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Fire TVにピッタリなキーボード、CORSAIRがこだわるリビング向けモデルのポイントとは
デザイン性も高いワイヤレスキーボード「K83 Wireless Entertainment Keyboard」 text by 石川ひさよし
2019年4月24日 13:45
CORSAIRは現在までに様々なゲーミングデバイスを販売しており、「防塵・防滴」をうたうキーボードや軽量ワイヤレスマウス、家庭用ゲーム機に対応したヘッドセットなど多種多様な製品を市場に導入している。
そして今春、同社はリビング向けキーボードの決定版として「K83 Wireless Entertainment Keyboard」を日本市場に投入した。ソファーでくつろいで使用することや、スマートTVなどを快適に操作するためにデザインされたモデルだ。
今回、日本国内で行われた新モデル発表会に合わせ、同社のシニアプロダクトラインマネージャー Michael Grey氏にインタビューを行う機会を得たので、「K83 Wireless Entertainment Keyboard」に関してこだわりや機能について話をうかがった。「リビング用キーボードでは最高峰のモデル」と同社がうたう製品のポイントを紹介しよう。
リビング向けに形状も機能を最適化CORSAIRが考える新たなワイヤレスキーボードのかたち
――K83 Wireless Entertainment Keyboardとはどのようなコンセプトの製品なのでしょうか。
[Grey氏]CORSAIRはこれまでにもリビングでの使用を想定したアイテムとして、Lapdog Gaming Control Center、K63 Wireless Gaming Lapboardなどを投入しています。これらはキーボードをリビングで使用しやすくするためのアタッチメント的なアイテムですが、「K83 Wireless Entertainment Keyboard」は次のステップとなる製品です。
リビングでの使用を前提に形状や機能をデザインした、メディア・コントロールに主眼を置いたワイヤレスキーボードになります。これまでのゲーミングキーボードとは大きく思想が異なり、新たな路線の製品といえます。
――「K83 Wireless Entertainment Keyboard」における「Entertainment」とはどのようなものを指すのでしょうか。
[Grey氏]音楽や映像、ゲームなど、多種多様なコンテンツをターゲットにしています。
コンテンツを楽しむ機器としては、タブレットやスマートTV、セットトップボックス、ゲーム機など、幅広いデバイスが存在し、操作するには入力デバイスが必要になります。また、これらはリビングで使用されることが多いかと思われますが、その際にどのような機能があると便利なのか、どのような形状が適しているのかといった点を最重視したモデルが「K83 Wireless Entertainment Keyboard」になります。
もちろん、PCでも利用できますし、PCゲーム用途にも使用できますが、リビングでカジュアルに使用した際に真価を発揮するモデルです。
リビングルームでは長時間駆動が可能なBluetooth接続が有利
――メインターゲットとなるスマートデバイスへの対応について教えて下さい。
[Grey氏]メディアプレーヤーはAmazonの「Fire TV」、NVIDIAの「Shield」などとの互換性を実現しています。スマートTVはSamsung製のTV製品をサポートしているほか、タブレットは各社のAndroidタブレット、AppleのiPadをサポートしています。
なお、PCと接続した際はジェスチャー操作にも対応します。
――キーボードの設定変更などはどのように行うのでしょうか。
[Grey氏]本体にライティングやパフォーマンス設定などが異なるプリセットが複数収められており、PCやMac以外の機器ではこれらのプリセットを切り替えて設定などを変更可能です。
PCやMacではCORSAIRの統合ソフトウェア「iCUE」から好みに合わせた設定の変更が行えます。マクロやスペシャルアクションなど、複雑なカスタマイズも可能です。
――接続方法について教えて下さい。PCやMacでは専用USBドングルによる2.4GHz接続が可能ですが、ほかのスマートデバイスを使用する際はどのように接続するのでしょうか。
[Grey氏]スマートデバイスとはBluetoothで接続が可能です。PCやMacは2.4GHz帯無線とBluetoothの両方に対応しています。
2.4GHz帯の無線接続では1msという低遅延が実現できるので、PCやMacでゲームをするのであれば、2.4GHz帯無線接続の方が適しています。
一方、Bluetooth接続では7.5msほどの遅延が生じますが、消費電力の面ではこちらが有利です。リビングで利用する場合は、1回の充電でより長く利用できるといったメリットがあります。カジュアルに使用する際にどちらが快適かといわれれば、Bluetooth接続になるかと思います。
なお、機能の違いで一つ言及しておきますと、ジェスチャー操作時に対応する指の本数に違いがあります。Bluetooth接続では2フィンガーに制限されます。2.4GHz接続ではさらに多い本数のマルチタッチジェスチャーに対応しています。
――低遅延と言えば1月のCESで発表された製品には「SLIPSTREAM」技術が採用されていました。「K83 Wireless Entertainment Keyboard」が対応していない点に理由はあるのでしょうか。
[Grey氏]「SLIPSTREAM」はCORSAIRの最新技術です。「K83 Wireless Entertainment Keyboard」は「SLIPSTREAM」が完成する以前から開発がスタートしていた製品なので、「SLIPSTREAM」の搭載は見送るかたちとなりました。
昨年、弊社はワイヤレスに注力し、「UNPLUG AND PLAY」というコンセプトで多数の製品を発表しましたが、「K83 Wireless Entertainment Keyboard」はこのコンセプト群の最後のモデルとなる製品です。「SLIPSTREAM」ゲーミング性能に特化した機能でもあるので、無理に搭載する必要が無かったという面もあります。
――PCゲーミングでは2.4GHz接続が低遅延で良いとのことですが、Bluetooth接続でも十分に楽しめるゲームはどのあたりのタイトルを想定しているのでしょうか。
[Grey氏]シューターなど競技性重視やシビアなものではなく、カジュアルなゲームを想定しています。例えばマインクラフトやハートストーンなどです。リラックスしながら楽しむタイプのゲームであればBluetooth接続で不満を感じることは無いと思われます。
細部までこだわるCORSAIRはリビングルーム向けでも手抜きなし
――リビングルーム向けのモデルを開発するにあたり、最も意識した部分を教えて下さい。
[Grey氏]まずデザインです。アルミを採用しデザイン性を高めるとともに、堅牢性も向上させました。また、タッチパッドの形状も、一般的なスクエア形状ではなくサークル形状を採用し、製品のアクセントとしました。
リビングで使用する以上、触れた際の感触や家具などにマッチするデザインは非常に重要なポイントです。
――機能面でこだわったポイントなどもあるのでしょうか。
[Grey氏]まずフルキーボードであることを重視しました。そしてタッチパッドとジョイスティックという2つの操作系、そしてメディアキーボードとしての機能も加えています。
――タッチパッドだけでなくジョイスティックも搭載した理由を教えて下さい。
[Grey氏]ジョイステックは、スマートTVなどでより快適かつ簡単にナビゲーションが行なえるように搭載を決めました。タイルメニューなどの操作は格段に快適性が向上するはずです。
PCの場合は、多くの方が普段から馴染んでいるタッチパッドのほうが操作しやすいかもしれませんが、Fire TVやスマートTVでは、ジョイスティックのほうが操作しやすいと感じるはずです。
タブレットに関しては、使用するアプリケーションなどによって大きく操作感が変わるので、選んでもらえればと思います。
――薄型キースイッチも独特なものに仕上がっていますが、オリジナルデザインのものなのでしょうか。
[Grey氏]独自開発の専用キースイッチを採用しています。
採用するキースイッチを検討するにあたり、Cherry MXキースイッチも検討しましたが、ややクイッキーな印象でした。また、ストロークが1mm以下ですと心地よいタイピング感が感じられません。2mmのストロークを確保しながらカチッカチッとした心地よさ、そして良好なレスポンスを求めた結果、独自仕様の物となりました。
勝つために設計されたゲーミングキーボードとは方向性が異なりますが、目的に対してとことんこだわるという点ではCORSAIRらしさが出ていると思います。
ユーザーの声を製品のフィードバック、次世代機はより良いモデルに
――最後に日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
[Grey氏]発表会後に開催したユーザー向けのタッチアンドトライでもたくさんの方に足を運んでいただきました。日本のユーザーのCORSAIRに対する愛情に感謝しています。
ここで得られたフィードバックを持ち帰り、よりよい製品を携えてまた訪日したいと思います。
――今後登場する新モデルにも期待しています、ありがとうございました。
[制作協力:CORSAIR]