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6コア/12スレッドCPUでノートPC最高クラスの性能に、MSIの新世代ゲーミングノートをテスト

重量級のFF XVも高画質/60fpsで遊べる、デザイン面も強化されたGE/GSシリーズ text by 石川ひさよし

 MSIのゲーミングPCが第8世代インテルCoreプロセッサー搭載モデルにリニューアルされた。

 基本を抑えた定番の王道モデルから、一見するとゲーミングノートには見えないスリムモデル、6コア/12スレッド・最大4.8GHz動作のCore i9を採用したウルトラハイエンドモデルまで幅広いラインナップを展開している。

 今回はそんなMSIの最新世代ゲーミングノートPCのから、天板にもRGB LEDイルミネーションを備えたGE73 Raider RGB 8RF-001JPと、GS65 Stealth Thin 8RF-007JPの2製品を紹介したい。

6コア12スレッドCPU搭載で天板にRGB LEDイルミネーションも備えた王道モデルGE73 Raider RGB 8RF-001JP

 まず紹介するのは「GE73 Raider RGB 8RF-001JP」だ。王道を行くゲーミングノートPCだが、ややスリムなボディを採用しており、その点、机の上に置いた際の圧迫感はほかのゲーミングノートPCよりも少ない。

 ボディはゲーミングノートPCでも最大クラスの17.3型クラスで、デスクトップ代替としてゆとりあるゲーム体験を実現してくれる。液晶パネルはフルHD表示対応で120Hz駆動、応答速度3msとゲーミングに求められるスペックを満たしている。

GE73 Raider RGB 8RF-001JP
液晶パネルは17.3型、1,920×1,080ドット、120Hz駆動、応答速度3ms
HDMIやMini DisplayPort、LAN、USB Type-C、カードリーダーなどインターフェースも豊富。USB Type-A端子は赤く発光する
CPUはCore i7-8750H

 このモデルの大きな特徴の一つとして、6コア/12スレッドCPUを搭載する点があげられる。採用CPUは最新の第8世代Intel Coreプロセッサの「Core i7-8750H」で、従来のハイエンドが4コア8スレッドだったのに対し、6コア12スレッドへと大幅に強化された。

 GPUはGeForce GTX 1070で、VRAMにはGDDR5 8GBが搭載されている。

GPUは統合GPUのIntel UHD Graphics 630とNVIDIA GeForce GTX 1070のスイッチャブル

 ストレージはゲーミングノート定番のM.2 SSD(SATA)+2.5インチHDDの組み合わせだ。システム側のSSDがOSやアプリケーションの素早い起動を可能とし、セカンダリドライブ側のHDDには膨大なゲームデータを保存できる。

 GE73 Raider RGB 8RFはストレージが異なるバリエーションモデルが用意されており、今回使用した末尾型番「001JP」のほかに、M.2 SSD(SATA)のみを搭載する「002JP」、M.2 SSD(NVMe) + HDDタイプの「003JP」などがある。

CドライブはM.2型のSATA SSD。SATA接続モデルとしては最高速クラスのものが採用されている。
DドライブはHDD。1TBの大容量で多数のゲームデータを保存できる

 王道ゲーミングノートと言えばLEDによるド派手な演出が付き物。本製品はキーボードバックライトにRGB LEDを搭載しているだけでなく、天板部にもRGB LEDを仕込んでいるので、表も裏もとにかく光る。

 ロゴ部分のみが光るモデルは多数あるが、ここまで派手に光るモデルはおそらくこのモデルが初めてだろう。他には無いゲーミング色の強いモデルを探しているユーザーはポイントとなる部分なので、店頭デモ機などで実際に確認してもらいたい。

 また、左側にはWindowsキーが無いなど、キー配列がゲーミングを意識してカスタムされている点も特徴になっている。

キーボードはSteelSeries製の日本語RGB仕様。ゲーミング仕様でWindowsキーを右側のAltとContrilキーの間に置く
天板の凹凸のラインに沿ってRGBラインLEDを搭載
【MSI GE73/GE63 Raider RGBのイルミネーション】

ビジネス用途もOK、上品なデザインの薄型ゲーミングノートPCGS65 Stealth Thin 8RF-007JP

 続いて居紹介するのは「GS65 Stealth Thin 8RF-007JP」。

 CPU&GPUのスペック的には先のGE73 Raider RGB 8RF-001JPに近い構成だが、デザインは大きく異なり、こちらはスリム&シックで、デスクトップ代替だけでなくモバイルまでこなすマルチユースな1台だ。

 性能は欲しいけど、派手なゲーミングPCを職場に持ち込むのはちょっと……と感じていたユーザーにはかなりお勧めできるモデルだ。

GS65 Stealth Thin 8RF-007JP
液晶パネルは狭額縁タイプの15.6型IPS、1,920×1,080ドット、144Hz駆動、応答速度7ms

 本製品の液晶パネルは15.6型だが、挟額縁ベゼルを採用しているのが1つ目のポイント。ボディサイズ的にはやや大きめの14型といったあたりに収まる。

 そのため、15.6型対応のバックパックには余裕で収まり、普段使いのハイパフォーマンスモバイルとしての魅力も兼ね備えている。重量は2kg弱、1.88Kgで、数値的にいわゆるモバイルノートよりも重いことは確かだが、多くの方が想像する15.6型ノートPCよりも軽い。

 また、付属のACアダプタもモバイル用途を考慮し、180Wモデルとしては小型モデルなものを採用している点も特徴だ。

サイズはA4用紙より二回り程度大きいといった感じで、15.6型としては小型だ。
本体の厚みは17.9mmで、鞄などに入れやすい。
ACアダプタは、MSIが採用する180W品としては最小サイズのものが付属している。サイズ感は20,000mAhのモバイルバッテリー程度だ。

 モバイルする場合、もう一つ気になるのはデザインだろう。カフェでノマドするようなシーンでは、あまりハデすぎても気が引ける。

 その点、今回のモデルではブラックをベースにゴールドのラインを取り入れ、少し高級感が演出されている。先の挟額縁ベゼルと合わせてスタイリッシュにまとまっており、天板側を見ただけではゲーミングPCとわからないシックなものになっている。

ゴールドのラインは液晶天板の周囲、ヒンジの軸、排気口の意匠など。オーディオジャックも金メッキ仕様だ
タッチパッドの縁もゴールドのラインになっている。
天板の縁もゴールドで囲われている。
液晶天板のドラゴンエンブレムもゴールド。msiロゴをなくしたのもほかのモデルと異なる
CPUはこちらもCore i7-8750H

 搭載するCPUは6コア12スレッドのCore i7-8750H、GPUはGeForce GTX 1070のMax-Q Designバージョンとなる。

 Max-Q Designは、無印のGeForce GTX 1070に対して、できるだけスペックを落とさず、微調整を加えることでよりスリムなノートPCに適合するよう設計されている。

CPUはIntel UHD Graphics 630とNVIDIA GeForce GTX 1070 Max-Q Designのスイッチャブル

 高級ノートPCといった感もあるGS65 Stealth Thin 8RF-007JPだが、RGB LEDキーバックライトを採用するなど、デザイン的にゲーミングPCらしい部分もある。

 ただし、若干注意してもらいたのがキー配列で、左側にもWindowsキーをそなえるなど、一般的なビジネスノートライクな配列になっている。ゲーミングに特化した配列が良いか、標準的なものか良いかは好みの分かれる部分かもしれない。

 ストレージはM.2 NVMe SSD×2台によるRAID 0構成で、速度はシーケンシャルリードで3.4GB/secに達する高速ドライブを手にできる。

 容量は1枚あたり256GBで合わせて512GB。がっつりゲームを楽しむなら外付けHDDも必要だが、モバイルとして考えれば十分な容量と言える。

 GS65 Stealth Thin 8RFは今回テストしている末尾型番「007JP」のほかに、M.2 SSD(SATA)×1基搭載の「002JP」、M.2 SSD(NVMe)×1基搭載の「001JP」もラインナップされている。

M.2 NVMe SSD×2枚のRAID 0構成でおよそ512GB
シーケンシャルリードでは3.4GB/sec、同ライトでは2.4GB/secとかなり高速

超重量級のFF XVも60fpsで遊べるパフォーマンス、最高画質に近い設定が可能

 それでは、この2台のMSI最新ゲーミングノートPCのパフォーマンスを明らかにしていきたい。今回は3DMarkと、超重量級のゲームとして知られるFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONでテストしてみよう。

 まずは3D性能の指標として、3DMarkの結果を見ていこう。高性能なCPU&GPUを搭載しており、フルHD表示パネルを搭載しているので、ここではSky Diver以上のプリセットの結果をまとめている。

 GE73 Raider RGB 8RF-001JPは、ハードウェアのスペックをうまく引き出しており、各プリセットとも高いスコアを記録している。熱設計に余裕があり、無印版GeForce GTX 1070を搭載していることも要因だ。

 一方、GS65 Stealth Thin 8RF-007JPは、Max-Q Design版のGeForce GTX 1070を採用している点で、GS73 Raiderよりもやや低いスコアとなる。ただ、下位GPUを搭載する製品と比べれば、基礎体力、つまりCUDAコアの数などで強みのあるスコアと言える。

 では続いてFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONの結果を紹介したい。

 まず画質プリセットを「高」に揃えて平均fpsを計測してみた結果では、GE73 Raider RGB 8RF-001JPが74.317fps、GS65 Stealth Thin 8RF-007JPが67.783fpsだった。ともに60fpsを超えており、かなりスムーズな描画が得られている。

 やや高めの目標だが平均60fpsを快適ラインに据えると、GE73 Raider RGB 8RF-001JPはまだまだ余裕があり、より高い画質設定が望めそうだ。GS65 Stealth Thin 8RF-007JPは、一つ上の画質設定は難しいが、60fpsに対してはまだ余裕があるので、Game WorksオプションをいくつかONにできそうな印象である。

 そこで、両製品で楽しめるベストな設定を探ってみた。

GE73 Raider RGB 8RF-001JPなら画質「最高」に「Hairworks」+「ShadowLibs」が狙える

 まずはGS73 Raider。一つ上のプリセットである画質「最高」にしてみたところ、戦闘シーンでおよそ68.100fpsとなった。

 まだもう少し詰められそうということで、Game Worksのなかでも比較的軽量な「Hairworks」と「ShadowLibs」を加えてみたところ、同様の条件で62.783fps。こちらでは多少、60fpsを割り込むシーンも見られたが、概ねスムーズに楽しめた。

 60fpsに対して余裕をもって楽しみたいなら画質「最高」、ギリギリのところまで詰めるなら「最高」+「Hairworks」+「ShadowLibs」で決まりだ。

GS73 Raiderなら最高画質でも68.100fpsと多少余裕を持って楽しめる
最高画質で「Hairworks」と「ShadowLibs」をONにして62.783fps。ギリギリ快適ライン
オススメ設定は「最高」+「Hairworks」+「ShadowLibs」

GS65 Stealth Thin 8RF-007JPなら画質「高」に「Hairworks」+「ShadowLibs」がお勧め

 続いてGS65 Stealth Thin 8RF-007JP。こちらは高プリセットでの60fpsに対する余裕がやや小さいので、高プリセットをベースにGame Worksで詰めていくのが妥当だろう。

 ただ、「VXAO」や「TrueEffests」はやや負荷が大きすぎ平均50fps台に落ち込んだ。そこで先のGS73 Raiderと同様、「Hairworks」と「ShadowLibs」を有効化したところ65.350fps程度に落ち着いたのでこれをオススメ設定としたい。

高画質に「Hairworks」と「ShadowLibs」をONにして65.350fps。60fpsを割り込むシーンも多少あるが概ねスムーズ
オススメ設定は「高」+「Hairworks」+「ShadowLibs」

選択肢の広がったMSIのゲーミングノートPC、利用シーンに合わせて好みのモデルを

 今回2つのMSIゲーミングノートPCを試した。コンセプトが異なるモデルではあるが、ともに高いパフォーマンスを秘めている。

 3DMarkの結果でおおよそ2つのノートの違いが現れているとおり、より高画質を狙うならFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONで最高画質にGame Worksを2つ有効にしても平均60fps超を狙える「GE73 Raider RGB 8RF-001JP」だろう。RGB LEDによるゲーミングノートPCらしさが、プレイ時の高揚感も高めてくれる。

 一方、GS65 Stealth Thinはここまでスリムでありながら、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONで高画質+Game Worksを2つ有効にして楽しめるだけのパフォーマンスがある。この点は薄型としては優秀な性能だ。1台でゲーミングとモバイルをカバーできてこのパフォーマンスなら、ゲームのみならずビジネス用途でも活躍してくれるだろう。