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Let's note SV7のSSDを1TB NVMe SSDに換装、容量も速度も大幅に向上
SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 佐藤岳大
2021年6月28日 00:01
今回SSD換装の事例として紹介するのは、第8世代Coreプロセッサーを搭載するパナソニックのモバイルビジネスノートPC「Let's note SV7 (CF-SV7LFGQR)」だ。
2018年に発売されたモデルで、DVDドライブや豊富なインターフェイスと着脱式バッテリーを採用しながら、約1kgという軽量設計が特徴。用意したのはCore i5/8GBメモリ/SATA SSD 256GB仕様のモデルで、これを1TBのNVMe SSDへ換装し、大容量化と高速化を狙う。換装の手順と合わせ、換装の前後でどれだけの変化があるのかを紹介しよう。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
軽量モバイルノート「Let's note SV7」のSSDをアップグレード
今回使用するLet's note SV7は、2018年に発売されたモデル。第8世代のモバイルCoreプロセッサ(Kaby Lake R)を搭載し、約1,024gの軽さと堅牢性を両立したモバイルノートPCだ。
中古品として入手しているので、新品の時から若干の変更があるかもしれないが、CPUに4コア8スレッドのCore i5-8250U(ベース1.6GHz/ブースト時3.4GHz)、メモリにLPDDR3-1866 4GB×2(デュアルチャネル)、ストレージにSATA SSD 256GBを備えるモデルで、ディスプレイは12.1インチ/1,920×1,200ドット。
そのほか、最大40Gbps転送が可能なThunderbolt 3対応のType-Cポートや、IEEE 802.11ac無線LAN/Bluetooth、1000BASE-T有線LANなどを搭載している。OSはWindows 10 Pro 64bit。
Let's note SV7(CF-SV7LFGQR) | |
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CPU | Core i5-8250U(4コア/1.6GHz/ブースト時3.4GHz) |
メモリ | LPDDR3-1866 4GB×2 |
ストレージ | SATA SSD 256GB |
GPU | Intel UHD Graphics 620 |
ディスプレイ | 12.1インチ/1,920×1,200ドット |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
6/30更新 記事初出時、Core i5-8250UをWhiskey Lake-Uと記載しましたが、正しくはKaby Lake Rとなります。関係者並びに読者の皆様にはお詫びして訂正させていただきます。
換装に使うのは1TB/NVMeのSamsung SSD 980
今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 980の1TBモデル「MZ-V8V1T0B/IT」。最大速度リード3,500MB/s・ライト3,000MB/sのNVMe接続モデルで、インターフェイスはPCIe 3.0 x4レーン。
Samsung SSD 980は250GB~1TBまでの3製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
ノートPCでM.2 SATA SSDからM.2 NVMe SSDへ換装を行う際に相性が出ることがある。このため、SSD換装の際には事前に下調べを行い、動作実績のあるモデルから選ぶことをお勧めしたい。
また、ノートPC側のM.2スロットは製品により仕様が異なり、大きく分けると、SATA接続のみ、SATA接続とNVMe接続両対応、NVMe接続のみ対応といった3パターンが存在する。SATA SSDからNVMe SSDに換装する場合、ノートPC側がSATA/NVMe両対応である必要があるので注意しよう。
このほか、ノートPC側のM.2スロットはモデルによりPCI Expressのレーン数や世代が異なり、モデルによってはSSDの公称値通りの性能が出ないケースもある。これは故障では無いので覚えておこう。
古いSSDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介
ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。
NVMe SSD用の外付けケースは税込4千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。
換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう
PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。
今回使用しているSSD外付けケースはAOTECHのAOK-M2NVME-U31G2。NVMe SSDに対応したUSB 3.2 Gen2接続のケースで、SSDの取り付けも比較的簡単だ。
M.2 SSD用の外付ケースは、NVMeのみに対応したモデル、SATAのみに対応したモデル、NVMe/SATA両対応のモデルがある。購入時には使用するSSDに合わせ対応したモデルを購入しよう。
データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単
今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。
Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。
USB接続の外付けケースを用いたSSD換装の注意点になるが、移行ソフトとの相性などによりデータのコピーが正常に行えないときがある。そうした際は、大概外付けケース側のUSBコントローラとの相性に問題がある可能性が高いので、ケースを替えるか、デスクトップPC上でデータのコピーを行うなどテストしてみてもらいたい。
「Samsung Data Migration 4.0」を利用した際の外付けケースとの相性に関しては別記事で紹介しているので、そちらも参照してもらいたい。
今回の換装では、当初はSamsung Data Migrationのクローンができなかった。原因はBitLockerで、ドライブが暗号化されていたためだ。
パーティションが暗号化されているのかどうかは、Windowsのコントロールパネル内の「BitLocker ドライブ暗号化」から状態で確認できる。暗号化されている場合はデータをクローンする際に解除してから行おう。
原因は不明だが、「Windows 10上の表示はBitLockerが有効化されていないが、データは暗号化されている」という厄介なケースも存在し、今回の個体はこの状態だった。解決策としては、一旦BitLockerをOS上で有効化し、その後無効化することで暗号化を解除できる。解除してしまえばSamsung Data Migrationも正常にクローンを完了できた。
分解工具はプラスドライバーのみ、Let's note SV7の分解難易度は低め
ここからはLet's note SV7の分解になるが、工具は通常のプラスドライバーのみで問題ない。事前に準備しておこう。
SSD換装時はPCを必ずシャットダウンし、安全のためバッテリーを外した状態で行ってもらいたい。機器の破損や故障を防ぐため、誤って休止などの状態で分解しないように気をつけよう。
本機の場合、背面パネルを固定しているネジはすべて露出しているため、換装は容易だ。
背面パネルはネジと少数のツメで固定されているため、簡単に外れる。ただし無理に外そうとした場合ツメを破損するおそれがあるので、慎重に行おう。
パネルを開けるとM.2スロットに直接アクセスでき、SSDの換装も簡単だ。なお、SSDはスロットに挿してからネジで固定するタイプだ。SSDを換装したあと、最後にバッテリーを戻せば作業は完了だ。
冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。
保証が切れている使い込んだノートPCなどであれば、SSDの換装は投資に見合った効果が得られやすいので、PCを買い換える前に試してみる価値はある。
大容量SSDへの換装で空き容量が大幅に増加、最新世代へ換装で速度も高速快適に使えるノートPCへリフレッシュ
実際にSSD換装を行い得られたメリットも紹介しておこう。今回は容量と速度の2点を紹介する。
1TB SSDで空き容量は一気に拡大、より扱いやすいPCに
まずは容量の面だが、Let's note SV7には256GBのSSDが搭載されており、回復領域などを除いたシステム上から見た容量は約186GBだ。
空き容量は約134GBに限られ、普段使いでも意外と空き容量のなさに困る。容量の大きいアプリケーションなどをインストールすると空きが無くなってしまったり、動画などを置いておくにもゆとりはない容量だ。こまめにファイルの削除したり、Windowsアップデートのファイルも定期的に整理する必要があるだろう。
1TB SSDに換装すると空き容量は896GBと6倍以上になり、使い勝手の良さもかなり向上する。音楽や写真などのライブラリを構築したり、多数の仕事のファイルを置きっぱなしにしてもかなりのゆとりがあり、空き容量を気にしながら使うシーンがほぼなくなる。容量面での制約がかなりなくなるので快適だ。
SSD換装で速度は全体的に大幅向上、外付けSSDからのデータ転送も5倍近く高速化
速度の方だが、SATAからNVMeへの換装ということもあって、Crystal Disk Markの実行結果からも見て分かる通り、大幅に速度が向上。接続もPCIe 3.0 x4となっており、Let's note SV7はSamsung SSD 980の速度をしっかり引き出せていると言える。
ベンチマーク結果で大幅に速度が向上しているのはもちろん、外付けドライブとのデータの転送も換装の前後で大きく変化している。
Thunderbolt 3接続のポータブルSSD「Samsung Portable SSD X5 (1TBモデル)」に50GBのデータファイル(Windows 10のfsutilコマンドで作成/実体化)を用意し、これを内蔵ストレージへ書き込みする際の速度や時間を計測してみた。
換装前のMZNLN256HAJQ-00007に50GBのファイルを転送するのに2分42秒かかったのに対し、換装後のSSD 980 1TBへ50GBのファイルを転送する時間は35秒だった。転送時の速度も換装前のMZNLN256HAJQ-00007が300MB/s前後だったのに対し、換装後のSSD 980 1TBは1.5GB/sほどと大きな差がみられる。
ここまでの差があると体感でもかなり速いと感じることができるので、Thunderbolt 3接続やUSB 3.2 Gen2/Gen2x2接続などの高速な外付けSSDを使用するユーザーには、換装の効果は絶大と言えるだろう。
ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。
今回とりあげたLet's note SV7は、搭載CPUの世代も比較的新しく、ストレージにゆとりがあればまだまだ使える性能をもったモデルだ。4コア/8スレッドの十分な性能と、最新の軽量モバイルノートと遜色ない持ち運びの容易さで、ビジネス用途にもってこいと言える。Thunderbolt 3ポートを活用する上では、内蔵SSDを高速化するメリットも大きい。
PCを買い換えるほどではないといった場合や、予算を抑えて環境を快適にしたいというユーザーは、ノートPCのSSD換装もPCを快適にする選択肢の一つとして考えてみてはいかがだろうか。
[制作協力:Samsung]