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最適化ツールで液晶も性能もクリエイター好みの設定に、MSIのノートPC「PS63 MODERN」をテスト
スタイリッシュなカーボングレー筐体にMax-QのGeForce GTX 1050を搭載 text by 坂本はじめ
2019年3月20日 06:05
MSIの「PS63 Modern」は、ドキュメンタリー番組で知られるディスカバリーチャンネルとMSIのコラボレーションによって誕生したビジネス&クリエイター向けノートPCだ。
厚さ15.9mmというスリムで美しいアルミ製筐体に、単体GPUであるNVIDIA GeForce GTX 1050 with Max-Q Designと4コア8スレッドCPUのCore i7を搭載するPS63 Modernは、見た目の印象以上にハイスペックなノートPCだ。
今回は16GBメモリ搭載モデル「PS63-8RC-001JP」にて、PS63 Modernが備えるビジネス&クリエイター向けPCとしての魅力を探ってみた。
かなりスタイリッシュな“カーボングレー×ブルー”のデザインアルミ合金製のスリムな15.6型ノート
PS63 Modernは、本体サイズ356.8×233.7×15.9mm(幅×奥行き×高さ)のスリム筐体を採用したノートPCだ。狭額縁仕様の液晶パネルを採用したことで、14型ノートPCクラスの本体サイズでありながら15.6インチのフルHD液晶ディスプレイを搭載している。
カーボングレーをベースカラーに採用した筐体はアルミ合金製で、サンドブラスト処理によって手触りも良いマット仕上げを採用。エッジ部分には印象的なブルーの金属光沢を放つダイヤモンドカット加工が施されており、落ち着きのあるカーボングレーに鋭さのあるアクセントカラーを加えたスタイリッシュな外観に仕上がっている。
実際に使ってみると、光りの加減によって様々な表情を見せる複雑な色合いになっており、ブルーのアクセントカラーも絶妙といった感じだ。安っぽさも無く、多くの男性ユーザーから指示されるデザインだろう。かっこいいノートPCが欲しいユーザーは是非店頭デモ機などで実物のカラーを確認してもらいたい。
いかにもなゲーミングPCとは違い、シンプルで洗練されたルックスのPS63 Modernはビジネスシーンでも使いやすいノートPCといえるだろう。
PS63 Modernはメモリ容量の違いで2ラインナップあり、今回紹介しているメモリ16GBの「PS63-8RC-001JP」のほかに、メモリ8GBの「PS63-8RC-023JP」が販売されている。
Core i7-8565UとGeForce GTX 1050 with Max-Q Designを搭載スリムノートPCでありながら高性能なCPUとGPUを備えるPS63 Modern
スタイリッシュなスリムノートPCの多くは、その薄型デザインの代償として冷却ユニットやバッテリーの実装スペースを確保するのが困難なため、搭載するCPUやGPUは性能よりも低発熱かつ低消費電力なものを選択していることが多い。
しかし、PS63 Modernはその見た目に反して強力なハードウェアを備えており、CPUにはIntelの4コア8スレッドCPU「Core i7-8565U」、GPUにはNVIDIAのMax-Q仕様のGPU「GeForce GTX 1050 with Max-Q Design」を搭載している。
これらの強力なCPUとGPUを搭載したことで、PS63 Modernは写真編集や動画編集といったクリエイター用途でも使える処理能力を獲得している。大容量のメインメモリやストレージにNVMe SSDを採用している点も、大きなデータを扱うことの多いクリエイター用途には魅力的だ。
CINEBENCHや3DMarkといったベンチマークテストの実行結果からは、各パーツがしっかりと性能を発揮していることが見てとれる。スコア自体もなかなか優秀なものであり、クリエイター向けノートPCを名乗るに相応しい実力を備えていることは確かだ。
ストレージはNVMe SSDのKingston RBUSNS8154P3512GJ(512GB)で、PCI Express 3.0×2レーンで接続されている。ベンチマークの結果を見る限り2レーン接続分の速度はしっかり発揮されている。
デスクトップPC用であればPCI Express 3.0×4レーン接続のSSDが主流だが、ノートPCでは発熱と消費電力を抑えるためにPCI Express 3.0×2レーンのSSDや、PCI Express 3.0×4レーンのSSDを2レーン接続に抑えて使用している例が増えてきており、PS63 Modernもこうした流れを組んでPCI Express 3.0×2レーンのSSDを採用しているのかもしれない。
動画や写真用途でも活躍するGPU支援機能GeForce GTX 1050 with Max-Q Designでクリエイター向けアプリを高速化
近年、多くのクリエイター向けアプリがGPUの演算性能を活用するようになっており、PS63 Modernに搭載されたGPUの「GeForce GTX 1050 with Max-Q Design」を利用することで、作業パフォーマンスが向上するアプリも多い。
例えば、動画編集ソフトの「VEGAS Pro 16」では、動画書き出し処理の高速化のみならず、編集作業時のプレビュー生成などでもGPUが威力を発揮する。
実際に1080p60fps動画の編集作業でテストしてみると、CPUのみで処理を行った場合はプレビューの再生フレームレートが40fps台に落ち込んでしまうような状況であっても、「GPUによるビデオ処理の高速化」でGeForce GTX 1050 with Max-Q Designを指定することにより、約60fpsでプレビューを再生することが可能だった。
簡易的なプレビューが確認できれば作業できるという高度なスキルをもったユーザーであれば別だが、完成状態をしっかり確認しつつ作業ができる環境は多くのユーザーが快適に感じるはずだ。最終的な出力を行うレンダリング以外の部分でもGPUは活用されているので、購入時はCPU性能と合わせ意識しておきたい。
VEGAS Pro 16の他にも、Adobe PhotoshopやキヤノンのRAW現像ソフトなどが作業パフォーマンスの向上にGPUを活用している。
レタッチや現像など、写真用途のアプリケーションでもGPUは積極的に活用されつつあるので、写真を趣味にしているユーザーもノートPC購入時はGPUの有無を確認した方が良い状況になりつつある。
このように、クリエイター用途であれば、GeForce GTX 1050 with Max-Q Designを搭載するPS63 Modernは多くのアプリケーションでで作業効率を向上させることができるだろう。
カラーキャリブレーション対応液晶を採用アプリに対してパフォーマンスを最適化する機能も
クリエイター向けノートPCであるPS63 Modernには、クリエイティブシーンでの利用をサポートする機能が備わっている。
今回は、ディスプレイ用ユーティリティの「True Color」と、PCの動作を制御する総合ユーティリティ「Creator Center」を紹介しよう。
ディスプレイの色を調整できる「True Color」、カラーキャリブレーションにも対応
クリエイター用途であれば、ディスプレイの色再現性も重要なポイントになる。
PS63 Modernは、液晶ディスプレイの表示を調整できる「True Color」機能を備えており、表示色や輝度、色温度なと細かい設定が可能となっている。
プロファイルによるディスプレイの表示モード切り替えや、アプリ毎に表示モードを自動で切り替える「App Sync」などの機能も備えている。これらにより、動画は高輝度で鮮やかな色合い、デザインなどはsRGBで色温度を抑えた表示といった切り替えが簡単に行える。
MSI True Colorは、市販の測色計を使ったカラーキャリブレーション機能も備えている。MSI True Colorが対応している測色計を接続してキャリブレーションを実行すれば、アプリ側で自動的にディスプレイのカラーキャリブレーションが行われる。
PS63 Modernが備える液晶ディスプレイは、MSI True Colorの利用によってsRGB 約100%カバーの色再現性を提供する。ノートPCでもより正確な色再現を期待したいクリエイターにとっては魅力的なディスプレイと機能であると言えよう。
アプリ毎に動作を最適化する「Creator Center」、CPUコアの使用数や優先度も設定可能
PS63 Modernには、ノートPCの動作を一括で管理する総合ユーティリティ「Creator Center」が搭載されている。
冷却ファンの動作設定や電源プロファイルなどのチューニングなどが行えるほか、システムモニターなどの機能も備えている。
Creator Centerが備える機能の中でも特にユニークなのが「クリエーターモード」だ。クリエーターモードとは、クリエイティブシーンで利用されることの多いアプリケーションに対して最適な動作モードを提供する機能で、有効化すると対応アプリケーションに対して最適な動作設定を適用する。
クリエーターモードで適用される動作設定の内容はカスタマイズ可能であり、使用するCPUコア数や優先度などをアプリ毎に任意で設定できる。
アプリによってはながら作業前提でフリーのCPUコアを残しておいたり、逆に全ての性能を1つのアプリに使うといったような設定ができる。
ビジネスシーンで嬉しい長時間駆動と高い静粛性軽負荷作業なら10時間を超えるバッテリー駆動時間を実現
PS63 Modernは、JEITA 2.0準拠の測定では16時間ものバッテリー駆動が可能とされている。長大なバッテリー駆動時間はビジネスシーンでの利用で特に重宝する要素だ。
実際にどの程度バッテリー駆動が可能なのか、「BBench」を使ってバッテリーが100%から5%に減少するまでの駆動時間を測定してみた。測定時は電源プランをバランスに設定、ディスプレイ輝度70%、キーボードのバックライト輝度を4段階中下から2番目、バッテリー減少時の節約モードは無効、インターネットへの接続には無線LANを使用する。
結果としては、BBenchのキーストローク入力とWeb巡回機能という軽い負荷であれば11時間19分45秒のバッテリー駆動を実現。ゲームベンチマークの「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」のループ実行時には1時間38分05秒を記録した。ビジネス用途であればかなり長時間のバッテリー駆動が期待できる結果だ。
また、このバッテリーテストを実行した際、騒音計を使って動作ノイズを測定してみた。騒音計はディスプレイ表面から約40cm離れた位置に設置している。
測定結果を一見して分かるのは、ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク実行時に動作ノイズが大きく増加している点だ。実際、ベンチマーク実行中はGPUがフル稼働することもあって、冷却ファンからは大きな動作音が発生している。
一方、アイドル時やBBenchによる軽負荷での動作時に関しては、測定値こそ上昇しているものの40cm離れた位置では冷却ファンの動作音は非常に静かだった。文書の作成や閲覧といった作業であれば動作音を心配せず利用できるだろう。
PS63 ModernのインターフェイスをチェックACアダプタは持ち運びやすいコンパクトモデルが付属
PS63 Modernがクリエイター向けに多機能な点は理解してもらえたと思うが、最後にインターフェイスなど基本仕様部分を確認しておこう。
PS63 Modernのインターフェイスは本体の左右に配置されており、左側面には、AC入力、HDMI、USB 3.1 Gen1 Type-C(映像出力対応)、USB 3.1 Gen1(Quick Charge 3.0対応)、オーディオ端子、インジケータLED。右側面にはMicroSDカードスロット、USB 3.1 Gen2、USB 3.1 Gen1を備えている。
PS63 ModernはLANポートを備えていないがUSB接続のLANアダプタが付属しており、これを利用することで有線LANの利用が可能だ。
キーボードには白色バックライトを備えたアイソレーションタイプのキーボードを採用。タッチパッドは65×140mmの幅広仕様で、左上部に指紋センサーを備えている。電源スイッチはキーボード面のディスプレイ側中央部に配置されている。
ディスプレイは画面解像度1,920×1,080ドットの15.6型のノングレア液晶パネルを搭載。ディスプレイ上部にはウェブカメラとマイクを備える。
PS63 ModernのACアダプタは、従来の製品に付属するものより19%小型化したコンパクト化されており、重量も38%軽量化されている。ケーブルを除くACアダプタ本体の実測サイズは75×75×31.2mm(幅×奥行き×高さ)で、重量はケーブル込みで309gだった。
クリエイター向けの機能・性能を備えたスタイリッシュなスリムノートPC
PS63 Modernは本格的なクリエイター用途にも使える性能を携帯性に優れたスリムな筐体で実現した、完成度の高いビジネス&クリエイター向けPCだ。PS63 Modernを持ち歩けば、外出先で撮影した動画や写真をその場でチェックすることはもちろん、編集や修正作業まで行うことも可能だ。
今回テストした16GBモデル「PS63-8RC-001JP」の実売価格は税込で169,350円前後。
外出先で作業を行う機会の多いクリエイターはもちろんのこと、これから写真や動画編集をはじめてみたいというユーザーや、スタイリッシュなPCを求めるユーザーにも好適な1台だ。いま、PCの新調を考えているのなら、選択肢に加えてみることをおすすめする。
[制作協力:MSI]