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SSD換装でゲーミングノートPCを大幅高速化、1TB SSDで大作ゲームも快適に
ノートPCでゲームなら断然SSD、速度が倍になる例も
2018年3月30日 06:05
ゲーミングノートPCの多くのモデルは、コストを抑えるため、小容量SSD + HDD、あるいはHDDのみというストレージ構成の製品が主流だ。
近年、PCゲームはグラフィックスの高品質化に伴い大容量化が著しく、ゲーミングノートPCに複数のゲームをインストールしておくためには、多くの場合HDDを利用せざるを得ない。2.5インチHDDは高速ではないため、ロード時間にかなりの時間を要することもあり、不満を持つユーザーもいるだろう。
そこで、こうした問題を改善する手段として、今回のレビューでは内蔵HDDのSSD換装する方法を紹介する。実際の換装手順と、実ゲームでどれだけパフォーマンスが向上するのかをお届けしよう。
MSI製ゲーミングノートPC「GS40 6QE-024JP」をSSDにアップグレード
今回、ストレージの交換に使用するゲーミングノートPCは、MSI製のゲーミングノートPC「GS40 6QE-024JP」。
14インチサイズのコンパクトな筐体にSkylakeベースの4コア8スレッドCPU「Core i7-6700HQ」と、MaxwellベースのハイエンドGPU「GeForce GTX 970M」を搭載した「GS40 6QE PHANTOM」シリーズの一つだ。
2015年末に発売された製品だが、CPUとGPUの持つ性能は今でも十分に通用する。だが、このモデルのストレージ構成は1TBのHDDのみであり、ストレージの性能面では本体の性能を発揮し切れているとは言えない。これをSSDへの換装で改善しようというのが今回の趣旨だ。
1TB HDDの交換先として用意したのは、6Gbps SATA対応SSD「Crucial MX500」の1TBモデル「CT1000MX500SSD1」。
6Gbps SATA対応SSDとして最高クラスの性能を持っていることも選択理由の一つだが、Crucial MX500シリーズを購入したユーザーはデータ移行ソフトである「Acronis True Image for Crucial」を無料で利用できる点もポイントだ。
Acronis True Image for Crucialは、OSがインストールされているシステムディスクの複製を作成可能なので、GS40 6QE-024JPのようにHDDしか搭載していないPCでも、OSの再インストールなどをすることなくSSDに換装できる。
SSD換装の手順を紹介する前に注意しておくべきなのが、SSDへの換装が「改造」扱いとして保証対象外となる場合が多いことだ。
PCの保証規約はメーカーやモデルによって様々だが、メーカーの製品保証期間内にSSDへの換装を行ってしまうと、保証を失う可能性がある。このため、これから新品のゲーミングノートPCを購入する場合は、HDDをSSDにカスタムして購入する方が無難だろう。
ただ、本製品のように保証期間が既に経過したものや、保証期間が終了しそうなケースであれば、あまり気にする必要は無いだろう。性能に不満を持って使うよりは換装して快適な環境を手に入れた方がベターだ。
なお、MSIのゲーミングノートPCであれば、MSI認定サポート店がアップグレードサービスを受け付けているので、不安なユーザーはこちらを利用するのも良いだろう。代表的な例では、パソコンショップ アークやPCワンズ、パソコンショップドームなどがサービスを受け付けている。
データ移行ソフトを使い簡単に移行、HDDからSSDへの換装手順
それでは、SSDへの換装手順を確認していこう。
今回はデータ移行ソフトのAcronis True Image for Crucialを用い、HDDの内容をSSDに丸ごとバックアップすることを前提として作業を行っていく。
なお、データ移行ソフトで内蔵HDDからSSDにデータを移行するためには、一度SSDをUSBドライブとして外付け化する必要がある。このため、玄人志向の外付けドライブケース「GW2.5CR-U3」を用意した。
性能をウリとしたモデルではないが、USB 3.0対応かつ1,000円以下で購入できるコストパフォーマンスの高さが魅力だ。SSDへの換装後は、取り外したHDDを外付けHDDとして運用する際にも利用できるので、ゲーミングノートPCユーザーなら持っていて損はしないだろう。
今回のSSD換装手順では、まず外付けドライブケースにSSDを搭載し、これをゲーミングノートPCのUSBポートに接続する。これは、データ移行ソフトのAcronis True Image for Crucialの使用条件が「Crucial製のSSDが1台以上PCに接続されていること」となっているためだ。
続いて、データ移行ソフトのAcronis True Image for CrucialのインストーラをCrucialのウェブサイトからダウンロードする。インストール完了後、使用許諾契約に同意すればソフトウェアが利用可能となる。
Acronis True Image for Crucialを起動したら、ツールの「ディスクのクローン作成」を選択して実行する。クローン作成モードは「自動」と「手動」が選択できるが、今回のようにコピー元とコピー先が一台ずつしかない条件では、自動を選んで問題ない。
今回はSSDの方がHDDより若干ながら記憶容量が大きかったため、コピー元のデータをそのまま複製する設定が適用された。これで「実行」をクリックすると、クローンの作成が開始される。
HDDの内容を全てSSDに複製するクローンの作成には時間がかかる。試しにCドライブをデータで320GBほど埋めた状態で実行しみたが、クローン作製には約1時間ほどを要した。1TBがフルに使用されている場合は3時間程度が目安になるだろう。
なお、CドライブがSSD、DドライブがHDDのゲーミングPCの場合は、Dドライブの内容のみを新しいSSDにコピーし、HDDから換装すれば良い。基本的な手順はHDDのみ搭載しているモデルと変わりは無い。
SSDへのクローン作成が完了したら、PCをシャットダウンして、物理的にHDDとSSDを換装する作業に入るのだが、Windows 10では「高速スタートアップ」が有効になっている場合、スタートメニューからのシャットダウンでは完全なシャットダウンにはならない。
あらかじめ高速スタートアップを無効にしておくか、設定メニューの「回復」から「PCの起動をカスタマイズする」の「今すぐ再起動」を実行し、「オプションの選択」から「PCの電源を切る」を選択してシャットダウンしておくと良いだろう。
PCの電源を落としたら電源ケーブルを本体から抜き、バッテリーを取り外してPCへの電力供給を完全に遮断する。分解を行う場合、基本的に電源遮断が最優先だが、今回のPCはバッテリー内蔵型であるため、背面パネル取り外し後にバッテリーを外している。
電源遮断後、HDDを取り外し、同じ箇所にSSDを取り付ける。今回、もともと搭載されていたHDDは9.5mm厚の2.5インチHDDだったため、SSDにはCrucial MX500シリーズの付属品であるスペーサーを取り付けて搭載した。
交換作業完了後、今回のPCではバッテリーとマザーボードを再接続して、背面カバーを取り付けて作業を完了した。電源を入れればPCはSSDに複製されたOSから起動する。
なお、CrucialではSSDの交換手順を動画と画像で紹介する「SSD簡単取り付けツール」や、PDF形式の「取り付けガイド」も公開している。
手順を追って細かく解説してあるので、HDDからSSDへ換装を行う際などは参考にしてみると良いだろう。
2.5インチHDDからSSDへの換装は効果絶大、ゲームは当然OS動作も快適に
さて、無事SSDへの換装を果たしたGS40 6QE-024JP。CrystalDiskMarkの実行結果では、特にランダムアクセスでHDDを圧倒し、PCの再起動を実行した際の時間も大幅に短縮されている。
実際に操作していても操作へのレスポンスが改善していることを体感できるレベルであり、今回の目的であるゲームでのパフォーマンス改善以外の部分でもSSD換装の恩恵は大きい。
SSD換装のゲームへの恩恵をチェックするべく、今回は「FINAL FANTASY XV」「Destiny 2」「Fallout 4」の3タイトルでロード時間の比較を行った。
いずれも数十GBのインストール容量を必要とする重量級のゲームであり、こうしたゲームを複数インストールしようとすると、128GBや256GBのSSDでは容量が不足してしまう。最近の大作ゲームは50~100GBほど容量を必要とするものが多いので、1TBくらいの容量があると長期間の利用も安心だ。
2.5インチHDDからSSDへ換装した効果だが、結果は一目瞭然であり、SSD換装後は1.5~2.2倍の速度でロードを完了している。特に2分近いロード時間を必要としたFINAL FANTASY XVのロード時間を1分弱にまで短縮したインパクトは大きい。
データの読み込み量が大きい大作ゲームほど恩恵を受けやすいと言えるので、RPGなどを遊ぶユーザーは特に気にしてもらいたい部分だ。
ゲーミングノートPCの性能をフルに引き出すなら断然SSD
ゲーミングノートPCにとってHDDからSSDへの換装は、ゲームのロード時間を大きく短縮し、快適性を大きく向上させるアップグレード手段だ。特に速度がそれほど高速ではない2.5インチHDDからの換装は効果が大きい。
今回SSD換装を試したGS40 6QE-024JPのように、OSをインストールするシステムディスクもHDDでまかなっているゲーミングノートPCなら、PCとしての基本的な快適性も劇的に改善できる。
最新のゲーミングノートPCの多くはシステム用に128~256GB程度のSSDを搭載しているので、1本程度ならゲームをインストールしても問題ないが、最近の大作ゲームや話題作をSSD側にインストールしたいとなると容量的に難しい。ゲームを複数遊ぶのであれば、データ用HDDをSSDに換装するメリットはかなり大きなものとなるだろう。
[制作協力:Crucial]