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ハイエンドゲーミングノートを8TB SSDでさらにハイエンドに強化してみた
8TB SATA SSD「Samsung 870 QVO」で容量を気にする時代は終わるかも? text by 坂本はじめ
2020年8月31日 00:05
Samsnug最新のSATA SSD「870 QVO」は、最大で8TBという超大容量を提供する2.5インチ型のモデルだ。4bit MLC(QLC)方式のNANDフラッシュメモリを採用することでこの大容量をコンシューマー向けモデルで実現している。
今回はその870 QVOの最大容量モデルを用いて、Core i9 + GeFoece RTX 2070 SUPER搭載のハイエンドゲーミングノートPCをさらにハイエンドなPCにするストレージ換装を行ってみた。
ゲーミングノートPCはストレージの制約で多くのゲームをインストールしたたまにするのが難しいが、8TB SSDがあれば数十タイトルの大作ゲームをインストールすることも可能で、手持ちのゲーム全て持ち歩けるという“究極のモバイルゲーミングマシン”も作成可能だ。エンスージアストなPCゲーマーや大容量SSDの購入を検討しているユーザーはぜひチェックしてもらいたい。
コンシューマー向け最大の8TBもラインナップ、Samsungの新型SATA SSD「870 QVO」
まず、Samsungの870 QVOについて紹介しよう。
870 QVOは、インターフェイスに6Gbps SATAを採用した7mm厚の2.5インチ型SSD。Samsung独自の「MKXコントローラ」と、3D NANDフラッシュメモリ「Samsung 4bit MLC(QLC) V-NAND」を採用しており、容量ラインナップは1TB、2TB、4TB、8TBの4種類。
6GBから最大で78GB(1TBモデルは42GB)のSLCキャッシュを活用する「Intelligent TurboWrite」技術の採用などにより、リード最大560MB/s、ライト最大530MB/sという、6Gbps SATA対応SSDの中でも最高水準のパフォーマンスを備えるとともに、耐久性指標のTBWも最大2,880TB(8TBモデル)を実現している。
実売価格は1TBモデルが税込13,500円前後、2TBモデルが税込29,000円前後、4TBモデルが税込59,000円前後。8TBモデルは9月上旬発売予定で、税込98,000円前後で予約を受け付けているショップがある。
8TB SSDを組み込むのはMSIのハイエンドゲーミングノート「GE75 RAIDER」
今回、8TB SSDを組み込むゲーミングノートは、MSIの「GE75 RAIDER (GE75-10SFS-011JP)」。8コア16スレッドCPU「Core i9-10980HK」とGeForce RTX 2070 SUPERを搭載し、ディスプレイには240Hz駆動の17.3型フルHD液晶を備えた、ハイスペックゲーミングノートだ。
MSI GE75 RAIDERは、17.3型の筐体サイズを生かして2.5インチSATA HDDをデータ用に搭載しているので、これと置き換える形で「870 QVO」の8TBモデルを組み込もうという算段だ。
ただし、MSIのGE75 RAIDERは、ユーザーの手でカスタマイズを行うと製品保証を失うことになる。保証を維持したままSSDへの換装を行いたいのであれば、MSI公認サポート店に依頼することで製品保証を失わずにアップグレードできるので、公認サポート店に相談してほしい。今回はMSIから特別に許可を得てSSDへの換装を行っている。
8TB SSDは圧倒的、手持ちの90タイトルのゲームを全て入れても全然埋まらない
SSDへの換装後、フォーマットを行った8TB SSDのプロパティが以下のスクリーンショットだ。Windowsの計算では記憶容量が約7.27TBと認識されている。SSDでこれだけの容量が使えるのはかなり贅沢だ、さまざまなデータを入れておける。
筆者がSteamアカウントで所有しているゲームは約90本。ゲームと関連アプリをインストールするのに必要な容量が約1,775GBであり、全てインストールしても8TB SSDの記憶容量全体の4分の1にも満たない。Steam以外のプラットフォームで所有するゲームを含めても、筆者では半分も埋めることはできない。それだけ8TBという容量は巨大なものだ。
パフォーマンスは6Gbps SATA最高峰、ノートPCに組み込んでも温度面での不安は無し
ここで、ノートPCに組み込んだ870 QVOのパフォーマンスや動作温度をチェックしておこう。
実施したベンチマークテストはCrystalDiskMark 7.0.0で、標準設定であるテストを実行。実行中のモニタリングデータをHWiNFO v6.28で取得した。テスト時の室温は約24℃。
ベンチマークの結果、8TB SSDはスペック通りの性能を発揮して、HDDを大きく上回るデータ転送速度を示した。また、テスト実行中の最大SSD温度は37℃であり、温度面については全く心配ないと言えるほどのデータが得られている。
2.5インチSATA HDDを圧倒する記憶容量と転送速度を備え、ノートPCに組み込んでも温度面での不安のない870 QVOの8TBモデルは、大量のゲームをインストールしておくSSDとして申し分のない能力を備えている。
実際のゲームでもしっかり高速なのか実測テストモンスターハンターワールド:アイスボーンとデス・ストランディングでロード時間を比較
ベンチマークソフトでは高速な値をたたき出し、動作温度でも発熱が低めであることがわかった「870 QVO」だが、実際にゲームに使用してもその性能がしっかり発揮されるのか、元々搭載されていたHDDと速度の比較を行ってみた。
使用したゲームはモンスターハンターワールド:アイスボーンとデス・ストランディングの2タイトルだ。
モンスターハンターワールド:アイスボーン
モンスターハンターワールド:アイスボーンでは、新拠点である「セリエナ」から「渡りの凍て地」へ探索に出発する際に発生するロード時間を測定した。
HDDへのインストールでは1分以上のロード時間が発生していたのに対し、8TB SSDへの換装後のロード時間は半分以下の約23.1秒にまで短縮された。ロード速度は換装前の2.7倍に達しており、SSDへの換装がゲームのロード時間短縮に大きく影響することが確認できる。
デス・ストランディング
デス・ストランディングでは、タイトル画面からセーブデータを選択し、ゲームが再開されるまでのロード時間を測定した。
こちらは、HDDが記録した42.3秒というロード時間に対し、8TB SSDでは約55%となる23.4秒でロードを完了している。先に紹介したモンスターハンターワールド:アイスボーンほど極端な差ではないものの、はっきりと体感できるレベルの差が、HDDとSSDの間には存在している。
「全てのゲーム」を持ち歩けるゲーミングノートHDDレスの環境構築を考えているユーザーは導入の検討を
8TB SSDがもたらす容量は、多くのゲーマーにとって使い切れないほど大容量なものだ。870 QVOは6Gbps SATAを採用するストレージの中でもトップクラスのパフォーマンスを発揮しており、沢山のゲームをインストールすることが可能なだけでなく、ゲーム実行中に発生するロード待ちを効果的に削減できる。
ゲーミングノートPCに組み込めば、お気に入りのゲームを全部インストールしたまま持ち歩き、自由気ままにゲームを楽しむことができる。持ち運ぶという点では振動の影響を受けるHDDを無くし、0スピンドル環境にできる部分もメリットになるだろう。
いつでも遊びたいゲームが高速に遊べるという理想的なゲーミング環境の構築を目指しているなら、ハイスペックゲーミングノートへの8TB SSDの組み込みは一考に値するカスタマイズであると言える。
[制作協力:Samsung]