プロダクトレビュー・ショーケース
Nextorageの小型外付けSSDとiPhone 16 ProでProRes 4K/60fpsビデオ録画してみた
外部SSDとモバイルバッテリーが併用できるガジェットも試す text by 内田 泰仁
2025年8月15日 00:00
7月に夏休みを取って南の島、サイパンに行ってきたのだが、この渡航のレポートを僚誌「トラベルWatch」に寄稿することになった(掲載された記事はこちら)。記事を書くからにはビジュアル素材も必要なので、旅行中にちょいちょい写真やちょっとした動画を撮影するわけだが、普段使っているスマートフォンがiPhone 16 Proなので、この機会にProResかつ4K/60fpsでの撮影も試してみることにした。
ProResによる撮影方法や詳しい説明はここでは省略するが、iPhone 16 Proを使ったProRes 4K/60fpsビデオ録画には、書き込み速度220MB/s以上、消費電力が最大4.5Wの外付けストレージが必要だ。条件に見合うSSDとして、Nextorage「NX-P2SE Gシリーズ」の2TBモデル(NX-P2SE2TB/G)を用意できたので、これを使い、ほぼぶっつけ本番で試用してみた。
iPhone16 Proとすっきり組み合わせられるNextorage NX-P2SE Gシリーズ
今回使用したNX-P2SE2TB/Gは、最大シーケンシャルライト 1,000MB/s、USBバスパワーで動くため、ProRes 4K/60fps撮影の条件的には問題ない(ProResの条件とは関係ないが、シーケンシャルリードは最大1,050MB/s)。約66×9×40mm、約19gというコンパクトサイズは、旅行に持って行くにも、iPhoneと組み合わせて使うにも文句なしだ。また、今回入手したパッケージに付属するケーブルも、ショートサイズで片側がL字コネクターになっており、スマートフォンやPCとスマートに組み合わせやすい。
ProRes 4K/60fpsで録画できるようになったので、さっそく海岸沿いの散歩に出かけながらカメラを回してみた。南の島ではあったものの、ときおり小雨が降る冴えない天候で気温は30℃前後(湿度は高め)、録画時間は長くて5分程度だったため、iPhone 16 Pro本体、SSDともに温度が気になるほど上昇している様子も感じられなかった。Premiere Proで録画したファイルを確認してみたところ、データ的にも致命的な欠落はなかった。
ただ、電池の消耗の速さはそれなりに気になる。厳密にデータを取っていなかったのだが、GPSも使った地図の確認やWebでの調べものなどを挟みつつ、散歩しながら2~5分くらい録画を合計20分程度していたところでバッテリーは3割弱減っていた。この日は日中外出の予定だったので、ちょっとバッテリーは心もとない。
今回のように、散歩しながらちょっと撮影するレベルならともかく、本格的にiPhoneで動画撮影を行おうということなら、電源の確保と高速SSDの両立は必須。そこで併用したいのが「NX-PDPA1 PDPアダプター」だ。これは、USB PDとDisplayPort 1.4映像出力に対応したUSBハブ的なデバイスで、スマートフォンで外付けSSDや外部ディスプレイを使いながら充電も同時にできるというコンパクトなアダプターだ。
NX-PDPA1 PDPアダプターにはType-Cのオスコネクターが1基、メスコネクターが2基(1基はデータ用、もう1基は充電器用で100WのUSB PD入力対応)を装備。各USBの仕様はUSB 20Gbps、DisplayPort 1.4、USB Power Delivery 3.0。
Nextorageでは主な接続例として、
- スマートフォン/モバイルPC+外付けSSD+USB電源
- スマートフォン/モバイルPC+外部ディスプレイ+USB電源
- モバイルPC+HDMIワイヤレスアダプター経由外部ディスプレイ+USB電源
などを挙げている。今回のように、外出中にモバイルバッテリーでiPhoneを充電しながらProRes 4K/60fps録画するのにはもってこいだ。実際にセッティングするとこんな感じになる。
SSD自体もPDPアダプターもかなりコンパクトなのでさほど邪魔ということもない。本格的に撮影するなら、ここからリグを組んだりジンバルを併用したり、という使い方になるが、使うケーブル次第で上手くまとめられそうだ
そこまでのシステム化はせずにもうちょっとスマートにまとめようということなら、Nextorage純正アイテムの専用MagSafe対応ケースがオススメだ。レザー調のケースで、NX-P2SE系の外付けSSDとPDPアダプターを直結した状態でピッタリ収納できる。
PDPアダプターのUSBコネクター部分に合わせた位置にケーブル用の穴が設けられており、ケースに収納したままiPhoneとUSB電源に接続できる。名前にあるようにMagSafeに対応しており、iPhoneの背面に磁力で固定することが可能。無理なくスマートにiPhone、外付けSSD、PDPアダプターを一体にして持ち運べるようになる。
前述のとおりSSD+PDPアダプター自体がコンパクトなのでサイズ的には片手で悠々撮影できるのだが、そのままだと「どうやって持とうかな?」とちょっと悩むこともある。この専用ケースに入れてMagSafeで固定してしまえば、かなりスマートにまとまるので、そういったことはほとんどなくなる。
より長時間撮影したときに発熱や冷却がどうなるかまでは今回の試用では判断できなかったが、そういった、より本格的な使用ということになると、リグなりジンバルなりを使うことが視野に入る。この場合は、また違った持ち方を考えるべきなのではないだろうか。
今回は出先での簡単な試用ということで、条件を整備しての厳密な温度管理や速度計測などまでは行わなかったが、少なくとも今回の環境と気候条件では大きな問題は発生しなかった。これなら、ホビーユースレベルであれば十分“使える”と考えてよさそうだ(そのレベルにProRes 4K/60fpsはオーバースペックかもしれないが、せっかくなら高画質に記録したい……ですよね?)。
プロユースを考えるならより追い込んで見極めたいところではあるが、それはひとまずまたの機会ということで。弊誌の記事や企画で動画を“小規模に”回すことがあれば、改めて実戦投入してみようと思う。
