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見られたらヤバいデータを隠し通す!プライバシーを守るポータブルHDD「My Passport Ultra」

パスワード&暗号化機能付きモデルでデータは安全に保管すべし text by 日沼諭史

プライバシーを守るためにWestern DigitalのポータブルHDD「My Passport Ultra」を使うメリットとは。
パッケージのカラーは白×オレンジ。

 「木を隠すなら森の中」という言葉がある。これを今のデジタル時代になぞらえれば、「データを隠すならビッグデータの中」ということになるのかもしれない。

 が、あいにく検索技術が発達しまくっている昨今、特定のファイルを大量のファイル群の中に紛れ込ませる程度の姑息なテクニックでは、簡単に見つかってしまうことは明白である。

 要するに何が言いたいかというと、メモ的なテキストファイルや仕事のデータはもちろん、過去の彼方に葬り去りたいけれどなんとなく捨てられずにいるデータ、後生大事に抱えているお宝データなど、手元にあるファイルはあなた以外の家族なり友人なり同僚なりに簡単に見つかってしまいかねない。

 個人のプライバシーを守るなら、その対策を早めに考えるべきでは?ということだ。特に、家族でPCを共有しているユーザーは頭を悩ませているのではないだろうか。

 ではどうするか。現代の最も有効な手法の1つが、パスワードロックや暗号化だ。パスワードで容易なアクセスを不可能にし、データを丸ごと暗号化して他人からは無意味なデータに見せかける。万一発掘されたとしても、あんなものやそんなものをさらけ出してしまう最悪の状況は避けられる。

 とはいえ、暗号化してもデータを自宅に置きっぱなしにしていては、こういうことについてはなぜか恐ろしく敏感な家族に、秘密にしたいデータの存在自体を気取られる可能性もある。

 そこでおすすめしたいのが、暗号化が可能な大容量ポータブルHDD、Western Digitalの「My Passport Ultra」だ。常に持ち運べるポータブルHDDなら、他人に見つかることなくこっそりデータを保管でき、そのへんに放置でもしない限りは物理的なアクセスも困難になる。

 よもやまかり間違って誰かにアクセスされるような状況になったとしても、暗号化されているので問題ナッシング。My Passport Ultraなら我々は永遠(とわ)の心の安寧を得ることができるのである。

持ち運びに便利なポータブルタイプなのに最大4TBの大容量、しかも低コスト

 My Passport Ultraは、2.5インチHDDをひと回り大きくした程度のサイズで、バックパックやビジネスバッグのポケットに楽々収まるコンパクトな外付けのポータブルHDDだ。

 ジャケットの内ポケットなんかにもスッと入るので、隠し持つのにも最適。万が一銃撃されたときのお守りにもなる……ことは保証できないが、中身のデータのことを考えるとある意味“ご神体”でもあるので、それが懐にあることによる精神的な安心感は絶大だ。

楽に持ち運べるポータブルHDD。
ジャケットの内ポケットにしまっても邪魔にならない。
パッケージ内容。
4TBモデルのシーケンシャルリード・ライトは125~135MB/sで、通常のバックアップ用途では不満のないレベル。

 日本国内では、現在Amazonで2TBと4TBの2種類が販売されている。2TBもあればプライベートの大事な大事な、とっても大事なデータを保管する目的であれば十分以上にまかなえる容量。

 4TBだと、大事なデータ以外にPC環境のデータ全てをバックアップしてもほとんどの場合は余裕でお釣りがたっぷりくるくらいだろう。実売価格はそれぞれ1万2千円前後と1万6千円前後というところ。

 最近ではより高速でコンパクトなポータブルSSDも登場してきてはいるが、2TBはともかく4TBという大容量を実現するのは難しい。

 大容量SSDを現実的な価格で入手できない現状では、データのバックアップというそこそこの速度で間に合う用途にはまだ向かない。手頃な価格で大容量のバックアップメディアを、となれば、今のところはやはりHDDが最良の選択ということになる。

インターフェースはUSB Type-C。
Type-AしかないPC向けに変換コネクタもアリ。
モバイル環境でもデスクトップ環境でも付属のType-Cケーブルで接続。

 今どきのモバイルデバイスらしく、インターフェースがUSB 3.0のType-Cポートなのはうれしい。スマートフォンに加えて、ノートPCでもデスクトップPCでもType-Cポートが標準的な装備になってきている。それらデバイスの充電やデータ転送のために持ち運ぶケーブルが1種類だけで済むのは、意外にメリットが大きいものなのだ。

 もちろん、このMy Passport Ultraには両端Type-Cのケーブルが同梱されているし、変換コネクタもしっかり付属しているから、Type-AポートのPCしか持っていない場合でも余計な出費を防げる。

 ただし、デフォルトのフォーマットはWindowsからの利用を想定したNTFSとなっている。Windows環境とmacOS環境の両方で扱いたい場合は、後述のユーティリティ「WD Discovery」を通じてmacOSでもNTFSフォーマットを扱えるようにするドライバをダウンロードしておこう。

macOSでは「WD Discovery」を通じてNTFS用のドライバを入手できる。

普段の使い勝手を損なわずにロック&暗号化する「WD Security」

「WD Discovery」上で「WD Security」をインストール。

 他の人に決して見られたくないデータを守るには、先述したとおり暗号化するのが最も安全だ。

 そのためのWD独自のツールとして同梱されているのが「WD Discovery」。暗号化以外にもさまざまな機能を備えているけれど、まずは暗号化にかかわるセキュリティ機能「WD Security」を紹介しよう。

 WD Discoveryをインストールすると、その上で追加のアプリケーション「WD Security」をインストールできる。My Passport Ultraに保管しているデータを他の人に見られたくないときは、WD Securityで対象のHDDを選び、任意のパスワードを設定するだけだ。

 こうすると、HDD接続時には必ずロックがかかった状態になる。ロック状態のドライブは「WD Unlocker」というドライブ名で表示され、ダブルクリックしてパスワードを入力しないと中身を覗けない。

 保管されているファイルにはすべて256ビットのハードウェア暗号化が施されるため、パスワードを知らない状態から復号して通常のデータに戻すのはまず不可能と考えて良い。

「WD Security」でパスワードを設定。
「WD Discovery」の対象HDDの設定ボタンから素早く設定することもできる。
他のユーザーに切り替えた。エクスプローラ上では「WD Unlocker」というドライブ名で表示されている。
ダブルクリックして管理者のパスコードを入力するとこの画面に。パスワードを入力してようやくアクセスできる。

 ただ、「毎回HDDを使おうとするたびにパスワード入力するのは面倒じゃね?」と感じることもたしか。その場合は、パスワード設定するときに「自動ロック解除」のオプションを設定しておけばOKだ。

 こうしておくと、パスワードを設定したときのPCで、かつ同じログオンユーザーアカウントだったときのみ、ドライブアイコンをダブルクリックするだけでロック解除できる。それ以外の使い勝手はパスワード設定していない通常時と全く変わりがない。

 もしPCを家族と共用していて、別のログオンアカウントからMy Passport Ultraにアクセスされる可能性があっても、ロック解除にはパスワードが必須となる。もちろん別のPCにMy Passport Ultraを接続したときも同様だ。

他のPC(macOS)でも同じようにパスワード入力が必要。
「自動ロック解除」をオンにしておくと、パスワード設定したときと同じPC、同じログオンユーザーならHDD接続直後のパスワード入力を省ける。

 これで、誰かの目に触れるとマズいことになる(色づきのいい)写真や動画を保管していても安心。

 (ブログやイラスト投稿サイトで誰にも見向きされなかった)自作の絵、(かつて愛した人に贈った)歌やポエム、(試しに書いてみたハーレムものライトノベルの)テキストデータなどなど、改めて見ると目を覆いたくなるようなデータも、今となってはきっといい思い出の1つだ。大事にしまって、安全に後世に残そうではないか。

筆者にもそっとしまっておきたいコレクションデータはある。隠しておきたいファイルは安全に保管しつつ、必要なときはいつもの使い勝手で参照できるのが「My Passport Ultra」の魅力の一つだ。

秘密のデータや大事なデータを一括バックアップできる「WD Backup」

 ところで、WD Discoveryには簡単に使えるバックアップ機能「WD Backup」もある。あらかじめ指定したPCの内蔵ストレージなどにある大量のフォルダとファイルを、自動でMy Passport Ultraにコピーしてくれるものだ。

バックアップツール「WD Backup」。
バックアップタイミングは「1カ月ごと・1日ごと・1時間ごと」。1カ月・1日については曜日と時刻を指定できる。

 バックアップは「1カ月ごと・1日ごと・1時間ごと」のいずれかのタイミングで実行させることができ、1カ月と1日の場合は実行対象となる曜日や実行時刻も設定可能。

 一度全体をバックアップした後は、新たに追加されたもの、変更されたものだけを認識して差分だけをコピーするので、こまめにバックアップするようにしておけば一瞬で処理が完了するはずだ。

バックアップするディレクトリを選択。Dropboxと連携することで、クラウド上のファイルも自動でバックアップ可能。
バックアップ開始。データ容量が大きいと初回はやや時間がかかるが、2回目以降の差分だけなら高速だ

 2TBや4TBもの容量があるので、PCのデータストレージ全体をバックアップしてしまうのもアリだろう。トラブルなどで元々のデータを失ってしまったときは、素早くリストアして書き戻せばOK。PC環境を一新するときのデータ移行にも大いに活用できるに違いない。

暗号化したからといって油断は禁物!“履歴”に気を付けよう

タスクバーの検索ボタンから表示できる履歴。
「タスクビュー」の画面。プライバシーを守りたいなら1日単位で削除していくことになる。

 大事なデータも、通常のデータも、しっかり暗号化してバックアップしたからこれで安心……ということにはならない。実はもう1つ気を付けなければいけないことがある。それは「履歴」だ。

 たとえばWindows 10では過去にアクセスしたことのあるファイルの履歴が自動で記録されるようになっていて、タスクバーの検索ボタン(虫眼鏡アイコン)をクリックすると、どのデータにアクセスしたことが丸わかりなのである。

 ファイル名がソレとわからないようなデータならまだ救われるが、取り繕う隙のないモロな名前だったりすることももちろんある。こういう履歴を見ているときに限ってPCを背後から覗いた家族の視力が4.0くらいになったりするので油断ならない。大事故を防ぐためにも、あらかじめ対策を取っておくことをおすすめしたい。

 一番手っ取り早いのは、今ある履歴を削除し、以後は残さないようにすることだ。

 検索ボタンから見られるアクティビティの履歴については、タスクバーの「タスクビュー」ボタンをクリックし、上から2段目以降にある日付ごとに並んだ履歴の上で右クリック。サブメニュー内の「(日付)からすべてクリア」を選んで削除できる。1日単位でしか削除できないので手間はかかるが、仕方がない。名誉のためである。

 さらに、アクティビティの履歴を残さないようにするには、「Windowsの設定」にある「プライバシー」設定にアクセスし、「このデバイスでのアクティビティの履歴を保存する」をオフにしておく。同じ画面にある他の項目も、必要かどうか改めてチェックしよう。使用しているアプリやデータなど、ここからあなたの桃色生活が筒抜けになってしまう可能性があるので、必要なければ一通りオフにしておきたい。

 こうしておけば、アレなデータを使ったり、検索したりしていても、その事実をなかったことにできるはずだ。

「Windowsの設定」で「プライバシー」を選択。
「このデバイスでのアクティビティの履歴を保存する」などをオフに。これでかなりのプライバシーが守られる。

奥深くに眠っているデータも今すぐセキュリティ対策を

 プライベートのセンシティブなデータは、今や自宅のHDDの奥深くで静かな眠りについている……という人も少なくないと思う。でも、なんのセキュリティ対策もしていない状況だと、いくらディレクトリの深い階層にあったとしても無意味。ふとした拍子に履歴から探られるかもしれないし、検索機能がどんどん賢くなっていることを考えると、できるだけ早くに確実な安全策を施しておくべきだ。

 持ち運ぶことによる物理的なアクセスの遮断と、パスワードと暗号化による論理的なアクセスの遮断という二重、三重の対策が、他人に見せられない秘密データの100や200や数十万個は隠し持っている我々には必要だ。

 第三者による不正なアクセスだけでなく、家族など身近な人からの“悪意のない覗き見”からもブロックして安全にデータを保管し続けられるMy Passport Ultraは、世の男性・女性にとって心強い味方になってくれるのではないだろうか。

[制作協力:Western Digital]