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パナソニック レッツノート(CF-LX6)を1TB SSDに換装、高耐久モデルをより長く使おう!

SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 白倉甲一

 今回SSD換装の事例として紹介するのは、第7世代Coreプロセッサーを搭載するパナソニック レッツノートのCF-LX6だ。2017年に発売されたモデルで、CPUもCore i5-7300U搭載とストレージ環境が快適になればまだまだ使えるモデルだ。

 用意したモデルはレッツノート CF-LX6の中でも法人向けモデルとされている「CF-LX6RDHVS」。標準では320GBの2.5インチHDDが搭載されており、これを1TBのSSDに換装し、大容量化と合わせ高速化も狙ってみたい。

 換装の手順と合わせ、換装の前後でどれだけの変化があるのかを紹介しよう。

※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。

Panasonicのレッツノート CF-LX6のストレージを高速/大容量化1TB SSDにアップグレード

 Panasonicのレッツノートは高性能/高耐久をウリとしており、今回使用するレッツノート CF-LX6(CF-LX6RDHVS)もディスプレイサイズ/解像度、頑丈さやセキュリティの高さなどが特徴としてアピールされているモデルだ。

 中古品として入手しているので、新品の時から若干の変更があるかもしれないが、今回の個体はCPUに2コア4スレッドのCore i5-7300U(ベース2.6GHz/ブースト時3.5GHz)、メモリにLPDDR3-1866 4GB(オンボード/増設不可)、ストレージに2.5インチHDD 320GBを備えており、ディスプレイは14インチ/1,920×1,080ドットといった仕様になっている。

 D-subやHDMIなどの映像出力端子や、IEEE802.11ac無線LAN/Bluetooth、Webカメラなどの機能も搭載している。OSはWindows 10 Pro 64bit。

 筐体は同社のタフブックシリーズで培った技術を応用しているとされており、丈夫さがウリ。バッテリーも容易に着脱/交換できるタイプなので、ストレージさえ増強すればまだまだ長く使えるはずだ。

搭載されていたのは2.5インチ SATA HDDのHGST HTS545032A7E680

 今回Panasonicのレッツノート CF-LX6に搭載されていたストレージは、HGSTのHTS545032A7E680が装着されていた。SATA接続の2.5インチHDDで、容量は320GB。

PCに搭載されていたHGST HTS545032A7E680
CrystalDiskInfoによるステータス。5,200rpm、3Gbps SATA対応。

換装に使うのはSamsung SSD 870 QVOの1TBモデル

 今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 870 QVOの1TBモデル「MZ-77Q1T0B/IT」。最大速度リード560MB/s、ライト530MB/sの2.5インチSATA接続モデル。QLC NANDを使用することでコストパフォーマンスの良さが光るSSDだ。

Samsung SSD 870 QVO 1TB(MZ-77Q1T0B/IT)。
CrystalDiskInfoによるステータス。

 Samsung SSD 870 QVOは1TB~8TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。

HDDからSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介

 ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。

 2.5インチSSD用の外付けケースは税込千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。

換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう

 PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。

 今回使用している外付けケースはORICOの2577U3-BK。2.5インチストレージに対応したUSB 3.0接続のケース、ツールレスでネジを回す必要が無く容易にストレージを取り付ける事ができる。

●1 SSD外付けケース「2577U3-BK」と換装するSSDを準備。
●2 SSD外付けケースの蓋を外す。
●3 SSDを装着しスライドして基板に差し込む。
今回のSSD外付けケースはツールレスなのでネジ止めする必要は無い。
●4 基板にSSDを装着したらケースのふたを閉める。
●5 PCに接続すれば準備完了。

2.5インチドライブ用外付けケースの注意点

 2.5インチ用の外付ケースの場合、厚みに関わらず利用可能な物がほとんどだが、ごく稀に7mm厚のものしか入らなかったりするなど、物理的な相性が出る場合もある。使用するSSD/HDDが何mm厚なのか、ケース側の対応状況も念のため確認してから購入しよう。

データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単

 今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。

 Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。

●1 Samsung公式サイトのSSDツールとソフトウェアのページから「Samsung Data Migration 4.0」をダウンロードする。
●2 Samsung Data Migration 4.0をセットアップし、起動させる。
●3 画面下側にあるターゲットドライブの項目を指定する。移行先のSSD(今回はSamsung SSD 870 QVO 1TB)を選択しよう。
●4 移行先のドライブのデータが全て消去される旨のダイアログが表示されるのでOKを選択。なお、安全にデータ移行時を行うため、他のアプリケーションを起動したり、ながら作業をするのはやめよう。
●5 進行状況はプログレスバーで表示される。ちなみに、移行前のHDDの使用容量は24GBほどだったが、データのコピーには10分前後かかった。
●6 データのコピーが完了すると自動的にPCはシャットダウンされる。

ドライバーとヘラでノートPCを分解、レッツノート CF-LX6の分解難易度は若干高め

 ここからはレッツノート CF-LX6の分解になるが、工具はドライバーとヘラが必要になるので準備しておこう。ドライバーは精密ドライバー(+)と、プラスドライバーのNo.0またはNo.1を1本ずつ用意するのが好ましい。

 なお、SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意しよう。分解中に通電しないようバッテリーが外せるモデルの場合は外し、取り外せないモデルもBIOS上からバッテリーを無効化できるモデルは念のため作業中のみ無効化しておこう。今回のレッツノート CF-LX6は前者の方だ。

●1 レッツノート CF-LX6の背面パネル側、隠れたネジ穴は無い。
●2 底面のバッテリーの爪を引っ張りながら外す。

 レッツノート CF-LX6背面パネルは耐久性が高めのモデルとなっているためネジ止めが多めになっている。分解して内部にアクセスするためには27本ものネジを外す必要があるので紛失には十分注意しよう。

 また電源スイッチ、Wi-Fiスイッチ、排気スロットカバーなども別パーツとして外れるようになっているので分解時に飛んでいったりしないように慎重に作業する必要がある。

●3 ドライバでネジを緩める。ヒンジ側の4カ所は通常のドライバー、それ以外は精密ドライバーで回そう。
●4 ヒンジ部分のネジも外し、カバーを取り外しておく。この部分は外さなくても作業可能だが外すと上部カバーがやや取り外しやすくなるので慣れない場合は外してしまおう。
●5 バッテリーを外した部分からストレージを支える金属製のガイドにアクセスできる、必ずしも外さなくても問題なさそうだが閉じる際にうまく溝にはまらない事もあるので慣れないうちは外してしまうことをおすすめする。
●6 封印シールを剥がす。この段階で既に分解可能になっているので机の上から落下しないよう気を付けよう。

 レッツノート CF-LX6の内部にアクセスする際はフレキシブル基板のコネクタを外さないと筐体を完全に開けないので、力任せに開けようとして基板を傷つけてしまわないように注意。前面を少し開いた状態でコネクタの爪を開きフレキシブル基板をゆっくりと引き抜こう。

 HDDはケース状のシートに包まれていてネジ止めなどはされていないのでアクセスさえできれば交換は容易だ。

●7 側面の溝に沿ってヘラで前面部分を開く、スイッチ類のカバーを紛失しないように気を付けよう。この際使用する工具はケースオープナーや分解用ヘラとして安価に販売されている物でかまわない。
●8 前面部分の隙間からフレキシブル基板の繋がったコネクタの爪を開き、フレキシブル基板を引き抜く。ヘラの先が平たく長いものではなく、尖ったタイプの方が外しやすいだろう。
●9 レッツノート CF-LX6の内部、HDDはシートで保護されている。
●10 シートを外し、コネクタを引き抜いて取り外す。
●11 データをコピーした換装用のSSDに入れ替える。
●12 SSDの装着が済んだらシートを元に戻そう。
●13 フレキシブル基板を差し込み、筐体を閉じる。この時スイッチ類を挟み込むようにカバーを装着しないとスイッチが操作できないのでしっかり所定の位置に合わせよう。
●14 背面パネルのネジを全て締める。動作が不安な場合は全てのネジを締めてしまうと再び分解するのが大変なので、数カ所だけ止めてバッテリーを装着、起動チェックを挟んでも良いかもしれない。
●15 6で外したガイドを上部の溝に合わせて装着スライドさせてネジを締める。
●16 バッテリーを装着し、無事PCが起動すれば成功だ。換装後にOSを再起動するとドライバなどが組み込まれるので、再起動と合わせてBIOSの初期化も行おう。

 冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。

 保証が切れている使い込んだノートPCなどであれば、SSDの換装は投資に見合った効果が得られやすいので、PCを買い換える前に試してみる価値はある。

SSD換装で空き容量は約3倍、速度は最大約7倍にアップグレードで快適なノートPCに

 実際にSSD換装を行い得られたメリットも紹介しておこう。今回は容量と起動速度、ベンチマークの結果を紹介する。

1TB SSDで空き容量を気にせず利用可能に、データ整理の煩わしさは解消

 まずは容量の面だが、レッツノート CF-LX6には320GB HDDを搭載しているもののリカバリー領域などを除いてシステム上から見た実際の容量は約280GB。

 Windows 10を利用した場合、主要ソフトやOSの更新データなどに配慮してシステム分は余裕を持って120GBほど確保しておきたいので、そこを差し引くと残り容量は160GBほどになる。多少の画像や動画、音楽データなどを保存しておける程度の余裕はあるものの、長期で使っていけばすぐにいっぱいになってしまう程度の容量で、定期的なデータ整理は欠かせない。

 これが1TB SSDになると、空き容量を気にしながら使う必要はほぼなくなる。多くのアプリケーションをインストールしてもかなりのゆとりがあり、スマートフォンのバックアップをとってもまだまだ空き容量は残る。わずらわしさから解放されるという面でも、空き容量の増加は利便性向上にかなりの効果がある。

換装前の320GB HDD「HGST HTS545032A7E680」。空き容量は259GBで、ソフトウェアなど一式入れて、写真や動画なども保存しているとゆとりはそれほど多くない容量だ。
換装後の1TB SSD「Samsung SSD 870 QVO 1TB(MZ-77Q1T0B/IT)」。空き容量は900GB以上、大容量ファイルなどを置いても空き容量は十分。容量を気にして逐一ファイル整理をせずともデータを保存しておけるゆとりができた。

HDDからSSDへの換装で速度は最大7倍高速に

 HDDからSSDへの換装は効果が非常に大きく、メリットが大きい。

 今回のケースでもそれは数値に表れており、ベンチマークの結果は全項目で換装後の方が高速となり、シーケンシャルアクセスは約7倍ほど、ランダムでは比較にならないほどの差が出る結果となった。比較元が5,200rpmのHDDなので、実際に使用した際の体感速度もかなり向上することが期待できる。

換装前の320GB HDD「HGST HTS545032A7E680」。
5,200rpmSATA接続HDDとしては標準的な速度がでている。
換装後の1TB SSD「Samsung SSD 870 QVO 1TB(MZ-77Q1T0B/IT)」
ほぼ期待値通りの数値が発揮された。

OS起動速度は36%ほど高速に、体感速度は数字以上の快適さ

OSの起動時間はSSDとHDDで差がつきやすい部分だ。SSD換装の前後でどう変わったのか比較してみた。

 HDDからSSDへの換装で一番体感速度の向上が実感できる物と言えば「PCの立ち上がりにかかる時間の差を比較する」のが鉄板だろう。ということで、SSD換装前とSSD換装後で電源ボタンをONにしたタイミングからデスクトップ画面が表示されるまでにかかる時間を計測してみた。

 結果として換装前のHDDでは起動までに約30秒かからないほど、早いときには20秒台前半で起動していた。換装後のSSDでは常に15秒前後での起動という結果に。データをほとんど保存していない状態のストレージなのも手伝ってか、劇的と言うほど大きな差は生まれなかった。

 ただし、換装前のHDDの場合バックグラウンドでの読み込みに時間がかかり、デスクトップ画面が表示されてからもしばらくもっさりとした操作感が続くのだが、SSDへの換装後はデスクトップ画面表示後にすぐ操作しても問題なくサクサクと操作することができ、体感速度や快適性の面では大きな違いがある。ソフトウェアの各動作やファイル保存など、要所で速度面における快適さを感じられるので、SSD化の恩恵を様々な面で感じられるだろう。

換装前、換装後、それぞれ3度計った平均の時間。計測上の差としては10秒未満だが、実際に操作した体感速度や快適性はそれ以上の差が感じられる。

 ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。

 今回とりあげたパナソニックのレッツノート CF-LX6(CF-LX6RDHVS)は、メモリが4GBと控えめではあるが、物理的な耐久性が高く、またバッテリー交換も容易に行えるため、各内蔵パーツが消耗しない限り長期で使用可能なモデルとなっている。特に持ち運びの事を考慮した際、HDDに比べ物理的な衝撃に強いSSDへの換装はこの機種との相性も抜群だろう。

 外出用のサブPCや、それなりに頻繁に使用してそろそろ容量がカツカツになってきた低容量の業務用PCを予算をかけずにグレードアップしたいと言う場合に、ノートPCのSSD換装は有効な手段といえるだろう。

[制作協力:Samsung]