PCパーツ名勝負数え歌
Intel APOを使えば13/12世代Coreも無料でゲームのフレームレートが伸びる!? だったら使わない手はないでしょ!!
【第7戦】Core i9-13900K/12900KでIntel Application Optimizationを試す text by 芹澤 正芳
2024年5月29日 10:05
ウィー! どうも芹澤正芳です。「PCパーツ名勝負数え歌」の第7戦は、Intelの第14世代Coreのうち上位モデルだけで利用可能だった最適化機能「APO」(Application Optimization)が2023年3月から第13/12世代Coreにも拡大! さらには対応ゲームも増加! ということで、Core i9-14900K/13900K/12900Kと3世代のCPUを用意し、APOと勝負を挑みたいと思う。APOは無料で対応ゲームのフレームレートをアップさせられる機能。その効果が確かなら、使ってみたいと思う人も多いハズだ。今回は導入方法も合わせて解説していこう。さて、勝負の行方はどうなるか?
第13/12世代CoreでAPOを使うにはマザーの対応が必要
まずは、「APO」についておさらいしておこう。Intelでは第12世代CoreからPコアとEコアを組み合わせたハイブリッド・アーキテクチャーを採用しているが、コアの使い方をより最適化したのが「APO」だ。具体的には、対応ゲームにおいて処理をパフォーマンス重視のPコアに集中させることで、フレームレートを向上させる。
APOは当初、第14世代のCore i9-14900K/KF、Core i7-14700K/KFだけで利用でき、対応ゲームは、
- メトロ エクソダス
- レインボーシックス シージ
だけと限定的で、正直使いどころが微妙すぎた。しかし時間が経ち、2024年5月中旬の原稿執筆時点では以下のタイトルが追加されている。
- ファイナルファンタジーXIV
- Red Dead Redemption 2
- World of Tanks
- Dreams Three Kingdoms 2 (PRC)
- F1 22
- Guardians of the Galaxy
- Serious Sam 4 (VLK)
- Strange Brigade (VLK)
- ウォッチドッグス レギオ
- World War Z
- Dirt 5
- World of Warcraft
さらに、APOの要件も拡充され、対応CPUが第12世代Core以降のデスクトップおよびモバイルのi9/i7/i5とかなり広くなった。ただし、Intelが検証済みとするCPUは、Core i9-14900KS/K/KF/HX、Core i7-14700K/KF/HXだけ。それ以外のCPUをAPOに対応させるかは、マザーボードやPCメーカーに委ねられている。
また、原稿執筆段階ではAPOを有効化させるにはPコアが6基以上必要としている。Intelでは“現時点では”としているので、今後Pコアが6基以下のCPUにも対応が広がる可能性はありそうだ。対応ゲームの増加と合わせて期待したいところだ。
それではまずは使い方を見てみよう。本稿では“自作PCにおける第13/12世代CoreでAPOを使う方法”を紹介していく。一番大事なのは、マザーボードが対応UEFIを出していること。各メーカーとも対応を進めているので、手持ちのマザーボードが対応しているかをまずチェック。APOを使うための基本的な流れは以下のとおりだ。対応OSはWindows 11だけという点も気を付けたい。
- 第13/12世代CoreでAPOを使うことができるUEFIバージョンの適用
↓ - UEFIでIntel Dynamic Tuning Technologyを有効化
↓ - Windows 11上でIntel Dynamic Tuning Technology(DTT)ドライバーをインストール
↓ - Microsoft StoreからIntel Application Optimizationアプリをインストール
↓ - Intel Application OptimizationアプリでAPOを有効化
参考としてCPUにCore i9-13900K、マザーボードにASRockのZ790 Nova WiFiを使った場合の有効化手順を紹介しよう。
ポイントはApplication Optimizationアプリの設定だ。第14世代Coreでは、Advance Modeにチェックを入れなくてもAPOは利用できるが、第13/12世代Coreではチェックを入れないとAPOが有効にならない。ちなみに、IntelではAdvance Modeではパフォーマンスが低下する可能性があるとしている。その辺りも含めて、検証結果に注目してほしい。
Core i9-14900K/13900K/12900Kで対応ゲーム3本勝負!
さて、性能チェックに移ろう。テスト環境は以下のとおりだ。CPUのパワーリミットは、Core i9-14900K/13900KはPL1=PL2=253W、Core i9-12900KはPL1=PL2=241Wとした。
CPU | Intel Core i9-14900K(24コア32スレッド)、 Intel Core i9-13900K(24コア32スレッド)、 Intel Core i9-12900K(16コア24スレッド) |
マザーボード | ASRock Z790 Nova WiFi(Intel Z790) |
メモリ | Micron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5 (PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2) |
ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition |
システムSSD | Western Digital WD_BLACK SN850 NVMe WDS200T1X0E-00AFY0(PCI Express 4.0 x4、2TB) |
CPUクーラー | Corsair iCUE H150i RGB PRO XT (簡易水冷、36cmクラス) |
電源 | Super Flower LEADEX V G130X 1000W (1,000W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 11 Pro(23H2) |
今回は対応ゲームから、メトロ エクソダス、F1 22、ウォッチドッグス レギオンを用意した。それぞれゲーム内のベンチマーク機能を利用してフレームレートを測定した。フルHD、WQHD、4Kでの平均値を掲載する。
メトロ エクソダスは初期からAPOに対応するタイトルだけあって、どのCPUでもWQHDまでは確かな効果を確認できた。フルHDでは、20~30%もフレームレートがアップ。導入する価値は十分アリと言ってよいだろう。4Kがほとんど変わらないのは、GeForce RTX 4080 SUPERを持ってしてもGPUの性能限界にぶつかり、CPU性能の影響が出にくくなっているためだ。
その一方で、F1 22はCore i9-14900KではWQHDまでフレームレートの向上を確認できるが、Core i9-13900K/12900Kでははっきりとした効果は見られなかった。12900KのフルHDではフレームレートが低下したほどだ。Intelの「パフォーマンスが低下する可能性がある」という事例に当てはまるタイトルと言える。
ウォッチドッグス レギオンは、どのCPUでもWQHDまでフレームレートの向上を確認できた。ただ、フルHDで見るとCore i9-14900Kは約13%アップなのに対して、13900Kは約6%のアップ、12900Kは約8%のアップと効果は弱かった。APOは、現段階では第14世代Coreでもっとも効果を発揮する機能という認識でよさそうだ。
上位CPUをより輝かせる機能! 対応タイトル増加を期待
UEFIのアップデートが必要というハードルはあるものの、Pコアを6基以上備える第13/12世代CoreのCPUを使っている人が、無料でゲームのフレームレートを向上させられる機能として魅力があるのは間違いない。
プレイするゲームが対応していれば、試す価値は十分ある。上位CPUをより輝かせるグレイトな存在という点で、武藤敬司の名タッグパートナーだったころの馳浩を思い浮かべた筆者なのであった。APOは対応タイトルがもっと増えれば、より輝く機能になるハズだ。