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大学生&高校生プロマインクラフターに聞いてやっと分かりました。Minecraft with RTX Betaってココまで凄かったのかっ!!

text by 芹澤正芳

この神々しい光とリアルな陰影が、あなたの操作にリンクしてグリグリとリアルタイムで動く!※本企画はMinecraft公式ではありません。Mojangとは無関係です

 「Minecraft with RTX Beta」はMinecraft(マイクラ)の世界にレイトレーシングを取り入れ、光線の動きを精密に計算して、リアルな影、反射、映り込みが表現できるようになった。このMinecraft with RTX Betaをプロのクラフター(マイクラを使って制作活動を行う人)たちはどう見るのか。ワールドの制作にどう取り入れようと考えているのか。

 今回はとがった感性を持つ大学生と高校生の二人のクラフターに実際プレイしてもらいながら話をうかがった。彼らの言葉から、プレイヤー視点では気付かなかったMinecraft with RTX Betaの作り込みと、新たなマイクラの可能性が見えてきた。

「軍艦島」のかとりく氏がプロCGクリエイター視点でチェック

 一人目は、Minecraft上で「軍艦島」を再現したことで知られる「かとりく」氏。クラフターから活動の範囲を広げ、大学生にしてプロCGクリエイターとしても活動するようになった同氏の目には、レイトレで表現されたMinecraftの世界はどのように映るのか。

かとりく氏は現在大学二年生。JCU所属プロマインクラフタークラフターとしてテレビ番組で取り上げられることもある一方で、クリエイター集団「sense.」のメンバーとしても活動。テレビ番組のオープニングCGも手掛けている。個人ページはこちら

――Minecraftを始めたきっかけと時期を教えてください

かとりく氏(以下か):中学校一年生のとき、スマホ版でプレイをはじめました。もともとレゴブロックとかで建物を作るのが大好きだったんですが、大きい街を作りたくても物理的な限界があってムリだなと思っているところに出会ったのがMinecraftです。

 時間がある限り作り続けることができる、無限の広がりがあるところに魅了されました。Google+のクラフターのコミュニティで情報交換をしながら、MODを作ったりもしていました。

Minecraftで制作した1/1スケールの軍艦島。かとりく氏のTwitter(@land_ineraf37)でJava版、スマホ版の両方のワールドデータが配布されている

“そこにいる”という没入感は圧倒的。動かしてみると全然違う!

――Minecraft with RTX Betaをプレイした最初の印象を教えてください

か:ネットの記事などで見た印象とプレイしたときのインパクトはまったく違って、実際の反射とか屈折みたいなところが、プレイヤーの移動や、時間の変化によってリアルタイムに感じることができるところに魅力を感じました。

 ブロックで作られた世界に光の反射がリアルになっても意味があるのかな? と思うところもあったのですが、実際にプレイしてみるとMinecraftとレイトレーシングは相性最高ですね。

ずっとプレイしたくなるほど楽しく、衝撃的だったという
天井から光が射し込むなど、いわゆるゴッドレイも見事に表現。水槽内の陰影もリアルだ

――レイトレーシングがワールド作りのどこに影響が出そうでしょうか

か:一番衝撃的だったのが、鉄ブロックがちゃんと鉄になったことですね。今まで鉄ブロックは、単なる灰色のブロックとして使っていましたが、RTX版で建築物を作るとき、鉄の部分にはちゃんと鉄ブロックを使うなど、ブロックの個性をちゃんと理解して作っていく必要が出てくると思います。間違いなく表現力は上がりますね。

 CG制作もやっていてマテリアル(質感を設定していく作業)にはこだっているので、細かい光の表現なんかをMinecraftの中で実現できると思うとワクワクします。テクスチャも自分で作れるので、めちゃくちゃ作ってみたいですね。

左がレイトレーシング無効の鉄ブロック。単なる灰色に見える。レイトレーシングを有効(右)になると反射は映り込みがあるリアルな鉄のブロックになる

――RTX版におけるテクスチャ作成ガイドはNVIDIAのサイトでも詳しく公開されています

か:鏡のように映り込む全反射するブロックを作れたり、局所的に全反射するブロックを作れたりもすると思うので、かなり表現力の幅は広がると思います。

 それに、リアルな光の動きを実現しているので、実際の物質がなぜこういう風に見えているのかという教育の視点からもかなりの意味があると思います。ガラスしても水にしても配置したときの光の表現にウソがないですから。

――レイトレを活かしてどんなワールドを作ってみたいですか

か:以前の作品で擬似的に鏡を作ったことがありましたが、RTX版では全反射するブロック使うなどレイトレーシングを最大限活用したトリックワールドなんかを作ってみたいですね。

全反射するブロックを使うと鏡の反射によって無限に広がるような部屋も作れる(右)。レイトレーシングをOFFにするとただのブロックだ(左)

――RTX版ならではのよさって何でしょうか

か:画面に対する信頼感があることですね。影MOD(Java版Minecraftで美しい影を実現する拡張キット)で、水の表現がうまくいっていないときなど、水の下に近い色のブロックを敷いたりして、よりキレイに見えるように工夫するとか、影MODに寄った建築をむりやりすることもありましたけど、レイトレーシングなら限りなく現実世界に近い光の表現をしてくれるので、現実に近い工法で建築物を作れるようになるのでは思っています。

 影MODで美しく見せるために、派手な色のブロックを配置したりと、リアルに見せるためにウソを入れる点に矛盾のような思いがあったりしましたが、RTX版ならそれがいらない安心感がありますね。

光の映り込みや反射がリアルに表現されるようになる。床に映り込んだたき火はリアルにゆらめく
「存在感が全然違う」と語るかとりく氏

――かとりく氏がオススメする見どころはどこでしょうか

か:水面に対する視線の角度によって見え方が変わるところです。水面ギリギリまで近付くと水中がほとんど見えなくなって全反射に近くなります。

 それに、屈折率も現実と同じなので水中のものが大きく見えたりします。魚釣りで大きいのが釣れたと思ったら、水面から出てきたら小さかったなんてことがありますが、それもMinecraftで表現できるのがスゴイですね。

水面もリアルになる。視点が水面ギリギリになると全反射するため水中が見えなくなる(画面奥側)、そして空中と水中は屈折率が異なるため、水中の物体は近く、大きく見える(手前右側)。レイトレーシングの有効、無効でその違いがよく分かる
ハイエンドPCでも処理が重たいほどの最先端技術を体験できるのが熱いですね、と語るかとりく氏

高校生プロマインクラフターBeryllin氏はすでにRTX対応ワールドを作っていた!

 二人目は、まだ高校生ながらマーケットプレイスでも複数の作品を販売している「Beryllin」氏。なんとすでにMinecraft with RTX Beta上に過去の作品を移植したり、自作のテクスチャを多数作ったりするなど、かなり使い込んでおり、NVIDIAの公式Twitterでその作品が紹介されるほどだ。

JCU所属プロマインクラフターBeryllin氏。現役高校生ながらMinecraftの公式パートナーで、プロクラフターチーム「Beryl Moon」を運営。CRESCERYMなど、複数のワールドをマーケットプレイスで販売している

――Minecraftを始めたきっかけと時期を教えてください

Beryllin氏(以下B):今は高校三年生で、Minecraftを始めたのは中学三年生です。最初は家庭用ゲーム機版をプレイしていましたが、高校生になってからPCを手に入れたので、それからはずっとJava版とWindows 10版をやっています。

 Minecraftはレゴブロックと似たようなところもありますが、場所と大きさを気にせず、自分の好きなモノを作れるのが素晴らしいと思っています。

――いくつかの作品をマーケットプレイスで販売していますね

B:現在かかわっているものとしては、4作品がマーケットプレイスで販売されています。基本的には一人でワールドを作っていますが、チームで作った作品もあります。

Beryl Moonの作品としてFour Seasons Islands、OBOROZUKI -SAMURAI RPG-、CRESCERYMの三つのワールドがマーケットプレイスで販売されている

カスタマイズ性の高さこそが魅力、しかも“簡単に作れる”

――RTX版をプレイした感想を教えてください

B:まず注目したのは鉄ブロックですね。光が反射するようになっています。Minecraft with RTX Betaでは、[:]キーでレイトレーシングをONとOFFを切り換えられるので、比べてみると分かりますが、鉄ブロックのテクスチャ自体は今までのMinecraftと変わっていません。

 そこに、表面にでこぼこを表現するノーマルマップや反射マップ(映り込みの表現)、発光マップ(光を出す表現)といった効果を追加することで、ブロックの質感などを高めています。

鉄ブロックに光が映り込み、金属っぽさが増している。よく見るとでこぼこも表現されているのも分かる

――テクスチャが注目ポイントということですか

B:発光と反射と粗さを一つの画像(テクスチャ)で表現できるのがスゴイところです。画像のどの色がどれくらい濃いかで、発光、反射、粗さを決めることができます。私がRTX版で一番推したいのが、このカスタマイズ性の高さです。

 鉄ブロックは、表面を反射させることで金属っぽさを出していますが、作り方によっては鏡みたいなブロックも作れます。ユーザー側が画像を用意するだけで、カスタマイズしたブロックを生み出せるのが私にとってRTX版一番の魅力と思います。

オリジナルのテクスチャ作成方法についてはNVIDIAのサイトが詳しい
暖色系の色が多かったMinecraftにおいて、青や紫色の発光ブロックを配置できるようになったことで、画面のようにネオンも表現しやすくなった点も注目という
左がレイトレーシング無効、右がレイトレーシング有効。ただの色付きブロックでも発光させることでガラリと雰囲気が変わる

――カスタマイズというと大変そうに思えますが

B:テクスチャパックとかリソースパックと呼ばれているものでカスタマイズができます。コードを書くのではなく、画像1枚だけで簡単に、どれだけ発光するか、反射するかを決められるのはユーザーにとってはありがたいですね。

 今日はオリジナルのテクスチャを作ってきたので、それもお見せします。RTX版では、ブロックの表面に対して反射や発光だけではなく、凹凸をどれだけ上に出す、下げるといった指定も簡単できます。これもスゴく推していきたいところですね。

でこぼこの表現を追加することも簡単にできると言う。実際、木のリアリティは格段に増している
このような単純な画像を用意し(PNG形式)、色の濃淡を作るだけででこぼこ表現が可能になる
レイトレーシングを有効にすると反射とでこぼこの表現が追加されるのが分かる
木のテクスチャも何種類か作り、それぞれでこぼこの表現を追加しているという

B:コンクリートのブロックに発光マップを追加したものも作りました。RTX版なら、緑の光源など、今までなかった光源も作れます。粗さがゼロで反射が100のテクスチャを作れば完全な鏡を作れるなど、自由度が高くなったのがうれしいですね。

特定の部分だけを光らせるブロックも簡単に作れるという

――ドット調のMinecraftにリアルな表現が追加されることに対してどう感じるのでしょうか

B:リアルな表現が可能になりましたが、レイトレーシングを使ってまったくリアルとはかけ離れたものを作る人もいると思います。ユーザーによって、使いたいブロックの質感を変えることができて、さらにそれで建築ができるといのは素晴らしいですね。

 それに、FPSのように目まぐるしく変化するわけではなく、ゆったりと暮らせるゲームなので、レイトレーシングの効果や美しさを分かりやすく感じされるのがいいですね。

――この先、レイトレーシングを使って作って見たい作品はありますか

B:最近サイバーパンクな世界観が気に入っているので、そのサイバーパンクを表現するのにレイトレーシングは向いているなと思っています。いくつもの光源を活用したワールドを作りたいですね。

見た目がリアルになるだけじゃない、“マイクラらしさ”がもっと広がることにみんなが気付いて欲しい

 今回、二人のクラフターにお話しを伺って気付かされたのは、Minecraft with RTX Betaはレイトレーシングによって見た目のリアルさを追求しただけのものではないということだ。

 デフォルトのオブジェクトだけ使っても、間接照明を活かした部屋のインテリアに凝ることができるし、反射率の高い物を組み合わせて暗いところに光を届かせる実験をすることもできる。水による光の屈折効果を知ることもできる。極めてリアルに存在する画面内の世界に、プレイヤーが影響を与えることができるのだ。これはマイクラの食物連鎖システムに近いレベルのリアル要素が追加されたと考えられないだろうか。

 クラフター視点で見ると、超リアルな光の表現を操るには高度の知識が求められるのでは?と構えてしまいがちだが、素材の特性を画像ファイルによって定義するだけでかなり自由にオブジェクトを作り出すことができる。簡単に創造神となれるマイクラの精神がより深化しているのだ。

 レイトレーシングという新要素が追加されたMinecraft with RTX Betaはまだ立ち上がったばかり。クラフターやプレイヤー達のアイディアを受け止めて、どのように深化するのか。今後も目が離せない。

リアルタイムレイトレーシングに最適なGeForce RTX搭載ビデオカードMSI「GeForce RTX 2080 SUPER GAMING X TRIO」

MSIの「GeForce RTX 2080 SUPER GAMING X TRIO」。実売価格は100,000円前後

 リアルタイムレイトレーシング対応タイトルを快適に楽しむには、GeForce RTXシリーズのGPUを搭載したビデオカードが必要だ。その中の一枚として紹介するのが、MSIの「GeForce RTX 2080 SUPER GAMING X TRIO」。GPUにNVIDIAのGeForce RTX 2080 SUPERするハイエンドクラスのビデオカードだ。

 ブーストクロック1,845MHzと高OCによる高い性能を実現しながら、大型ヒートシンクと3連ファンによって安定性、静音性にも優れている。長時間のプレイや制作作業も快適、かつ安心して行うことができる。

 参考までに、ベンチマークソフトによるGPUのレイトレーシングの性能比較結果も掲載する。GeForce RTX 2080 SUPERは下位のモデルにしっかりと差を付けており、レイトレ対応タイトルをガッツリ楽しみたい場合にオススメできる。

 ちなみにより上位のGeForce RTX 2080 Ti搭載ビデオカードも存在しているが、実売価格は15万円を超えるものが多く、なかなかハードルが高い。最高峰を目指すには悪くない選択肢だが、コスパもちょっと加味するとGeForce RTX 2080 SUPERはとてもバランスがよい。

【検証環境】
CPUIntel Core i9-9900K(3.7GHz)
マザーボードIntel Z390チップセット搭載マザーボード
メモリPC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2
SSDM.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB
OSWindows 10 Pro 64bit版

[制作協力:MSI]

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