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「究極のFFXV」の4K/最高画質プレイに挑戦!ハイエンドPCは究極の壁を越えられるのか?
16コアCPU + GeForce GTX 1080 Ti環境で挑戦 text by 石川ひさよし
2018年4月17日 06:05
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」が3月7日に発売された。WINDOWS EDITIONでは、家庭用ゲーム機以上の解像度、フレームレート、そしてグラフィック表現が楽しめる「究極のFFXV」とうたわれている。
前回のレビューでは、4K解像度で遊ぶにはどの程度の性能が必要になるのか、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を使用して検証を行ない、かなりのPCスペックを要求される傾向が見られた。
今回は、製品版の「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」を使用し、4K解像度で遊ぶには実際にどの程度の性能が必要となるのか、現行のハイエンドPCでどこまで高画質に遊べるのか、製品版での快適度を探っていきたい。
4Kプレイを目指すなら現行ハイエンド品を、パーツ選びのポイントを再確認
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONを高画質で楽しみたい場合、かなり高めのハードウェアスペックを要求することが、前回のベンチマーク版での検証などから判明している。
特に、4Kでプレイしたいということであれば、現行のハイエンドPCを用意するのが前提となるだろう。以下は4Kで遊ぶ際にメーカーが推奨としている環境だが、メインストリームプラットフォームの最上位に近い構成が要求されている。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION(4K HDR)の主な推奨環境 | |
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CPU | Intel Core i7-7700またはAMD Ryzen 5 1600X |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 155GB以上 |
GPU | GeForce GTX 1080 Ti |
今回のレビューでも、前回のベンチマーク版の時と同じハイエンドPCを使用するが、選んだパーツのポイントと構成を改めて紹介しておこう。
ゲーム向けハイエンドビデオカードの定番モデル「MSI GeForce GTX1080 Ti GAMING X 11G」
ゲームのフレームレートを稼ぐ上でもっとも重要なのがGPUだ。GPUはNVIDIAのコンシューマー向け最上位であるGeForce GTX 1080 Tiを搭載した「MSI GeForce GTX1080 Ti GAMING X 11G」を用意した。
電源回路を強化したオーバークロックモデルで、ユーティリティの「GAMING APP」から「OC」モードを選べばパフォーマンスアップも期待できる。本レビューでは、「OC」モードですべてを計測を行っている。
ハイエンドCPUの高負荷にも耐えられるX299マザー「MSI X299 GAMING PRO CARBON」
前回の検証で判明したとおり、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONを4Kで楽しむ際にはCPUパフォーマンスも重要だ。
CPU側の性能が足りないといったことが無いよう、ハイエンドプラットフォームであるIntel X299チップセットを採用するマザーボードと、高性能なIntel Core i9を組み合わせて挑みたい。
電源周りや拡張スロットなどを強化して安定性を高めつつ、高コストパフォーマンスも意識されたマザーボードの「MSI X299 GAMING PRO CARBON」と、16コア/32スレッドで最大4.4GHzで動作するCPU「Intel Core i9-7960X」を用意した。
4K・HDRに対応した液晶ディスプレイ:LG 27UK650-W
今回も4Kでのプレイをメインに、HDRで高画質を堪能したいという点で、この2点に対応するLGの「27UK650-W」を用意した。
パネルはIPS駆動方式で、FreeSync、フリッカーセーフなど機能も充実している。sRGBカバー率も99%と高いため、美麗なグラフィックを堪能するには最適で、こうしたスペックでありながら比較的求めやすい価格も魅力だ。
使用PCのスペック | |
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CPU | Intel Core i9-7960X(16コア/32スレッド・ベース2.9GHz) |
メモリ | 16GB(DDR4-2666 4GB×4) |
マザーボード | MSI X299 GAMING PRO CARBON(Intel X299) |
ビデオカード | MSI GeForce GTX1080 Ti GAMING X 11G(NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti) |
ストレージ | SSD 1TB(6Gbps SATA) |
電源 | 1,000W |
OS | Windows 10 Pro Home 64bit版 |
画質を調整すれば4K/60fpsも可能、30fpsであれば最高画質の4Kも
実際のゲームでの検証に入るが、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION製品版とベンチマーク版では画質設定が異なる。ベンチマーク版では「軽量品質」、「標準品質」、「高品質」という3つのプリセットしかなかったが、製品版ではプリセットは「低」、「標準」、「高」、「最高」の4段階と、より細かな項目を変更できる「カスタム」が利用可能だ。
さらにこれらとは別にNVIDIA GameWorksに関する4つの項目「HairWorks」、「VXAO」、「Turf Effects」、「ShadowLibs」が用意されており、個別にON/OFF指定できる。
ここではまず、製品版の4つのプリセットと、それぞれでGameWorksを(4つの機能をまとめて)ON/OFFした際の計8パターンのフレームレートを確認しよう。
フレームレートの計測にはFrapsを用い、途中1回は必ずバトルシーンを加え負荷の変動を確認した。テストしたのはゲーム序盤であるため、まだそこまでハデな演出はなく、後半はさらに処理が重くなることも予想されるが、そこは今回のフレームレートから余裕を見積もり望みたい。
画質設定プリセット「低」では平均90fpsオーバー、かなり快適に動作
まず、もっとも軽量な画質設定「低」から紹介しよう。「低」での平均フレームレートは95.367fpsだ。60fpsを大きく上回り十分な余裕がある。そのうえで、最小fpsも79fpsだったため、ほとんどのシーンで問題なくスムーズな描画が得られると思われる。
画質設定「低」において、GameWorksオプションを4つONとした場合は、平均63.033fpsに低下した。実に30fps以上低下したことになる。一気に60fpsのボーダーに近づいてしまい、最小fpsが56fpsなので瞬間的には60fpsを割り込んでいるようだ。
とはいえ、60fpsラインからそれほど大きく離れていないため、実用の範囲ではある。問題は、画質「低」設定にGameWorksを組み合わせることがメリットになるかという部分で、PCの性能はオプションを利用する前にベースの画質を向上させる方に割いた方が良いかもしれない。
画質設定プリセット「標準」は50fps後半、滑らかな描画を実現できる現実的な設定はこのあたり
次に画質設定「標準」は、平均フレームレート57.733fpsだった。最小フレームレートは52fps。画質プリセット「低」から大きくフレームレートが低下した印象だ。
平均60fpsを割り込むため、4K/60fpsを目標に定めた今回のテーマからするとやや不足を感じるが、60fps近くまでフレームレートは出ているので、ゲームプレイ自体は十分に楽しめる。
60fps維持を目指すなら、ここから若干画質設定の負荷を落とすのが現実的だろう。現行のハイエンドPCであれば、このあたりがFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONを快適に遊べるラインになるだろう。
GameWorksをオンにすると、平均フレームレート42.667fpsとなった。最大フレームレートも48fps程度なので、60fpsはまったく満たせていない。
一応、30fps超ではあるので、これを満たせばよいというのならありだ。ただし、最小フレームレートが35fps程度なので余裕はない。より負荷の重いシーンでは30fpsを割り込むことが予想される。
画質設定プリセット「高」は「標準」にかなり近い負荷、30~60fpsの間を狙うならここ
画質設定プリセット「高」では平均フレームレート56.567fpsだった。画質設定プリセットの「標準」と「高」は、フレームレートで見るとそこまで大きな差はない。
そのため、実際にプレイしてみてフレームレートを優先するなら「標準」、フレームレートの落ち込みが気にならないなら「高」を選択を取るのがよいだろう。
GameWorksをオンにすると、平均40.550fpsになった。最小は33fps。テストした範囲では30fpsを満たすものの、「標準」の時よりもさらに余裕がない。30fps維持を狙う際の最高画質はこのあたりの設定が限界になる。
画質設定プリセット「最高」、オプションのGameWorks ONを切れば以外と遊べる負荷に
画質設定プリセット「最高」では、平均フレームレート53.683fpsだった。最小フレームレートは48fps。「高」プリセットよりもさらにフレームレートが低くなるが、「高」と「最高」でのフレームレートの差もまた、そこまで大きくはない。
また、30fpsをターゲットとすればまずまずの余裕もあるので、それなりに現実的な選択肢と言えるかもしれない。実際にプレイしてみて体感上でフレームレートと画質の具合を判断していただきたい。
GameWorksをオンにすると、ついに平均37.733fpsまで落ちた。最小フレームレートでは30fpsを割り込み29fpsになった。
今回の計測シーンでは、そこまで映像に引っかかりを感じることはなかった。ただし、より重いシーンに移行した時は20fps以下になる可能性も考えられるので、30fps狙いでも快適に遊ぶのは困難となるかもしれない。
ここまで全体的に見渡すと、常時60fpsをボーダーとするなら、それを満たせるのは「低」プリセット時のみだ。「低」設定時に性能的なゆとりがあるので、画質をカスタムすることを前提とするなら、現行のハイエンドPCで快適に楽しめるのは、「標準」のプリセットから若干画質を落としたあたりになるだろう。
30fpsでよしとするなら「最高」プリセットにGameWorksをオンにしたもの以外はまずまず楽しめる。GameWorksは全てをオンにすると重いので、効果の大きいTurf Effectsのみを有効にして画質を調整したり、好みの設定を探してもらいたい。
筆者としては、GameWorksはあくまでもオプションなので、現行のハイエンドPCでは通常の画質オプション側を調節し、性能の許す限り画質を向上させるチューニングをお勧めしたい。
HDRの処理は+10%前後の負荷、フルHDであれば最高画質/HDR/60fps環境も可能
画質設定による負荷は前述の通りだが、ここからはHDRを有効にした祭の検証結果を紹介しよう。
HDRについては、OS側のディスプレイ設定でHDR機能をオンにすることでゲーム側も有効になる。HDRが有効になると、ゲーム内のオプションでグレーアウトしていたHDR最高輝度設定がホワイト表示に変わり、スライダーからHDRの輝度設定が変更可能になる。
スライダーで設定できる最高輝度は、標準状態で600となっていた。この最高輝度の値については、各自、各製品で調整を詰める必要があるだろう。
HDRオン時のフレームレートだが、HDRオフ時と比べて若干低くなる傾向が確認できた。低下の幅はおよそ1割程度だ。
GameWorkオフであれば、画質プリセットを「最高」に設定した状態でも40fps以上は出ていたので、30fpsがターゲットであれば十分に楽しめそうだ。
画質設定プリセット「低」については、HDRを有効にしても60fps維持は余裕だが、ベースの画質を落としてHDRを有効とすることにメリットがあるのかどうかの相談となる。
さて、究極の画質と言える画質設定プリセット「最高」、GameWorksオン、HDRオンの場合、どの程度のフレームレートとなるのか興味をお持ちの方も多いだろう。
まず本章の前提である4K解像度では、平均フレームレート36.033fpsで、最小フレームレートは28fpsだった。4K、「最高」、GameWorks ONの時点でGameWorksオン、HDRオン最小フレームレートが30fpsを割り込んでいたので予想された結果ではあるが、処理の重さは超重量級だ。
実際のプレイでも、30fpsを割り込むシーンがある程度生じるため、引っ掛かりを感じることはある。より重いシーンではさらにそうしたシーンが多くなると予想される。それでもよいと言うのであればこれで楽しむのもアリだが、実際のところ4Kで高画質で遊ぶなら「次世代ハイエンドGPU待ち」という印象が強い。
解像度をフルHDに落として検証してみたが、こちらは問題なくプレイ出来るフレームレートが得られた。フルHDの場合は、平均フレームレート74.583fps、最小フレームレート67fpsで60fps超でのプレイが楽しめる。60fpsから上の余裕はそこまで大きくはないが、ほとんどのシーンで問題なく遊べそうではある。
4K/60fpsなら標準画質あたりが現実的、4K/最高画質でのプレイは次世代ハイエンドGPUに期待?
ここまで検証してきたとおり、現在最高のものに限りなく近い構成のPCでも、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONを4K/60fps超で楽しめるのは画質設定プリセット「低」であり、それ以上の画質については、なるべく60fpsを狙うものや、30fpsをターゲットに切り換えるのが快適と言えるラインだ。
描画の質を最優先するのであれば、フルHDで画質オプションを全部オンにするというのも、現在のハイエンドPCでは現実的な選択といえる。画質設定プリセット「最高」でGameWorksすべてオン、さらにHDRオンとしても60fpsを満たすことができるので、かなり快適に遊べる。
現在のハイエンドPCパーツでは4K/最高画質で快適とまではいかなかったが、次世代ハイエンドGPUの性能が大きく向上すれば、画質設定プリセット「最高」でGameWorksすべてオン、HDRオンでも常時60fps超の夢が叶うかもしれない。
自作PCであれば、時代に合わせてビデオカードを交換していくことができる。今、なるべく高解像度/高画質で楽しみたいのであれば、今回紹介した構成を参考に、そして次世代ハイエンドGPUが販売された時にビデオカードを換装するといったプランを立てるのも良いだろう。