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128GBもメモリを載せたら、PCはどこまで快適になるのか? 動画や写真編集、VMにゲームまで……
超多コアCPU+大容量メモリは、最強の「ながら作業PC」? text by 坂本はじめ
2017年10月23日 00:01
メモリをストレージとして利用する「RAMディスク」の構築法
大容量メモリの活用と言うと、やはりRAMディスクは外せないだろう。
RAMディスクとは、メインメモリの一部領域をストレージデバイスとして利用するものだ。RAMディスクの作成・管理には専用のRAMディスク作成ソフトを用いる。今回使用しているMSIのマザーボードであれば「MSI RAM Disk」が無料で使用可能だ。また、有料ソフトでは「RAMDA」などが利用できる。
RAMディスクの利点は、高速なDRAMを記憶領域として活用することで、SSDやHDDといった既存のストレージデバイスを凌ぐパフォーマンスが得られる点にある(実測値は下記ベンチマークを参照)。また、DRAMにはフラッシュメモリのように書き換え寿命の心配がないのも利点だ。
こうしたRAMディスクの特性は、一時的なキャッシュや作業データの保管場所として適している。ブラウザのキャッシュファイル置き場や、アプリケーションの作業ドライブとしてRAMディスクを割り当てることで、ストレージ性能のボトルネックを大きく改善できる可能性がある。
ただし、RAMディスクには、DRAMへの電源が遮断されるとデータを保持できない弱点がある。このため、RAMディスク上のデータはPCのシャットダウン前にバックアップしておかなければ消失する。現行のRAMディスク作成ソフトの多くは自動バックアップ機能を備えているが、突然の電源遮断が生じればディスク内のデータが消失するリスクがある点には注意が必要だ。
また、メインメモリの一部領域をストレージとして利用するため、RAMディスクの記憶容量はPCに搭載したメインメモリの容量を超えることは出来ない。また、RAMディスクとして使用中の容量分、利用できるメインメモリの容量が減少してしまう。つまり、RAMディスクの容量を大きくとりたいなら、今回のようにメモリを大量に搭載するのが効果的というわけだ。
写真用途でも活用できるRAMディスク、RAW編集ソフトのレスポンスを改善
デジタル一眼カメラで撮影した高解像度のRAWファイルをJPEGなどの画像ファイルに変換する過程で編集作業を行うRAW編集は、大容量のメモリを必要とする作業だ。とはいえ、128GBのメインメモリがあれば、複数のRAWファイルを開いて編集作業を実施していてもメモリを使いきることは無い。
そこで、せっかくの128GBメモリを生かす手段として、RAWファイルをいったんRAMディスク上に保存してから編集を行うという作業を提案する。
RAWファイルを置く場所をRAMディスクにした場合、データロードに関連したRAWソフトの挙動はSSDと同程度となる。HDDとの差も小さなものに見えるかもしれないが、操作に対するレスポンスが良くなるため、体感的には明らかにRAMディスクやSSDの方が快適に編集作業を行える。
また、SSDとRAMディスクのパフォーマンスは同等だったが、書き換え寿命の心配がないRAMディスクはRAWファイルを一時的に置いておくストレージとして好適だ。編集作業完了後はHDDに保管するという形をとれば、SSDの寿命を消耗することなく快適な作業環境を実現できるだろう。
クリエイティブな用途では、一時的な作業スペースと、最終的な保存先に別々のストレージが要求されることがあるが、一時的な作業スペースにRAMディスクを割り当てることで快適な環境を構築できる。
写真のRAW編集に限らず、ディスクに書き出してみないとわからないようなトライアンドエラーが多い用途であればあるほど効果は大きいので、是非RAMディスクを活用してみて欲しい。
RAMディスクでゲームのロード時間を大幅短縮記録を狙うゲーマーやロードが多発するゲームには効果的
超高速なストレージであるRAMディスクにゲームをインストールすれば、ロード時間を短縮することができる。大作ゲームは数十GBのインストール容量を必要とすることもあるが、128GBのメインメモリならそれを賄える大容量RAMディスクを作成可能だ。
上の表はRAMディスクによるロード時間短縮効果だが、ニーア オートマタやFallout 4では「ロード画面の表示時間」がそれぞれSSDより1秒ほど短縮された。
1回のロードでの差は小さなものだが、6つのシーンを切り替えて実行するFinal Fantasy XIVベンチマークのローディングタイムが、SSDの半分近くまで短縮されていることを見れば、積もり積もれば大きな差となることが分かる。
実際にゲームに効果があるRAMディスクだが、PCの電源を落とすとRAMディスク内のデータが消えるという、ゲームとは非常に相性の悪い特性がある。
RAMディスクの多くは、PCシャットダウンに合わせ自動でデータを保存し、次回起動時に復元する機能などを備えていたりするが、バックアップ先をSSDにしたとしても保存/復元には膨大な時間が必要となため、大容量のゲームなどはあまり現実的でない。
ただし、TAS(Tool-Assisted Speedrun)やRTA(Real Time Attack)などを楽しむプレイヤーなどであれば、数え切れないほどのトライアンドエラーを繰り返すことになるので、ロード時間短縮のためにRAMディスクを活用するのはアリだ。これらの用途でロード時間は無いに越したことはないので、RAMディスクの恩恵を受けることができるだろう。