PCパーツ名勝負数え歌

4K+160Hzで5万円台を実現する新顔、Titan Army製ゲーミングモニターが登場!低価格でも実力はホンモノか!?

サイズは27型、HDRも対応「P27H2V」レビュー text by 芹澤 正芳

 ウィー! どうも芹澤正芳です。「PCパーツ名勝負数え歌」の第5戦は中国のゲーミングモニターブランド「Titan Army」が日本に上陸! ということで、さっそく勝負を挑みたい。

 性能と価格競争の激しいゲーミングモニターだが、Titan Armyは24.5型/フルHD/180Hzで直販価格19,800円など、低価格&高性能をウリにした4モデルを日本市場に投入。今回は27型で4K解像度、リフレッシュレート160HzでHDRにも対応というスペックで5万円台を実現した「P27H2V」にスポットを当てよう。4Kゲーミングを楽しむモニターとしてどうなのか、真っ向勝負といきたい。

4K/160Hzのゲーミングモニターで最安値クラス

 P27H2Vの強みは、何と言っても価格性能比に優れていることだろう。4K解像度、リフレッシュレート160Hzに当てはまるゲーミングモニターは、低価格のものであっても7万円前後。そこに5万円台で切り込んできた。いきなりタイトルマッチもこなせる大型新人が現われたと言ってもよいだろう。4Kで高リフレッシュレートのゲーミングモニターを求めているなら、どうしたって気になる存在だ。

Titan ArmyのP27H2V。販売代理店のリンクスインターナショナルによる直販価格は58,600円

 改めてスペックを整理しておこう。P27H2Vは4K解像度で、ゲーミングモニターとして重要となるリフレッシュレートは160Hz(1秒間に160回の画面描き変えが可能)。4Kでは144Hzが主流なので、ちょっとでもなめらかな描画を求めてるならここはポイントに感じるハズだ。パネルは「FAST IPS」で、sRGBカバー率100%、DCI-P3カバー率97.5%という広色域を実現している。応答速度は通常時5ms、GTG時1msでこちらも十分高速だ。

 HDRにも対応。輝度が300nitsなので、400nits以上が必要となるDisplayHDR認証は取得していないが、HDRの映像コンテンツやサイバーパンク2077、スカルアンドボーンズなど、HDR対応ゲームをより明暗を効かせて楽しめるのはうれしいところ。

 ディスプレイとビデオカードのフレームレートを同期させて画面ズレを起こすテアリングやカクつきのスタッタリングを防ぐVRR(可変リフレッシュレート)として、Adaptive Syncに対応。筆者が試す限り、GeForceでG-SYNCを有効化できるのは確認できた。

27型で4K解像度。IPSパネルということもあり、視野角は上下左右とも178℃と非常に広い
60倍の顕微鏡で撮影。画素がIPSパネル特有の「くの字形」になっているのが確認できた
リフレッシュレートはスペック上ではDisplayPortが160Hz、HDMIが144Hzとなっているが、筆者が試したところHDMIでも160Hzに設定が可能だった
VRRとしてAdaptive Syncに対応。G-SYNCを有効化できるのは確認した
HDRもサポート。画面はサイバーパンク2077だ。光が射し込むような場面ではHDRによる明暗の効果を感じやすい
なお、HDR有効時はOSDメニューで「HDR標準」に設定しないと白飛びしたような画面になってしまうので注意

 本体のサイズは幅619mm×奥行き220mm×高さ510.2mmで重量は約5.8kg(スタンド含む)だ。27型としてはそれほど重たくはないので、設置に苦労することはないだろう。

ゲーミング系機能は揃っているがブレ防止がないのは惜しい

 背面にあるスティック状のキーから各種設定を行うためのOSDメニューを呼び出せる。暗部を明るくできる「シャドウバランス」、画面中央にFPS/TPSでの照準を補助するマークを出す「ゲームクロスヘア」、RTS/RPG、FPS、MOBAとゲームジャンルにマッチした輝度とコントラストを調整できるプリセットを用意など、ゲーミング液晶ではおなじみの機能を揃えている。

ゲームモードとして3種類のジャンルを用意。それぞれのゲームに適した色合いに調整される

 それだけにアンチモーションブラーなどと呼ばれるフレーム間に黒色や赤色を挿入して残像感を軽減する機能がないのは残念なところ。応答速度は標準で「高速」に設定されているが、オーバーシュート(明る過ぎたり、暗過ぎる色が出力される現象)に起因すると見られる残像感があるためだ。

 応答速度を「オフ」設定にすればオーバーシュートは軽減できるが、今度は応答速度が低下したことによる残像感が発生してしまう。リフレッシュレートが160Hzだと画面更新が非常に高速となるため、残像感対策は何かしらほしいところだ。コスパ重視のモデルにそこまで求めるのは酷だとは思うが。

画面の中央に照準を表示される「ゲームクロスヘア」。照準は複数の種類が用意されている
パネルの左右下部には青色LEDを内蔵とゲーミング液晶らしい部分も。LEDはONとOFFだけで色やパターンの変更はできない

PS5のVRRや120Hz駆動もサポート

 映像の入力はHDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4×1の3系統を搭載しており、複数のデバイスも接続しやすい。HDMI 2.1ということもあり、PS5の120Hz駆動やVRRを4K解像度で利用可能だ。PS5のフル機能を活用したい人にとっても有効なモニターと言える。なお、スピーカーは搭載していないが、オーディオ出力は背面に用意されている。

映像入力はHDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4×1の3系統。オーディオ出力も背面にある
画面を2分割して2系統の映像を同時に表示するPBPやメイン画面の隅にサブ画面を小さく表示するPIP機能も備える
PS5の120Hz駆動やVRRの利用も可能だ

 スタンドの機能は高さ調整(105±5mmの間)とチルト(下方向-5℃、上方向+13℃)に対応。スイベルとピボットは備わっていない。価格から考えると十分だろう。台座は広めなので奥行きはあるが、その分、安定感はバツグンだ。

 スタンドの取り付け部分は付属の専用ネジを取り付けることで、VESA75規格に対応できるのでモニターアームも利用も可能。電源は内蔵型ではなく、65WのACアダプターが採用されている。

スタンドは高さ調整とチルトに対応している
スタンドの台座は大きめで安定感は高い
電源は65W出力のACアダプターを採用

突出した部分はないが4Kゲーミングの入門機としてはアリ

 HDRには対応しているが輝度のスペック的にDisplayHDR認証はなし、残像感の軽減機能は備えておらず、付属する映像ケーブルもDisplayPortだけ、スピーカーは非搭載とコストを抑えているなと思うポイントはあるが、それでも4K解像度で160Hzの高リフレッシュレート、DCI-P3カバー率97.5%の広色域を持ちながら5万円台は圧倒的な価格性能比のよさ。デスクに置きやすい27型サイズの4Kゲーミングモニターを求めているなら、選択肢として検討する価値は十分ある。

 試用前はギラギラの大型新人と思ったが、評価後はタイトル戦線にはあまり絡まないがファンを魅了する試合をキッチリと作る後藤達俊やヒロ斎藤のようないぶし銀レスラーという印象に変化した。Titan Armyが今後どのようなモニターを出すのか楽しみだ。