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ThinkPad X280(20KE)を1TB NVMe SSDに換装、定番ビジネスノートを大幅強化
SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 浅倉吉行
2020年12月24日 00:01
今回のSSD換装事例で紹介するノートPCはLenovoのビジネスノート「ThinkPad X280」。
Lenovoの定番モデルThinkPad Xシリーズに属するモデルで、12.5インチの液晶ディスプレイに第8世代Intel Coreプロセッサーを組み合わせたちょっと小型なモバイルを意識したモデルだ。
用意したモデルのストレージは128GB SSDで、快適に使うには容量の面のみ心配になる。今回は使い勝手の良いモバイル向けビジネスノートのSSD換装に挑みたい。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
ThinkPad X280のSSDを大容量モデルに換装、多くのデータも持ち運べるモバイルノートに
今回使用するThinkPad X280は、型番「20KE-S2P10N」として販売されていたモデル。2018年に発売された製品で、今回の個体は英語キーボードが搭載されていた。
中古品として入手しているので、新品の時から若干の変更があるかもしれないが、基本的なスペックは、CPUに4コア8スレッドのCore i5-8350U(ベース1.7GHz/ブースト時3.6GHz)、メモリにDDR4-2400 8GB(オンボード/増設不可)、ストレージにM.2 SATA SSD 128GBを備える。ディスプレイは12.5インチ/1,366×768ドット。
Thunderbolt 3やUSB Type-C、IEEE802.11ac無線LAN/Bluetoothなどの機能も搭載しており、OSはWindows 10 Pro 64bit。
換装に使うのは1TBのSamsung SSD 970 EVO Plus
今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 970 EVO Plusの1TBモデル「MZ-V7S1T0B/IT」。最大速度リード3,500MB/s・ライト3,300MB/sのNVMe接続モデルで、インターフェイスはPCIe 3.0 x4レーン。
Samsung SSD 970 EVO Plusは250GB~2TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
注意点その1
ノートPC側のNVMe対応のM.2スロットにはx2レーン接続とx4レーン接続のモデルが存在し、ノートPC側がx2レーンまでのサポートの場合、x4レーン接続のNVMe SSDを搭載すると公称値の半分程度の速度までしか出ない。故障では無いのでこの点は覚えておこう。
古いSSDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介
ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。
NVMe SSD用の外付けケースは税込4千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。
換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう
PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。
今回使用しているSSD外付けケースはORICOのTCM2-C3-SV-BP。NVMe SSDに対応したUSB 3.2 Gen2接続のケースで、SSDの取り付けも比較的簡単だ。ケーブルはUSB Type-C/Type-CのものとUSB Type-C/Type-Aのものが付属している。
注意点その2
M.2 SSD用の外付ケースは、NVMeのみに対応したモデル、SATAのみに対応したモデル、NVMe/SATA両対応のモデルがある。購入時には使用するSSDに合わせ対応したモデルを購入しよう。
データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単
今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。
Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。
注意点その3
USB接続の外付けケースを用いたSSD換装の注意点になるが、ソフトとの相性などによりデータのコピーが正常に行えないときがある。そうした際は、大概外付けケース側のUSBコントローラとの相性に問題がある可能性が高いので、ケースを変えるか、別のソフトでテストしてみると良いだろう。
「Samsung Data Migration 4.0」を利用した際の外付けケースとの相性に関しては別記事で紹介しているので、そちらも参照してもらいたい。
比較的分解しやすいThinkPad X280、SSD用の熱伝導シートの破損に注意
ここからはThinkPad X280(20KE)の分解になるが、工具はプラスドライバーとヘラが必要になるので準備しておこう。
SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意。機器の破損や故障を防ぐため、誤って休止などの状態で分解しないように気を付けてほしい。
ThinkPad X280(20KE)の背面パネルはネジとツメで固定されている。ネジ自体は簡単に外せて、パネルから外れない構造にもなっているので便利だ。ネジを外した後は隙間にヘラをいれて爪を外していく。今回の個体は爪が固くなく分解はかなり簡単だった。パネルの手前側も爪で固定されているが、ヒンジ側のパネルを少し持ち上げてパネルを引き抜くようにすると簡単に外れる。
背面パネルを外せればSSDへのアクセスは簡単だ。SSDはネジと熱伝導シートで固定されており、ネジを外した後、少し持ち上げるようにしてSSDを引き抜けば外れる。
1点注意だが、SSDを固定している熱伝導シートが脆いので、SSDから外す際は慎重に行おう。もしだめにしてしまった場合は、市販されている熱伝導シートを使うと良いだろう。
熱伝導シートを新しいSSDに装着して換装したら背面パネルを元に戻し、起動を確認すれば作業は完了だ。
冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。
とはいえ、ストレージ以外の部分に不満が無いのであれば、PCを買換えるよりも、SSD換装はコストパフォーマンスが高いアップグレード方法になる。業務用のモデルであっても構造次第では今回のようにSSD換装が可能であり、一考の余地はある。
容量も速度も大幅アップ、ThinkPad X280がより扱いやすいモバイルノートに
実際にSSD換装を行い、前後でどのように変わったのかも紹介しよう。
空き容量は10倍以上に、データの持ち運びも快適
まずは容量の面だが、空き容量は約90GBから約903GBとなっており、10倍以上に増えている。
これだけの空き容量があればかなりのデータを持ち運ぶことができる。128GB SSDではOSの大型アップデートなどを行う際にファイル整理などの作業が必要になることが多いが、1TB SSDであれば空き容量の心配をしないで使うことができるだろう。これだけの差があると、使い勝手の面で快適さが大きく変わる。
シーケンシャルアクセスはリード・ライトともに3GB/s超え
ThinkPad X280(20KE)に元々搭載されていたSSDの「Samsung MZNLN128HAHQ-000L1」だが、SATA SSDとしては最速クラスの速度で、普段使いであれば不満を感じることも無いだろう。
換装後のSamsung SSD 970 EVO Plus 1TBはリード・ライトともにシーケンシャルアクセスは3GB/s以上でており、この速度はUSB 3.2 Gen2接続のSSDに大容量のファイルを書き込んだり、逆にPC側にコピーする際などに活きてくる。体感では難しいかもしれないが、ランダムアクセスも全体的に上がっているので、PC全体のレスポンス向上もある程度期待できる。
ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって延命などを図れるメリットは大きい。
今回とりあげたThinkPad X280(20KE)は、スペックも高く持ち運びもしやすく、ストレージ容量が増えればその分使い勝手も良くなる。こうしたノートPCと大容量SSDの組み合わせは相性が良いといえるだろう。外付けSSDに頻繁にデータを逃がすことが多い人は、是非大容量SSDへの換装を検討してみてもらいたい。PC自体の使い勝手が大きく向上するはずだ。
[制作協力:Samsung]