特集、その他
1,000Wで奥行13cmのATX電源が2万円って信じられる?しかもオール国産コンデンサ
Super Flower「LEADEX V G130X 1000W」を徹底チェック、詳細テストの結果に驚け!text by 藤山 哲人
2020年9月9日 06:00
ケースはコンパクトが人気、でもCPU/GPUのTDPは上昇中――そんな世相に応える1台
ついにSuper Flowerがやってくれた! 時代が望むATX電源が登場したのである。Super Flowerの新製品「LEADEX V G130X 1000W」は、フルプラグインで出力1,000Wなのに奥行き13cm、しかも準ファンレス運転まで可能と、やり過ぎ感すら覚えるほどのてんこ盛りスペックというのが本機だ。かなりとがっている! 放熱や性能については後述するが、これまで16cm以上が当たり前だったものが3cmも小さくなるのだから、「使いやすい」としか言いようがない。
ドライブベイなどのPCケース内部の構造物とスペースを奪い合っていた1,000W電源だが、このサイズなら多くのPCケースでの利用に問題なし。とくに、近年人気の5インチベイレスのコンパクトATXケースやMini-ITXケースのユーザーには喜ばれるはずだ。大型電源を使ったことがある読者なら多くの人が経験しているであろう、配線している最中に手の甲がキズだらけになる、なんてことももちろんない。
この電源が1,000Wであることを外観から感じられる唯一の点は、EPSやPCI Expressのケーブルが70cmほどあり、フルタワーでも取り回しが利くところ。昨今人気のコンパクトケースで使いやすいと前述したが、大型ケースでの利用でも不都合は当然ない。
奥行き13cmということもあり、内蔵ファンは12cm角を採用。最高回転数は1,700rpm前後で、アイドル時は暗騒音以下になるが、高負荷時は風切り音がする目立つ動作音になるのはコンパクト設計とのトレードオフ。とはいえ、本機を使うようなシステムが高負荷になるときはCPUやビデオカードのファンも高回転する可能性が高いので、気になるシチュエーションは少ないはずだ。
そして、何よりうれしいのはその価格。贅沢仕様の1,000W/80PLUS Gold認証製品が、なんと実売2万円前後で買えてしまうのだ。ここまで読んで、即買いじゃん! と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、ちょっと待って欲しい。内部はこれまた注目点がたっぷり詰め込まれているのだ。
規格 | ATX |
定格出力 | 1,000W |
ファン | 12cm角(底面) |
80LUS認証 | Gold |
ケーブル | フルプラグイン |
電源コネクタ | ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×12、ペリフェラル×4、PCI Express 6+2ピン×5、ペリフェラル→FDD変換ケーブル×1 |
サイズ(W×D×H) | 150×130×86mm |
CPU | AMD Ryzen 7 2700X(8コア16スレッド) |
マザーボード | ASUSTeK Computer ROG STRIX X470-F GAMING(AMD X470) |
メモリ | キングストン HX430C15SBK2/16 (DDR4-3000)×2 |
ビデオカード | ASUSTeK Computer ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING |
CPUクーラー | サイズ 虎徹 Mark II |
SSD | CFD CSSD-S6T240NMGL(250GB) |
OS | Windows 10 Pro 64bit版 |
暗騒音 | 33.8dB |
動作音測定距離 | 電源ユニットのファンから約15cm |
アイドル時 | ベンチマーク後10分後の値 |
いよいよユニット内部へ! あり得ないほど国産コンデンサ、念には念を入れる安定性への執念!
内部を細かく見てみると、部品構成や構造には、とにかく平滑と安定への強いこだわりを感じる。その一つがプラグインコネクタ裏のバイパスコンデンサ(通称パスコン)。最終段でも念のためパスコンをかまして安定化するという徹底ぶりだ。
コンデンサは徹底して国産。場所によっては価格重視で海外製の安いコンデンサでも――という考えもできなくはないが、それでもあえて国内メーカー製にこだわっている。DC-DCコンバータは通常ドーターボードのユニットに乗っているコンデンサですませるところを、わざわざメインボードに電解コンデンサ2本+アルミ固体コンデンサを乗せ補強し、さらなる安定化を図るという念の入れようで、安全・安定を重視する志向がモロに出ている。
さらに、超小型化された同期整流回路と、従来のトランス2個分を1個に統合した最新設計のトランスを組み合わせたという特許技術により、コンパクト化と高出力化を実現。SuperFlowerの技術力の高さだからこそ実現できる13cm、ということなのだ。
そんなこだわりを反映して、性能面で見ても各系統安定した出力で、高負荷にも耐える余裕を持つ。また、ノイズはパターンこそあるものの非常に小さく、サウンドなどに与える影響は少ないだろう。「高性能で高安定、低ノイズでかつ使いやすい電源を、手に入りやすい価格で実現するんだ!」という目標が実を結んだ成果と言えるのではないだろうか。
とにかくSuper Flowerのチャレンジ精神がむき出しで、よいモノを安く作りたいという願いが込められた電源。第1のチャレンジは1,000Wの80PLUS Gold認証が2万円を切っているという点。さらに2万円なのに、コンデンサはオール国産品の耐熱105℃。しかもプラグインコネクタ裏にもルビコンのパスコンを入れ安定化を図っている点。さらなるチャレンジは1,000Wのフルプラグインを13cmの筐体い押し込めた点だ。何もそこまで……と思ったが、PCケースに実装してみるとありがたさを感じずにはいられない。
少しほめすぎかもしれないが、この価格でこの性能、そしてこの安定性を叩き出せる電源はそうそうリリースされるものじゃない。高負荷時のファン動作音は確かに大きいが、それを相殺するだけのコストパフォーマンスだ。とくに高出力の850W以上はハイエンドユーザー即買いの予感も。小さい1,000Wはイイ! めちゃくちゃ便利!
製品名 | 出力 | 奥行き | 80PLUS認証 | 実売価格 |
LEADEX V G130X 650W | 650W | 13cm | Gold | 16,000円前後 |
LEADEX V G130X 750W | 750W | 13cm | Gold | 17,000円前後 |
LEADEX V G130X 850W | 850W | 13cm | Gold | 18,000円前後 |
LEADEX V G130X 1000W | 1,000W | 13cm | Gold | 20,000円前後 |
[制作協力:ディラック]