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2019年は年初からNVMe SSDが買い時!?最新M.2 SSDを一斉テスト
Text by 北川達也
2019年1月31日 07:05
低価格化と性能向上が同時進行!
SSDの主要部品であるNANDメモリの価格が下落したことを受け、NVMe SSDの急速な低価格化が進行している。現在のNVMe SSDは、TLC NAND搭載の安い製品なら1TBモデルが2万5,000円前後、500GBモデルが1万5,000円前後で購入できるようになった。
また、NVMe SSDは、速度の限界に到達したSerial ATA SSDとは異なり、性能向上の余地が残されている。このため、NVMe SSDは、最新のNANDメモリを採用した新モデルが登場するごとに性能がアップしてきている。
ここでは、2019年の年明け早々登場したSamsung SSD 970 EVOの後継製品「SSD 970 EVO Plus」を含め、最新NVMe SSDの性能をベンチマーク結果で見ていく。
CrystalDiskMarkではシーケンシャルリード/ライトの最大速度を計測した。このテストでダントツだったのが、最新製品のSSD 970 EVO Plusである。本製品は、リード/ライトともに3,000MB/sオーバーを記録した唯一の製品となった。この速度は疑似SLC領域内に限定されるが、条件付きとはいえ他を圧倒する速度を実現している点は特筆に値する。
TxBENCHでは、厳しい条件で使用した場合の速度低下を計測しているが、ここでもSamsung製品の性能の高さが際立つ。トップはNANDメモリのライト性能が高いMLC NAND採用のSSD 970 PRO、次点がSSD 970 EVO Plusだ。SSD 970 EVO Plusは、TLC NAND搭載SSDの中では圧倒的に速度低下が少なく、前モデルのSSD 970 EVOよりもライト速度の低下が少なくなるなど、性能の向上が目立った。
Iometerでは、4KBランダムリード/ライト性能を計測した。ランダムリードは、MLC NANDの高速性を活かしたSSD 970 PROが頭一つ抜けた状態でトップ。次点はここでもSSD 970 EVO Plusだ。QLC NANDを採用した製品は、リード性能の差が顕著に出てしまっている。ランダムライトはSSD 970 EVO PlusがトップでSSD 970 PROが2番手と順位が入れ換わっている。疑似SLC領域でのライト速度がMLCのライト速度を上回っているためだ。
これらの結果から、Samsungの2製品の性能が現行のM.2 NVMe SSDの中では突出していることが分かる。なかでも新製品のSSD 970 EVO Plusは、従来モデルから大幅にライト性能を向上させており、「疑似SLC領域内では」という条件であればMLC NAND搭載のSSD 970 PROをも凌駕する、という驚きの結果も見られた。実売価格は前モデルと同水準になると予想されるSSD 970 EVO Plusは、TLC NAND搭載NVMe SSDの中で突出した性能と価格のバランスを実現した製品であることは間違いない。
QLC NAND製品はどう考えるべきか?
QLC NANDを搭載したNVMe SSDは非常に安価ではあるが、QLC NAND自体はリード/ライト性能が遅いという弱点がある。そのため、SSDとして使う際には疑似SLC領域を多く取ることで、弱点をカバーしているわけだが、疑似SLC領域を使い切ると大きく速度が低下する点には注意したい。
QLC NAND搭載SSDは、価格&容量重視かつ速度面をある程度割り切れるユーザー向けの製品と考えるべきだろう。
【検証環境】
CPU:Intel Core i5-7600K(3.8GHz)
マザーボード:ASUSTeK PRIME Z270-K(Intel Z270)
メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
システムSSD:CFD販売 S6TNHG6Q CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、256GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit版
TxBENCH:「初期状態」はSecureErase実行後に計測、「書き込み後」は初期状態の計測後、全容量の2倍にあたる容量分の4KBのランダムライトを実行してから計測、計測設定は範囲8GB、4KBランダムリード/ライト(QD=32)、Iometer:4KBランダムリードの計測時、SecureErase直後だとNANDを正しく読まないことがあったため、計測前に全域シーケンシャルライトを実施、リード/ライトともに、30秒間1秒単位でIOPSを計測し、スレッドあたりの最大値を掲載、シーケンシャルライト時の速度推移:テスト実行時にSamsung SSD 970 PROのみサーマルスロットリングが発生したため、ファンで直接空気を当てて放熱を行なった
最新NVMe SSD 8選
(※価格は1月20日時点のものです)
■ADATA Technology XPG SX6000 Pro
HMB対応のDRAMレス設計
Realtek製コントローラを採用したHMB(Host Memory Buffer)対応の製品。DRAMレス設計であるため、コスパに優れている点が特徴。HMBでメインメモリに確保される外部メモリのサイズは64MBで設計されている。
型番 | 容量 | バッファ用メモリ | 公称最高速度(リード/ライト) | 実売価格 | GB単価 |
---|---|---|---|---|---|
ASX6000PNP-512GT-C | 512GB | - | 2,100MB/s/1,500MB/s | 13,000円前後 | 25.39円 |
ASX6000PNP-256GT-C | 256GB | - | 2,100MB/s/1,200MB/s | 6,000円前後 | 23.44円 |
■Intel SSD 660p
3D QLC NAND搭載のエントリークラス
Silicon Motion製コントローラと3D QLC NANDで設計されたエントリークラス。疑似SLC領域は可変サイズで設計されている。NVMe SSDとしてはトップクラスに安いGB単価を実現している。
型番 | 容量 | バッファ用メモリ | 公称最高速度(リード/ライト) | 実売価格 | GB単価 |
---|---|---|---|---|---|
SSDPEKNW020T8X1 | 2TB | 非公開 | 1,800MB/s/1,800MB/s | 47,000円前後 | 23.50円 |
SSDPEKNW010T8X1 | 1TB | 非公開 | 1,800MB/s/1,800MB/s | 25,000円前後 | 25.00円 |
SSDPEKNW512G8X1 | 512GB | 非公開 | 1,500MB/s/1,000MB/s | 12,000円前後 | 23.44円 |
■Intel SSD 760p
コスパに優れた大ヒットミドルレンジ
NVMe SSDの低価格化の先駆けとなり、大ヒット。Silicon Motion製コントローラと自社製の3D TLC NANDを採用。価格性能比に優れた製品で、ミドルレンジクラスの製品の中ではもっともコスパが高い製品の一つ。
型番 | 容量 | バッファ用メモリ | 公称最高速度(リード/ライト) | 実売価格 | GB単価 |
---|---|---|---|---|---|
SSDPEKKW010T8X1 | 1TB | 非公開 | 3,230MB/s/1,625MB/s | 27,000円前後 | 27.00円 |
SSDPEKKW512G8XT | 512GB | 非公開 | 3,230MB/s/1,625MB/s | 16,000円前後 | 31.25円 |
SSDPEKKW256G8XT | 256GB | 非公開 | 3,210MB/s/1,315MB/s | 8,000円前後 | 31.25円 |
SSDPEKKW128G8XT | 128GB | 非公開 | 1,640MB/s/650MB/s | 6,500円前後 | 50.78円 |
■Lite-On Technology Plextor M9Pe(G)
ヒートシンク搭載の上位ミドルレンジ
現在では少数派となったMarvell製コントローラを採用。東芝メモリ製64層3D TLC NANDを組み合わせた上位ミドルレンジクラスの製品だ。本モデルのほか、ヒートシンクなしモデルやHHHL拡張カード型モデルもラインナップする。
型番 | 容量 | バッファ用メモリ | 公称最高速度(リード/ライト) | 実売価格 | GB単価 |
---|---|---|---|---|---|
PX-1TM9PeG | 1TB | 非公開 | 3,200MB/s/2,100MB/s | 32,000円前後 | 32.00円 |
PX-512M9PeG | 512GB | 非公開 | 3,200MB/s/2,000MB/s | 17,000円前後 | 33.20円 |
PX-256M9PeG | 256GB | 非公開 | 3,000MB/s/1,000MB/s | 9,000円前後 | 35.16円 |
■Micron Technology Crucial P1
QLC NAND採用でコスパを追求
Crucialブランド初のNVMe SSDはエントリークラスで登場。自社製の3D QLC NANDメモリを採用したコスパ重視の製品で、Silicon Motion製コントローラを採用。容量可変の疑似SLCキャッシュを採用している。
型番 | 容量 | バッファ用メモリ | 公称最高速度(リード/ライト) | 実売価格 | GB単価 |
---|---|---|---|---|---|
CT1000P1SSD8 | 1TB | 非公開 | 2,000MB/s/1,700MB/s | 22,000円前後 | 22.00円 |
CT500P1SSD8 | 512GB | 非公開 | 1,900MB/s/950MB/s | 11,000円前後 | 21.48円 |
■Samsung Electronics SSD 970 EVO Plus
最速クラスを実現した意欲作
Samsung自社製造の最新世代のTLC方式のV-NANDを採用。前作970 EVOと同じPhoenixコントローラを採用しているが、最適化が進められており、ライト性能が大幅に向上。ピーク性能は現役最速クラスの実力を見せる。
型番 | 容量 | バッファ用メモリ | 公称最高速度(リード/ライト) | 実売価格 | GB単価 |
---|---|---|---|---|---|
MZ-V7S1T0B/IT | 1TB | 1GB | 3,500MB/s/3,300MB/s | 32,000円前後 | 32.00円 |
MZ-V7S500B/IT | 500GB | 512MB | 3,500MB/s/3,200MB/s | 20,000円前後 | 40.00円 |
MZ-V7S250B/IT | 250GB | 512MB | 3,500MB/s/2,300MB/s | 12,000円前後 | 48.00円 |
■Samsung Electronics SSD 970 PRO
MLC NANDを搭載したNVMe SSDの最高峰
リード/ライト速度ともに現役屈指の性能を誇るエンスージアスト向けモデル。コンシューマ向けSSDの中では数少ないMLC NAND採用製品でもある。高価だが耐久性も高く、性能重視のユーザー向けの製品だ。
型番 | 容量 | バッファ用メモリ | 公称最高速度(リード/ライト) | 実売価格 | GB単価 |
---|---|---|---|---|---|
MZ-V7P1T0B/IT | 1TB | 1GB | 3,500MB/s/2,700MB/s | 60,000円前後 | 60.00円 |
MZ-V7P512B/IT | 512GB | 512MB | 3,500MB/s/2,300MB/s | 30,000円前後 | 58.59円 |
■Western Digital WD Black NVMe
多くのユーザーの支持を集める人気製品
Western Digitalの第2世代NVMe SSD。自社開発のオリジナルコントローラと64層の3D NANDを採用。“BLACK”の名に恥じない信頼性と性能の高さが魅力。性能のわりに安価で大人気の製品だ。
型番 | 容量 | バッファ用メモリ | 公称最高速度(リード/ライト) | 実売価格 | GB単価 |
---|---|---|---|---|---|
WDS100T2X0C | 1TB | 非公開 | 3,400MB/s/2,800MB/s | 32,000円前後 | 32.00円 |
WDS500G2X0C | 500GB | 非公開 | 3,400MB/s/2,500MB/s | 16,000円前後 | 32.00円 |
WDS250G2X0C | 250GB | 非公開 | 3,000MB/s/1,600MB/s | 9,000円前後 | 36.00円 |