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フライトシムにウルトラワイド液晶は最高! 34インチ/湾曲/UWQHDの「MSI Optix MPG341CQR」を試す
144Hz表示・FreeSync・応答速度1ms対応でアクションゲームにも好適 text by 白倉甲一
2020年10月7日 06:01
ディスプレイの表示領域を広げたくなった場合、液晶ディスプレイを追加してデュアルディスプレイやトリプルディスプレイ環境にするのが一般的だろう。
マルチディスプレイ環境は導入が手軽かつ作業効率もあがり便利ではあるのだが、ブラウザや画像の表示がディスプレイを跨いだ際に、境目が気になることはないだろうか。特にゲームを遊ぶ際などは、境目のフレームがかなり気になるのだろう。
そうした問題を解消できるアイテムとして、広い作業スペースを確保しつつも視界にフレーム入ってこないウルトラワイド液晶は、昨今注目度が高くなりつつある。ゲームタイトルもウルトラワイド対応をうたうものが少しずつ増えており、液晶側も高リフレッシュレート/低遅延のゲーミングモデルが投入されるなど、これからの普及が期待できるアイテムだ。
そこで、今回はMSIの34インチ/ウルトラワイドタイプのゲーミング液晶「Optix MPG341CQR」を使用し、ウルトラワイド液晶がゲームプレイにどのような効果をもたらすのか紹介しよう。特にフライトシミュレーター系のゲームを遊ぶユーザーには是非チェックしてもらいたい。
34インチの湾曲ウルトラワイド液晶、144Hz/3,440×1,440ドットで応答速度は1ms
MSIのOptix MPG341CQRは34インチの湾曲ウルトラワイド液晶ディスプレイ。解像度はUWQHD(3,440×1,440ドット)、最大リフレッシュレートは144Hz、応答速度は1ms(MPRT)。AMDのFreeSyncにも対応しており、ゲーミングモニターとして申し分ない性能だ。
パネル方式はコントラスト性能の高いVAパネルを採用しており、スペックは3,000:1。10bitカラーやDisplayHDR 400にも対応し、メリハリの利いた色彩表現も楽しめる。ブルーライトカットや画面のちらつきを低減するフリッカーフリーで長時間使用の際にも目への負担を抑えることができる。
本体サイズは幅810.2×高さ最大564.59×奥行269.94mm。27インチモニターを横に1.5倍程伸ばした程度の大きさ。ベゼルは狭縁デザインとなっているため、デザイン性にも優れている。
湾曲モニターの特性上1,800Rの曲率で緩くカーブがかかっているため、設置時には通常のモニターより手前側にスペースが必要になる点は意識しておこう。
高さ調節は上下100mm、スタンド部は足が金属製になっておりスムーズに位置調整する事ができる。角度も上下左右自由な方向に調整可能。
映像端子にDisplayPort1.4を1ポート、HDMI2.0を2ポート、USB Type-C(DP Alt Mode)を1ポート搭載。リフレッシュレートは、DisplayPort接続時が最高144Hz、HDMI接続時が最高100Hzとなる。144Hzで利用したい時はDisplayPort接続が必須だ。
その他の端子としてUSBハブ(USB3.2 Gen1/Type-A×3ポート)、PC接続用のUSB3.2 Gen1 Type-B×1ポート、オーディオジャックも備えている。本機はPC接続することで、ディスプレイ設定を本体側のボタンを使わずにソフトウェア上から操作できるようになっている。
PC上から設定変更などを行うときは、ソフトウェアの「MSI Gaming OSD」から操作する仕組みで、液晶ディスプレイの設定はもちろん、プロファイル切り替えやアラームなど、様々なゲーム向け機能の設定も可能。
さらにPIP、PBPなどの複数入力ソースからの映像出力に加え、同一ソース内でのウィンドウ分割機能も備えている。動画配信などをする際のサブ側の映像表示や、ディスプレイの設置スペースが限られる際などには役に立つだろう。
パネルの固定部分は100x100のVESAマウント規格に対応しており、ディスプレイアームの使用が可能。壁掛けにも対応しており、その際に利用するマウント用のスペーサーも付属している。
ベゼル下部フレーム中央にはスマートカメラを搭載しており、顔認識でのプロファイル切り替えや、自動調光などの機能も利用できるようになっている。
湾曲ウルトラワイドで没入感の高いゲーム体験シミュレーターとの相性もバッチリ
湾曲ディスプレイはその名の通り液晶パネルそのものが視野に沿って湾曲しており、目からパネルまでの距離をある程度の範囲で一定に保つ効果がある。この湾曲モニターの特性とウルトラワイドの横に広い画面を利用することで、境界のない映像を視界の端まで包み込むように表示可能で、マルチディスプレイ以上にゲームへの没入感を高めることができる。
今回は没入感による恩恵の大きいフライトシミュレーター「Microsoft Flight Simulator」と、ゲーミングモニターとしての性能もテストするためにウルトラワイド対応のアクションゲーム「モンスターハンターワールド:アイスボーン」の2タイトルを使いゲームをプレイしてみた。
Microsoft Flight Simulator
湾曲ウルトラワイド液晶に「Microsoft Flight Simulator」を表示して広大な風景の中をフライトしている姿は正に絶景だ。
32インチなどの大型4Kモニターで遊ぶ事で高精細感は体験できるなものの、Microsoft Flight Simulatorそのものの要求スペックがかなり高く、4K画質と快適さを両立させようとするとなかなか敷居が高い。その点、縦解像度が低いウルトラワイド液晶は、PCへの要求パフォーマンスも低くなる。
また、ウルトラワイド液晶は比率的にちょうど視野が映像で埋まるようになり、湾曲タイプは視線を左右に向けた場合に受ける軽微な平面感も薄れるので、より高い没入感を体験することができる。
Microsoft Flight Simulatorは通常ゲームの乗り物操作と異なり、細かな計器類の操作も可能で、実際のコックピットのように画面いっぱいにスイッチやレバーが並ぶ形となる。
フライトスティックで操作するにしてもほとんどの場合ボタン数などが足りず、ショートカットキーを全て記憶するのもなかなか骨が折れるので、マウス操作を併用することになるが、そうした際は画面に計器類が表示できればできるほど快適に操作できる。こうした部分もウルトラワイド液晶と相性が良いと感じる。
実際に飛行してみると、ウルトラワイド液晶をこのために購入するのもアリ!と思えるほどの満足感がある。特に夜景はすばらしく、部屋を暗くして見ると、実際に夜飛行機に乗った時のような視界が広がる。シミュレーター系のソフトが好きな人には是非一度体験してもらいたい。
なお、Microsoft Flight Simulatorではリアルタイムに天候情報を取得しゲーム内に反映する機能があり夜の街並みを自由に飛び回ることもできる。MPG341CQRは高コントラスト比のVAパネルを採用し、DisplayHDR 400など映像表現に秀でた機能も備えているので、夜景はもちろん様々な天候シチュエーションを楽しむのにも向いている。
画面の広さを利用することで、マップなどを画面など、常時表示しておきたい拡張ウィンドウを景観の邪魔にならない位置に表示させる事ができるのも地味に便利だ。
モンスターハンターワールド:アイスボーン
湾曲モニターのメリットとしてゲームでの没入感が高まることは前項でも紹介したとおりだが、シューター系のFPSゲームなどの場合は湾曲していることが違和感に繋がってしまう場合もある。人によってはエイムコントロールが狂ってしまったり、画面中央を注視するためそもそも湾曲モニターの恩恵を受けられないこともある。
そうした点も踏まえ、TPSのアクションゲームであれば問題ないのか、「モンスターハンターワールド:アイスボーン」で使用感を確かめてみた。
実際にプレイした感触としては、画面中央を注視して遊ぶ際にはMicrosoft Flight Simulatorほどウルトラワイドのメリットを強く感じることはないが、視界の端などでも大まかにモンスターの動きを認識できたりするので、回避動作など次の行動がとりやすくなるといったようなメリットはある。
また、ゆったり遊ぶ際には視界が映像に包まれるので、ゲームの世界に浸るという点では良さがある。RPGなど世界観も楽しめるゲームであればウルトラワイドの良さを体験できるだろう。
こうした傾向から、FPSシューター系のゲームだとしても、移動時の索敵などで画面をざっくり見ながらプレイする分には同様に認識率は高くなるので、曲面におけるエイムの慣れとUIの調整の可否に注意が必要という点がクリア出来れば視野の広さを活用できるだろう。
ちなみにゲーム側がウルトラワイドに対応している場合でも、UIのスケールや位置が調整されていない場合には結果的に見づらくなってしまうので注意が必要だ。
「モンスターハンターワールド:アイスボーン」では画面比率をウルトラワイド(21:9)に変更できるだけでは無くUIの位置も画面端から中央周辺まである程度調整可能と、ウルトラワイド液晶でのプレイを想定した作りになっているので、好みに合わせて表示位置を移動させよう。
ゲームによっては4Kディスプレイ以上のメリットも感じられるシーンもウルトラワイドディスプレイの可能性
昨今のゲームシーンでは、4K解像度への対応が進み、4K液晶ディスプレイ自体も低価格化が進んではいるが、高画質高フレームレートで遊ぼうとすると、非常に高いPCスペックが要求されるなど問題もある。せっかく性能の良いゲーミングディスプレイを導入しても、フルに性能を引出せない場合も多い。
その点、ウルトラワイドタイプのゲーミング液晶は4K解像度よりはPCへの要求スペックも低く、没入感や精細感なども得やすい。特に今回のレビューで試したMicrosoft Flight Simulatorなどは、湾曲タイプのウルトラワイドディスプレイと相性が良くおすすめだ。
144Hz表示や1msの応答速度を満たしたモデルなど、今回紹介した「Optix MPG341CQR」のようにウルトラワイド液晶でも高性能なゲーミングモデルが増えつつある。ゲームの世界に浸りたいというゲーマーにとって、こうしたディスプレイは非常に良い選択肢と言えるのでは無いだろうか。
[制作協力:MSI]