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128GBもメモリを載せたら、PCはどこまで快適になるのか? 動画や写真編集、VMにゲームまで……
超多コアCPU+大容量メモリは、最強の「ながら作業PC」? text by 坂本はじめ
2017年10月23日 00:01
動画編集には大容量メモリが効果を発揮、リアルタイム処理の時間を大幅延長
おそらく、今回テストした中で最も大容量メモリの恩恵をうけるのが動画編集だ。
高解像度の動画コンテンツに対応し、64bit化された現在の動画編集ソフトは、プレビューの作成などに大量のメモリを使用するため、128GBメモリの真価が発揮される。使用できるメモリが多ければ多いほど長い時間リアルタイム処理で確認できる範囲が広がる。逆にメモリが少なければメモリに展開できる時間分ずつ処理することになるので、快適さに大きく影響がでる部分だ。
AdobeのAfter Effectsなどは特にメモリを積極的に活用するアプリケーションで、使い方次第では128GBのメモリを使い切ることもできるし、割り当てメモリを調整することで他のアプリケーションと同時に実行することも可能だ。
今後、フルHD解像度以上の4Kや8Kといった動画編集を本格的に取り組むつもりなら、128GBというメモリ容量は真面目に検討すべきメモリ容量であると言える。
Adobeの画像・グラフィック系アプリケーションを多重起動しても余裕の容量
画像編集ソフトのデファクトスタンダードとなっているPhotoshopをはじめ、画像やデザインを扱う際にAdobeのアプリケーションを利用する機会は多い。
画像やグラフィックを扱うアプリケーションは、それ単体でもそれなりにメモリを使用するのだが、128GBのメモリ容量があればこれらのソフトを同時に起動させたままにしておくこともできる。
実際にデザインなどを行う際にはPhotoshopとillustratorを行き来することもあり、起動しっぱなしで併用できると便利だ。その際にメモリの取り合いになって処理が重くなることがないのもメリットと言える。
メモリ容量が128GBあれば、Photoshop、illustrator、InDesignと言った各ソフトに32GBずつメモリを割り当てても余裕があり、メモリ容量を気にして各ソフトの同時起動をためらう必要はない。
仮想環境も大容量メモリで快適に、仮想マシンに潤沢なメモリを割り当て
クリエイティブな用途以外にもメモリ容量が活用できるのが仮想環境だ。128GBのメインメモリがあれば、PC上に構築する仮想マシンに潤沢なメモリを供給できる。
仮想マシンのゲストOSにWindows 10を用いて動作させるなら、当然ながらWindows 10をインストールした実機と同様のメモリ容量が欲しいところ。それを複数台同時に稼働となれば、ホスト(実機)に求められるメモリ容量は大きなものになる。
左のスクリーンショットは、16GBのメモリを割り当てた3台の仮想マシンを同時に起動したところ。各仮想マシンのメモリ容量は固定で割り当てているため、ホストOSは16GB×3台で48GB分のメモリを使用している訳だが、メモリの使用率は50%を下回る。同じメモリ構成のマシンの数を倍に増やせるほどの余裕がある。
仮想マシンであっても、割り当てられたメモリ容量が不足すればストレージ上の仮想メモリへのアクセスを行うことになり、パフォーマンスは大きく低下することになる。複数の仮想マシンを同時に稼働させるのであれば、メインメモリの容量が多いに越したことはない。
大容量メモリは、スペックを気にせず使いたいように使えるPCへの第一歩
128GBというメモリ容量があれば、多くのアプリケーションを同時に実行することが可能となる。動画編集などの限られた用途でなければ使い切れないほどのメモリ容量を持つということは、もはやメモリ容量を気にする必要がなくなるということだ。
もちろん、メモリ容量さえ足りていれば、あらゆるアプリケーションを同時に実行できるという訳では無い。だが、ゲームのようにPCの全性能を使い切ろうとするようなものでなければ、多コアCPU + 大容量メモリの環境は、PCの性能を意識すること無く多数のアプリケーションを立ち上げたままで使用できる理想の環境を実現しつつある。
どのように使ってもパフォーマンス発揮する理想のPC環境が実現するまでにはしばらく時間がかかると思うが、メモリに関しては容量を気にすること無く使える環境がDDR4時代の現在で実現できる。16GBモジュールが現実的な価格で入手できる今、128GBとまではいかなくとも、予算の許す限りメモリの大容量化を図ってみてはいかがだろうか。
[制作協力:Crucial]