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ハイエンドから薄型まで、多数のモデルから自分にベストなMSI製ゲーミングノートPCを選ぼう

MSI製ゲーミングノートPC一挙紹介 ラインナップ確認編 text by 石川ひさよし

 MSIと言えば「ゲーミング」分野に強い印象をお持ちだろう。PC DIYでは静音性と安定性に優れたグラフィックスカードやマザーボードを、そしてそこで長年培ってきた技術をゲーミングノートPCに注いでいる。

 今回紹介するのはゲーミングノートPC。同社の幅広いシリーズラインナップは、高性能、スリム、コストパフォーマンス重視……といったように、幅広いユーザーの好みや用途に合わせてぴったりなモデルを選ぶこともできる。

 ただ、豊富なラインナップのなかから、どのモデルが自分の用途に最適なのかを明確に判断できるユーザーは少ないだろう。本記事ではゲーミングノートPC購入時の指南として、MSI製ゲーミングノートPCのシリーズ毎の違いとターゲットとする用途やユーザーを再確認し、Intel製CPU搭載モデルのラインナップを紹介していきたい。

MSIのゲーミングノート6シリーズをまずは性能と位置づけで解説

 MSIのゲーミングノートPCには様々なシリーズが用意されているが、それぞれのシリーズがどのようなポジションなのかまとめておこう。国内で主に展開されているのは以下の6シリーズとなる。

・GTシリーズ (モンスター級ハイエンドゲーミングノート
・GSシリーズ (薄型/高性能を両立するゲーミングノート)
・GEシリーズ (今時のトレンドを抑えた高性能ゲーミングノート)
・GP/GLシリーズ (高コスパなゲーミングノート)
・GFシリーズ (手堅いエントリークラスのゲーミングノート

 これを性能のランクと価格帯で大まかに分けてみると、以下の図のようになる。

 ピラミッドチャートのとおりパフォーマンスで頂点に立つのはGTシリーズだ。CPU、GPUの表は、左にあるものほど高性能としているが、GTシリーズはCPU、GPUともに最高クラスのものを採用している。

 GSシリーズとGEシリーズはピラミッドチャートで2段目。搭載しているGPUはGTシリーズと同じセグメントだが、CPUはCore i7を搭載している。そして、GSシリーズはスリムデザインでゲーミングだけでなく普段使いのノートPCとしてもスタイリッシュ、GEシリーズは伝統的なゲーミングPCよりはスリムでスタイリッシュだが据え置き用途向けのデザインをしている。

 ピラミッドチャートの3段目はGPシリーズとGLシリーズ。GPシリーズはゲーミングノートPCとしてはパフォーマンスと価格のバランスの良いボリュームゾーン。CPUは昨今のゲームで求められる4コア以上で、GPUはGeForce RTXシリーズの機能をフルに利用できるアッパーミドルといったところだ。GLシリーズは、GPUにGeForce GTX 16シリーズ、CPUにCore i7/i5を採用することで価格を抑えた構成をとっており、ミドルクラスからエントリークラスまでの範囲をカバーするモデルだ。

 最下段に位置するのがGFシリーズ。ややスリムなデザインを採用し、CPUにCore i7/i5、GPUにGeForce GTX 1650/GTX 1050といった、低コストを意識した組み合わせを採用し、エントリークラスの性能や価格帯をカバーするモデルになる。

 それぞれのシリーズの要素から分布図を作ると、下の図のようになる。それぞれのシリーズが位置するランクや要素などをなんとなく掴んでもらえるだろう。

MSIゲーミングノートに搭載される「ゲームで快適な」機能たち

 さてここからは、ここがMSIのゲーミングノートPCという特徴を紹介していきたい。

 ゲームパフォーマンスを最大限引き出すための機能や、ユーザーの利便性を高める機能など、ゲーミングノートで大きなシェアを獲得するに至った機能が備えられている。ポイントとなる部分を個別に見ていこう。

 なお、下位モデルなどには搭載されていない機能もあるが、大多数のMSI製ゲーミングノートPCに搭載されている機能だ。

最大パフォーマンスを発揮するための高性能クーラー「Cooler Boost」

 まずはPCの性能を最大限引き出すために設計されたクーラーから紹介しよう。

 MSIはクーラーの静音性、冷却性能で定評があるメーカーだ。ビデオカードであれば「TRI-FROZR」、「TWIN-FROZR」といった高性能クーラーを搭載し、人気を集めている。ノートPCには「Cooler Boost」という冷却機構が採用されており、モデルに合わせ最適な設計のクーラーが搭載されている。

GT76 TITANに搭載されている「Cooler Boost Titan」。ヒートパイプ10本に4基のファンを搭載したかなり強力なクーラーだ。
こちらはGS65 Stealthに搭載されている「Cooler Boost Trinity+」。薄型筐体でも性能が発揮されるデザインが採用されている。
GP65 Leopardに搭載さ入れてる「Cooler Boost 5」。こちらはGSシリーズよりも筐体に厚みがあるので、その分ヒートシンクの構造なども異なるものが採用されている。

 「Cooler Boost」はCPUクーラーやグラフィックスカード用のクーラーと同様に、ヒートパイプで発熱源となるCPUやGPUの熱を吸い上げ、冷却を行なうヒートシンクやファンに伝える構造になっている。

 筐体のサイズや搭載パーツに合わせ個別にカスタマイズされており、GTシリーズなら「Cooler Boost Titan」、よりスリムなGSシリーズなら「Cooler Boost TRINITY+」といったように異なる。もちいられるヒートパイプの本数や、ファンの数や構造などさまざまだ。

 動作音は大きくても構わないから最大のパフォーマンスが欲しい時には冷却性能重視に、パフォーマンスはほどほどに静かにPCを使いたいときは静音性重視にと、本体キーボード面に搭載されたCooler Boostボタンを押すことでワンタッチでプロファイルを切り変えて使用することもできる。

ワンサイズ小さい筐体を実現する狭額縁ディスプレイ

 一部、旧モデルが継続販売されているものに関しては外れるが、MSIの現行ゲーミングノートシリーズはすべて狭額縁ディスプレイを採用している。

 スマートフォンでもデスクトップ向けのディスプレイでも、今は狭額縁であることがデザイン上のアピールになっているのはご存知のとおり。ゲーミングノートPCでもこれを積極的に採用している。

狭額縁ベゼルで筐体サイズがひと回りコンパクトに。
古いノートPCであれば15.6インチモデルなどはかなり大型だったが、狭額縁ベゼルを採用することで15.6インチでも古いノートPCの14インチクラスのサイズに収めることが可能になった。

 狭額縁のメリットは、同じサイズのディスプレイを搭載する場合、本体サイズを小さくできるところにある。とくに17.3型インチディスプレイ搭載モデルは大きく、机の上で大きな面積を専有してきた。この「フットプリント」を新世代の狭額縁ディスプレイ採用モデルでは若干小さくできる。以前であれば15.6インチのノートPCを持ち歩くのはサイズ的にためらわれたが、狭額縁モデルであればモバイルも可能なサイズに収まる。

 また、ノートPCでもさまざまな部分で無線技術が取り込まれてきたが、電源ケーブルをはじめ、キーボードやマウス、ヘッドセットなどでまだ有線ケーブルのものを利用することも多い。そうしたケーブルの取り回しも、本体サイズが小さくなることで自由度が増す。

 ほか、ゲームへの没入感も向上する。ディスプレイパネル周囲の「ベゼル」の存在がゲームプレイ中に気になることはないだろうか。ディスプレイという「デバイス」がそこにある存在感のことだ。このベゼルが狭くなることでディスプレイの存在感が薄まり、違和感を抑えてくれる効果もある。eスポーツ競技のように、集中力が求められるシーンでここが効いてくる。

ゲーム向けのサウンドチューニングも可能な「Nahimic」

 MSIのゲーミングノートPCでは、サウンド機能に「Nahimic」が採用されている。

 NahimicはソフトウェアDSPで、とくに3Dサウンドを強化してくれる効果がある。一般的なステレオスピーカーやヘッドセットで、7.1chバーチャルサウンドを実現可能だ。このほか、ボイスチャットをより快適に行うためのノイズやエコー対策の機能も備えている。

音質のチューニングやサウンドエフェクトなどを調整できる「Nahimic Audio」。世代の新しい機種には「Nahimic3」が現在採用されている。
ゲームを優位に進めるための3Dオーディオ機能なども備える

 FPSゲームなどでは、忍び寄る的の存在を物音・足音で判断する。そうした音をより聞き取りやすくしたり、方向感をわかりやすく音質をチューニング可能だ。また、シナリオ重視のゲームではゲーム内の音楽も作り込まれている。そうした場合はオーディオ機器寄りのセッティングを選ぶこともできる。

 音を大切にしたい、よりよい環境で楽しみたいと考えているのであれば、こうしたサウンド機能も重要だ。

バックライト/マクロ機能付きのSteelSeries製RGBキーボード

 ゲーミングPCで重視されるのがキーボードやマウスといったデバイス。

 ノートPCはキーボードが搭載されているが、標準のキーボードに満足できない方も多いだろう。ゲーミングキーボードでは、耐久性、感触、反応速度、同時押しなどさまざまなところがゲームプレイ向けに改善されている。

GP75 LEOPARDに搭載されているカラフルなSteelSeries製Per-Key RGB対応キーボード。
当然、マクロ機能などゲームのための機能も搭載。

 MSIのゲーミングノートPCでは、上位モデルを中心にSteelSeriesのキーボードが採用されている。SteelSeriesはご存知のとおり、キーボードやマウスを中心としたゲーミングデバイスのトップメーカーだ。そのSteelSeriesが設計したキーボードが搭載されており、同社のユーティリティ「SteelSeries Engine3」によってさまざまなカスタマイズが可能だ。

 同時に、1つ1つのキーにRGB LEDバックライトが搭載され、実況配信向けのハデな演出から、プレイ時の操作に即した実用的な発光、夜間の普段使いに最適な大人し目のキーを照らし出す発光と、好みにカスタマイズできる。

ゲーミング向けLANでは定番の「Killer」を搭載、ゲームのレスポンスを最優先に

 オンラインゲームがスタンダードとなった現在はネットワーク帯域も重要。1GbE以上が当たり前の現在、ゲームだけならあまり困ることはないが、同時に配信やチャットといったアプリケーションも起動すると、家庭内のネットワークも混雑することになる。

 MSIのゲーミングノートPCでは、多くのモデルが「チーミング機能」に対応している。チーミングは、有線LANと無線LANを両方同時に利用できる機能だ。ゲームは有線LANを、ほかのアプリケーションは無線LANを使うといったように、帯域を分けることで混雑を解消するほか、ゲームのパケットを最優的に処理する設定も選べる。

ゲーミングNICでは定番の「Killer LAN」を採用。
有線/無線ネットワークを最適化してレスポンスを高める。

 モデルによっては有線LANが2.5Gbpsに対応していたり、無線LANがWi-Fi 6に対応していたりと、MSIはより新しい、より高速なインターフェースを積極的に採用している。

自分の用途に合わせて好みの1台を選ぼう、各シリーズのポイント紹介

 MSI製ゲーミングノートPCの全般的な特徴は前述したが、ここからは各シリーズごとのポイントを見てみよう。今回紹介するのは、GTシリーズ/GSシリーズ/GEシリーズ/GPシリーズ/GLシリーズの5種類。

 性能最優先であったり、モバイルも意識した設計であったり、コストパフォーマンスを優先したりと、ユーザーのニーズに合わせ、適したモデルが選べるよう多くの製品をMSIはラインナップしている。

 MSIのゲーミングノートPCを選ぶときは、何を優先するのか、どんな用途に使うのかをはじめに決め、そこからCPUやGPUのスペックを決めるといったフローで選ぶと良いだろう。

ウルトラハイエンドのGTシリーズ

GTシリーズ

 すべての機能、そして最高のパフォーマンスを求めるならGTシリーズだ。

 CPUやGPUといったゲームの3D性能に関わる部分は最高のものを搭載しており、デスクトップ型のゲーミングPCに引けを取らない性能をもったウルトラハイエンド仕様なのが特徴だ。CPUやGPUだけでなく、ネットワーク機能も2.5Gbps有線LANやWi-Fi 6を搭載するの最速を意識したモデルがGTシリーズだ。

薄型高性能ならGSシリーズ

GSシリーズ

 GSシリーズは、GTシリーズに次ぐパフォーマンスを全シリーズ中もっともスリムな筐体におさめており、自宅でも出先でも、スタイリッシュでハイパフォーマンスなノートPCを求めるユーザーに最適だ。

 17.3インチディスプレイ搭載モデルは大きさもあるので持ち運びよりも据え置き中心となるが、15.6インチディスプレイ搭載モデルは狭額縁ディスプレイ採用もあってひと回り小さく、重量も2Kgを切っているので持ち運びやすい。

標準仕様のパフォーマンスモデルならGEシリーズ

GEシリーズ

 GEシリーズはデスクトップ代替クラスのハイパフォーマンスなゲーミングノートPCだ。

 GTシリーズほどゲーミングノートPCスタイルではなく、一見すればよくあるデスクトップ代替ノート。しかしその実態はゲームも余裕でこなせるハイパフォーマンスマシンというさりげなさがポイントだ。CPUやGPUは上位モデルを搭載しており、最新機能を楽しんだり、トレンドを抑えたりと、今時のゲーミングPCといったパフォーマンスを求めるならGEシリーズが適している。

コストパフォーマンス優先ならGPシリーズ

GPシリーズ

 GPシリーズは筐体コンセプトではGEシリーズに近く、オーソドックスな印象だが、コストパフォーマンスを優先して設計されたモデルだ。

 CPUとGPUなどスペック部分を、オンラインゲームの人気タイトルがフルHD/60fps前後で楽しめる程度に性能をまとめ、コストパフォーマンスを追求したモデルだ。スタンダードなフルHD環境で、快適かつ予算を抑えてゲームを楽しみたいならGPシリーズがオススメだ。

ゲームを軽く楽しんだりゲーミングノートをはじめて購入するならGLシリーズ

GLシリーズ

 GLシリーズは、初めてゲーミングノートPCを購入するユーザーや、カジュアルなゲームを気軽に楽しむ層に向けた高コストパフォーマンス設計のモデルだ。

 上位のGPUなどは搭載していないが、人気のゲームがフルHD/標準画質で楽しめる性能は確保されており、それでいて10万円台半ばの価格帯に収まっている。はじめてのゲーミングノートPCを選ぶユーザーにもオススメだ。

次回からは各シリーズの特徴を代表モデルを使い詳しく解説

 今回はMSIのゲーミングノートPCの6シリーズを特徴からまとめてみた。次回からはシリーズごとに代表モデルを用意し、一段深くスペックや性能などを紹介していこう。

[制作協力:MSI]