB PD 100W対応充電用のメスが1基。USB PD対応機器を2台接続したときは、先に接続した機器がUSB PD給電に、後からつないだデバイスは5V給電になる

 Nextorageでは主な接続例として、

  • スマートフォン/モバイルPC+外付けSSD+USB電源
  • スマートフォン/モバイルPC+外部ディスプレイ+USB電源
  • モバイルPC+HDMIワイヤレスアダプター経由外部ディスプレイ+USB電源

などを挙げている。今回のように、外出中にモバイルバッテリーでiPhoneを充電しながらProRes 4K/60fps録画するのにはもってこいだ。実際にセッティングするとこんな感じになる。

各機器を接続してみた。iPhoneとSSD+PDPアダプターは手持ち、1.5mのUSBケーブルでつないだモバイルバッテリーはズボンのポケットに入れて、というスタイルで使用した

 SSD自体もPDPアダプターもかなりコンパクトなのでさほど邪魔ということもない。本格的に撮影するなら、ここからリグを組んだりジンバルを併用したり、という使い方になるが、使うケーブル次第で上手くまとめられそうだ

 そこまでのシステム化はせずにもうちょっとスマートにまとめようということなら、Nextorage純正アイテムの専用MagSafe対応ケースがオススメだ。レザー調のケースで、NX-P2SE系の外付けSSDとPDPアダプターを直結した状態でピッタリ収納できる。

NX-PDPA1MC PDPアダプター専用MagSafe対応ケース。販売価格は3,980円

 PDPアダプターのUSBコネクター部分に合わせた位置にケーブル用の穴が設けられており、ケースに収納したままiPhoneとUSB電源に接続できる。名前にあるようにMagSafeに対応しており、iPhoneの背面に磁力で固定することが可能。無理なくスマートにiPhone、外付けSSD、PDPアダプターを一体にして持ち運べるようになる。

PDPアダプター専用MagSafe対応ケースを使ってiPhone 16 Pro(MagSafe対応ケース併用)に機材をまとめてみた。この組み合わせの場合、専用MagSafe対応ケースのお尻が1.5cmほどはみ出るが、MagSafeによる固定には問題なし。iPhone 16 Pro Maxだとツライチになるサイズ感のようだ

 前述のとおりSSD+PDPアダプター自体がコンパクトなのでサイズ的には片手で悠々撮影できるのだが、そのままだと「どうやって持とうかな?」とちょっと悩むこともある。この専用ケースに入れてMagSafeで固定してしまえば、かなりスマートにまとまるので、そういったことはほとんどなくなる。

 より長時間撮影したときに発熱や冷却がどうなるかまでは今回の試用では判断できなかったが、そういった、より本格的な使用ということになると、リグなりジンバルなりを使うことが視野に入る。この場合は、また違った持ち方を考えるべきなのではないだろうか。

磁力による固定ではあるが強度は十分で、撮影しながら歩いていても特に保持に不安があるようなことはなかった。また、熱による撮影の停止などは、散歩しながら最大5分程度×複数回のテスト撮影では発生しなかった。なお、後日ファイルを確認した際にも、コマ落ちの発生は確認されなかった

 今回は出先での簡単な試用ということで、条件を整備しての厳密な温度管理や速度計測などまでは行わなかったが、少なくとも今回の環境と気候条件では大きな問題は発生しなかった。これなら、ホビーユースレベルであれば十分“使える”と考えてよさそうだ(そのレベルにProRes 4K/60fpsはオーバースペックかもしれないが、せっかくなら高画質に記録したい……ですよね?)。

 プロユースを考えるならより追い込んで見極めたいところではあるが、それはひとまずまたの機会ということで。弊誌の記事や企画で動画を“小規模に”回すことがあれば、改めて実戦投入してみようと思う。

製品ページで紹介されているセットアップ例