PCパーツ名勝負数え歌
再販がスタート!?GeForce RTX 3060は今でもゲームやAIで通用するのか、時を経て改めてテストする
【第21戦】RTX 4060/5050と実ゲームやAI処理で真っ向勝負 text by 芹澤 正芳
2026年6月29日 10:00
ウィー! どうも芹澤正芳です。「PCパーツ名勝負数え歌」の第21戦は“復活!? GeForce RTX 3060の性能を改めて確かめる”だ。2021年に登場したRTX 3060だが、ニュースでも伝えられているとおり、2026年の6月に再び入荷が確認された。気分としては引退から電撃復帰したブロック・レスナーを見ているようだ。
2世代前のミドルレンジGPUは現在でも通用するのか。RTX 4060/5050を交えてテストしていく。
復活の噂は以前から。なぜかつての人気GPUはカムバックしたのか
今回、再入荷が確認されたのはGeForce RTX 3060のビデオメモリ12GB版だ。Ampere世代のミドルレンジGPUで、CUDAコア数は3,584基、メモリは12GB GDDR6、メモリバス幅は192bitとなる。ミドルレンジとしてはビデオメモリ量が多いことから、生成AIの入門用GPUとしてロングセラーになっていたのを覚えている人も多いだろう。
なぜ今頃RTX 3060なのか。これはいくつか推測できる。RTX 40/50シリーズのミドルレンジはビデオメモリが8GB中心で、手頃な価格で大容量ビデオメモリを搭載するモデルが手薄になっている。そして、RTX 40/50シリーズは同じTSMCの4Nプロセスで製造されているので、あえてRTX 40シリーズをわざわざ再生産する意義が薄く、それならRTX 50シリーズを作ろうと考えるのが自然だ。一方のRTX 30シリーズはSamsungの8nmプロセス。現時点では最先端プロセスではないため、多少は製造しやすい可能性がある、という見方もできる。
まずは、RTX 3060/4060/5050のスペックと対応するDLSSの技術を確かめておこう。この世代間では、単純なスペックよりもフレーム生成など技術的な発展が大きいからだ。
| GPU名 | RTX 3060(12GB) | RTX 4060 | RTX 5050 |
| アーキテクチャー | Ampere | Ada Lovelace | Blackwell |
| CUDAコア数 | 3,584 | 3,072 | 2,560 |
| ベースクロック | 1,320MHz | 1,830MHz | 2,317MHz |
| ブーストクロック | 1,777MHz | 2,460MHz | 2,572MHz |
| メモリサイズ | GDDR6 12GB | GDDR6 8GB | GDDR6 8GB |
| メモリバス幅 | 192bit | 128bit | 128bit |
| DLSS | 第2世代 | 第3世代 | 第4世代 |
| NVENC | 第7世代 | 第8世代 | 第9世代 |
| カード電力 (W) | 170 | 115 | 130 |
| 実売価格(2026年6月末) | 6万円前後 | ※新品は入手困難 | 5万5,000円前後 |
CUDAコア数やビデオメモリ容量を見ればRTX 3060は強いように見えるが、アーキテクチャーは2世代前。RTX 4060/5050のほうが電力効率、レイトレーシング性能、AI性能とも大きく向上している。一部ゲームやAI処理においてビデオメモリ量が効くシーンは存在するだろうが、基本性能ではRTX 4060/5050にはおよばない。
2026年現在で考えると、対応するDLSSの機能が異なるところが大きなポイントだ。RTX 3060はSuper Resolutionにこそ対応するものの、フレーム生成には非対応。DLSSのフレーム生成対応ゲームにおいて、フレームレートを大きく伸ばせないのは厳しいところだ。RTX 4060はフレーム生成には対応するが、マルチフレーム生成、ダイナミックマルチフレーム生成には非対応。RTX 5050はエントリークラスだが、これら技術をフルに使えるのは強みと言える。
| RTX 30シリーズ | RTX 40シリーズ | RTX 50シリーズ | |
| ダイナミックマルチフレーム生成 | × | × | ○ |
| マルチフレーム生成 | × | × | ○ |
| フレーム生成 | × | ○ | ○ |
| レイ再構築(Ray Reconstruction) | ○ | ○ | ○ |
| 超解像(Super Resolution) | ○ | ○ | ○ |
| ディープラーニング アンチエイリアス (DLAA) | ○ | ○ | ○ |
そして判断を難しくしているのは価格だ。2026年6月末の原稿執筆時点で、久しぶりに入荷したRTX 3060は6万円前後。これは2021年の発売当初とほぼ変わらない価格なのだ。昨今のメモリ高騰を考えれば仕方ないところだが……。一方でRTX 5050は5万5,000円前後が中心でモデルによっては5万円を切る。RTX 4060は新品についてはほぼ市場から消えているが、中古は5万3,000円前後が中心。2世代前ながらビデオメモリ12GBを備えるGPUにどこまで価値を見いだすかがポイントになる。そこを含めて後半ではベンチを見ていこう。
2世代前のGPUはゲーミングでどこまでがんばれるのか
さて、性能チェックに移ろう。テスト環境は以下のとおりで、予算を抑えた構成を意識してAM4ベースでまとめてみた。ドライバは「Game Ready 610.62」を使用している。
| CPU | AMD Ryzen 7 5700X(8コア16スレッド) |
| マザーボード | MSI MPG B550 GAMING PLUS(AMD B550) |
| メモリ | Micron Crucial DDR4 Pro CP2K16G4DFRA32A (PC4-25600 DDR4 SDRAM 16GB×2) |
| システムSSD | Micron Crucial P3 Plus CT2000P3PSSD8JP (PCI Express 4.0 x4、2TB) |
| CPUクーラー | Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、36cmクラス) |
| 電源 | Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold) |
| OS | Windows 11 Pro(25H2) |
ビデオカードについては、下記の製品を使用した。RTX 3060に関しては、当初発売された頃のスタンダードな製品として用意したものであり、今回再出荷されたモデルというわけではない。あくまでも「RTX 3060はこういう性能」ということを見るための一例、ととらえていただきたい。
| GeForce RTX 3060 | ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC |
| GeForce RTX 4060 | MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC |
| GeForce RTX 5050 | MSI GeForce RTX 5050 8G VENTUS 2X OC |
まずは、3D性能を測定する定番ベンチマークの「3DMark」から見ていこう。

CUDAコア数やビデオメモリ量では上回るRTX 3060が、ほかのGPUよりも2割以上スコアを落とす結果になった。世代が変わると基本性能にも大きな差が出ることが分かる結果だ。ミドルレンジのRTX 4060とエントリーのRTX 5050がきわめて近いスコアになっているのも世代差が見える部分。
続いて、実ゲームだ。まずはDLSSに対応しないゲームとしてApex Legendsを試そう。これもゲームに対する基本性能差が見えるはずだ。射撃訓練場の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定している。

ここでも性能差は明らかだ。特に負荷が高くなるWQHD解像度では、RTX 4060/5050に比べて半分近くのフレームレートになってしまった。とはいえ、遊べないほど低fpsというわけではなく、フルHDであれば手頃な価格のゲーミングモニターでの快適なプレイも可能なレベルではある。
続いて、DLSSのマルチフレーム生成に対応するタイトルとして「バトルフィールド6」と「Forza Horizon 6」を用意した。RTX 3060はフレーム生成が使えないので、DLSSはSuper Resolutionのみ適用。RTX 4060はそれに加えてフレーム生成(1フレームにつき1フレーム生成)に対応、RTX 5050はマルチフレーム生成(ここでは1フレームにつき3フレーム生成)に対応という違いが出る。
バトルフィールド6はローカルでホストを作成して一定コースを移動した際のフレームレート、Forza Horizon 6はゲーム内ベンチマークを実行した際のフレームレートをそれぞれCapFrameXで測定している。


注目はForza Horizon 6だろう。フレーム生成のないRTX 3060では最高画質設定だとフルHDでも平均42.3fpsと快適とは言い難いフレームレートになっている。その一方でRTX 5050はマルチフレーム生成を使えることもあって、平均94.9fpsを出した。シングルのフレーム生成しか利用できないRTX 4060をも大きく上回っている。バトルフィールド6もForza Horizon 6ほどではないが同じ傾向だ。
最後はサイバーパンク2077だ。このゲームはDLSSのSuper Resolutionと同時にFSRによるフレーム生成を使えるのがポイント。FSRはAMDの技術だがNVIDIA GPUでも利用できるため、RTX 3060でもフレーム生成を利用できる点に注目したい。ゲーム内ベンチマーク機能を実行した際のフレームレートをCapFrameXで測定している。

FSRによるフレーム生成を利用してもRTX 3060ではRTX 4060にはおよばない。12GBのビデオメモリがあっても、以前の世代の性能ではなかなか厳しいという現実が見えてくる。では、4K解像度も試せばと思うかもしれないが、ミドルレンジの性能では12GBのビデオメモリがあっても4Kでゲームを快適にプレイするのはかなり難しい。そのため今回はテストに含めていない。ただし、そんなRTX 3060でもフルHDに限れば、フレーム生成込みで60fpsをクリアできている。
12GBあればAI処理が活きるのでは!?
続いて、12GBのビデオメモリはAI処理なら活きるのでは、ということで「Procyon AI Text Generation Benchmark」を試そう。4種類のLLMに対し、7つのテキスト生成課題を出し、出力されるトークン生成スピードおよび最初のトークンまでの待ち時間からスコアを算出するベンチマークだ。

ここでは明確にRTX 3060の強さが出た。パラメーター数が大きいLLMほどビデオメモリ量を求める。このテストではLlama-2-13Bがもっともパラメーター数が多く、ビデオメモリが8GBのRTX 4060/5050ではそもそも動いていない。Llama-3.1-8Bでも、ビデオメモリの不足からかRTX 3060が高スコアとなった。ビデオメモリ8GBに収まらないAIモデルをなるべく低価格のビデオカードで動かしたい、という目的には一致する存在だ。
ゲーム用途ではちょっと厳しいがAI用途ならアリか
実売で6万円前後という価格はビデオメモリ12GBを搭載するビデオカードという面だけ見れば低価格の部類だ。AI Text Generation Benchmarkの結果から、10GB以上のビデオメモリを求めるAI処理という点においては意義のある存在と言える。大容量ビデオメモリ搭載のミドルレンジというNVIDIAが手薄となっている部分をしっかり埋めてきたという印象だ。
しかし、ゲーミング性能を見ると2世代前のGPUだけに基本性能、対応するDLSS技術において厳しいと言わざるを得ない。自分がビデオカードに何を求めているか見極めた上で購入を判断しよう。ゲーム用途だけなら、RTX 5050を購入したほうが幸せになれる。
また、今回の復活に伴って、RTX 3060カードを搭載、もしくはカスタムメニューに追加される“比較的手頃な価格”のBTO PCが登場(または再登場)する可能性も考えられる。基本的な考え方は前述のとおりではあるが、注目すべきはカスタム時の価格や納期だろう。ご自身の用途と合わせてジャッジしていただきたい。






