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8コアCPUでゲームもライブ配信も快適な17.3型ゲーミングノート「MSI GE75 RAIDER」

240Hz液晶に第10世代Core i9-10980HKとGeForce RTX2070 SUPERを搭載 text by 白倉甲一

MSI GE75 Raider(GE75-10SFS-011JP)

 ゲーム配信の盛り上がりに合わせ、ストリーミング用途を想定したゲーミングPCが増えつつある。

 高画質でゲーム配信を行いたいのであれば、高スペックなデスクトップPCを用意するのが手っ取り早いが、持ち運びや設置スペースを考慮し、なるべくノートPCで行いたいというユーザーもいるだろう。ただし、ノートPCのハイスペックモデルはデスクトップPCよりも高額となるケースが多く、最上位モデルを誰もが購入できるわけではない。

 予算に合わせて購入したゲーミングノートの性能をどう割り振るか、配信画質の向上とゲームプレイの快適性を天秤にかけたり、ゲームタイトルによっては性能が足りずに配信しながらのプレイを断念するケースもあると思う。この辺りは実際に使ってみないとわからない部分も多い。

 今回紹介するゲーミングノートの「MSI GE75 Raider(GE75-10SFS-011JP)」は、8コア/16スレッドのIntel第10世代CPU「Core i9-10980HK」搭載することで、高画質ライブ配信と快適なゲームプレイの両立を目指したモデルだ。ゲーム配信を存分に楽しみたい人に適したモデルなのか、ゲームプレイや実際に配信を行った時の使用感を確かめていこう。

Intel第10世代8コアCPUとRTX 2070 SUPERを搭載高いハードウェア性能を無駄にしないこだわりの設計

 GE75 Raiderは17.3インチのゲーミングノートPCで、サイズは397×268.5×27.5mm、重量は2.64Kg。

 同クラスのゲーミングノートPCと比較するとやや厚みがあり重いが、ハードウェア性能を鑑みるに、必要とされる機能や性能を可能な限り盛り込んでバランスを取った結果という印象だ。

背面、MSIのロゴと赤いラインが特徴的なゲーミングモデルらしいデザイン。
底面の各所にスリットが入っていて吸排気に配慮されている。
ド派手な路線ではない全体的にまとまった印象を感じるデザインの筐体。
大きめの筐体にキーボード、タッチパッドなどが余すことなく配置されている。

 CPUはIntelの第10世代CPU「Core i9-10980HK」を搭載。8コア16スレッドにブースト時最大5.3GHzと、前GEシリーズに搭載されていた6コアCPU「Core i7-9750H」と比べ最大50%の性能向上を果たしたとされている。ゲームのみならず編集用途などでの使用にも耐えうる高いパフォーマンスを期待できる。

 GPUはNVIDIAの「GeForce RTX 2070 SUPER(モバイル向け)」を搭載。高リフレッシュレート液晶との組み合わせでも性能をフルに発揮し、コアなPCゲームユーザーでも満足できる仕様となっている。

CPUにCore i9-10980HK、メモリはDDR4 16GB搭載。
モバイル向けにチューニングされたGeForce RTX2070 SUPERを搭載。

 ディスプレイ240Hz/フルHD(1,920×1,080)対応の17.3型液晶を採用。狭額縁となっているため、数年前の15型ビジネスノートPCクラスの大きさに収まっている。

240Hz/フルHD対応の17.3型液晶を採用。
狭額縁となっており、17.3型としてはコンパクトに収まっている。

 システムドライブにM.2のNVMeSSD 512GBを搭載し、更にデータドライブにHDD 1TBを搭載している。大きい筐体を生かした余裕のあるストレージ構成だ。PCゲームのインストールはもちろんのこと、動画キャプチャ機能などで自分のプレイを録画しておきたい場合にもストレージ容量を気にせず運用できるだろう。

システムドライブには512GBのNVMeSSDを搭載。OSだけでなくメインで遊んでいるゲームなどは入れてしまっても問題ない容量だ。
データドライブには1TBのHDDを搭載。回転数も7,200rpmで十分な速度を見込める。

 キーボードは人気ゲーミングブランドSteelSeriesの「Per-Key RGB」を採用。やや深めのストロークのパンタグラフキーボードでアイソレーションタイプ、押し間違えも少なく打鍵感も程よい。

 ゲーミングノートPCでゲームをする場合にキーボードは別付けで運用する場合がほとんどだが、元々の搭載キーボードが打鍵感に優れているのは個人的に好印象なポイントだ。

日本語配列のアイソレーションキーボード。
通常、パンタグラフキーボードはプラスチックパーツに光が干渉することが多いが、明るい部屋でもしっかりイルミネーションが視認できた。
テンキーも付いているのでMMOなどのキーバインドが多いゲームでも割り当てに困らない。
「SteelSeries Engine 3」と「SteelSeries Per-Key RGB」対応でキー割り当て設定やイルミネーションなどを自由にカスタマイズできる。
上から電源スイッチ、マルチファンクションキー、冷却ファンの最大化。マルチファンクションキーはデフォルトではイルミネーション切り替えになっているが任意で割り当て可能。
タッチパッドはホームポジション中央に配置。大きめで操作しやすく、ボタンのガタつきもない。

 筐体の大きさからスペースに余裕がある分、各種インターフェイスも充実。USB3.2 Type-Cを1ポート、USB3.2 Type-Aを3ポート。映像端子はminiDPとHDMIをそれぞれ1ポート搭載している。

 映像出力端子も高リフレッシュレートの液晶モニターへの接続に対応しているため、マウスキーボード、液晶モニターなどを接続し、じっくり腰を据えてゲームを楽しむことも出来る。

右側面、USB3.2 Gen1 Type-Aが2ポートとSDカードリーダー。
左側面、LAN、HDMI、miniDP、USB3.2 Gen2 Type-C・Type-A、が各1ポート。オーディオI/Fは金メッキ加工されている。
セキュリティロック用のスロット。
手前中央部に各種インジケーター。

 サウンド面ではデンマークの高級オーディオメーカーDYNAUDIOと共同開発のスピーカー、ウーファーをそれぞれ2基搭載した「Giant Speaker」を採用しており迫力のサウンドを楽しむことが出来る。また、オーディオポートはマイク、ヘッドホンでポートが分かれているのでアナログ接続のオーディオインターフェースやヘッドセットを利用したい場合にも安心だ。

スピーカーはメイン×2+ウーファー×2の仕様。サウンド機能はHi-Res対応でユーティリティのNahimic 3もサポート。
スピーカー周りの機能は「DYNAUDIO」と共同開発されたものとなっている。

 これらの搭載機能の性能をしっかりと引き出すため、クーラーは多数のヒートパイプと2基のファンで構成された同社の「Cooler Boost 5」を搭載。長時間の使用でも高いパフォーマンスと安定動作の両立を実現するとされている。また、ユーティリティの「MSI Dragon Center」からはPCの温度やパフォーマンスなどの確認や、各種設定を行える。

高いパフォーマンスを長時間発揮するために複数のヒートパイプを用いて廃熱を外部へ放出する「Cooler Boost 5」機構を搭載。
背面側からはファンやヒートパイプの一部が見える。
「MSI Dragon Center」から温度、パフォーマンスの確認や各種設定も可能。

人気ゲームを100fps超えで楽しめるゲーミング性能240Hz液晶搭載の恩恵が受けられる性能を発揮

高スペックなPCでゲームをプレイする際、高いフレームレートが出ていてもディスプレイ側が高リフレッシュレート表示に対応していなければ一定以上に滑らかな表示はできない。240Hz液晶を活かしたパフォーマンスがあるのかテストしてみよう。

 リフレッシュレートは1秒間に画面が切り替わる回数を表しており、数値が高ければ高いほど残像感が減り画面の表示が滑らかになる。動きの激しいシューティングゲームなどで特に恩恵を受けやすく、PC用のゲーミングモニターでは144Hz以上の高リフレッシュレートに対応したモデルが主流になりつつある。

 いざ高いリフレッシュレートでゲームプレイするとなると、それに伴いPC自体の要求スペックも上がってしまうのだが、GE75 RaiderのGPUには高性能なRTX2070 SUPERが搭載されており、モバイル向けの調整はされているものの、ノートPCとしては十分すぎるほどの高性能を発揮できるはずだ。

 ここではゲーム内のグラフィック設定から品質プリセット毎にどれくらいのフレームレートでプレイできるか、フォートナイト(Fortnite)とPUBG(PLAYERUNKNOWN‘S BATTLEGROUNDS)を使って実際にプレイした際のフレームレートを計測してみた。

「フォートナイト」カジュアルなTPSで要求スペックは少なめ。建築など独自の要素が人気のバトルロワイヤル。
最低画質であれば240fpsでプレイも出来るがジャギ感が出てしまう。

 フォートナイトでは元々の要求スペックが高くないことも手伝い、最高画質の設定でも120fps以上をキープ、おおむね130fps前後でのフレームレートでプレイすることが出来た。

 最低画質ともなると240fpsまで数値を引き出すことが出来たものの、画面が荒くなりすぎてプレイに支障が出てしまうので、フレームレート優先で画質を落とすのであれば中~高画質ほどに留めて各所を視認性が崩れない程度に調整するのが良さそうだ。

「PUBG」バトルロイヤルブームの火付け役。要求スペックはそれなりに高い方で、このゲームが快適に遊べればほとんどのPCゲームでスペック的に困る事はまずないだろう。
ビデオカードの最適化設定を適用したところ常時120fps前後のフレームレートでプレイ可能で、雰囲気を損なわない範囲の画質を維持することが出来た。
PC本体のパフォーマンス設定はプリセットから簡単に切り替えることが出来る。性能重視や静音性重視、低消費電力動作など、利用シーンに合わせて切り替えできる。
GeForce Experienceは、PCにインストールしたゲームを選択し、最適化を適用するだけで手軽にパフォーマンスを調整してくれる。手持ちのPCに最適な設定を知りたいときにも参考になるだろう。

 PUBGでは元々の要求スペックが高いのもあり最高画質設定では流石に100fpsを割ってしまったものの、乱戦時でも60fps以下になることは少なく快適にプレイする事が出来た。ただし最高画質で長時間プレイする場合には発熱も高く、ファンも常時マックスで回転するためPCへの負荷を考えると低めの画質設定にしておいた方が無難だろう。

 今回は液晶ディスプレイの性能をフルに発揮するべく高リフレッシュレートの設定でテストしているが、実際には60fpsを割らなければプレイするには十分快適なので120fpsが出るかどうかぐらいを目安にグラフィック設定を調整するのがおすすめだ。

 マシンスペックに余力がある分、設定を切り詰めなくてもそれなりに快適にプレイ出来るので、グラフィックドライバから最適化設定を適用して調整の手間を省いてしまうというのも一つの手だろう。

ゲームだけではなく様々な用途での仕様にも最適第10世代8コアCPUを採用でレンダリングも高速

 GE75 Raiderに搭載されているCore i9-10980HKは8コア16スレッド対応のの高いマルチスレッド性能を持ったCPUで、GEシリーズの旧モデルで搭載していた6コアのCore i7-9750Hと比較しても大幅な向上性能が期待できる。

 実際にCPUベンチマーク「CINEBENCH R20」を使ってパフォーマンスを計測してみた。

タスクマネージャ上から8コア16スレッドで動作していることが確認できる。ノートPCもCPUコア数はデスクトップPCと遜色が無くなりつつある。
コンフィグラブルTDP動作クロック3.1GHzでのテストを実行。

 検証機でのマルチコアのテスト結果は3,717pts。冷却性能などにも左右されるが、GEシリーズの旧モデルで搭載していたCore i7-9750Hのスコアが2,300~2,600前後なので、概ね公称通り旧製モデルから約1.5倍のパフォーマンスアップとなっているようだ。

 これだけの性能があれば、ゲームのみならずCPUのパフォーマンスが必要な作業用途全般での活躍もまず問題ないとみて良いだろう。

フォートナイトをプレイしながらTwitchを配信してみた、ライブ配信しながらのプレイもこなせる性能を発揮

 CPU性能を試す為、ライブ配信サービスのTwitchで実際にゲーム配信も行ってみた。

 フォートナイトをGeForce Experienceの最適化設定を使用してプレイ、配信ソフトのOBS Studioの設定はほぼデフォルトそのままで、CPUプリセットのみmediumに変更し720pで配信を行った。

 テストした限り、ゲームに支障などは無く、フレームレートも100~120fps前後で安定してプレイできた。配信中の動画を確認してもコマ落ちは見られず、CPUパワーの面ではかなり余裕がある印象だ。

プロプレイヤーなども多く利用しているTwitch、同サイトで高画質配信を行うためにはアカウント上の一定条件を満たす必要があるため今回は720pで設定。
配信画面はOBS Studioの設定値である60fpsで制限がかかるが、プレイ中に自分が見ているディスプレイでは高フレームレートで普段通りにゲームを楽しむことが出来る。
CPU/GPUともにフルロードに近い状態が続くとファン回転数は5,000rpm前後まで上がる。動作音が気になる場合はゲームの画質を若干下げて負荷を下げたり、ノートPC用冷却台などを併用したりすると良いだろう。

 ゲーミング性能という点では余力を感じるほどで全く問題ないのだが、CPUもGPUもフルに性能を性能を目一杯使おうとすると、排熱のためにファンがフル稼働してしまいなかなかの動作音になる。2基あるファンが両方とも5,000rpm前後で回転するので、熱が籠りやすい場所に置いての使用はお勧めしない。

 性能をフルに使いつつライブ配信を行うのであれば、マイクは指向性の高いものにするなどの騒音対策を取った方が快適だろう。フレームレートのチェック時と同様にここでも高めのグラフィック設定でテストを行ったが、発熱自体を抑えられるようある程度性能を抑えつつ低発熱で動作するように調整してしまうのも効果的だろう。

8コアCPUの性能をしっかり引出すゲーミングノートゲームでもライブ配信でも活躍する高性能モデル

 PCゲームやライブ配信などを目的とした場合、瞬間的な性能だけではなく長時間安定して動作する事が重要になってくる。

 その点、「MSI GE75 RAIDER」はゲームプレイとライブ配信を同時にこなしても高い性能を発揮しつつ、それをしっかりと冷却し安定性とパフォーマンスを維持するクーラーを搭載している。クーラーが最大動作となった場合は動作音が気になるが、その分冷却能力にマージンを持たせているということでもある。

 最新世代のCPUやGPUは、従来に比べ消費電力や発熱で改良されているとはいえ、筐体を含めた設計が伴っていないと結果的に動作の不安定に繋がる。そうした面で「MSI GE75 RAIDER」はハイエンドパーツがフルに性能を発揮できるよう、緻密に設計された安心感のある一台といえるだろう。

 ゲームプレイもゲーム配信も両方ともに高い性能で楽しみたいユーザーは、有力な購入候補として検討してみてもらいたい。

[制作協力:MSI]