特集、その他

今時のゲーム13タイトルでSSD vs HDD、NVMe SSDの導入効果を改めてチェック

Plextor M9P Plusで自宅のゲーミング環境を快適に text by 坂本はじめ

「Plextor M9P Plus」を使い、ゲーム用途でのSSD導入の効果を再確認。

 SSDがゲームのロード時間短縮に効果を発揮すること広く知られているが、どの程度の効果があるのかはゲーム毎に異なる。

 そこで、今回はイマドキのPCゲーム13タイトルを使用し、SSDを用いることでどの程度ロード時間を短縮できるのか、改めて一斉チェックを行ってみた。

 テストに用いるSSDは、PlextorのNVMe SSD「Plextor M9P Plus」のM.2モデル。最速SSDというわけではないが、3GB/sクラスのSSDとしては導入しやすいモデルなので、ゲーミングPCの構築やアップグレードを検討しているユーザーにもチェックしてもらいたい。

3.4GB/sのM.2 SSD「Plextor M9P Plus」でテストヒートシンクの有無で2タイプをラインナップ

Plextor M9P PlusのM.2モデル、ヒートシンクの有無で2タイプ用意されている。

 今回テストに使用しているPlextorのM9P Plusシリーズは、キオクシアの96層3D TLC NAND「BiCS4」を採用したNVMe SSD。

 M.2型と拡張カード(HHHL)型の2タイプが存在しており、M.2型には冷却用ヒートシンク搭載の「M9PG Plus」と、ヒートシンク非搭載の「M9PGN Plus」が用意されている。

 M.2型のフォームファクターは「M.2 2280」で、インターフェイスはPCIe 3.0 x4。256GBから1TBまで3種類の容量が用意されており、リード最大3.4GB/s、ライト最大2.2GB/sという転送速度を実現する。コントローラは「Marvell 88SS1092」。

 M9PG PlusとM9PGN Plusの違いは冷却用ヒートシンクの有無のみで、M9PGN Plusにヒートシンクを搭載したものがM9PG Plusであるとも言える。マザーボードのM.2スロットが、SSD冷却用ヒートシンクを搭載しているか否かで選び分けると良いだろう。

ヒートシンクを搭載したM.2 SSD「M9PG Plus」の512GBモデル「PX-512M9PG +」。
M9PG Plusの裏面。本体の厚み9.20mmのうち、約2mmは裏面側ヒートシンクの厚みとなっている。
ヒートシンク非搭載の「M9PGN Plus」の512GBモデル「PX-512M9PGN +」。
M9PGN Plusの裏面。裏面に部品は実装されていない。

アクションにTPS、RPGやFPSまで13タイトルでSSD導入の効果を検証

 それでは「M9PG Plus」の512GBモデル「PX-512M9PG +」にゲームをインストールして、そのロード時間短縮効果をみていこう。

 テストするゲームは以下の13タイトル。先日発売されたばかりの「バイオハザード RE:3」から人気のバトルロイヤルゲームなど、注目度の高いゲームを用意した。

バイオハザード RE:3
モンスターハンターワールド:アイスボーン
レッド・デッド・リデンプション2
ライフ イズ ストレンジ2
SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE
ファイナルファンタジーXIV
Call of Duty: Modern Warfare
バトルフィールド V
フォートナイト
レインボーシックス シージ
Counter-Strike: Global Offensive
Apex Legends
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS

 今回、テスト機材にはCore i9-9900Kを搭載したIntel Z390環境を用意。SSDであるPX-512M9PG +の比較相手には、5,900rpmの3.5インチHDD(4TB)を用意した。その他の機材については以下の通りだ。

ゲーム開始の待ち時間が3倍近く早くなる「バイオハザード RE:3」

 4月3日に発売されたばかりの「バイオハザード RE:3」は、1999年発売の「バイオハザード3 ラストエスケープ」をリメイクしたサバイバルホラーだ。

 ここでは、セーブデータを選択してからゲームが再開されるまでのロード時間を測定した。

20年以上の時を経て、最新のグラフィックスでリメイクされた「バイオハザード3」。
セーブデータを選択してからゲームが再開されるまでのロード時間を測定した。

 HDDがゲーム再開までに15.02秒を要したのに対し、SSDは9.72秒早い5.30秒でロードを完了した。SSDのロード速度はHDD比で約2.8倍であり、検証中は測定結果を見るまでもなく、ロード時間が短縮されていることを体感できた。

「モンスターハンターワールド:アイスボーン」を快適に楽しむなら絶対SSD

 PC版「モンスターハンター:ワールド」の超大型拡張コンテンツとして、今年1月に発売された「モンスターハンターワールド:アイスボーン」。各フィールドをシームレスマップ化した本作では、狩猟中に生じるロードを最小限に抑える一方で、フィールド間の移動などで長時間のロードが生じる。

 今回のテストでは、新拠点である「セリエナ」から、新マップ「渡りの凍て地」へ探索に出発するのに掛かったロード時間を測定した。

DirectX 12やNVIDIA DLSSにも対応し、より美しいグラフィックを楽しめるPC版「モンスターハンターワールド:アイスボーン」。
「セリエナ」から「渡りの凍て地」へ探索に出発する際のロード時間を測定した。

 SSDのロード時間は16.59秒で、HDDが記録した54.14秒から37.55秒もロード時間を短縮している。ロード速度は約3.3倍に達しており、時間を測定していなくてもロード時間が明らかに短くなっていると感じることができる。

「レッド・デッド・リデンプション2」はSSDでゲーム再開の待ち時間を短縮

 西部開拓時代末期のアメリカが舞台の「レッド・デッド・リデンプション2」は、広大で精緻なマップが魅力のオープンワールド・アクションアドベンチャーだ。

 オープンワールドらしいシームレスマップを採用する本作では、通常の移動にマップの切り替えによるロードが生じない一方で、新たなマップを生成する必要があるシーンでは長時間のロードが生じる。今回はその典型例である、タイトル画面からストーリーモードを再開する際に生じるロード時間を測定した。

丁寧に再現された西武開拓時代末期のアメリカが舞台のオープンワールド大作。
タイトル画面からストーリーモードを再開する際に生じるロード時間を測定した。

 HDDが記録した62.10秒に対し、SSDのロード時間は37.98秒。短縮された時間は24.12秒で、ロード速度は約1.6倍。先の2タイトルほど極端ではないものの、こちらもロード時間の短縮を体感できる程に効果は大きく、SSDの恩恵が大きなゲームのひとつであると言えよう。

SSDでエピソード開始の待ち時間が大幅短縮される「ライフ イズ ストレンジ2」

 日本語版が2020年3月26日に発売されたばかりの「ライフ イズ ストレンジ2」は、「ライフ イズ ストレンジ」の続編となるアドベンチャーゲーム。

 今回は、最初の物語であるエピソード1(EP1)をスタートする際に生じるロード時間を測定してみた。

前作の3年後を舞台に、ディアス兄弟の逃避行を描くアドベンチャーゲーム。
エピソード1開始時に発生するロード時間を測定した。

 HDDのロード時間が33.00秒であったのに対し、SSDのロード時間は11.69秒を記録。21.31秒ものロード時間を短縮し、その速度はHDDの約2.8倍に達した。

「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」の少ないロード時間ををさらに短くするSSD

 フロム・ソフトウェアとActivisionが共同開発した傑作アクション・アドベンチャー「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」。シームレスマップを採用しながらも、ゲーム開始時やファストトラベルでのロード時間は比較的短く抑えられている本作で、SSDの効果がどの程度のものなのかをみてみよう。

 今回のテストでは、タイトル画面でセーブデータを選択してからゲームが開始するまでのロード時間を測定した。

多くのマップがシームレスにつながっており、ロードを挟まず駆け抜けることができる。
今回はセーブデータの選択からゲーム再開までに生じるロード時間を測定した。

 ロード時間は、HDDが13.03秒で、SSDが9.04秒。SSDによって短縮されたロード時間は3.99秒で、HDD比のロード速度は約1.4倍だった。元々ロード時間が長いタイトルではないSEKIRO: SHADOWS DIE TWICEであっても、SSD導入のメリットは確かに存在するということが分かる。

SSDで広大なマップデータのロードが大幅短縮される「ファイナルファンタジーXIV」

 スクウェア・エニックスの大作MMORPG「ファイナルファンタジーXIV」。本作では、ゲーム開始時やマップの切り替え、ファストトラベル機能の利用などでロードが発生する。

 今回のテストで測定したのは、ログイン時に発生するロード時間だ。

ゲームの開始やエリア移動などのタイミングでマップ生成のためのロードが生じる。
ログイン時に発生するロード時間を測定した。

 HDDのロード時間が34.36秒であったのに対し、SSDは12.83秒を記録。短縮されたロード時間は21.53秒で、約2.7倍の速度でロードを完了している。マップを一から生成するタイミングであるため、ログイン時のロード時間は長くなりがちだが、SSDを用いることで待ち時間を大きく削減することができた。

「Call of Duty: Modern Warfare」はステージ開始前のロード時間がSSDで半分近くに

 大人気FPSのシリーズ最新作「Call of Duty: Modern Warfare」。DXR(DirectX Raytracing)によるリアルタイムレイトレーシングにも対応した、先進的なグラフィックスが魅力のミリタリーFPSだ。

 今回のテストでは、キャンペーンモードのステージ2「ピカデリー」の開始時に発生するロード時間を測定した。

DXRにも対応した先進的なグラフィックスで描かれるミリタリーFPS。
キャンペーンモードの「ピカデリー」を開始する際に生じるロード時間を測定した。

 SSDのロード時間は8.40秒で、15.99秒を記録したHDDから7.59秒のロード時間を短縮している。HDD比のロード速度は約1.9倍。このタイトルでもSSDによるロード時間短縮の恩恵をしっかり得ることができた。

「バトルフィールド V」はSSD導入で起動が少し高速に

 エレクトロニック・アーツのFPS「バトルフィールド V」は、DXRによるリアルタイムレイトレーシングに世界で初めて対応したゲームで、先進的なグラフィックスを楽しめるミリタリーFPSだ。

 今回は、Originクライアントからゲームを起動し、メインメニューが表示されるまでの時間を測定した。

DXRによるリアルタイムレイトレーシングに世界で初めて対応。HDRやDLSSといった先進的な機能を利用できる。
Originクライアントからゲームを起動する際のロード時間を測定した。

 起動時のロード時間は、HDDが63.98秒で、SSDは58.68秒。短縮されたロード時間は5.3秒だった。ゲームの起動からメニューが表示されるまでのロード時間はストレージ性能のみに依存する訳ではないため、これまでのテストのようにSSDがHDDを圧倒するには至っていないが、積み重なれば大きな差となり得るだろう。

「フォートナイト」はSSDでゲーム開始のロードが30秒も高速に

 世界的な人気を獲得しているバトルロイヤルTPS「フォートナイト」。

 他のゲームがそうであるように、SSDを用いればマップ生成時のロード時間を短縮できるが、オンライン対戦が主なバトルロイヤルTPSでは全ユーザーの準備が完了するまで待機してから対戦がスタートするため、そのロード時間短縮は大した意味が無い。

 そこで今回は、Epic Games Launcherからフォートナイトを起動し、メニュー画面が表示されるまでのロード時間を測定してみた。

PvPが基本のバ トルロイヤルTPSでは、参加ユーザーの準備が完了するまで待機するため、マップ生成時のロード時間短縮の恩恵は薄い。
ゲームの起動を開始してから、メニュー画面が表示されるまでの時間を測定した。

 ゲーム起動時のロード時間は、HDDが80.86秒であったのに対し、SSDは50.91秒を記録。短縮されたロード時間は29.95秒で、SSDはHDD比で約1.6倍の速度を実現した。フォートナイトは比較的起動時間の長いゲームであり、SSDを使っても1分近くの時間がかかっているのだが、それでもHDDに比べれば大きく時間を短縮できている。

SSDで起動が気持ち早くなる「レインボーシックス シージ」

 チーム対戦型のオンラインFPSとして人気を博している「レインボーシックス シージ」。オンラインでのマルチプレイが人気の本作では、Steamクライアントでゲームを起動してからタイトル画面が表示されるまでのロード時間を測定した。

チーム対戦型のマルチプレイが人気のFPS。
サーバーへの接続が開始されるタイトル画面表示までの時間を測定した。

 SSDのロード時間は52.23秒で、HDDの59.83秒から7.6秒のロード時間を短縮した。劇的な変化というほどではないが、SSDの恩恵が得られないという訳でもないと言ったところだ。

「Counter-Strike: Global Offensive」はSSD導入で起動時のレスポンスを改善

 ValveのオンラインFPS「Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)」は、チームデスマッチからバトルロイヤルまで、様々な対戦モードが楽しめる対戦型FPSだ。

 このタイトルでも、Steamクライアントからゲームを起動し、メインメニューが表示されるまでの「起動時間」を測定した。

2012年の発売以来、人気を維持している対戦型FPSだ。
ゲームを起動してからメインメニューが表示されるまでの時間を測定した。

 HDDの起動時間が34.55秒であったのに対して、SSDでは23.52秒を記録。HDD比で約1.5倍の速度でロードを完了しており、11.03秒のロード時間を短縮している。起動時のロード時間としては、SSDによる短縮効果が比較的大きなタイトルであると言えよう。

「Apex Legends」はSSDで若干起動が高速に

 Titanfallシリーズのスピンオフ作品として開発された「Apex Legends」は、チーム対戦型のバトルロイヤルFPSとして世界的な人気を獲得しているタイトルだ。

 今回のテストでは、Originクライアントからゲームを起動し、タイトル画面が表示されるまでの時間を測定した。

Titanfallシリーズのスピンオフ作品にして、世界でも屈指の人気を誇るバトルロイヤルFPS。
ゲームを起動してからタイトル画面が表示されるまでの時間を測定した。

 起動時のロード時間は、SSDが25.21秒で、HDDは28.53秒を記録。SSDによるロード時間短縮は3.32秒で、SSDはHDDよりも約13%早くロードを完了している。

「PUBG」の起動時間はSSD導入で半分以下に短縮

 いまや世界中で流行しているバトルロイヤル系ゲーム、そのきっかけとなったのがPUBGこと「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」だ。

 今回はSteamクライアントからPUBGを起動し、メインメニューが表示されるまでの時間を測定した。

PUBGは世界中で流行しているバトルロイヤルゲームの先駆けとなったバトルロイヤルTPS。
メインメニューが表示されるまでの「起動時間」を測定した。

 HDDのロード時間が74.20秒であったのに対して、SSDは33.15秒を記録。SSDの利用で短縮されたロード時間は41.05秒で、HDDの約2.2倍の速度でロードを完了している。今回テストしたゲームの中でも、起動時間の短縮に関しては屈指の結果であり、PUBGはSSDの恩恵がはっきりと感じられるタイトルの一つと言える。

動作温度も低めで扱いやすい、M9PG Plusの512GBモデル「PX-512M9PG +」

M9PG Plusの512GBモデル「PX-512M9PG +」。

 ゲームで使用した際の性能はこれまで紹介したとおりだが、「PX-512M9PG +」の基本的な性能も見ておこう。

 M9PG Plusの512GBモデル「PX-512M9PG +」は、スペック上では1TBモデルと同等の速度を実現したM9P Plusシリーズの最速モデルで、総書き込みバイト数320TBWの耐久性を備えている。

 ベンチマークテストのCrystalDiskMark 7.0.0では、リード約3,381MB/s、ライト約2,221MB/sという、スペックに違わぬパフォーマンスを発揮している。多くの環境でフル性能を発揮できるPCIe 3.0 x4接続かつ、TLC NANDを採用したPX-512M9PG +は、ゲーム用途はもちろんシステムディスクにも好適なSSDである。

PX-512M9PG +のCrystalDiskInfo実行画面。
PX-512M9PG +のCrystalDiskMark実行結果。

 PX-512M9PG +が搭載する冷却用ヒートシンクの性能も上々で、室温約25℃の環境下でCrystalDiskMarkを実行した際のピーク温度は47℃に抑えられていた。ある程度のエアフローなどはあった方が良いが、SSD用ヒートシンク非搭載のマザーボードでも安心して使うことができるだろう。

今時の多くのゲームでロード時間を短縮できるM.2 SSD自宅のゲーミング環境を快適にしよう

 以上、13本のゲームタイトルを使用し、SSDによるロード時間の短縮効果を今回は確認した。短縮される時間の大小や、ロード時間の発生機会はゲーム毎に恩恵の度合いは異なるものの、いずれのゲームでもSSDがロード時間を短縮している。今時のゲームにSSDを使うことがどれくらい効果的なのかの参考にしてもらえれば幸いだ。

 今回のテストに用いたPlextor M9P PlusシリーズのようなM.2型のSSDは、NVMe SSDならではの優れたパフォーマンスと、空きスロットに差し込むだけで手軽に使える利便性も魅力。大作ゲームは容量が大きいこともありHDDを使用してるユーザーもまだまだ多いと思うが、導入しやすくなったM.2 SSDに投資してみてはいかがだろうか。

 自宅で過ごす時間が増えつつある昨今、家でPCゲームを遊ぶ機会が多いユーザーにはぜひ快適な環境を手に入れてもらいたい。

[制作協力:Plextor]