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ゲームでSATAと差がつく7GB/s SSD「Samsung SSD 980 PRO」、ロード時間短縮なら最新のPCIe 4.0モデル
ゲームロード時間短縮を狙うなら新世代NVMe SSD text by 坂本はじめ
2020年10月20日 00:01
Samsungより、同社初のPCI Express 4.0対応NVMe SSD「980 PRO」が登場した。
新設計のコントローラを採用し、従来のPCI Express 4.0対応SSDを大幅に上回る7GB/sクラスのリード性能を実現した新世代のハイエンドSSD。また、シーケンシャルアクセスだけでなく、ランダムアクセス性能も前世代モデルから強化されている。
今回は、強力なパフォーマンスを実現する980 PROを使うことで、ゲームのロード時間をどれだけ削減できるのかチェックしてみた。
リード7GB/sを実現する新世代のハイエンドSSDパーツは片面実装でヒートシンクレス
Samsung SSD 980 PROは、インターフェイスにPCI Express 4.0を採用したM.2タイプのNVMe SSD。8nmプロセスで製造した新設計のSSDコントローラ「Elpis」と、メモリセルを100層以上積層したTLC方式の3D NANDフラッシュメモリ「第6世代V-NAND」の組み合わせにより、1TBモデルであれば最大でリード7GB/s、ライト5GB/sという速度を実現している。
発売済みの容量ラインナップは250GB、500GB、1TBの3モデルで、2020年中に2TBモデルの発売が予定されている。
SamsungのハイエンドSSDで初めてTLC方式のフラッシュメモリを採用した980 PROでは、動的にSLCキャッシュを活用する「Intelligent TurboWrite」に対応。
1TBモデルの場合、最低6GBから最大114GBまでのSLCキャッシュを利用して書き込み性能を維持できる。また、耐久性指標であるTBWについては、1TBモデルで600TB、250GBモデルでも150TBを確保している。
なお、Samsung製のSSDには、モニタリングやベンチマーク機能も備えるユーティリティ「Samsung Magician」や、データ移行ソフト「Samsung Data Migration」が無料で提供されている。もちろん980 PROでも利用可能だ。
最新のCrystalDiskMark実測値で6.7GB/sを記録、ベンチマークによっては7GB/sオーバー
ゲームでの検証を行う前に、980 PROのパフォーマンスをベンチマークテストでチェックしておこう。
テストするのは、リード最大7GB/sを実現する1TBモデル「MZ-V8P1T0B/IT」で、PCI Express 4.0に対応するAMD X570環境に搭載してベンチマークを実行する。なお、980 PROはCPUと直結となるマザーボードのM2_1スロットに搭載している。
CrystalDiskMark 7.0.0では、リード約6,727MB/s、ライト約4,945MB/sを記録。スペック上の最大値をやや下回っているものの、リード5GB/s、ライト4GB/s程度であった従来のPCI Express 4.0対応SSDを凌ぐパフォーマンスが確認できる。店頭で一般的に購入できるSSDとしては現状最速と言っても良いだろう。
なお、CrystalDiskMarkの旧バージョンとなるCrystalDiskMark 6.0.2で計測した際は、リード7.1GB/sオーバーを記録している。また、Samsungのユーティリティ「Samsung Magician」にもベンチマーク機能があり、こちらの数値も7.1GB/sオーバーを記録した。ベンチマークの種類によっては公称値以上の速度が出る場合もあると覚えておいてもらいたい。
980 PROはヒートシンクレスのSSDなので、そのまま使用しても問題ないのか、モニタリングソフトの「HWiNFO」を使用してベンチマーク中の温度推移と、サーマルスロットリングが発生していないか確認した。
以下がCrystalDiskMark実行中のモニタリングデータをまとめたものだが、ベンチマーク中の最高温度はコントローラが78℃で、NANDが67℃だった。
M.2 SSD冷却用のヒートシンクを利用せず、SSDの周辺でエアフローを発生させる要素がチップセットクーラーの排気しかない状況でありながら、サーマルスロットリングを起こすことなくCrystalDiskMarkを完走できている。従来のPCI Express 4.0対応SSDはヒートシンクの利用が強く推奨されていたが、980 PROはヒートシンクなしでも運用できそうだ。
新世代NVMe SSDはSATA SSDをゲームで明確に上回るのかPCIe 4.0 SSD「980 PRO」 vs SATA SSD「870 QVO」で実力を検証
それでは、980 PROを利用することでゲームのロード時間がどれだけ短縮できるのかチェックしていこう。今回は、新世代NVMe SSDの980 PROがSATA SSDに明確な差をつけられるのかと言った部分をメインに見ていきたい。
比較用SSDとして、コストパフォーマンスの良さが光る6Gbps SATA対応SSD「870 QVO」の1TBモデルを用意した他、参考までに5,400rpm動作の3.5インチHDD(3TB)のデータも取得した。「980 PRO vs SATA SSD」が本題ではあるが、「SSD vs HDD」と言った面も合わせて結果をチェックしてもらいたい。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、シーン切り替え時のロード時間の合計値を「ローディングタイム」として測定できる。これを利用して、各ストレージのロード時間を比較してみた。テスト時の画面解像度は「4K(3,840×2,160ドット)」で、描画設定は「最高品質」。
このテストにおいて、980 PROは比較製品の中で唯一、10秒を切る9.458秒を記録した。これは、870 QVOが記録した12.897秒よりも約36%も高速だ。
870 QVOのローディングタイム自体、HDD比で2倍以上も高速というSSDならではの好タイムであり、それを明確に上回ってみせた980 PROのパフォーマンスが優れたものであると考えるべき結果だろう。
モンスターハンターワールド:アイスボーン
モンスターハンターワールド:アイスボーンでは、拠点である「セリエナ」から「渡りの凍て地」へ探索に出発する際に発生するロード時間を測定した。測定時のグラフィック設定は、画面解像度が「4K」で、描画設定は「最高(DirectX 12)」。
HDDのロード時間は37.4秒で、SATA SSDである870 QVOはHDDの約2.3倍速となる16.4秒でロードを完了している。これに対し、980 PROのロード時間は13.2秒で、HDDを圧倒した870 QVOよりさらに約24%も高速なタイムを記録している。
デス・ストランディング
デス・ストランディングでは、タイトル画面からセーブデータを選択し、ゲームが再開されるまでのロード時間を測定した。測定時グラフィック設定は、画面解像度が「4K」で、描画設定は「最高」。
980 PROのロード時間は14.7秒で、870 QVOが記録した16.7秒より約14%高速にロードを完了している。ここでも870 QVOとHDDの間には2倍近い差がついており、980 PROのロード時間短縮能力が、HDDを圧倒するSATA SSDの一歩先を行くものであることが確認できる。
Horizon Zero Dawn
Horizon Zero Dawnでは、セーブデータを選択してからゲームが再開されるまでのロード時間を測定した。測定時グラフィック設定は、画面解像度が「4K」で、描画設定は「最高画質」。
21.5秒を記録した870 QVOに対して、980 PROは4.1秒早い17.4秒でロードを完了した。870 QVOの結果はHDDの約2.6倍速という高速なものだが、980 PROはHDDの約3.2倍速という圧倒的な速度でそれを上回っている。
HDDはもちろんSATA SSDからもワンランク上の速度を発揮ゲームのロード時間を明確に短縮する980 PRO
新世代のPCI Express 4.0対応SSDである980 PROは、ゲームのロード時間短縮という用途においても効果を発揮し、SATA SSDに明確な差をつけてみせた。
プレイ時間に占めるロード時間が長くなりがちな「モンスターハンターワールド:アイスボーン」のようなゲームを熱心にプレイするゲーマーにとって、SATA SSD比でロード時間を1~2割短縮できる980 PROの性能は見逃せない。
今回テストした980 PROの1TBモデルの実売価格は税込2万5千円前後。1TBモデルが13,800円前後で購入できるSATA SSDの870 QVOと比べれば容量単価は高いが、ハイスペックなゲーミングPC全体のコストからすれば、数パーセントに過ぎない差額でロード時間を数割も削減できる費用対効果の高いパーツでもある。
GeForce RTX 30シリーズの登場でGPU性能が飛躍したいま、ゲーミングPCの新調を検討しているのであれば、980 PROはゲームのインストール用ストレージとして積極的に検討すべきSSDの一つであると言えよう。
[制作協力:Samsung]