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Core i9-9900Kと“神”マザーでゲーム、クリエイティブ、OCに挑む!

MSI「MEG Z390 GODLIKE」で真価を見せる新世代CPUの実力 text by 加藤勝明

Core i9-9900Kのパッケージは巨大な12面ダイス型。スペシャルなCPUのためのスペシャルなデザインだ

 近年のCPU史上において、2018年はニュースに恵まれた年だ。その中でもひときわ熱いものと言えば、Intelの第9世代Coreが挙げられる。長年メインストリームCPUは物理4コアにとどめていたIntelが、2017年に物理6コアを開放(第8世代Core)したばかりだが、ほぼ1年経過した2018年10月、早くも物理8コアを擁する第9世代Coreを発表した。

 本稿執筆時点では、「Core i9-9900K」および「Core i7-9700K」は発売を目前に控えたタイミング。ハイエンド志向の自作PCユーザーとしては最上位のCore i9-9900Kをどういったパーツ構成でどう使うか……といったことをいろいろ悩んでいる時期だろう。

MSIのZ390マザーの中で頂点に君臨する「MEG Z390 GODLIKE」

 このハイパワーCPUの性能をフルに引き出せる最高のPCを組むには、最高のマザーで使いたいもの。チップセットは最新のZ390として、問題はそれ以外の部分だ。だが“最高”の定義を高性能、高耐久、多機能、そして機能美とデザイン性を高バランスで備えたもの、と考えると各社のハイエンドモデルに集束してくる。

 そこで今回はその“最高のマザー”候補の一つであるMSI「MEG Z390 GODLIKE」とCore i9-9900Kを組み合わせたときに、実際どれほどの性能が出るのかを検証した。

検証環境は?

 今回はベンチマークがメインなので、検証環境を紹介しよう。CPUはCore i9-9900Kに加え、1世代前の最上位モデルであるCore i7-8700Kを用意した。マザーは前述のとおりMSI「MEG Z390 GODLIKE」だが、このマザーの見どころについてはレビュー記事を御覧いただきたい。

【検証環境】

CPU:Intel Core i9-9900K(8C16T、3.6GHz、Turbo Boost最大5GHz)、Intel Core i7-8700K(6C12T、3.7GHz、Turbo Boost最大4.7GHz)
マザーボード:MSI MEG Z390 GODLIKE(Intel Z390、BIOS v11)
メモリ:G.Skill F4-3200C14D-16GFX×2(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×4、PC4-21300として動作)
ビデオカード:GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition
ストレージ:Intel SSD 600p SSDPEKKW512G7X1[M.2(PCI Express 3.0 x4)、512GB]
電源ユニット:SilverStone ST85F-PT(850W、ATX、80PLUS Platinum)
OS:Windows 10 Pro 64bit版(Creators Update)
CPUクーラー:CRYORIG A40(簡易水冷、12cm角×2)
OS:Windows 10 Pro 64bit版(April 2018 Update)

MEG Z390 GODLIKEはCore i9-9900Kより高価なマザーだが、各種装備の充実ぶりを考えると、最高の魂(CPU)を迎える玉座(マザー)といった雰囲気である
MEG Z390 GODLIKEのポイントは16+2フェーズの圧倒的規模を誇る電源回路。VRMのフェーズ数は一つのパラメータに過ぎない(要は電源回路全体の質こそが重要)という議論は確かにあるが、このクラスのマザーになると、数は正義であると言わざるを得ない

 マザー以外のポイントは電源ユニットとCPUクーラーだろう。Z390マザーでは、上位モデルになるほどCPU用の電源コネクタのピン数が増える傾向にある。エントリークラスのマザーではEPS12V(8ピン)1系統だが、上位になると8+4ピンや8+8ピンといった構成が増えてくる。メイン側の8ピンだけ接続すれば動作するので8ピン2系統を備える大出力電源をムリに揃える必要はないが、OC時の安定性確保のためにはぜひ8ピンを2系統引ける電源ユニットを選んでおきたい。

 そしてCPUクーラーは簡易水冷をチョイスした。8コアすべてに負荷をかけても4.7GHzで回るCore i9-9900Kを運用するとなれば空冷でも大型クーラーが必須だが、LED付きの大型メモリモジュールとの物理的な相性がよろしくない。せっかくMEG Z390 GODLIKEを使うなら光るメモリを活かしたいということで、干渉の少ない簡易水冷クーラーがオススメ。とくに今回使用したCRYORIG製簡易水冷は、水冷ヘッド上部に小型ファンを設置し、水冷クーラー最大の弱点であるVRM部の冷却もカバーできる(ただし今回は追加ファンを装着せずに検証した)。

 また、SSDは性能や発熱面でもっと進化したものが出ているが、あえてM.2 SSDの冷却性能を見るために、手持ちのものの中でとくに発熱量の大きいIntel SSD 600pをチョイスしている。

第8世代と第9世代で馬力はどの程度違う?

 ではCPUの馬力比べ的な「CINEBENCH R15」から試してみよう。今回Core i9-9900Kは定格(BIOS設定はメモリクロック以外すべてデフォルト)状態のものと、全コア5GHzで動かしたときのパフォーマンス(グラフ中では@5GHzと表記)を比較してみた。

Core i9-9900Kを軽くOCしたときを想定し、BIOSで全コアの倍率を50倍にした。コア電圧がAutoのままだと一部テストでフリーズしたため、コア電圧は1.29Vに設定している
「CINEBENCH R15」のスコア

 8コア16スレッドのCPUだけにマルチスレッドは2,000ポイントを超え、5GHz動作ではさらに伸びる。定格でも全コア4.7GHz動作のまま完走するので、5GHz OC時とのスコア差はクロックが300MHz上昇した分だ。

 だがCore i9-9900Kの凄さはシングルスレッド性能が一切犠牲になっていないことだ。直近のCore Xシリーズですらマルチスレッド性能が高い半面シングルスレッド性能はメインストリームのCore i7に劣っていたのだが、Core i9-9900Kはシングルスレッド性能が一切犠牲になっていない。それどころか、1世代前のハイエンドより伸びている。性能にスキのないCPUを求めているなら、Core i9-9900Kをおいてほかにない。

 では総合ベンチマーク「PCMark 10」のスコアもチェックしてみよう。全テストグループを回す“Extended Test”を実施するが、総合スコアではどんな処理が強いか分からないのでテストグループ別スコアも比較する。

「PCMark 10」Extended Testのスコア
「PCMark 10」Extended Testのテストグループ別スコア

 Core i7-8700KとCore i9-9900K定格時のスコア差は700ポイント、そしてOCするとさらに400ポイント程度伸びる。総合スコアアップの理由をテストグループ別スコア比較グラフから探ってみよう。とくにスコア差が大きく見えるのはGaming、つまり“3DMarkのFire Strike”相当のテストだが、全テストグループほぼ同じような差が付いていることも分かる。

実アプリベースのベンチではどうか?

 では実アプリベースでの性能比較に入ろう。8コア16スレッドのCore i9-9900Kのパワーをもっとも活かせる用途と言えば、いわゆる“メディア製作系”用途。まずはマルチコアCPUが一番活きるCGレンダリングからテストしよう。今回は「Blender」を利用し、公式サイトから落とせる「Gooseberry Production Benchmark」の処理時間を比較した。ベンチマークのシーンファイルを開き、最初の1フレームをレンダリングする時間を比較する。

Blenderを利用するベンチマークはさまざまなものがあるが、今回は重めの「Gooseberry Production Benchmark」を試した。左下の簡素なイメージは確認用のクイックレンダーで、これを左上のような本番出力用イメージにレンダリングする時間を比較する
「Blender」+「Gooseberry Production Benchmark」のCPUレンダリング時間

 6コア12スレッドと8コア16スレッドのパワー差が感じられるテストとなった。ただCore i9-9900Kを5GHzにOCしてもたいして時間が短縮できなかったので、スレッド数が効いているものと思われる。CG系の作業時間短縮を考えているなら、Core i9-9900Kはきわめて有効な選択と言えるが、長時間フルパワー状態を維持するためには、マザーも回路設計のしっかりしたものを使うべきだろう。

 続いては動画のエンコードだ。「Premiere Pro CC」で再生時間6分の4K動画を作成し、それを「Media Encoder CC」を使いMP4形式で出力する。コーデックはH.264、2パスVBRでビットレートは30Mbpsとした。デコード処理などはビデオカード側のCUDA(Mercury Playback Engine)を利用している。

「Premiere Pro CC」でフルHD動画を4本並べた4K動画を作成。全体の尺は6分に設定し、「Media Encoder CC」にエンコードさせるキューを出す
「Media Encoder CC」のエンコード時間

 ここでもCore i7-9900KがCore i7-8700Kを圧倒。Blenderよりも若干差が縮まっているが、クリエイティブな作業でCore i9-9900Kを導入するメリットは多いにあると言ってよいだろう。

 もう一つクリエイティブ系作業として「Lightroom Classic CC」でも検証した。6,000×4,000ドットのRAW(DNG)画像を200枚用意し、最高画質のJPEGに書き出す時間を計測する。書き出し時にシャープネス処理(スクリーン用、適用量は標準)を追加している。

「Lightroom Classic CC」による200枚のRAW画像処理時間(3回平均)

 Core i7-8700KよりもCore i9-9900Kのほうが速いという点では順当な結果になったが、5GHzにOCしても定格より遅くなるときもあれば、微妙に早く終わる(Lightroomの処理自体、ブレがある)時もあるため、結果的には上のグラフのようになった。Lightroomに関して言えば、5GHz程度のプチOCでは効果が得られなかったようだ。

ゲーミングでも圧倒するCore i9-9900K

 ではゲーミング性能の比較といこう。今回ビデオカードにシングル最速のRTX 2080 Tiを用意したので、ヘビー級ゲームの最高画質設定をどこまで回せるかをチェックしてみたい。

 まずは「ファークライ5」を使用する。画質は“最高”とし、ゲーム内のベンチマーク機能を用いて計測した。

ファークライ5、画質“最高”、1,920×1,080ドット時のフレームレート
ファークライ5、画質“最高”、2,560×1,440ドット時のフレームレート
ファークライ5、画質“最高”、3,840×2,160ドット時のフレームレート

 昨今のゲームではCPUパワーでフレームレートが変わるというよい例と言えるだろう。たとえばフルHD時ではCore i9-9900KとCore i7-8700Kの平均フレームレートは14fpsも違うが、14fpsをビデオカードで稼ぎ出すには1ランク上のビデオカードが必要になる。CPUをCore i9-9900Kに変えれば、フルHDでも高リフレッシュレートのゲーミング液晶の性能をより引き出せるようになるのだ。

 ただし5GHzにOCしても効果は微々たるものであることと、解像度を上げるとフレームレートの差がなくなっていく点も重要だ。後者は描画負荷が高くなるとGPUがボトルネックになるからだ。

 続いて直近の超ヘビー級タイトル「アサシン クリード オデッセイ」でも試してみる。画質は“最高”とし、ゲーム内のベンチマーク機能を用いて計測している。ただこのゲームのベンチ結果はブレ幅が大きいため3回計測、平均fpsの中間値が出たときの結果を採用している。

アサシン クリード オデッセイ、画質“最高”、1,920×1,080ドット時のフレームレート
アサシン クリード オデッセイ、画質“最高”、2,560×1,440ドット時のフレームレート
アサシン クリード オデッセイ、画質“最高”、3,840×2,160ドット時のフレームレート

 ここでもフルHD時でCPUパワーの差がハッキリと現われ、解像度を上げるとほぼ横並び。さらに5GHz OCではあまり効果が得られなかったことも一致している。

 確かにCore i9-9900Kはゲーミングにも効くが、コア数の多いCPUを使うなら、ゲームの裏で配信ツールを動かしたときのパフォーマンスもチェックしてみたい。今回はファークライ5とアサシン クリード オデッセイのプレイ画面を「OBS Studio」を利用してTwitchにリアルタイム配信しつつ、ローカルに保存したときのフレームレートも計測してみた。Twitchへの配信ビットレートは10Mbpsと高めに設定している。

ゲームの裏で「OBS Studio」を動かしTwitchにストリーミングする際の設定。ビットレートは10Mbps、配信される動画の解像度はフルHD&60fpsとした

 では結果をまとめてご覧いただこう。OBS以外の条件は前掲の検証と同一だ。

ファークライ5+Twitch配信、画質“最高”、1,920×1,080ドット時のフレームレート
ファークライ5+Twitch配信、画質“最高”、2,560×1,440ドット時のフレームレート
ファークライ5+Twitch配信、画質“最高”、3,840×2,160ドット時のフレームレート
アサシン クリード オデッセイ+Twitch配信、画質“最高”、1,920×1,080ドット時のフレームレート
アサシン クリード オデッセイ+Twitch配信、画質“最高”、2,560×1,440ドット時のフレームレート
アサシン クリード オデッセイ+Twitch配信、画質“最高”、3,840×2,160ドット時のフレームレート
MEG Z390 GODLIKEには「Streaming Boost」というキャプチャカードが付属。HDMI出力があるゲーム機、スマホを使ったプレイ実況や録画が楽しめる

 フレームレートの傾向は配信なしのときと似ているが、負荷が高くなったぶんフレームレートもしっかり下がっている。ここでも負荷の低いフルHD時ではCPUのパワー差がしっかり浮き彫りになった。ゲーミング目的でも8コア16スレッドのCore i9-9900Kは従来のCPUよりずっとよく粘ってくれるのだ。

 余談ながら、MEG Z390 GODLIKEにはHDMIキャプチャカード「Streaming Boost」が付属する。これがあれば、配信機能を持たないゲーム機やスマホのプレイ実況、録画も可能。配信機能を持っているゲーム機の映像でもWindows用の配信ツールの機能を活かして高度な配信を実現できる。

気になるVRM温度は?

 さてCore i9-9900Kがよく回ってくれることは分かったが、はたしてMEG Z390 GODLIKEの設計はCore i9-9900Kの安定動作にどの程度寄与できるのか? そこで今回は判断の一助として、VRM(MOS)の温度をチェックしてみたい。

 ここでは「OCCT Perestroika v4.5.1」の“CPU Linpack”テスト(64bit/AVX/全論理コア使用)を15分回したときのCPUパッケージ温度とVRM温度を「HWiNFO」で追跡してみた。VRM温度はHWiNFO上で「MOS」と表示される温度を拾っているが、これはマザー同梱の「Dragon Center」や、MEG Z390 GODLIKEの独自機能である「Dynamic Dashboard」に表示できるMOS温度とほぼ同じ値となる。

Dynamic Dashboardには動作時に各部温度の状態を表示させることができる。VRM(MOS)温度のほか、CPUやPCHなどの温度、さらにファン回転数や電圧なども表示できる
CPUパッケージ温度の推移
VRM温度の推移
サーモグラフィーカメラ「FLIR ONE」でOCCT中のCPU周辺温度を計測してみた(5GHz OC時)。表面温度が一番高かった所で52℃未満だった

 時間の制約上、CPU Linpackテストは序盤の15分程度しか回せなかったが、一瞬90℃近くまで上がるものの大部分の時間は70℃前後で安定している。この状態におけるVRMの温度は内部のデジタル温度計の計測で50℃台後半~60℃未満と安定している。

 検証環境は室内の気流が少しある状態なので熱だまりのない状況でのVRM温度と言えるが、MEG Z390 GODLIKEのVRM温度は8コア16スレッドのCore i9-9900Kをフルロードで回しても安心できる回路設計になっていると言える。

MEG Z390 GODLIKEに装備されているM.2 Shield Frozr。メタルのインゴットを削り出したようなヒートシンクになっている

 温度と言えばSSDの冷却性能の高さにも触れておきたい。MEG Z390 GODLIKEには3本のM.2スロットがあるが、各スロットには「M.2 Shield Frozr」なる新設計のM.2 SSD用ヒートシンクが装備されている。従来のマザーでは鉄板を曲げただけの簡素なヒートシンク+熱伝導シートだったものが、MEG Z390 GODLIKEでは鉄板ベースと肉厚ヒートシンクをSSDの表裏を接触させる冷却システムを採用している。

 ここでのテストはSSD上で約40GBのフォルダを複製し、その際の温度変化をHWiNFOで追跡した。M.2 Shield Frozrなしの状態をマザーだけで再現するのは難しかったので、MEG Z390 GODLIKEに付属するM.2増設カードにSSDだけを装着(ヒートシンク未装着)した状態を“裸の状態”と見立てて計測した。

SSD温度の推移

 今回あえて発熱量の多いSSDを使ったとはいえ、この温度差は驚異的。裸の状態ではすぐに70℃まで到達してしまうのに対し、M.2 Shield Frozrを備えたM.2スロットを利用すれば、終始50℃台に収まる。とくに動画編集などで巨大なファイルをコピーしたりするとSSDの温度はあっという間に高くなる。このM.2 Shield Frozrはストレージをヘビーに使うクリエイティブ系ユーザーにとって心強い装備なのだ。

最高の魂には最高の玉座で迎えたい

 以上でMEG Z390 GODLIKEとCore i9-9900Kのパフォーマンス検証は終了だ。市販されている1万円台前半のZ390マザーでもCore i9-9900Kは動かすことはできるが、高負荷で長時間稼働させ続ける場合は、やはりマザー側の装備がしっかりしていないと不安なことは確かだ。今回の検証でMEG Z390 GODLIKEをさまざまな角度から検証してみたが、とくにVRMの重厚さやM.2 Shield Frozrの効き具合に魅力を感じた。最速のメインストリームCPUで最高のPCを組みたいと考えているなら、MEG Z390 GODLIKEは絶対に使ってみたい1枚と言える。

期間限定! Z390マザー購入でアサクリ最新作ゲットのチャンス!!

 MSIでは現在、MEG Z390 GODLIKEをはじめとする対象製品を購入すると、本稿でもベンチマークテストに利用している最新ゲーム「アサシン クリード オデッセイ」がもらえるプレゼント企画を実施中。プロモーション期間は12月31日(月)まで(ただし準備数なくなりしだい終了)。

・対象製品
MSI製のIntel Z390搭載マザーボードなど、ゲーミングマザー10製品
MSI製の27型MPG/MAGシリーズゲーミングディスプレイ5製品

・プロモーションの利用方法
MSIアカウントの作成後にログインして購入製品を登録、領収書か購入証明書をアップロード後、デジタル版ライセンスを提供

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[制作協力:MSI]

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